「確定申告をしたら、お金はどれくらい戻ってくるの?」と気になっていませんか?
確定申告で戻ってくるのは、源泉徴収や予定納税で納めすぎた所得税です。たとえば、年収600万円の会社員が20万円の医療費控除を受けると、所得税が約2万円戻ります。
この記事では、戻るお金の仕組みと計算方法、ケース別の目安、住民税が減る分、還付額の確認方法を令和8年分の数字で解説します。
この記事のポイント
- 戻ってくるのは源泉徴収や予定納税で納めすぎた所得税
- 所得控除で戻る所得税は控除額×所得税率(+復興特別所得税2.1%)が目安
- 所得税率は年収ではなく課税所得で決まり、5%から45%の7段階
- 年の途中で退職した人や報酬から10.21%を引かれているフリーランスは戻る額が大きくなりやすい
- 住民税は戻るのではなく翌年度の住民税が減る
- 還付申告は翌年1月1日から5年間提出できる
確定申告で戻ってくるお金はどれくらい?
確定申告で戻ってくるお金は、人によって数千円から数十万円まで大きく変わります。戻るのはすでに納めた所得税と本来の所得税の差額なので、追加する控除の額や源泉徴収された額によって金額が決まります。
戻るのは納めすぎた所得税
確定申告で戻るのは、給与や報酬からの源泉徴収や予定納税で、本来の税額より多く納めていた所得税です。確定申告で1年間の所得と税額を計算し直し、すでに納めた税金との過不足を精算します(国税庁 No.2020)。
一方で、源泉徴収や予定納税で納めた所得税がない人は、申告しても戻るお金はありません(国税庁 No.2030)。給与の源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の人も同じです。
会社員の場合は、年末調整でいったん税額が精算されています。そのため、確定申告で戻るのは、医療費控除や寄附金控除など年末調整で受けられなかった控除の分が中心です。
所得控除で戻る額は控除額×所得税率
医療費控除やふるさと納税の寄附金控除などの所得控除で戻る所得税は、控除額に所得税率をかけた金額が目安です。税金そのものが減るのではなく、税率をかける前の所得が減るので、減った所得に税率をかけた分だけ所得税が軽くなります。
令和8年分の所得税には、所得税額の2.1%の復興特別所得税が上乗せされます(国税庁 No.2260)。所得控除が10万円増えたときに戻る所得税は、税率ごとに次のとおりです。
| 所得税率 | 所得控除が10万円増えたときに戻る所得税(復興特別所得税を含む) |
|---|---|
| 5% | 5,105円 |
| 10% | 1万210円 |
| 20% | 2万420円 |
| 23% | 2万3,483円 |
| 33% | 3万3,693円 |
| 40% | 4万840円 |
| 45% | 4万5,945円 |
なお、控除によって課税所得が税率の区切りをまたぐときは、2つの税率が混ざるので金額は表と少しずれます。会社員の場合は年末調整の端数処理もあるため、実際の還付額は数十円ほど変わることがあります。

税額控除は税額から直接差し引かれる
住宅ローン控除のような税額控除は、計算した所得税額から控除額を直接差し引くので、同じ金額の所得控除より戻る額が大きくなります(国税庁 No.1200)。たとえば10万円の税額控除なら所得税が10万円減り、復興特別所得税を含めると10万2,100円減ります。
ただし、戻るのはあくまで納めた所得税の範囲までです。会社員が住宅ローン控除を受ける1年目は確定申告が必要で、戻る額はその年に源泉徴収された所得税が上限になります。
住宅ローン控除の1年目の確定申告のやり方は、こちらの記事で解説しています。

自分の所得税率は何%?
所得税率は年収ではなく、所得から各種の所得控除を引いた課税所得で決まります。同じ年収でも、社会保険料や扶養の状況で課税所得が変わるので、適用される税率も変わります。
所得税の速算表
所得税の税率は、課税所得に応じて5%から45%の7段階に分かれています(国税庁 No.2260)。税額は「課税所得×税率−控除額」で計算できます。
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
| 195万円から329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円から1,799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円から3,999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
会社員なら、自分の課税所得は源泉徴収票から計算できます。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額が、おおよその課税所得です。
年収別の税率の目安(令和8年分)
令和8年分は基礎控除が最大104万円に上がったため、年収500万円の会社員でも所得税率が5%になることがあります(国税庁 No.1199)。給与所得控除の最低額も74万円に上がりました(国税庁 No.1410)。
社会保険料を年収の15%、独身で扶養なし、ほかの控除なしと仮定すると、年収ごとの税率は次のとおりです。
| 年収 | 課税所得(概算) | 所得税率 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約53万円 | 5% |
| 400万円 | 約112万円 | 5% |
| 500万円 | 約177万円 | 5% |
| 600万円 | 約242万円 | 10% |
| 700万円 | 約348万円 | 20% |
| 800万円 | 約423万円 | 20% |
| 1,000万円 | 約593万円 | 20% |
表の年収700万〜1,000万円では、合計所得が489万円を超えるため、基礎控除が104万円より少なくなります。扶養家族がいる人や生命保険料控除などがある人は、課税所得がさらに下がるので税率も下がることがあります。
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戻るお金の計算方法は?
戻るお金は、1年間の所得から本来の所得税を計算し、すでに納めた所得税から差し引いて求めます。手順は次の3ステップです。
- 所得の合計から社会保険料控除・基礎控除・医療費控除などの所得控除を引いて、課税所得を出す
- 課税所得に速算表の税率をかけて控除額を引き、所得税額の2.1%の復興特別所得税を足す
- 源泉徴収や予定納税で納めた所得税から、2の税額を引く
3の答えがプラスならその金額が戻ってきて、マイナスならその分を追加で納めます。実際に申告するときは、国税庁の確定申告書等作成コーナーなら、金額を入れるだけで税額が自動で計算されます。

ケース別に戻るお金の目安は?
戻るお金の目安は、会社員が控除を追加するケースなら数千円から数万円、報酬から源泉徴収されているフリーランスなら数十万円になることもあります。計算例はいずれも、令和8年分の税率と控除額を使っています。
医療費控除を受ける会社員
年収600万円(所得税率10%)の会社員が30万円の医療費を支払った場合、戻る所得税は約2万円です。社会保険料は90万円で、ほかの控除や保険金などの補てんはないものとします。
医療費控除の額は、30万円から10万円を引いた20万円です(国税庁 No.1120)。年末調整のときと確定申告のときで所得税を比べると、次のとおりになります。
| 項目 | 年末調整のとき | 確定申告のとき |
|---|---|---|
| 給与所得 | 436万円 | 436万円 |
| 社会保険料控除 | 90万円 | 90万円 |
| 基礎控除 | 104万円 | 104万円 |
| 医療費控除 | なし | 20万円 |
| 課税所得 | 242万円 | 222万円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 14万7,500円 | 12万7,114円 |
源泉徴収された14万7,500円から12万7,114円を引いた2万386円が、確定申告で戻ってくるお金です。20万円×10%×102.1%で求めた目安は2万420円ですが、年末調整では税額の100円未満を切り捨てるので、実際は2万386円になります(国税庁 No.2662)。
さらに、翌年度の住民税が2万円ほど減るので、所得税と住民税を合わせた効果は4万円ほどです。医療費控除は年末調整では受けられないため、会社員も確定申告が必要です。
医療費がいくらから控除を受けられるかや、年収別に戻る金額は、こちらの記事でくわしく解説しています。

ふるさと納税をした会社員
年収600万円(所得税率10%)の会社員が5万円をふるさと納税して確定申告した場合、所得税から戻るのは約4,900円です。残りの約4万3,100円は、翌年度の住民税から差し引かれます。
ふるさと納税では、寄附額から2,000円を引いた4万8,000円が寄附金控除の額です(国税庁 No.1155)。控除の上限額の範囲内で寄附していれば、この4万8,000円がまるごと所得税と住民税から軽くなります。
ただし、所得税から戻るのは4万8,000円に税率10%と復興特別所得税をかけた分だけで、残りは翌年度の住民税から差し引かれます。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるので、特例を申請した分も含めて申告しましょう。
ふるさと納税の還付金がいつ・いくら戻るかは、こちらの記事で解説しています。

年の途中で退職した人
年の途中で退職して年内に再就職していない人は、確定申告で源泉徴収された所得税の多くが戻ることがあります(国税庁 No.2030)。年末調整を受けていないので、毎月の給与から引かれた所得税が、1年分の税額と精算されないまま残っています。
たとえば、6月に退職した人の金額が次のとおりだったとします。
- 給与収入:180万円
- 社会保険料:27万円
- 源泉徴収税額:4万円
給与所得は、180万円から給与所得控除の74万円を引いた106万円です。ここから社会保険料27万円と基礎控除104万円を引くと、課税所得は0円になります。
そのため、所得税は0円になり、源泉徴収された4万円が全額戻ります。退職後に自分で納めた国民健康保険料や国民年金保険料も社会保険料控除の対象なので(国税庁 No.1130)、申告するときは漏れなく入れましょう。
退職した人が確定申告をするには、退職した会社の源泉徴収票が必要です。手元にないときの対処法は、こちらの記事で解説しています。

報酬から源泉徴収されているフリーランス
原稿料や講演料などの報酬から10.21%を源泉徴収されているフリーランスは、確定申告で数十万円が戻ることがあります。源泉徴収は経費や控除を差し引く前の報酬額にかかるので、本来の税額より多く引かれやすくなります。
報酬の源泉徴収は、1回の支払額が100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%です(国税庁 No.2795)。報酬400万円(1回の支払いはすべて100万円以下)の場合、源泉徴収される額は40万8,400円になります。
経費が100万円、国民健康保険料と国民年金保険料が合わせて60万円、青色申告特別控除なしとすると、戻るお金は次のように求められます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 報酬 | 400万円 |
| 経費 | 100万円 |
| 所得 | 300万円 |
| 社会保険料控除 | 60万円 |
| 基礎控除 | 104万円 |
| 課税所得 | 136万円 |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 6万9,428円 |
| 源泉徴収された税額 | 40万8,400円 |
| 戻ってくるお金 | 33万8,972円 |
報酬から源泉徴収されているフリーランスは、確定申告をしないと納めすぎた税金が戻りません。源泉徴収された額は支払調書などで確認できるので、支払調書が届かないときの申告方法をこちらの記事で確認しておきましょう。

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住民税はいくら減る?
住民税はお金が戻るのではなく、翌年度の住民税が所得控除の額の10%ほど減ります。所得税の確定申告書は住民税の申告書も兼ねているので、申告した内容がそのまま翌年度の住民税の計算に使われます(国税庁 No.1155)。
住民税が減るのは翌年度
住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得で計算されるので、確定申告の効果は翌年度の住民税に反映されます(総務省 個人住民税)。令和8年分の確定申告なら、令和9年度の住民税が減ります。
会社員なら毎月の給与から天引きされる住民税が、個人事業主なら納税通知書で納める住民税が少なくなります。口座に振り込まれるわけではないので、所得税の還付金と分けて考えましょう。
減る住民税は所得控除×10%が目安
住民税の所得割の標準の税率は10%なので、減る住民税は所得控除の額の10%が目安です(総務省 個人住民税)。たとえば医療費控除が20万円なら、翌年度の住民税は2万円ほど減ります。
所得税と違い、住民税の所得割は課税所得の大きさで税率が変わりません。ただし、生命保険料控除や基礎控除のように、所得税と住民税で控除額が違うものもあります。そのため、実際に減る住民税は、所得控除の額の10%で計算した金額と少しずれることがあります。
ふるさと納税は住民税から引かれる額が大きい
確定申告でふるさと納税をすると、所得税から還付される分のほかに、残りが翌年度の住民税から差し引かれます(総務省 ふるさと納税 税金の控除について)。住民税からは、10%の基本分と、所得税と基本分で引ききれなかった特例分が差し引かれます。
そのため、ふるさと納税は所得税の還付額が小さく見えても、合計では寄附額から2,000円を引いた額が軽くなります。ワンストップ特例を使った場合は所得税の還付はなく、全額が翌年度の住民税から差し引かれます。

還付額の確認方法と還付される時期は?
還付額は確定申告書第一表の「還付される税金」の欄で確認でき、e-Taxで提出すれば3週間程度で処理されます。2月・3月の確定申告期間中は、還付金の支払手続に1か月から1か月半程度かかることもあります。
還付額は申告書の第一表で確認する
確定申告書を作ると、第一表の「還付される税金」の欄に戻ってくる金額が表示されます。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額を入れると税額などが自動で計算されます(国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A)。
申告の前にどれくらい戻るかを知りたいときは、源泉徴収票と控除の証明書をそろえて、作成コーナーで入力してみるのが確実です。
還付はe-Taxなら3週間程度
自宅などからe-Taxで提出した還付申告は、3週間程度で処理されています(国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A Q41)。一方で、2月・3月の確定申告期間中は申告書が大量に提出されるため、還付金の支払手続にはおおむね1か月から1か月半程度かかります。
また、訂正申告をした場合や書類に不備がある場合、書面で別送する書類がある場合は、e-Taxでも3週間程度の処理の対象外です。早く受け取りたいなら、書類をそろえてからe-Taxで提出しましょう。
還付金が振り込まれる時期は、こちらの記事でくわしく解説しています。

処理状況はe-Taxのマイページで確認する
還付金の処理状況は、e-Taxソフト(WEB版)にログインしてマイページから確認できます(国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A Q40)。マイページの「還付・納税関係」から「還付金処理状況を確認する」を選びます。
書面で提出した人も、利用者識別番号を持っていれば確認できる場合があります。
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還付申告はいつまで出せる?
還付申告は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。令和8年分なら、2027年1月1日から2031年12月31日まで提出できます。
ただし、青色申告特別控除の55万円・65万円を受けたい個人事業主は、還付申告でも原則3月15日の期限までに提出する必要があります。
過去の年分で医療費控除などを申告し忘れていた場合も、5年以内ならさかのぼって還付申告できます。過去の年分を申告するやり方は、こちらの記事で解説しています。

還付申告をスマホで済ませる方法
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(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

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まとめ
確定申告で戻ってくるお金について、押さえておきたい点は次のとおりです。
- 戻ってくるのは、源泉徴収や予定納税で納めすぎた所得税
- 所得控除で戻る所得税は、控除額×所得税率(+復興特別所得税2.1%)が目安
- 所得税率は課税所得で決まり、令和8年分は年収500万円の会社員でも5%になることがある
- 年の途中で退職した人や、報酬から10.21%を引かれているフリーランスは戻る額が大きくなりやすい
- 住民税は戻るのではなく、翌年度の住民税が所得控除の額の10%ほど減る
- 還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できる
まずは源泉徴収票と医療費の領収書などの控除の証明書をそろえて、戻る金額を計算してみましょう。
よくある質問
Q. 年末調整をした会社員でも確定申告でお金は戻る?
年末調整で受けられない医療費控除や寄附金控除などがあれば、確定申告でお金が戻ります。年末調整で受けた控除だけなら税額はすでに精算されているので、確定申告をしても戻るお金はありません。
Q. 源泉徴収税額が0円でも確定申告でお金は戻る?
源泉徴収税額や予定納税額が0円の人は、確定申告をしても戻る所得税はありません。ただし、医療費控除などで所得が下がれば、翌年度の住民税が減ることがあります。
Q. 還付申告は2月16日より前に提出できる?
還付申告は、確定申告期間とは関係なく、翌年の1月1日から提出できます。令和8年分なら2027年1月1日から提出できるので、混み合う2月・3月より前に済ませることもできます。
Q. 医療費控除とふるさと納税は一緒に申告できる?
医療費控除とふるさと納税の寄附金控除は、1回の確定申告でまとめて申告できます。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるので、特例を申請した寄附も含めて申告しましょう。
Q. 申告したあとで控除の漏れに気づいたら?
還付申告をしたあとで控除の漏れに気づいたときは、更正の請求で納めすぎた所得税を取り戻せます。更正の請求ができるのは、原則として還付申告書を提出した日から5年以内です。
Q. 還付金はどこで受け取れる?
還付金は、本人名義の預貯金口座への振り込みか、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口で受け取れます。公金受取口座を登録している人は、公金受取口座への振り込みも指定できます。
Q. 源泉徴収のない個人事業主もお金は戻る?
予定納税をしている個人事業主は、確定申告で計算した税額が予定納税額より少なければ差額が戻ります。源泉徴収も予定納税もない場合は、確定申告で戻る所得税はありません。



