「年末調整をしたけれど、住民税はどうなるの?」と疑問に思っていませんか?
年末調整で精算されるのは所得税だけで、住民税は精算されません。年末調整の結果は勤務先から市区町村に伝わり、翌年6月から始まる住民税の計算に使われます。
この記事では、年末調整と住民税の関係や、住民税での控除額の違い、住民税の申告や確定申告が必要になる人を解説します。
この記事のポイント
- 年末調整で精算するのは所得税だけで、住民税は年末調整では戻らない
- 年末調整の結果は給与支払報告書で市区町村へ伝わり、翌年6月からの住民税に反映
- 年末調整で申告した生命保険料や扶養などの控除は住民税の計算にも使われる
- 住民税の控除額は所得税より小さく、基礎控除は所得税の最大104万円(令和8年分)に対して住民税43万円
- 医療費控除やワンストップ特例を使わないふるさと納税は、確定申告か住民税の申告が必要
- 副業の所得が20万円以下でも、確定申告をしないなら住民税の申告は必要
住民税は年末調整で精算される?
住民税は年末調整では精算されず、年末調整で戻ってくるのは所得税だけです。住民税は前年の所得が確定してから税額を決める仕組みなので、年の途中で多めに引いておいて年末に精算する必要がありません。
年末調整で精算するのは所得税だけ
年末調整は、毎月の給与から概算で差し引いた所得税を、1年間の給与が確定した時点で正しい税額に精算する手続きです。通常は12月の給与の支払いのときに行われ、払いすぎていれば還付され、足りなければ追加で差し引かれます。
一方で住民税は、前年中の給与の総額が確定したあとに税額を計算し、その確定した税額を毎月の給与から差し引いています。はじめから確定した金額を引いているので、所得税のような精算はいりません(神戸市FAQ・鎌倉市FAQ)。
なお、年末調整の対象は、1年を通じて勤めている人と、年の途中で就職して年末まで勤めている人です。1年間の給与の総額が2,000万円を超える人などは対象になりません(国税庁 No.2665)。
住民税は前年の所得で決まる
住民税は、1月1日に住んでいる市区町村が、前年1月から12月までの所得をもとに計算する税金です(総務省 個人住民税)。所得税がその年の所得にかかるのに対して、住民税は1年遅れでかかります。
会社員の住民税は、6月から翌年5月までの毎月の給与から差し引かれます(東京都主税局 個人住民税)。たとえば2026年分の所得にかかる住民税は、2027年6月から2028年5月までの給与から引かれます。
所得税と住民税の違いをまとめると、次のとおりです。
| 比べる点 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 計算のもとになる所得 | その年の所得 | 前年の所得 |
| 毎月の給与から引く金額 | 概算の税額 | 確定した税額 |
| 年末調整での精算 | あり | なし |
| 納める先 | 国(税務署) | 1月1日に住んでいる市区町村 |
| 給与から引かれる時期 | その年の1月〜12月 | 翌年6月〜翌々年5月 |
住民税の額は、所得に応じた所得割(税率10%)と定額の均等割(標準4,000円)を合わせたもので、このほかに森林環境税(国税)の1,000円が一緒に集められます(総務省)。
給与明細の年調還付は所得税の分
12月や1月の給与明細に「年調還付」などの名前で載るお金は、払いすぎた所得税が戻ったもので、住民税の分は含まれません。住民税は、年末調整の還付でも追加徴収でも動かない税金です。
そのかわり、年末調整で申告した控除は、翌年度の住民税を計算するときにも使われます。年末調整の結果は所得税だけで終わらず、翌年度の住民税にもつながっています。
年末調整の結果はどう住民税に反映される?
年末調整の結果は、勤務先が作る給与支払報告書で市区町村に伝わり、翌年度の住民税の計算に使われます。給与だけの会社員なら、自分で市区町村に書類を出す必要は基本的にありません。
勤務先が給与支払報告書を市区町村に出す
勤務先は年末調整が終わると、給与支払報告書を1月31日までに市区町村へ出します。出す先は、従業員がその年の1月1日に住んでいる市区町村です(東京都主税局 特別徴収の手続き)。
給与支払報告書は、税務署に出す源泉徴収票とほぼ同じ内容の書類です。給与の支払金額や源泉徴収税額のほか、年末調整で申告した社会保険料や生命保険料、配偶者や扶養親族の情報などが書かれます。
市区町村はこの報告書をもとに住民税を計算します。そのため、給与を1か所から受けていて年末調整で控除が済んでいる人は、住民税の申告をしなくても税額が決まります(横浜市 市民税・県民税の申告について)。
5月に税額が決まり6月から天引きされる
市区町村は5月31日までに勤務先へ特別徴収税額決定通知書を送り、勤務先は6月の給与から住民税の天引きを始めます(東京都主税局 特別徴収の手続き)。通知書には、1年間の税額と毎月引かれる金額が書かれています。
2026年分の年末調整から住民税の天引きまでの流れは、次のとおりです。給与支払報告書の期限は、1月31日が土日や祝日にあたるときは翌日になります(名古屋市 給与支払報告書について)。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 2026年12月ごろ | 勤務先で年末調整(所得税の精算) |
| 2027年2月1日まで | 勤務先が給与支払報告書を市区町村へ提出(1月31日が日曜日のため) |
| 2027年5月31日まで | 市区町村が住民税額を決めて勤務先へ通知 |
| 2027年6月〜2028年5月 | 毎月の給与から住民税を天引き |

年末調整で申告した控除が住民税にも使われる
年末調整で申告した控除は、給与支払報告書を通じて住民税の計算にもそのまま使われます。年末調整で申告でき、住民税にも入る主な控除は次のとおりです。
- 社会保険料控除:給与から引かれた健康保険料・厚生年金保険料など
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCoの掛金など
- 生命保険料控除・地震保険料控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除
- 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除
反対に、年末調整で出し忘れた控除は、住民税にも入りません。そのため、控除を書き漏らすと、所得税だけでなく翌年度の住民税も高くなってしまいます。生命保険料の控除証明書を出し忘れたときなどは、確定申告で追加すれば所得税と住民税の両方に効きます。
16歳未満の子どもは扶養控除等申告書に書く
年末調整で出す扶養控除等申告書には住民税に関する事項の欄があり、16歳未満の扶養親族はここに書きます(国税庁 扶養控除等申告書の記載のしかた)。
16歳未満の子どもは所得税の扶養控除の対象になりませんが、住民税がかからない人かどうかを判定するときは、扶養親族の人数に含まれます(東京都主税局 個人住民税)。
所得税に関係しないからと空欄のままにすると、住民税の判定に使われないおそれがあります。子どもがいる人は、毎年の申告書でこの欄も確認しておきましょう。
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年末調整の控除は住民税ではいくらになる?
住民税の控除額は所得税より小さいものが多く、基礎控除は所得税の最大104万円に対して住民税は43万円です(総務省 個人住民税)。年末調整で書いた内容は同じでも、住民税では差し引かれる金額が変わります。
主な控除の所得税と住民税の比較
配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除なども、住民税のほうが控除額は小さくなります。主な控除を比べると、次のとおりです(所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分)。
| 控除 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 104万円(合計所得金額489万円以下) | 43万円(合計所得金額2,400万円以下) |
| 配偶者控除(70歳未満) | 最高38万円 | 最高33万円 |
| 扶養控除(一般) | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養控除(19歳以上23歳未満) | 63万円 | 45万円 |
| 生命保険料控除 | 最高12万円 | 最高7万円 |
| 地震保険料控除 | 最高5万円 | 最高2万5,000円 |
| 社会保険料控除 | 支払った全額 | 支払った全額 |
出典:所得税は国税庁 令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等・No.1191・No.1180・No.1140・No.1145、住民税は練馬区 人的控除・東京都主税局 個人住民税
令和8年度税制改正で基礎控除が引き上げられたのは所得税だけで、住民税の基礎控除は43万円のまま変わっていません(仙台市 令和9年度からの税制改正)。住民税の扶養控除の条件や控除額は、こちらの記事でくわしく解説しています。


給与所得控除と扶養の所得要件は所得税とそろう
給与所得控除の最低額は、令和8年分の所得税も令和9年度の住民税も同じ74万円です(神戸市 令和9年度からの住民税の改正)。給与の収入が190万円以下なら、給与所得控除は74万円になります。
扶養親族などの所得要件も、住民税は令和9年度から合計所得金額62万円以下(給与だけなら収入136万円以下)に上がり、所得税の令和8年分と同じ基準になりました。そのため、配偶者や子どもを扶養に入れられるかどうかの基準は、所得税と住民税で変わりません。
所得税がゼロでも住民税はかかる
基礎控除に差があるため、年末調整で所得税がゼロになっても、住民税はかかることがあります。令和8年分の所得税は給与収入だけなら178万円までかかりませんが、住民税は扶養親族がいない場合、給与収入が119万円を超えるとかかるのが目安です(仙台市・神戸市)。
住民税がかからない収入の目安は、扶養親族の人数や住んでいる市区町村によって変わります。年末調整で所得税が全額戻った人も、翌年6月以降に届く住民税の通知は確認しておきましょう。
住宅ローン控除の残りは住民税から引かれる
所得税の住宅ローン控除で引ききれなかった金額は、上限の範囲で翌年度の住民税から差し引かれます(東京都主税局 個人住民税)。上限は入居した時期によって違い、たとえば前年の所得税の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)です。
市区町村は税務署に出された情報で住宅ローン控除の額を把握するので、住民税のために別の申告はいりません。ただし、確定申告や年末調整で、所得税の住宅ローン控除の手続きはしておく必要があります。
住民税の申告が必要な人は?
年末調整では受けられない控除がある人や、給与以外の所得がある人は、確定申告か住民税の申告をしないと住民税の計算に入りません。確定申告書を税務署に出せば、住民税の申告もしたものとみなされるので、どちらか一方で足ります(横浜市 市民税・県民税の申告について)。
年末調整だけでは足りない主なケースと、必要な手続きは次のとおりです。
| ケース | 必要な手続き |
|---|---|
| 医療費控除を受けたい | 確定申告(所得税が戻らない人は住民税の申告でも可) |
| ふるさと納税をした | ワンストップ特例の申請か確定申告 |
| 副業などの所得が20万円以下 | 住民税の申告(確定申告をするなら不要) |
| 副業などの所得が20万円超 | 確定申告 |
| 年の途中で退職し年末調整を受けていない | 確定申告か住民税の申告 |
確定申告と住民税の申告の違いは、こちらの記事でまとめています。


医療費控除は年末調整では受けられない
医療費控除や寄附金控除、雑損控除は年末調整では受けられず、確定申告で申告する控除です。国税庁も、確定申告で税金が戻る主な例としてこれらの控除を挙げています(国税庁 No.2030)。確定申告で医療費控除を受ければ、その内容が市区町村にも伝わり、翌年度の住民税も下がります。
所得税がもともとかからず、確定申告をしても戻る税金がない人は、市区町村に住民税の申告をして医療費控除を受けることもできます。住民税の申告で医療費控除を受けるときは、「医療費控除の明細書」の添付が必要です(横浜市)。
医療費控除がいくらから受けられるか、戻ってくる金額の目安は、こちらの記事で解説しています。

ふるさと納税はワンストップ特例か確定申告が必要
ふるさと納税の控除は年末調整では受けられず、ワンストップ特例を申請するか確定申告をしないと住民税から引かれません。ワンストップ特例は、確定申告をしない給与所得者などが、寄附先が5団体以内のときに使える仕組みです(東京都主税局 個人住民税)。
注意したいのは、ワンストップ特例を申請していても、医療費控除などのために確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金も確定申告書に書く必要がある点です。書き忘れると、ふるさと納税の分が住民税から控除されません。
年末調整とふるさと納税の関係は、こちらの記事でくわしく解説しています。

副業の所得が20万円以下でも住民税の申告は必要
給与を1か所から受けている会社員で、副業などの所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です(横浜市)。副業の所得は年末調整では扱われないので、申告しないと住民税の計算に入りません。
副業などの所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。20万円以下でも申告が必要になるケースは、こちらの記事で確認できます。

年の途中で退職した人は自分で申告する
年の途中で退職して年末までに再就職していない人は、原則として年末調整を受けていないので、確定申告か住民税の申告で控除を申告します(国税庁 No.2665・横浜市)。そのため、生命保険料控除なども、そのままでは住民税に入っていません。
給与から源泉徴収された所得税は、確定申告をすれば払いすぎた分が戻ることがあります(国税庁 No.2030)。所得税が戻る見込みがあるなら、住民税の申告ではなく確定申告を選べば、1回の手続きで両方が片づきます。
退職したあとの住民税の払い方は、こちらの記事で状況別にまとめています。

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住民税の決定通知書では何を確かめる?
毎年5月から6月ごろに勤務先から渡される住民税の決定通知書で、年末調整で申告した控除が入っているかを確かめましょう。控除の漏れに気づいたら、確定申告で直せます。
決定通知書は勤務先を通じて届く
会社員の住民税の決定通知書(特別徴収税額決定通知書の納税義務者用)は、市区町村から勤務先に送られ、勤務先から本人に渡されます(東京都主税局 特別徴収の手続き・横浜市 個人の市民税特別徴収)。
渡し方は勤務先によって違うので、6月の給与のころになっても受け取っていなければ、勤務先の担当者に確認してみましょう。
所得控除の欄が年末調整と合っているか見る
決定通知書では、社会保険料や生命保険料、配偶者や扶養の控除が、年末調整の内容どおり入っているかを確認します。住民税の控除額は所得税と違うので、源泉徴収票の控除額と同じ数字にならないのは正常です。
通知書の様式は市区町村によって違いますが、所得控除の内訳や税額控除の欄が設けられています。ふるさと納税をした人は、税額控除の欄に寄附の分が入っているかも見ておきましょう。
控除の漏れに気づいたら確定申告で直す
決定通知書で控除の漏れに気づいたら、確定申告で控除を追加して直します。控除を追加して所得税が戻る確定申告(還付申告)は、翌年1月1日から5年間できます(国税庁 No.2030)。
確定申告で追加した控除は、住民税の計算にも使われます。なお、年末調整のあとに扶養親族が増えた場合などは、勤務先が源泉徴収票を渡す時までなら年末調整をやり直してもらえます(国税庁 令和6年分 年末調整Q&A)。
医療費控除や副業の申告をスマホで済ませる方法
年末調整で住民税まで片づくのは、給与が1か所だけで、控除もすべて年末調整で申告できた人です。医療費控除やふるさと納税、副業の所得がある人は、確定申告をすれば所得税と住民税の両方にまとめて反映できます。
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まとめ
年末調整と住民税について、押さえておきたい点は次のとおりです。
- 年末調整で精算するのは所得税だけで、住民税は年末調整では戻らない
- 年末調整の結果は給与支払報告書で市区町村に伝わり、翌年6月からの住民税に反映
- 年末調整で申告した控除は住民税にも使われるが、住民税の控除額は所得税より小さい
- 基礎控除の差で、所得税がゼロでも住民税はかかることがある
- 医療費控除・ワンストップ特例を使わないふるさと納税・副業の所得は、確定申告か住民税の申告が必要
- 5〜6月に届く決定通知書で、控除が年末調整どおり入っているかを確認
年末調整の書類を出す前に控除証明書をそろえ、医療費控除や副業がある人は確定申告の準備も始めておきましょう。
よくある質問
Q. 年末調整で住民税は戻ってくる?
年末調整で戻ってくるのは所得税だけで、住民税が年末調整で戻ることはありません。住民税は前年の所得が確定してから計算した税額を引いているので、年末に精算する必要がないためです。
Q. 年末調整をしないと住民税はどうなる?
年末調整を受けていないと控除が住民税の計算に入らず、住民税が本来より高くなることがあります。年の途中で退職した人などは、確定申告か住民税の申告で控除を申告しましょう。
Q. 年末調整をしたら住民税の申告はいらない?
給与が1か所だけで、年末調整で控除が済んでいれば、住民税の申告はいりません。ただし、副業などの所得がある人や、医療費控除などを受けたい人は、確定申告か住民税の申告が必要です。
Q. 確定申告をしたら住民税の申告も必要?
確定申告書を税務署に出せば住民税の申告もしたものとみなされるので、別に住民税の申告をする必要はありません。確定申告の内容は、税務署から市区町村に伝わります。
Q. 住民税を給与天引きではなく自分で払うことはできる?
会社員の給与にかかる住民税は、原則として自分で払うことはできず、給与からの天引き(特別徴収)で納めます(総務省 個人住民税)。副業など給与以外の所得にかかる分は、申告のときに自分で納める方法を選べる場合があり、条件はこちらの記事でまとめています。

Q. 住民税の決定通知書はいつ届く?
会社員の場合、決定通知書は市区町村から勤務先へ5月31日までに送られ、勤務先から本人に渡されます。6月の給与のころになっても受け取っていなければ、勤務先の担当者に確認しましょう。
Q. 所得税はゼロなのに住民税がかかるのはなぜ?
住民税の基礎控除は43万円で、令和8年分の所得税の基礎控除(合計所得489万円以下なら104万円)より小さいため、所得税がかからなくても住民税はかかることがあります。給与収入だけの場合、令和8年分の所得税は178万円までかかりませんが、住民税は扶養親族がいなければ119万円を超えるとかかるのが目安です。



