「確定申告をしたら、住民税の申告も別にしないといけないの?」と疑問に思っていませんか?
結論から言えば、確定申告をすればそのデータが市区町村に連携されるため、住民税申告は不要です。逆に、住民税申告をしても確定申告をしたことにはなりません。住民税申告が必要なのは、確定申告も年末調整もしていないのに所得がある人です。
この記事では、2つの申告の違い、どちらが必要かの判定方法、住民税申告のやり方と申告書の書き方、申告しないとどうなるかまで、まとめて解説します。
この記事のポイント
- 確定申告をすれば、データが市区町村に連携されるため住民税申告は不要
- 住民税申告をしても確定申告をしたことにはならない(一方通行の関係)
- 住民税申告が必要なのは、確定申告も年末調整もしていないのに所得がある人
- 令和8年分は給与収入178万円以下なら所得税0円だが、住民税は単身・東京23区の目安で給与収入約119万円からかかる
- 住民税申告は税額計算が不要で、収入と控除を転記するだけで完成する(期限は3月15日)
- 無収入でも申告しておくと、証明書の発行や保険料の軽減判定で損をしない
確定申告と住民税申告の違い【比較表】
まずは2つの申告の違いを一覧で押さえましょう。
9項目の比較表
| 項目 | 確定申告 | 住民税申告 |
|---|---|---|
| 対象の税金 | 所得税(国税) | 住民税(地方税) |
| 申告先 | 所轄の税務署 | 1月1日時点の住所地の市区町村 |
| 申告期間 | 2月16日〜3月15日 | 3月15日まで(受付開始は自治体による) |
| 税額を計算する人 | 自分(申告納税方式) | 自治体(賦課課税方式) |
| 税率 | 累進課税 5〜45% | 一律約10%+均等割 |
| 納付時期 | 3月15日まで(振替納税は4月) | 翌年6月から |
| 申告書の様式 | 全国共通 | 自治体ごとに異なる |
| 作成システム | 確定申告書等作成コーナー | 全国共通のものはなし(試算・作成機能を持つ自治体あり) |
| 払いすぎたとき | 還付金が戻る | 翌年の税額が減る |
確定申告は自分で税額を計算して申告する手続きですが、住民税は申告した内容をもとに自治体が税額を計算してくれます。この「計算する人の違い」が、後述するすべての違いの出発点になります。
表の中で実務上つまずきやすいのは「申告先」と「様式」です。確定申告は全国どこでも同じ様式・同じ作成コーナーで手続きできますが、住民税申告書は自治体ごとに様式も名称も違い(「市民税・県民税申告書」「市都民税申告書」など)、全国共通の作成システムもありません。また、提出先は今住んでいる場所ではなく「その年の1月1日に住民票があった市区町村」です。2月に引っ越した人は、引っ越し前の自治体に申告する点に注意してください。
そもそも住民税とは(所得割+均等割)
住民税(個人住民税)は、都道府県と市区町村に納める地方税で、次の2つで構成されます。
- 所得割:前年の課税所得×約10%(市区町村民税6%+都道府県民税4%)
- 均等割:所得にかかわらず定額。標準では市区町村民税3,000円+都道府県民税1,000円で、2024年度からは森林環境税(国税)1,000円を併せて徴収するため、合計5,000円
出典:総務省 個人住民税
自治体によっては税率や均等割に独自の上乗せ(超過課税)があります。例えば横浜市では均等割に横浜みどり税などが加わり、標準よりやや高くなっています。
計算例を見てみましょう。課税所得(所得から所得控除を引いた金額)が200万円の人の場合、所得割は200万円×10%=20万円。これに均等割等の5,000円を足した約20万5,000円が1年分の住民税です。所得税のように所得が増えるほど税率が上がる累進課税ではなく、誰でも一律約10%というのが住民税の特徴で、「住民税は課税所得の1割」と覚えておくと、副業や控除で税額がどれくらい変わるかをすぐに概算できます。
もうひとつ大切な性質が、住民税は「前年の所得に対する後払い」だということです。2026年(令和8年)中の所得に対する住民税は、2027年6月から納めます。賦課期日は1月1日なので、年の途中で引っ越しても、その年1月1日に住んでいた市区町村に納めます。
この後払い構造のせいで、「退職して収入がなくなった翌年に、前年分の住民税の納付書が届いて驚いた」というケースが典型的に起こります。今年が無収入でも、前年に所得があれば住民税の請求は来る、という点は覚えておきましょう。逆に言えば、社会人1年目に住民税がほとんど引かれないのも、前年(学生時代)の所得が少ないからです。
決定的な違いは「税額を計算する人」
所得税は、自分で1年分の所得と税額を計算して申告する「申告納税方式」です。会社員の場合は毎月の給与から概算で源泉徴収され、年末調整や確定申告で1年分を精算します。
一方、住民税は申告されたデータをもとに、自治体が税額を計算して通知してくる「賦課課税方式」です。つまり、住民税申告では税額の計算は一切不要で、収入と控除の金額を正しく届け出るだけで手続きが完了します。「住民税を自分で計算して納める」という場面はそもそもないので、確定申告に比べると住民税申告はずっと簡単な手続きです。
確定申告と住民税申告、どっちが必要?【判定フロー】

自分に必要なのはどちらの申告なのかは、次の3ステップで判定できます。
判定の大原則(3ステップ)
- 所得税の確定申告をする人 → 住民税申告は不要です。確定申告のデータが市区町村に連携されます
- 確定申告はしないが、年末調整済みで、ほかに所得も追加したい控除もない人 → どちらの申告も不要です。勤務先が「給与支払報告書」を市区町村に提出してくれているためです
- どちらにも当てはまらず、所得がある人(または控除を足したい・無収入を証明したい人) → 住民税申告が必要です
確定申告をするかどうか→年末調整で完結しているかどうか、の順に確認すれば、住民税申告の要否は必ず判定できます。年金だけで暮らしている人も、日本年金機構などから「公的年金等支払報告書」が市区町村に提出されるため、原則として申告不要です(医療費控除などを追加したい場合を除く)。
自分が「確定申告が必要な人」かどうかから確認したい場合は、個人事業主・フリーランスなら所得の合計が基礎控除104万円(令和8年分)を超えたら、会社員の副業なら所得20万円超が大きな目安です。ここで確定申告が必要になる人は、以降の住民税申告を考える必要はありません。
住民税申告「だけ」が必要になる人の全類型
| 該当する人 | 理由 |
|---|---|
| 副業などの所得が20万円以下で確定申告をしない会社員 | 20万円ルールで免除されるのは所得税の確定申告だけ。住民税に同様のルールはない |
| 退職して年末調整を受けておらず、確定申告もしない人 | 給与の精算がされておらず、自治体が所得を把握できない |
| 2か所以上から給与を受けているが、収入が少なく確定申告不要圏の人 | 年末調整されなかった側の給与を申告する必要がある |
| 公的年金400万円以下+他の所得20万円以下で、医療費控除などを足したい人 | 確定申告は不要でも、控除を住民税に反映するには申告が必要 |
| 日払いなどで源泉徴収票がなく、給与支払報告書が出ていない人 | 自治体に収入の記録が届いていない |
| 住民税の減免や国民健康保険料の軽減を受けたい人 | 判定のもとになる所得情報が必要 |
| 事業所得などがあるが所得が少なく、所得税の確定申告をしない人 | 所得税は0円でも住民税はかかることがある(後述) |
| 無収入の人 | 義務ではないが申告推奨。証明書の発行や保険料の軽減判定に必要(後述) |
いくつか補足します。2か所以上から給与を受けている人は、本来は確定申告が必要なケースが多いのですが、給与の合計が少なく確定申告不要の範囲に収まる場合でも、年末調整されなかった側の給与は自治体に届いていないことがあるため、住民税申告でカバーします。年金受給者は「公的年金400万円以下+他の所得20万円以下」なら確定申告不要制度の対象ですが、生命保険料控除や医療費控除など源泉徴収票に載っていない控除を足したい場合は、住民税申告(または確定申告)をしないと控除が反映されません。
代表例が、副業所得20万円以下の会社員です。20万円ルールで所得税の確定申告は免除されても、住民税には「いくら以下なら申告不要」というルールがなく、1円でも所得があれば申告対象です。副業の20万円ルールの正確な中身はこちらの記事で解説しています。

副業の確定申告がそもそも必要かどうかの判定は、こちらをご覧ください。

退職した人も要注意です。年の途中で退職すると年末調整を受けられないため、給与の精算が宙に浮いた状態になります。確定申告をすれば税金が戻ることが多いのですが(源泉徴収は1年間勤める前提で引かれているため)、確定申告をしない場合は住民税申告が必要になります。
どちらの申告も不要な人
次の人は、確定申告も住民税申告もいりません。
- 所得税の確定申告をした人:法律上、住民税の申告書を提出したものとみなされます(後述)
- 年末調整済みで、給与以外の所得も追加したい控除もない人:勤務先が給与支払報告書を市区町村に提出済みです
- 収入が公的年金だけで、控除の追加がない人:公的年金等支払報告書が提出済みです
- 1月1日時点で同じ市区町村に住む親族の税法上の扶養に入っている人:扶養している側の申告で状況を把握できるためです(自治体により取り扱いが異なります)
なお、退職金は支払いの時点で住民税が特別徴収(天引き)されて課税が完結しているため、退職金についての住民税申告は不要です。
迷ったら「確定申告してしまう」のも手
どちらが必要か判断に迷う場合は、確定申告をしてしまうのが実は最も確実です。確定申告をすれば住民税申告は自動で済み、医療費控除などの控除も所得税と住民税の両方に反映され、源泉徴収された税金が戻る場合は還付も受けられます。住民税申告では所得税の還付は受けられないため、「還付がありそうな人」は迷わず確定申告を選びましょう。
例えば、年の途中で退職した人が「退職後の分は住民税申告でいいか」と迷うケース。給与から所得税が源泉徴収されているなら、確定申告をすれば払いすぎた所得税が戻ってくる可能性が高く、住民税申告だけで済ませるのはもったいない選択です。確定申告書等作成コーナーを使えば、源泉徴収票を転記するだけで還付額まで自動計算されます。
個人事業主・フリーランスは所得の多少にかかわらず確定申告で完結させるのが基本です(住民税は普通徴収の納付書で納めます)。個人事業主の住民税がいくらになるかの計算は、こちらの記事で解説しています。

\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
「確定申告は住民税申告を兼ねる」の仕組み(一方通行の原則)

なぜ確定申告をすれば住民税申告が不要になるのか。その根拠は法律に明記されています。
確定申告のデータは市区町村に連携される
地方税法317条の3は、所得税の確定申告書を提出した人については、その提出日に住民税の申告書が提出されたものとみなすと定めています(地方税法)。確定申告書のデータは税務署から1月1日の住所地の市区町村へ送られ、市区町村はそれをもとに住民税を計算します。「二度手間にならない」のは運用上のサービスではなく、法律で保障された仕組みなのです。
会社員が何もしなくていいのも同じ構造です。勤務先は年末調整の結果を「給与支払報告書」として従業員の住所地の市区町村に提出する義務があり、これが住民税申告の代わりになります。毎年6月に何も手続きしていないのに住民税決定通知書が届くのは、この報告書がすでに自治体に届いているからです。年金受給者の「公的年金等支払報告書」も同様です。
つまり、あなたの所得情報が自治体に届くルートは「①確定申告のデータ連携」「②勤務先の給与支払報告書」「③年金支払者の支払報告書」の3本で、住民税申告とは、このどのルートにも乗らなかった所得情報を自分で直接自治体に届け出る、4本目のルートだと整理できます。この構造がわかると、「自分は申告が必要か」の判断はぐっと簡単になります。
逆は成り立たない(住民税申告→確定申告にはならない)
注意したいのは、この関係が一方通行だということです。住民税申告をしても、所得税の確定申告をしたことにはなりません。住民税申告の情報は税務署には送られないためです。
したがって、源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合は、住民税申告ではなく確定申告が必要です。「市役所で申告したから税務署の手続きも済んだはず」という思い込みは、還付金の取り逃しや所得税の申告漏れにつながるので気をつけましょう。
特に注意したいのが、確定申告の義務がある人(副業所得20万円超の会社員や、所得が基礎控除を超える個人事業主など)が住民税申告だけで済ませてしまうケースです。この場合、住民税は正しく課税されても所得税は無申告のままなので、後から無申告加算税や延滞税の対象になり得ます。市区町村の窓口で申告書を出す際に「この内容なら税務署への確定申告が必要です」と案内されたら、必ず確定申告に切り替えましょう。
確定申告するときは第二表「住民税に関する事項」を忘れずに
確定申告が住民税申告を兼ねるからこそ、確定申告書には住民税のためだけの記入欄があります。第二表の「住民税・事業税に関する事項」です。ここには所得税の計算には影響しないものの、住民税の計算に必要な情報を書きます。
- 16歳未満の扶養親族:所得税の扶養控除の対象外ですが、住民税の非課税判定に影響します。書き忘れると、本来非課税になれる人が課税されることがあります
- 給与・年金以外の所得の徴収方法:「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、副業分の住民税が会社経由の天引きに乗りません。副業を会社に知られたくない人はここが重要です
- 配当割額控除額・株式等譲渡所得割額控除額:特定口座で徴収済みの住民税を記載しないと、二重課税の調整が受けられません
住民税から副業がバレる仕組みと普通徴収の選び方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

期限後に確定申告した場合の注意(急ぐなら控えを持参)
期限を過ぎてから確定申告をした場合、税務署から市区町村へのデータ連携には時間がかかります。その間、住民税の計算や所得証明書・課税証明書の発行が遅れることがあります。保育園の手続きなどで証明書を急いで出したい場合は、確定申告書の控え(受付印のあるもの、またはe-Taxの受信通知がわかるもの)を市区町村の税務窓口に持参すると、早く反映してもらえます。
所得税はかからなくても住民税はかかる(非課税ラインのズレ)

「収入が少なくて所得税がかからないから、申告には無縁」と思っている人ほど注意が必要です。所得税と住民税では、非課税になるラインが大きく違います。
「所得税の壁」と「住民税の壁」は別物
令和8年分の所得税は、給与収入178万円以下なら0円です(基礎控除104万円+給与所得控除の最低額74万円)。一方、住民税が非課税になるラインは自治体の条例で決まっており、例えば東京23区の単身者なら前年の合計所得金額45万円以下、給与収入に換算すると約119万円以下が目安です(東京都主税局 個人住民税。令和7年分以前の収入では約110万円)。
つまり単身者の場合、給与収入がおよそ119万円から178万円の帯では、所得税は0円でも住民税はかかります。「所得税がかからないから何もしなくていい」とはならず、この帯の人が確定申告も年末調整もしていなければ、住民税申告の対象になります。
具体的にイメージしてみましょう。パート収入150万円の人は、令和8年分なら所得税は0円です。しかし住民税は、給与所得76万円(150万−74万)から基礎控除43万円などを引いた課税所得に約10%がかかり、均等割と合わせて年3万円前後の負担が生じます(社会保険料控除などで変わります)。「103万円を超えなければ税金はかからない」という昔の常識のままでいると、住民税の存在に気づかないまま未申告・未納になりかねません。壁の金額は令和7年・8年の改正で大きく動いたので、最新の数字で確認し直すことが大切です。
なお、非課税限度額は扶養家族の人数が増えるほど上がり、自治体(級地区分)によっても金額が変わります。地方の市町村では東京23区よりラインが低いこともあります。自分の自治体の正確なラインと、住民税非課税世帯になる条件はこちらの記事で解説しています。

控除の額も所得税と住民税で違う
非課税ラインがズレる根本の理由は、控除額の違いです。令和8年分の所得税の基礎控除は104万円(合計所得336万円以下の場合)に引き上げられましたが、住民税の基礎控除は最大43万円のまま据え置かれています(令和7年・8年の税制改正で引き上げられたのは所得税だけです)。
主な所得控除の違いは次のとおりです。
| 控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 104万円(令和8年分・所得336万円以下) | 最大43万円 |
| 扶養控除(一般) | 38万円 | 33万円 |
| 生命保険料控除 | 最大12万円 | 最大7万円 |
| 地震保険料控除 | 最大5万円 | 最大2万5,000円 |
| ひとり親控除 | 35万円 | 30万円 |
| 医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・雑損控除 | 同額 | 同額 |
住民税の控除額は全体的に所得税より低く設定されています。これは、住民税が「地域の行政サービスの費用を住民が広く負担し合う」という考え方に立った税金だからです。年末調整や確定申告で申告した控除がそのまま同じ金額で住民税にも効くわけではない、という点を覚えておくと、住民税決定通知書を見たときの「申告した控除額と違う?」という混乱がなくなります。逆に、医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除は所得税と同額が住民税にも効くので、これらの申告漏れは両方の税金で損をします。
\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
住民税申告のやり方(必要書類・書き方・提出方法)
ここからは、住民税申告が必要になった人向けに、実際の手続きを書き方まで通しで解説します。
必要書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 住民税申告書 | 自治体ごとの様式。Webサイトからダウンロードするか窓口で入手(対象になりそうな人へ1月下旬〜2月上旬に発送する自治体もある) |
| 所得を証明するもの | 給与=源泉徴収票・給与明細/事業=収支内訳書や帳簿/報酬=支払調書や振込履歴/年金=公的年金等の源泉徴収票 |
| 控除の証明書 | 社会保険料・生命保険料・地震保険料の控除証明書、寄附金受領証明書、障害者手帳など。医療費控除は「医療費控除の明細書」の添付が必要(領収書では受け付けない自治体が一般的) |
| マイナンバー・本人確認書類 | マイナンバーカード、またはマイナンバーがわかる書類+運転免許証などのセット |
| 印鑑 | 窓口提出時にあると安心(不要の自治体もある) |
源泉徴収票を紛失した場合は、支払元(勤務先など)に再発行を依頼します。報酬の支払調書は発行が任意なので、なければ請求書の控えや通帳の振込履歴で収入を示せば問題ありません。書類の種類は申告内容によって変わるため、不安があれば事前に自治体の税務窓口へ電話で確認しておくとスムーズです。
住民税申告書の書き方(8項目)
様式は自治体ごとに違いますが、記入する内容はほぼ共通です。税額の計算は自治体がやってくれるので、書くのは「収入・控除・扶養」の事実だけです。
- 本人情報:氏名・住所・マイナンバーなどを記入します
- 収入金額等:給与や年金は、源泉徴収票の「支払金額」を支払者ごとに転記します。複数から受け取っていればすべて書きます。事業収入は、売上と経費を申告書裏面の内訳欄や収支内訳書にまとめます
- 所得金額:収入から経費を引いた金額です(給与は給与所得控除後の金額。申告書の手引きに早見表があります)
- 所得控除:社会保険料は国民年金・国民健康保険などの区分ごとに支払額を集計して記入します。多少の誤りは添付書類から自治体が計算し直してくれるので、神経質になりすぎなくて大丈夫です。生命保険料は控除証明書の「申告額」を区分ごとに集計します
- 扶養親族:氏名・続柄・生年月日・マイナンバーを記入します。16歳未満の子どもも、住民税では非課税判定に使われるため必ず書きます
- 医療費控除:通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択制で、一度選ぶと後から変更できません。医療費控除の明細書を添付します
- 寄附金:ふるさと納税のワンストップ特例が無効になった場合(寄附先が6団体以上になった、確定申告をしたなど)は、寄附金の欄への記載を忘れると控除がまるごと受けられません
- 納付方法の選択・収入がなかった人の欄:給与・年金以外の所得がある人は普通徴収/特別徴収を選びます。無収入の申告をする人は「収入がなかった」欄にチェックを入れ、扶養されていた等の理由を記入します
住民税申告は税額の計算が不要なので、収入と控除の金額を転記するだけで申告書が完成します。書き方に迷ったら、源泉徴収票と収支のメモを持って市区町村の税務窓口へ行けば、その場で教えてもらえます。
提出方法と期限
提出方法は次の3つです。
- 窓口:1月1日時点の住所地の市区町村の税務窓口へ。受付は平日日中が基本です
- 郵送:申告期は窓口が混み合うため、郵送を推奨する自治体が多くなっています。控えが欲しい場合は返信用封筒を同封します
- 電子申告(eLTAX):令和8年度分の申告から、eLTAX(地方税ポータルシステム)を使い、スマホまたはパソコン+マイナンバーカードで住民税申告を提出できる仕組みが始まりました(eLTAX 個人住民税申告に係る特設ページ)。対応状況は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のサイトで確認してください
期限は毎年3月15日(土日祝の場合は翌開庁日)です。これは法律(地方税法317条の2)で定められた全国共通の期限で、2026年分の所得についての住民税申告は、2027年3月15日が期限になります。受付開始は2月16日ごろからとする自治体が多いですが、これも自治体によります。確定申告の期間と重なるため、市区町村の窓口も2月後半から3月前半は混雑します。書類がそろっているなら、郵送や電子申告で早めに済ませてしまいましょう。
なお、源泉徴収票などから税額を試算して、そのまま申告書のPDFまで作成できる税額シミュレーションを公開している自治体もあります。手書きが不安な人は、お住まいの自治体のサイトで「住民税 シミュレーション」と探してみてください。
申告後の納税の流れ
申告が終われば、あとは自治体からの通知を待つだけです。
- 5〜6月ごろに「住民税決定通知書」と納付書が届きます
- 普通徴収の場合、6月・8月・10月・翌年1月の4回払いか一括払いを選べます。納付書のほか、口座振替・クレジットカード・スマホ決済アプリ・コンビニ払いに対応する自治体が増えています
- 給与がある人は原則、特別徴収(6月から翌年5月の12回で給与天引き)になります
普通徴収の納付書を紛失した場合は市区町村に再発行を依頼できます。また、期別の納付が負担なときは、口座振替にしておくと納め忘れを防げます。特別徴収と普通徴収の違いや納付方法の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

住民税申告をしないとどうなる?
「税額が少ないから放っておいても大丈夫」とは言えません。住民税の未申告は、税金そのものより先に生活の手続きに実害が出ます。
延滞金がかかる
申告が遅れて住民税の納付も遅れると、本来の税額に加えて延滞金がかかることがあります。延滞金は納期限の翌日から発生し、1か月以内は低い率、1か月を超えると高い率に上がる二段構えです。具体的な率は自治体と年度によって異なるため、お住まいの自治体のサイトで確認してください。
また、申告が期限に間に合わないと、住民税の当初の税額計算に反映されず、後から追加の納付書が届いたり、納付期限までの期間が短くなったりします。「申告が遅れるほど、納付のスケジュールも苦しくなる」と考えて、早めに手続きするのが安全です。
証明書が発行されず、手当や手続きに支障が出る
未申告の最大の実害はこちらです。住民税の申告をしていないと、自治体はあなたの所得を把握できないため、所得証明書・課税(非課税)証明書が発行できません。すると、次のような場面で手続きが止まります。
- 児童手当・就学援助などの手当の申請
- 保育園の入園手続き(保育料の算定に所得情報が必要)
- 公営住宅の申し込み、奨学金の申請
- 住宅ローンや賃貸契約の審査
- 国民年金保険料の免除申請
さらに、未申告のままだと国民健康保険料や介護保険料の軽減判定からも外れます。国民健康保険料には所得に応じて均等割などが最大7割程度軽減される仕組みがありますが、この軽減は「所得が少ないことが確認できる世帯」に適用されるため、世帯に一人でも所得不明の人がいると判定ができません。本来受けられる軽減が受けられず、保険料が高いままになることがあります。収入が少なく税金がかからない人ほど、申告しないことで証明書や保険料の面で損をする構造になっています。
だからこそ、多くの自治体が「収入がなかった人も申告してください」と案内しています。無収入の申告は、申告書の専用欄にチェックを入れて理由(家族に扶養されていた・貯蓄で生活していた等)を書くだけの簡単なものです。
所得はいずれ把握される
「申告しなければわからないのでは」というのも誤解です。給与支払報告書や支払調書などを通じて、収入の情報は自治体や税務署に届いています。日払いのアルバイトのように報告書が出ないケースでも、支払い側への調査や取引記録から後で判明することがあります。未申告のままだと、後から住民税をさかのぼって課税されたり、所得税側の調査が入った場合には住民税も同時に精算されたりします。副業の無申告が発覚する経路については、こちらの記事で詳しく解説しています。

\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
住民税の控除・還付で知っておきたいこと
最後に、住民税ならではの控除・還付の仕組みを押さえておきましょう。
住民税は「還付」ではなく「翌年の税額が減る」
所得税は、源泉徴収で払いすぎた分が還付金として戻ってきます。一方、住民税は前年の所得に対する後払いなので、医療費控除などを申告しても現金が戻るのではなく、翌年6月からの税額が安くなる形で反映されます。目安として、医療費控除の住民税への効果は「控除額×10%」です。例えば医療費控除が30万円なら、翌年の住民税が約3万円安くなります。
「医療費控除を申告したのに住民税の還付金が振り込まれない」という問い合わせは自治体でも定番だそうですが、それは反映のされ方が違うだけです。6月に届く住民税決定通知書の所得控除欄に、申告した控除が載っているかを確認しましょう。なお、すでに納付した後の年度の住民税について控除の申告漏れが見つかった場合などは、さかのぼって税額が計算し直され、納めすぎた分が還付されることもあります。
確定申告せず「住民税だけ」に控除を反映することもできる
給与や年金だけの人が医療費控除や寄附金控除を受けたい場合、確定申告をせずに住民税申告だけで控除を反映することも可能です。この場合、所得税の還付はありませんが、翌年の住民税は下がります。
使い分けの目安はシンプルです。源泉徴収された所得税がある人(給与から所得税が引かれている人など)は、確定申告をすれば所得税の還付と住民税の減額の両方を受けられるため、確定申告を選ぶ方が有利です。一方、もともと所得税が0円で源泉徴収もされていない人は、確定申告をしても戻る所得税がないので、住民税申告だけで控除を反映すれば十分、ということになります。
住宅ローン控除は住民税からも引かれる
住宅ローン控除は所得税から差し引く制度ですが、控除額が大きく所得税だけでは使い切れないことがよくあります。その場合、所得税から引ききれなかった分は翌年度の住民税から控除されます(上限は課税総所得金額等の5%・最大97,500円。東京都主税局)。手続きは初年度の確定申告と2年目以降の年末調整で完結し、住民税側の申告は不要です。6月の住民税決定通知書に控除額が記載されるので、そこで反映を確認できます。
ふるさと納税は手続きによって控除先が変わる
ふるさと納税は、ワンストップ特例を使うと全額が翌年の住民税から控除され、確定申告をすると所得税の還付+住民税の減額に分かれます(控除の合計額は原則同じです)。仕組みと損得の詳細はこちらの記事をご覧ください。

赤字の年・無収入の年も申告しておく
事業が赤字だった年や無収入の年は、税額が出ないため申告義務はありません。それでも、国民健康保険料の軽減判定や証明書の発行のためには申告しておくのが安全です。
また、赤字を翌年以降に繰り越して将来の黒字と相殺する制度(純損失・雑損失の繰越控除)は、住民税でも連続して申告を続けていることが適用の条件です。1年でも申告を飛ばすと繰越が切れてしまうため、赤字の年こそ申告を欠かさないようにしましょう。青色申告の繰越を使う個人事業主なら、毎年の確定申告で自動的にこの条件を満たせます。「赤字だから申告しても意味がない」ではなく、「赤字だからこそ申告で守れるものがある」と考えるのが正解です。
確定申告をスマホで終わらせて、住民税申告を丸ごと省略するなら「タックスナップ」
ここまで見てきたとおり、住民税申告が必要になる最大の理由は「確定申告をしていないこと」です。裏を返せば、確定申告さえ済ませれば、住民税申告は法律上まるごと省略でき、控除は所得税と住民税の両方に反映され、払いすぎた所得税の還付も受けられます。「市役所の様式を調べて手書きする」より、スマホで確定申告を終わらせる方が早い人は多いはずです。
タックスナップは、フリーランスや個人事業主・副業ワーカーのために開発されたスマホ完結型の確定申告アプリです。

\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
まとめ
確定申告と住民税申告の関係を、最後にもう一度整理します。
- 確定申告=所得税(国税)を自分で計算して税務署に申告/住民税申告=収入と控除を届け出て、住民税(地方税)は自治体が計算
- 確定申告をすれば住民税申告は不要(法律上、提出したものとみなされる)。逆に住民税申告をしても確定申告にはならない
- 住民税申告が必要なのは、確定申告も年末調整もしていないのに所得がある人(副業20万円以下・退職後・年金+控除追加など)
- 所得税が0円でも住民税はかかることがある(単身・23区目安で給与収入約119万円から)
- 無収入でも申告しておくと、証明書の発行や保険料の軽減判定で損をしない
住民税申告そのものは、税額計算のいらない簡単な手続きです。ただ、還付を受けたい人・控除を両方の税金に効かせたい人は、確定申告を選ぶのが正解です。自分がどちらに当てはまるかをこの記事のフローで確認して、3月15日の期限までに手続きを済ませましょう。
よくある質問
確定申告をしたら住民税はどうなりますか?
確定申告のデータが税務署から市区町村へ連携され、それをもとに住民税が自動で計算されます。別途住民税申告をする必要はありません。税額は5〜6月ごろに通知され、6月から納付(給与天引きの人は6月分の給与から)が始まります。
確定申告をしないと住民税はどうなりますか?
年末調整も確定申告も住民税申告もしていないと、自治体が所得を把握できず「未申告」の扱いになります。所得証明書が発行されない、保険料の軽減が受けられないなどの不利益があるほか、給与支払報告書などから所得が判明すれば、さかのぼって課税されます。確定申告が不要な人でも、所得があれば住民税申告をしましょう。
確定申告と住民税申告は両方したほうがいいですか?
両方する必要はありません。確定申告をすれば住民税申告を兼ねるためです。逆に、住民税申告では確定申告の代わりにならないので、所得税の還付を受けたい人は確定申告を選んでください。
「住民税の確定申告」は必要ですか?
「住民税の確定申告」という手続きはありません。確定申告は所得税の手続き、住民税申告は住民税の手続きです。確定申告をするならそれで完結し、しない場合に住民税申告が必要かをこの記事の判定フローで確認してください。
住民税申告をすれば確定申告はしなくていいですか?
なりません。住民税申告の情報は税務署に送られない一方通行の関係です。確定申告の義務がある人(個人事業主や副業所得20万円超の会社員など)は、住民税申告ではなく確定申告が必要です。
無収入でも住民税申告は必要ですか?
義務があるかは自治体によりますが、申告しておくことを強くおすすめします。無収入の申告をしておかないと、非課税証明書が発行されず、国民健康保険料の軽減判定や各種手当の手続きに支障が出ることがあります。申告書の「収入がなかった人」の欄にチェックを入れて提出するだけです。
副業の所得が20万円以下なら住民税申告も不要ですか?
必要です。20万円ルールで免除されるのは所得税の確定申告だけで、住民税には少額なら申告不要というルールがありません。1円でも所得があれば、確定申告をしない限り住民税申告の対象です。
住民税申告の期限はいつですか?過ぎたらどうなりますか?
毎年3月15日(土日祝なら翌開庁日)です。期限を過ぎても受け付けてもらえますが、住民税の計算や証明書の発行が遅れたり、納付の遅れによって延滞金が発生したりすることがあります。気づいた時点で早めに申告しましょう。
住民税申告はどこで・スマホでもできますか?
1月1日時点の住所地の市区町村に、窓口か郵送で提出します。令和8年度分の申告からは、eLTAXを通じてスマホ+マイナンバーカードで電子申告できる仕組みも始まっています(対応状況は自治体によります)。
パートで103万円以下なら住民税もかかりませんか?
かかることがあります。住民税の非課税ラインは所得税より低く、単身者なら東京23区の目安で給与収入約119万円(令和8年分。令和7年分以前は約110万円)です。103万円や178万円といった所得税の壁とは別物なので、自治体のサイトで非課税のラインを確認してください。



コメント