開業日は「事業を始めた日」として自分で決められます。原則は過去から当日までで、青色申告の申請期限を左右するため、実態に沿って決めるのが安全です。
この記事のポイント
- 開業日は事実に基づき自分で決める「事業の開始日」
- 未来の日付は原則不可で、開業済みの事実を届け出る書類だから
- 過去日はさかのぼって提出でき、期限を過ぎてもペナルティなし
- 1月16日以降の開業なら青色申告承認申請書は開業日から2か月以内が期限
- 2026年時点で開業届の提出期限は「事業開始日の属する年分の確定申告期限まで」
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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開業届の「開業日」とは?自分で決める事業の開始日
開業日とは、事業を始めた日として自分で申告する日付です。明確な法律上のルールはなく、事業を開始した事実を届け出るのが開業届という書類になります。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。すでに始めた事業を税務署へ知らせる書類なので、「これから何かを始める予約」ではなく「もう始めました」という報告にあたります。この位置づけが、未来日・過去日の考え方の土台になります。
開業日の決め方に法律上の明確なルールはない
開業日に「この日でなければならない」という決まりはありません。自分の事業について説明できる日であれば、開業日として選べます。
たとえば店舗のオープン日、最初の受注や契約を交わした日、宣伝や集客を始めた日などが候補になります。大切なのは、なぜその日を開業日にしたのかを自分の言葉で説明できることです。後の帳簿や確定申告の内容と矛盾しない日を選んでおくと、税務署から質問されても困りません。
開業届の開業日は未来・過去の日付にできる?
結論として、過去の日付にさかのぼるのは可能ですが、未来の日付は原則として想定されていません。開業届が「開業した事実」を届け出る書類だからです。
Q. 開業日を未来の日付にしてもいいですか?
原則としては認められないと考えておくのが安全です。国税庁は開業届を「事業を開始した事実」を届け出る書類と位置づけており、まだ始めていない未来の日付は建前上想定されていません。
数日先の開業予定日を書いて受理された、という実務例が語られることもあります。ただし国税庁が「未来日でよい」と明記しているわけではないため、確実な取り扱いとしては断定できません。未来の日付には、青色申告承認申請書の2か月という期限の起算日が後ろにずれるという実害もあります。開業の意思が固まっているなら、実際に動き出した日を開業日にするのが無難です。
Q. 開業日を過去の日付でさかのぼれますか?
さかのぼって記入するのは可能です。過去の日付で提出しても受理され、提出が遅れたことへの罰則もありません。
「気づいたら事業を始めて数か月経っていた」という場合でも、実際に始めた日を開業日として届け出られます。ただし過去日を選ぶときは、開業日より前に使ったお金の扱い(開業費)や、青色申告承認申請書の期限との整合に注意が必要です。あまりに古い日付にすると、その期間の帳簿や申告との説明がつかなくなるため、実態に合った日を選びます。
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開業届の開業日の決め方3つのポイント
開業日は、実態・青色申告の期限・開業前の支出という3つの視点で決めると迷いません。特に青色申告承認申請書の期限は開業日で決まるため、影響が大きいポイントです。
①実際に動き出した日を選ぶ
まずは、事業として実際に動き出した日を基準にします。説明できる根拠のある日を選ぶことが、後々のトラブルを防ぐ一番の近道です。
初めて売上が立った日、業務委託契約を結んだ日、開業に向けて本格的に準備を始めた日などが該当します。税理士のなかには「独立を決意した日を開業日にして、その証として開業届を出す」と説明する方もいます。気持ちの区切りとして選ぶのも一つの考え方ですが、税務上は後の確定申告の内容と矛盾しない日にしておくと安心です。
②青色申告承認申請書の期限から逆算する
開業日を決めると、青色申告承認申請書の提出期限も自動的に決まります。青色申告で最大65万円の控除を受けたいなら、この期限を逃さない開業日にすることが重要です。
青色申告承認申請書の期限は、開業した時期によって変わります。1月16日以降に開業した場合は「開業日から2か月以内」、1月1日から15日までの開業なら「その年の3月15日まで」が期限です。開業日から逆算した申請期限を早見表にまとめました。
| 開業日(新規開業の場合) | 青色申告承認申請書の提出期限 |
|---|---|
| 1月1日〜1月15日 | その年の3月15日 |
| 1月16日 | 3月16日 |
| 4月1日 | 6月1日 |
| 7月10日 | 9月10日 |
| 10月5日 | 12月5日 |
| 12月20日 | 翌年2月20日 |
期限は開業日の2か月後の同じ日です(期限日が土日祝日にあたる場合のみ、翌開庁日まで延びます)。出典は国税庁 No.2090。開業日を1日ずらすだけで、申請の締め切りも動く点を覚えておくと計画が立てやすくなります。
開業日を決めると、青色申告承認申請書の2か月という期限も同時に決まります。この日付の関係でつまずきやすいのですが、質問に答えるだけで開業届と青色申告承認申請書を同時に作れるタックスナップ開業届なら、日付の入力も含めて迷わず提出まで進められます。開業届の作成サービスのなかでも、スマホひとつで2枚の書類をまとめて用意できるので、期限の取りこぼしを防げます。無料で使えます。
③開業日前の支出は「開業費」で対応
開業日より前に使ったお金は、「開業費」として経理に組み込めます。開業前の準備費用も、開業費として計上すれば経費にできるため、日付が前後しても心配いりません。
名刺やホームページの制作費、打ち合わせの交通費、備品の購入費などが開業費の例です。開業費は「繰延資産」として扱い、好きなタイミングで必要な分だけ費用にできる「任意償却」が認められています。利益が大きく出た年にまとめて経費にする、といった調整もしやすくなります。どこまでが開業費に含まれるかは支出の内容によって判断が分かれるため、迷う場合は税務署や税理士に確認しておくと安心です。
開業日が決まったら、開業届はオンラインで出すのが早いです。スマホで完結できる作成サービスはこちらです。

開業日が影響する制度と、よくある疑問
開業日は、青色申告の期限だけでなく社会保険や扶養にも関わります。開業日を決める前に、税金以外の影響も一度確認しておくと後悔しません。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告を受けるには、開業日を起点にした期限内の申請が必要です。原則は3月15日まで、1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内が締め切りになります(国税庁 No.2090)。
青色申告特別控除は、複式簿記で期限内に申告すると55万円、これに加えてe-Taxでの電子申告または電子帳簿保存を満たすと65万円になります。この控除をねらうなら、開業届と一緒に青色申告承認申請書も出しておくのがおすすめです。申請が1日でも遅れると、その年は青色申告を受けられなくなります。
社会保険・扶養・失業給付への影響
開業日は、配偶者の扶養や失業給付にも影響します。開業した時点で「個人事業主」とみなされ、扶養や給付の対象から外れる場合があるため注意が必要です。
配偶者の社会保険上の扶養に入っている場合、事業所得が一定を超えると扶養から外れることがあります。会社を辞めて失業給付を受けている途中で開業すると、開業日以降は「就職した」とみなされ、給付が止まるケースもあります。こうした制度は開業日を基準に判断されるため、給付や扶養の予定がある方は、開業日を決める前に条件を確認しておくと安心です。
Q. 開業日と提出日がずれても大丈夫?後から変更できる?
開業日と実際に届け出た日がずれていても問題ありません。提出後に開業日を変更することもできますが、むやみに変えないほうが無難です。
開業してから届け出るまでに時間が空くのはよくあることで、日付が一致していなくても受理されます。一度決めた開業日を後から修正することも可能ですが、何度も変えると帳簿や申告との整合が取りにくくなります。最初に実態へ沿った日を選び、その日を軸に手続きを進めるのが結局は一番スムーズです。
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開業届と青色申告を迷わず同時に出すなら
開業日を決めたら、開業届と青色申告承認申請書はできるだけ一度に出しておくと安心です。書類を別々に用意すると、青色申告の2か月期限だけを過ぎてしまう失敗が起きやすくなります。スマホひとつで両方をまとめて作れるサービスなら、こうした出し忘れを防げます。

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青色申告承認申請書も同時に出せる
開業届と同じ流れで、青色申告承認申請書も一緒に作成・提出できます。最大65万円の青色申告特別控除など、節税につながるメリットも大きいので、この機会に出しておくのがおすすめです。
開業届から確定申告まで、ひとつのアプリで完結
開業届の作成・提出から、日々の会計業務、確定申告書の作成・提出まで、全てひとつのアプリで完結できます。
開業のときに入力した情報は確定申告にもそのまま引き継がれるため、二度手間になることなくスムーズに進められます。
会計業務の機能では、「スワイプ仕分け」などスマホに特化した直感的な操作が特徴で、外部の調査では他会計ソフトの約4倍の速さで経費処理ができるという結果も出ています(参考)。
2026年の確定申告期間には、大手会計ソフトも含めた確定申告アプリのApp Storeランキングで全期間1位を獲得しました。(参考)

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まとめ
開業日は、事業を始めた事実に基づいて自分で決める日付です。明確なルールはないため、実際に動き出した説明できる日を選ぶのが基本になります。
未来の日付は原則として想定されておらず、過去日はさかのぼって届け出られます。そして開業日を決めることは、青色申告承認申請書の「開業日から2か月以内」という期限を決めることでもあります。最大65万円の控除を逃さないためにも、開業日と青色申告の期限をセットで考え、2枚の書類を同時に準備しておくと安心です。
よくある質問
Q. 開業日は過去の日付でもいいですか?
はい、過去の日付でさかのぼって届け出られます。提出が遅れても罰則はありません。ただし開業日前の支出の扱いや青色申告の期限との整合には注意し、実態に合った日を選んでください。
Q. 開業日を未来の日付にできますか?
原則としては認められないと考えておくのが安全です。開業届は「事業を開始した事実」を届け出る書類のため、まだ始めていない未来の日付は建前上想定されていません。青色申告の2か月期限の起算日が後ろにずれる点にも注意が必要です。
Q. 開業届はいつまでに出せばいいですか?
2026年(令和8年)時点では、「事業を開始した日の属する年分の確定申告期限まで」が提出の目安です。2026年中に開業したなら、2027年3月15日ごろまでが目安になります。期限を過ぎても罰則はありませんが、青色申告を受けるなら早めの提出が安心です。
Q. 開業日と青色申告承認申請書の提出期限の関係は?
開業日を決めると、青色申告承認申請書の期限も決まります。1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内、1月1日から15日までの開業なら3月15日までが期限です。青色申告を受けたい年から逆算して申請してください。
Q. 開業日は後から変更できますか?
変更は可能ですが、むやみに変えないほうが無難です。開業日を何度も修正すると、帳簿や確定申告の内容との整合が取りにくくなります。最初に実態へ沿った日を選び、その日を基準に手続きを進めてください。
Q. 収入がまだなくても開業届は出せますか?
はい、収入がない段階でも開業届を提出できます。事業として動き出していれば、売上が立っていなくても届け出は可能です。早めに青色申告承認申請書も出しておくと、初年度から控除を受けられます。
Q. 縁起の良い日を開業日にしてもいいですか?
大安や一粒万倍日などを開業日に選んでも問題ありません。開業日は自分で決められるため、縁起を担ぐこと自体は自由です。ただし青色申告の期限は開業日から計算されるため、日付を選ぶときは申請の締め切りもあわせて確認してください。
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