この記事のポイント
- 住宅ローン控除の1年目(初年度)は確定申告が必須で、2年目以降は給与所得者なら年末調整で完結
- 書く書類は計算明細書・確定申告書 第一表・第二表の3点で、計算明細書から先に埋める
- 控除額は年末残高×0.7%が基本で、住宅の種類ごとに借入限度額と控除期間が変わる
- 記入の主役は(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書で、ここで出した控除額を申告書へ転記
- スマホひとつで控除の申告まで完結するタックスナップなら、記入欄の迷いを減らせる
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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住宅ローン控除の1年目は確定申告が必須|書く書類と順番
住宅ローン控除(正式名称は住宅借入金等特別控除)の適用を受けるには、入居した年の翌年に自分で確定申告をする必要があります。会社員でも初年度だけは年末調整では処理できません。
書く書類は次の3点です。まず計算明細書で控除額を出し、その金額を確定申告書へ転記する流れになります。
| 記入する書類 | 役割 |
|---|---|
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 控除額そのものを計算するメインの書類 |
| 確定申告書 第一表 | 控除額や還付される税額を記入する表 |
| 確定申告書 第二表 | 源泉徴収税額など第一表の内訳を記入する表 |
なぜ1年目だけ確定申告が必要なのか
初年度の確定申告が必須なのは、住宅を取得した事実や借入残高を税務署が初めて確認するためです。2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で控除を受けられます。
年末調整に切り替わると、税務署から届く「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と、金融機関の残高証明書を勤務先へ提出するだけで済みます。個人事業主は2年目以降も確定申告で申請しますが、登記事項証明書などの添付は不要になります。
なお、初年度の申告を忘れても、還付申告として原則5年以内であればさかのぼって申請できます。1年目を出し損ねてもすぐに諦める必要はありません。
書く順番は「計算明細書が先」
記入は計算明細書から始めるのが鉄則です。控除額は計算明細書で確定し、その数字を確定申告書へ書き写す構造だからです。
先に第一表を埋めようとすると控除額の欄で手が止まります。年末残高証明書と登記事項証明書、売買契約書の写し、源泉徴収票を手元にそろえてから、計算明細書に向かうとスムーズに進みます。
計算明細書の書き方【記入例】
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、上から「住宅の情報」→「取得対価」→「年末残高」→「控除額」の順で数字を埋めていきます。多くが証明書からの転記なので、書類さえそろえば迷う場面は限られます。
家屋・土地に関する事項の記入
最初に、居住を開始した年月日と、家屋・土地の取得対価、床面積を記入します。これらは売買契約書と登記事項証明書から転記できます。
床面積のうち居住用部分の割合や、共有名義の場合の持分も記入します。ここを間違えると控除額の計算がずれるため、契約書の面積表示と持分割合を必ず確認します。
| 記入欄 | 記入内容 | 転記元 |
|---|---|---|
| 居住開始年月日 | 実際に住み始めた日 | 住民票・引渡し書類 |
| 取得対価の額 | 家屋・土地の購入金額 | 売買契約書 |
| 総床面積・居住用床面積 | 登記上の面積 | 登記事項証明書 |
| 共有持分 | 自分の持分割合 | 登記事項証明書 |
年末残高と控除額の計算
住宅ローンの年末残高を記入し、控除額を計算します。**控除額は原則「年末残高×0.7%」**で、住宅の種類ごとの借入限度額が上限です。
年末残高は金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の金額をそのまま書きます。ここで計算した控除額が、確定申告書 第一表へ転記する数字になります。
入居した年と住宅の性能によって借入限度額と控除期間が変わります。2024年(令和6年)・2025年(令和7年)に新築などへ入居した場合の目安は次のとおりです。
| 住宅の種類(新築・買取再販) | 借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の住宅(省エネ基準を満たさない新築) | 原則対象外(経過措置で2,000万円の場合あり) | 10年 |
借入限度額は子育て世帯・若者夫婦世帯で上乗せがあるほか、中古住宅(既存住宅)は限度額・控除期間が別枠です。金額は入居年で細かく変わるため、自分の年分は国税庁のタックスアンサーで確認しておくと安心です。
適用には所得要件と床面積要件もあります。合計所得金額は原則2,000万円以下、床面積は原則50平方メートル以上が目安です(要件は年分で変動するため要確認)。
確定申告書 第一表・第二表への記入【記入例】
計算明細書で出した控除額を、確定申告書へ転記します。第一表に控除額と税額、第二表に源泉徴収税額の内訳を書くのが基本の流れです。
第一表の書き方
第一表では、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」の欄に、計算明細書で出した控除額を記入します。会社員の場合、給与所得や源泉徴収税額は源泉徴収票から転記します。
住宅ローン控除は税額から直接差し引く「税額控除」です。区分の欄は通常の住宅取得なら記入不要で、控除額を書けば納めすぎた所得税が還付されます。還付額は源泉徴収税額の範囲内で計算されます。
| 第一表の主な記入欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 収入金額・所得金額 | 源泉徴収票の支払金額・給与所得控除後の金額 |
| 源泉徴収税額 | 源泉徴収票の源泉徴収税額 |
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除 | 計算明細書で出した控除額 |
| 還付される税金 | 差し引き計算された還付額 |
第二表の書き方
第二表には、第一表の内訳となる所得の種類や源泉徴収税額を記入します。会社員なら「所得の内訳」に勤務先の名称・収入・源泉徴収税額を書きます。
配偶者控除や社会保険料控除など、年末調整済みの控除も源泉徴収票を見ながら転記します。第一表と第二表で同じ数字がずれないよう、源泉徴収票を1枚横に置いて突き合わせながら書くと間違えにくくなります。
住宅ローン控除は控除の中でも記入箇所が明確なので、書類がそろっていれば記入自体は難しくありません。e-Taxでの具体的な操作手順や必要書類の詳しい一覧は、別記事「住宅ローン控除をe-Taxで受けるには?初年度の確定申告のやり方・必要書類」で解説しています。
1年目の記入でつまずきやすい注意点
記入ミスで多いのは、居住開始年月日・年末残高・持分割合の3か所です。控除額の計算に直結する項目なので、証明書と照らし合わせて確認します。
居住開始年月日を引渡し日や契約日と取り違えると、適用年がずれます。実際に住み始めた日を記入します。ペアローンや共有名義では、それぞれが自分の持分に応じて計算明細書を作成する必要があります。
添付書類の不足も差し戻しの原因になります。年末残高証明書、登記事項証明書、売買契約書の写し、本人確認書類、源泉徴収票は、初年度は原則すべて必要です。書類が1枚欠けるだけで還付が遅れるため、提出前にそろっているか見直しておくと安心です。
まとめ
住宅ローン控除の1年目は、計算明細書で控除額を出し、確定申告書 第一表・第二表へ転記するのが基本の流れです。控除額は原則年末残高×0.7%で、住宅の種類ごとに借入限度額と控除期間が決まっています。
記入の主役は計算明細書で、多くの項目は年末残高証明書や登記事項証明書からの転記で埋まります。書類を先にそろえ、計算明細書から順に書けば、初めてでも1年目の申告は完了できます。
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よくある質問
Q. 住宅ローン控除は1年目も年末調整で受けられますか?
いいえ、初年度は確定申告が必須です。会社員でも1年目は自分で確定申告をする必要があります。年末調整で処理できるのは2年目以降です。
Q. 確定申告で最初に書く書類はどれですか?
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書から書きます。ここで控除額を計算し、その金額を確定申告書 第一表へ転記する流れになります。
Q. 控除額はどう計算しますか?
原則**年末残高×0.7%**で計算します。住宅の種類ごとに借入限度額が決まっており、その限度額を超える部分は控除の対象外です。年末残高は金融機関の残高証明書に記載されています。
Q. 2年目以降も確定申告が必要ですか?
給与所得者は年末調整で申請できるため、原則として確定申告は不要です。税務署から届く控除証明書と残高証明書を勤務先へ提出します。個人事業主は2年目以降も確定申告で申請します。
Q. 1年目の確定申告を忘れたらどうなりますか?
還付申告として、原則5年以内ならさかのぼって申請できます。期限内に出し損ねても、必要書類をそろえれば控除を受けられます。
Q. スマホだけで住宅ローン控除の確定申告はできますか?
できます。タックスナップのような確定申告アプリなら、スマホひとつで控除の申告書の作成から提出まで完結します。PCがなくても手続きを進められます。
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