この記事のポイント
- 医療費控除の還付申告はその年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できる
- 申告し忘れた年は「還付申告」、確定申告済みの年に入れ忘れた場合は「更正の請求」
- 医療費は年をまたいで合算せず、年分ごとに申告する
- 必要書類は各年分の医療費控除の明細書・源泉徴収票・還付先口座
- 過去分もスマホの確定申告アプリなら無料プランで手続きが完結する
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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医療費控除はさかのぼって5年間申告できる
医療費控除を申告し忘れた年があっても、その年の翌年1月1日から5年間はさかのぼって申告できます。給与から所得税が源泉徴収されている会社員などが、医療費控除で払いすぎた税金を取り戻す手続きは「還付申告」と呼ばれ、国税庁も還付申告ができる具体例として医療費控除を挙げています(国税庁 No.2030 還付申告)。
たとえば2021年に支払った医療費は、2026年12月31日までさかのぼって申告できます。確定申告の期間(原則2月16日〜3月15日)を過ぎていても、還付申告なら年明けからいつでも受け付けてもらえます。
対象になるのは、その年に医療費控除を使い忘れて所得税を払いすぎている人です。控除の対象になる医療費の範囲や控除額の計算といった基本的なやり方は、医療費控除のやり方を解説した別記事にゆずり、この記事では過去分をさかのぼる手続きにしぼって説明します。
還付申告と更正の請求はどう違う?
過去分の申告方法は、その年にすでに確定申告をしたかどうかで2つに分かれます。していなければ「還付申告」、済ませていれば「更正の請求」です。ここを取り違えると手続きの種類も期限も変わるため、まず自分がどちらに当てはまるかを確認します。
年末調整だけで確定申告をしていない会社員が、医療費控除を後から使う場合は還付申告です。一方、その年にすでに確定申告を出していて医療費控除を入れ忘れた場合は、更正の請求という訂正手続きになります。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です(国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき)。
| 項目 | 還付申告 | 更正の請求 |
|---|---|---|
| 対象になる人 | その年に確定申告をしていない(年末調整のみなど) | すでに確定申告を済ませた |
| 申告できる期間 | その年の翌年1月1日から5年間 | 法定申告期限から5年以内 |
| 提出するもの | その年分の確定申告書 | 更正の請求書 |
どちらも5年という点は共通ですが、起算日が異なります。還付申告は「翌年1月1日から」、更正の請求は「その年の申告期限の翌日から」で数えるため、自分のケースに合わせて期限を確認しておくと安心です。
過去分をさかのぼって申告するやり方
さかのぼって申告するときは、年分ごとに、その年の医療費とその年の収入をもとに申告書を作ります。複数年分をまとめて1枚の申告書で処理することはできません。医療費は毎年1月1日から12月31日までの支払い分で区切られるためです。
手順は次のとおりです。
- 1. さかのぼる年分を決める:直近5年分のうち、医療費控除を使っていない年を洗い出す
- 2. その年の医療費を集計する:年分ごとに「医療費控除の明細書」を作る
- 3. その年の源泉徴収票を用意する:会社員は勤務先が発行した各年分のものを使う
- 4. 申告書を作成する:その年分に対応した様式で作る
- 5. 提出して還付を受ける:還付先の口座を指定する
申告書は国税庁の確定申告書等作成コーナーやスマホアプリで作れますが、対応している年分には注意が必要です。古い年分は最新のツールで作れないことがあるため、作成前にその年分に対応しているかを確かめておきます。
1年分の医療費をまとめる作業は、医療費集計フォームの書き方を解説した記事も参考になります。

さかのぼって申告するときの必要書類
必要書類は、各年分ごとに医療費控除の明細書・その年の源泉徴収票・還付先口座の3つが基本です。年金を受け取っている人は公的年金等の源泉徴収票、個人事業主はその年分の青色申告決算書や収支内訳書を使います。
医療費の領収書は、明細書を提出すれば添付は原則不要です。ただし内容の確認を求められることがあるため、確定申告期限等から5年間は手元に保存しておく必要があります(国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき)。健康保険組合などから届く医療費通知を使えば、明細書の記入を簡略化できます。
源泉徴収票は年分ごとに数字が違うので、申告する年のものを取り違えないように確認します。手元にない場合は勤務先に再発行を依頼します。
まとめ
医療費控除は、申告し忘れてもその年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できます。年末調整だけで確定申告をしていない年は「還付申告」、すでに確定申告を済ませた年に入れ忘れた場合は「更正の請求」と、手続きが分かれる点だけ押さえておけば迷いません。
過去分は年をまたいで合算せず、年分ごとに、その年の医療費控除の明細書と源泉徴収票をそろえて申告します。領収書は提出不要でも5年間の保存が必要なので、捨てずに残しておきましょう。
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よくある質問
Q. 医療費控除は何年前までさかのぼれますか?
還付申告なら、その年の翌年1月1日から5年間さかのぼれます。2026年中であれば、2021年分までの医療費控除を申告できます。
Q. 複数年分をまとめて申告できますか?
できません。医療費は1月1日から12月31日の年分ごとに区切られるため、年をまたいで合算せず、年分ごとに申告書を作ります。
Q. すでに確定申告した年に医療費控除を入れ忘れたらどうすればいいですか?
その年は「更正の請求」で訂正します。還付申告ではなく、法定申告期限から5年以内に更正の請求書を提出する手続きになります。
Q. 領収書は提出が必要ですか?
医療費控除の明細書を提出すれば、領収書の添付は原則不要です。ただし内容確認のため、確定申告期限等から5年間は自分で保存しておく必要があります。
Q. 会社員でも過去分をさかのぼって申告できますか?
できます。年末調整だけで確定申告をしていない会社員が医療費控除を使う場合は「還付申告」にあたり、各年分の源泉徴収票をもとに申告します。
Q. 過去分もスマホだけで申告できますか?
医療費控除だけの申告であれば、スマホの確定申告アプリで完結できます。タックスナップなら無料プランで作成から提出まで進められますが、古い年分はツールの対応状況を事前に確認しておくと安心です。
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