この記事のポイント
- 住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要で、2年目以降から年末調整で受けられる
- 年末調整で出すのは「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高等証明書」の2つ
- 申告書は税務署から残りの控除年数分がまとめて届くので、なくさないよう保管する
- 控除額は原則「年末残高×0.7%(100円未満切り捨て)」で計算する(令和4年以降に居住した場合の率)
- 令和6年から「調書方式」が始まり、対応する金融機関なら年末残高証明書の提出が不要
- 年末調整に間に合わなくても、確定申告(還付申告)で5年間さかのぼって取り戻せる
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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住宅ローン控除は年末調整でできる?1年目と2年目以降の違い
住宅ローン控除は、2年目以降なら年末調整で受けられます。初年度(1年目)だけは、自分で確定申告をする必要があります。
会社員の場合、最初の年に確定申告で控除の要件を確認してもらえば、翌年からは勤務先の年末調整で手続きが完結します。1年目と2年目以降で手続きが変わる点が、住宅ローン控除でつまずきやすい部分です。
初年度(1年目)は確定申告が必要
住宅ローン控除を受ける最初の年は、年末調整では対応できず、確定申告が必要です。
初年度は、登記事項証明書や売買契約書などをもとに、税務署がその住宅ローンが控除の要件を満たすかを初めて確認します。この判定は年末調整では行えないため、初回だけは自分で確定申告をします。確定申告の期間は、原則として住宅に住み始めた年の翌年2月16日から3月15日までです。
2年目以降は年末調整で完結する
2年目からは、勤務先に書類を提出するだけで住宅ローン控除を受けられます。改めて確定申告をする必要は、原則ありません。
初年度の確定申告のあと、税務署から残りの控除年数分の申告書がまとめて送られてきます。この申告書と金融機関の年末残高証明書を、毎年の年末調整のときに勤務先へ出せば手続きは完了します。会社員なら、この記事で説明する書き方さえ押さえれば毎年スムーズに進められます。
年末調整で住宅ローン控除に必要な書類は2つ
年末調整で住宅ローン控除を受けるとき、勤務先に出すのは基本的に2つの書類です。「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高等証明書」で、調書方式の場合は残高証明書が不要になります。
| 書類名 | 発行元・入手先 | 届く・受け取る時期 |
|---|---|---|
| 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 | 税務署(初年度の確定申告後に一括送付) | 初年度の翌年10月頃 |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 借入先の金融機関 | 毎年10〜11月頃 |
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除のために年末調整で使う申告書は、税務署から届きます。初年度の確定申告をした後、翌年の10月頃に、残りの控除年数分がまとめて郵送されてきます。
たとえば控除期間が13年なら、2年目から13年目までの12枚が一度に届きます。毎年1枚ずつ使うので、使わない年の分は失くさないよう保管しておきましょう。年ごとに正式名称が「令和○年分」と印字されているため、その年に対応する1枚を選んで記入します。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
年末残高等証明書は、住宅ローンを借りている金融機関が発行します。毎年10〜11月頃に郵送されるのが一般的です。
この証明書には、その年の12月31日時点のローン残高(見込み)が記載されています。申告書の控除額はこの残高をもとに計算するため、年末調整で欠かせない書類です。複数の金融機関から借りている場合は、それぞれから証明書が届きます。
書類が見当たらないときの対処
申告書や証明書が手元にないときも、再発行を受けられます。あわてて放置せず、それぞれの発行元へ連絡します。
申告書をなくした場合は、所轄の税務署に再交付を申請します。年末残高証明書をなくした・届かない場合は、借入先の金融機関へ再発行を依頼します。どちらも年末調整の締め切りに間に合わないと、その年は自分で確定申告することになるため、早めに手配しておくと安心です。
住宅借入金等特別控除申告書の書き方【記入例】
申告書は、上から順に「基本情報 → 年末残高 → 取得対価との比較 → 居住用割合 → 控除額」の流れで埋めていきます。多くの欄は税務署が事前に印字してくれているので、実際に自分で書くのは残高と計算部分が中心です。
数値の欄には番号が振られています。ここでは代表的な流れを説明しますが、欄の番号や配置はその年の様式で変わることがあります。実際に記入するときは、届いた申告書の印字と、国税庁の記載のしかたを照らし合わせて進めてください。
基本情報(氏名・住所と印字内容の確認)
まず、申告書の上部にある基本情報を記入します。所轄税務署長・氏名・住所を書き、印字されている内容に誤りがないか確認します。
居住開始年月日や、その年に適用される控除限度額などは、税務署があらかじめ印字しています。ここが自分の状況と合っているかを最初にチェックしておくと、後の計算でつまずきません。氏名・住所の書き忘れは差し戻しの原因になりやすいので、記入漏れがないか見直します。
①新築・購入・増改築等に係る住宅借入金等の年末残高
年末残高の欄には、証明書に記載された12月31日時点のローン残高を転記します。
住宅ローンが「住宅のみ」「土地等のみ」「住宅と土地の両方」のどれに当たるかで、書き込む欄が分かれています。証明書の区分に合わせて、該当する欄へ金額を記入します。連帯債務で借りている場合は、自分の負担割合を反映した金額を書く点に注意します。
②〜④取得対価との比較・居住用割合
次に、年末残高と住宅の取得対価(購入価格)を比べ、少ない方の金額を使います。控除の対象は「借りた残高」と「実際に取得した価格」の低い方までとされているためです。
さらに、住宅を居住用と事業用などで併用している場合は、居住用割合を掛けます。自宅としてのみ使っているなら居住用割合は100%となり、そのままの金額を使います。この段階までで、控除計算のもとになる金額が固まります。
⑤〜⑧控除額の計算
控除額は、計算のもとになる金額に、申告書へ印字された控除率を掛けて求めます。令和4年以降に住み始めた場合は率が0.7%で、100円未満は切り捨てます。
たとえば計算のもとが2,000万円なら、2,000万円×0.7%=14万円が控除額です。控除率や上限額は住み始めた年や住宅の種類によって異なるため、必ず申告書に印字された率で計算します。ここで出した金額が、その年に所得税から差し引かれる住宅ローン控除額になります。
年間所得の見積額・備考欄
申告書には、その年の合計所得金額の見積額を書く欄もあります。住宅ローン控除には所得の上限があるため、対象かどうかを確認するための欄です。
近年は合計所得金額2,000万円以下が適用の目安ですが、住み始めた年や住宅の種類で要件が異なる場合があります。自分が対象かどうか不安なときは、国税庁の資料や勤務先の担当部署に確認しておくと確実です。
令和6年からの「調書方式」で書き方はどう変わった?
令和6年(2024年)から、住宅ローン控除に「調書方式」という新しい仕組みが導入されました。金融機関が住宅ローンの年末残高を税務署へ直接提供する方式で、対応する金融機関なら年末残高証明書の提出や残高の記入が省けます。
従来は、自分で年末残高証明書を勤務先へ提出する「証明書方式」だけでした。調書方式に対応した金融機関で借りている場合は、この手間がなくなります。
調書方式と証明書方式の違い
2つの方式は、残高証明書を自分で用意するかどうかが大きく違います。下の表で整理します。
| 項目 | 証明書方式(従来) | 調書方式(令和6年〜) |
|---|---|---|
| 年末残高の税務署への提供 | 本人が証明書を提出 | 金融機関が直接提供 |
| 年末残高証明書の提出 | 必要 | 不要(対応金融機関の場合) |
| 申告書への残高記入 | 自分で転記 | 省ける場合がある |
調書方式は、対応した金融機関で借りている場合に使える仕組みです。すべての金融機関がすぐに対応しているわけではないため、自分のローンがどちらの方式かを確認しておく必要があります。
自分がどちらの方式か確認する方法
自分が調書方式か証明書方式かは、金融機関からの案内や申告書の印字で見分けられます。
調書方式に対応している場合は、金融機関から「証明書は発行しない」旨の案内が届くことが多いです。判断に迷うときは、借入先の金融機関に問い合わせるのが確実です。証明書が届かないからといって、そのまま放置すると年末調整に間に合わなくなるおそれがあるため、早めに確認しておきましょう。
住宅ローン控除の年末調整でよくあるつまずきと対処
年末調整の住宅ローン控除では、間に合わなかったり、ローンの状況が変わったりして戸惑う場面があります。間に合わなくても確定申告で取り戻せますし、借り換えや繰上返済のときは残高が変わる点だけ押さえれば大丈夫です。
年末調整に間に合わなかった・忘れた場合
書類が間に合わず年末調整で控除を受けられなかったときも、確定申告で取り戻せます。
このときの確定申告は「還付申告」と呼ばれ、対象の年の翌年1月1日から5年間、いつでも提出できます。年末調整で申告し忘れた分も、後から自分で確定申告すれば、納めすぎた所得税が戻ってきます。会社の締め切りに間に合わなかったからといって、その年の控除をあきらめる必要はありません。
住宅ローンを借り換え・繰上返済した場合
借り換えや繰上返済をすると年末残高が変わるため、最新の年末残高証明書の金額で記入します。
繰上返済で残高が減れば、その分控除額も変わります。借り換えをした場合は、借り換え後の金融機関から届く証明書を使います。古い証明書の金額をそのまま書かないよう、その年の12月31日時点の残高を必ず確認しましょう。
産休・育休や転職で年末調整を受けられない場合
その年に年末調整を受けられないときは、自分で確定申告をして住宅ローン控除を受けます。
産休・育休で年末調整の対象から外れた年や、年の途中で退職して再就職していない年などが当てはまります。この場合も、確定申告をすれば控除は受けられます。年末調整で処理できなかった年の分は、確定申告で取り戻すと覚えておくと安心です。
まとめ
住宅ローン控除は、初年度だけ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で完結します。年末調整で勤務先に出す書類は「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高等証明書」の2つで、令和6年からの調書方式に対応した金融機関なら残高証明書は不要です。
控除額は、申告書に印字された率(令和4年以降に居住した場合は0.7%)を年末残高に掛け、100円未満を切り捨てて計算します。もし年末調整に間に合わなくても、確定申告(還付申告)で5年間さかのぼって取り戻せます。
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住宅ローン控除の初年度や、年末調整に間に合わなかった分は、自分で確定申告をする必要があります。確定申告アプリのタックスナップなら、スマホひとつで控除の申告から提出まで完結でき、PCは不要です。

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App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
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よくある質問
Q. 住宅ローン控除は年末調整だけで受けられる?
2年目以降なら年末調整だけで受けられます。ただし初年度は年末調整では対応できず、自分で確定申告をする必要があります。最初の年に確定申告を済ませれば、翌年からは勤務先の年末調整で完結します。
Q. 年末調整で住宅ローン控除に必要な書類は?
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2つです。申告書は税務署から、証明書は借入先の金融機関から届きます。令和6年からの調書方式に対応した金融機関の場合は、残高証明書の提出が不要になります。
Q. 住宅借入金等特別控除申告書はいつ・どこから届く?
初年度の確定申告をした後、翌年の10月頃に税務署から届きます。残りの控除年数分がまとめて郵送されるため、毎年1枚ずつ使い、使わない分はなくさないよう保管しておきましょう。
Q. 控除額はどうやって計算する?
年末残高(借入残高)に、申告書へ印字された控除率を掛けて計算します。令和4年以降に住み始めた場合の率は0.7%で、100円未満は切り捨てます。控除率や上限額は居住した年や住宅の種類で変わるため、必ず申告書に印字された率で計算してください。
Q. 年末残高証明書をなくした・届かないときは?
借入先の金融機関へ再発行を依頼します。年末調整の締め切りに間に合わないと、その年は自分で確定申告することになるため、届かない場合は早めに問い合わせましょう。調書方式の金融機関では、そもそも証明書が発行されないこともあります。
Q. 年末調整に間に合わなかった場合はどうする?
確定申告(還付申告)で取り戻せます。還付申告は対象の年の翌年1月1日から5年間提出できるため、年末調整で申告し忘れた分も後から手続きできます。納めすぎた所得税が戻ってきます。
Q. 調書方式だと年末残高証明書は提出しなくていい?
調書方式に対応した金融機関で借りている場合は、年末残高証明書の提出が不要です。金融機関が年末残高を税務署へ直接提供するためです。自分がどちらの方式かは、金融機関からの案内や申告書の印字で確認できます。
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