扶養控除は、家族を扶養している納税者にとって重要な控除制度であり、税負担を軽減するための仕組みです。扶養控除を正しく理解し、適切に申請することで、生活費の負担を少しでも和らげることができます。この記事では、扶養控除の対象者、控除額、確定申告や年末調整での申請方法など、必要な知識をわかりやすく説明します。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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扶養控除とは
扶養控除とは、一定の条件を満たす扶養親族がいる場合に、所得税や住民税の課税対象額が減額される制度です。扶養している親族に収入が少ない場合や扶養者が必要な支援を提供している場合に、税負担が軽減され、家計のサポートに役立ちます。扶養控除は、扶養者の年齢や収入状況に応じて適用されるため、各要件を確認して適切に申告することが大切です。
扶養控除の対象者
扶養控除の対象者には、次の要件を満たす扶養親族が該当します。
16歳以上の扶養親族
扶養控除が適用されるのは、16歳以上の親族に限られます。例えば、学生である子供や高齢の親が対象になります。
所得要件
扶養親族の年間合計所得金額が48万円以下であることが必要です。給与収入がある場合でも、年収が103万円以下であれば所得要件を満たすとみなされます。
生計を一にしている親族
扶養控除を受けるためには、扶養者と生計を一にしていることが必要です。同居している場合が一般的ですが、遠方に住んでいても扶養者が生活費を援助している場合は対象になることもあります。
控除対象扶養親族が海外住みの場合
扶養親族が海外に住んでいる場合でも、扶養控除を受けることは可能です。ただし、海外在住の扶養親族については、生活支援を行っていることを証明する書類の提出が必要です。たとえば、仕送りを行っている証明として銀行の振込明細書や送金記録が求められる場合があります。また、扶養親族が留学などで一時的に海外に滞在している場合は、通常の扶養控除と同様に適用されることが多いです。
扶養控除の控除額
扶養控除の控除額は、扶養する親族の年齢や状況によって異なります。以下に、代表的な控除額を示します。
16歳以上の扶養親族(一般の扶養親族):38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満の扶養親族):63万円
大学生や専門学校生など、19歳以上23歳未満の子供が該当します。学生生活を支えるためのサポートとして、この年齢層の扶養控除は高めに設定されています。
老人扶養親族(70歳以上の扶養親族):58万円
高齢の親や祖父母を扶養している場合は、通常の扶養控除より高額な控除を受けることができます。また、同居の親や祖父母であれば、さらに10万円が加算されて68万円になります。
このように、扶養する親族の年齢や条件に応じた控除額が適用されるため、扶養親族がどの区分に該当するかを確認することが大切です。

それぞれの控除との違い
扶養控除と配偶者控除の違い
扶養控除と配偶者控除は似たような控除制度ですが、対象者が異なります。扶養控除は、配偶者以外の親族を対象にしています。一方、配偶者控除は、収入が少ない配偶者を対象とし、主に夫婦の税負担を軽減するための制度です。扶養控除が適用されるには親族であることが条件ですが、配偶者控除は配偶者が要件を満たしていれば適用されます。
扶養控除と社会保険上の扶養の違い
扶養控除は、税法上の控除制度であり、主に所得税と住民税に適用されます。一方、社会保険上の扶養は、健康保険や厚生年金などの社会保険に関わるものであり、扶養者の年収や生活状況によって条件が異なります。社会保険上の扶養に該当するかどうかは、税金と異なる基準が適用されるため注意が必要です。

税金や社会保険に大きく関わる年収の値
扶養控除を申請する際、税金や社会保険に大きく関わる年収の基準を理解することが重要です。
年収103万円
年収103万円は、所得税がかからない基準です。配偶者や親族が年収103万円以下であれば、納税者が扶養控除を受けることができます。この基準は、主に給与所得者のパートやアルバイト収入を考慮したものです。
年収106万円
年収106万円は、社会保険の被扶養者資格に影響を与える収入基準です。特に勤務先が一定の基準を満たす場合、年収が106万円を超えると社会保険に加入する義務が生じる可能性があります。
年収130万円
年収130万円は、一般的な被扶養者基準です。扶養親族が年収130万円以下であれば、健康保険や厚生年金の被扶養者資格を維持できます。
年収150万円
年収150万円は、配偶者控除が適用される基準です。扶養している配偶者の年収が150万円以下であれば、納税者が配偶者控除を受けることができます。
扶養控除の申請方法
扶養控除の申請方法は、年末調整と確定申告で行うことができます。
確定申告での申請方法
確定申告で扶養控除を申請する場合、税務署から配布される確定申告書に扶養親族に関する情報を記入し、必要書類とともに提出します。特に、扶養親族の証明書や住民票の写しなどを添付することが求められる場合があります。
年末調整での申請方法
会社員であれば、通常は年末調整で扶養控除を申請します。扶養控除申告書を会社に提出することで、給与から差し引かれる税金が調整されます。この手続きにより、年間の税負担が軽減され、追加の手続きが必要ない点が利便性として挙げられます。

確定申告の流れ
確定申告に必要な書類の準備
確定申告を行う際、以下の書類が必要です。
確定申告書
税務署またはオンラインから取得できる確定申告書を使用します。
源泉徴収書
会社員の場合、年収や控除額を確認するために源泉徴収書が必要です。
控除証明書
扶養控除を申請する場合、扶養親族に関する証明書(住民票など)が必要となることがあります。
本人確認書類
申告の際には、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類が求められます。
銀行口座がわかるもの
還付金の受取先となる銀行口座の情報を準備しておきましょう。
上記書類の提出
必要書類が揃ったら、確定申告書に記入し、税務署に提出します。提出方法には、電子申告、郵送、または直接持参のいずれかが選べます。
よくある間違いと注意点
扶養控除の申請で注意すべき点を以下にまとめました。
扶養親族の収入確認
扶養親族の収入が48万円以下であるか確認しましょう。
控除対象外の親族を申告しない
所得要件を超える親族や同居していない親族は控除対象外です。
海外扶養親族の証明
海外在住の扶養親族には、仕送りの証明書などが必要です。
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まとめ
扶養控除は、家計を支えるための税負担軽減策として非常に重要な制度です。扶養親族の収入や申告方法を正確に把握し、年末調整や確定申告を通じて適切に申請しましょう。また、確定申告を効率的に行うためのツールを活用し、作業負担を軽減することもおすすめです。
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よくある質問
確定申告をしなかったらどうなるの?
扶養控除を申請しないと、受けられるはずの控除が適用されないため、余計な税金を支払うことになります。申告を怠ると、税務署から追加の指導が行われる可能性もあります。
確定申告の内容を間違えてしまった
申告内容に誤りがあった場合、修正申告を行うことができます。修正申告をせずに放置すると、ペナルティが発生する可能性があるため、気付いたら速やかに対応しましょう。
確定申告の時期はいつ?
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に申告を済ませることで、扶養控除などの控除を適用させることができます。
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