平日はカフェでエスプレッソを淹れ、週末は企業のイベントや結婚式に出張してコーヒーを出す。マルシェにコーヒースタンドを出したり、自分で焙煎した豆をネットで売ったり、コーヒー教室を開いたりする人もいます。バリスタのお金は、カフェの給与、出張の報酬、出店の現金やキャッシュレスの売上、豆の販売の入金と、入り方がばらばらです。
確定申告アプリ(会計ソフト)選びは、売り方ごとに違う売上と、豆やミルク、カップの細かいレシートを、出張や出店の合間に記録して申告まで終えられるかで決まります。この記事では、同じコーヒーでも依頼主の会場で淹れて出せば10%、持ち帰りなら8%になる消費税の分かれ目、簡易課税の事業区分、生豆の販売と焙煎の受託、焙煎で目減りする豆の棚卸といったバリスタならではの論点から、おすすめの4本を比較します。
この記事のポイント
- カフェに雇われて年末調整を受けているなら確定申告もアプリも原則不要で、派遣やスポットバイトで入る仕事も給与の扱い
- 依頼主が指定した会場で淹れて出すコーヒーはケータリングに当たると考えられ消費税10%、席を用意せずカップで持ち帰ってもらうコーヒーは8%
- 簡易課税なら、持ち帰りの一杯と自家焙煎の豆は第三種、席ありの提供は第四種、仕入れた豆の小売は第二種と、売り方で区分が変わる
- 生豆の販売は8%、生豆を無償で預かって焙煎する受託(賃加工)は10%で、年末に残った豆は焙煎の目減りも踏まえて棚卸をする
- 飲食料品の税率を1%に下げる法案は審議中(2026年10月時点で未成立)で、令和8年分の申告には影響しない
- 迷ったら、練習で使う豆も出張の交通費も、経費か私用かを割り切りたいならタックスナップ、店を構えてスタッフを雇うならfreee、複数の口座をまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくりならやよいの青色申告
バリスタの仕事に確定申告アプリは必要?
カフェやコーヒーチェーンに雇われて働き、年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則として必要ありません。一方、週末に出張バリスタとしてイベントや結婚式でコーヒーを出している、マルシェにスタンドを出している、豆の販売やコーヒー教室で収入がある、という場合は確定申告が必要になることがあります。
| 働き方 | 確定申告の目安 |
|---|---|
| カフェやコーヒーチェーンに雇われて働き、年末調整あり | 原則不要(年末調整で完結) |
| 派遣会社やスポットバイトのアプリを通して、イベントやカフェに入る | 給与の扱い。勤め先1か所で年末調整を受けていれば原則不要、掛け持ちや年の途中で辞めた場合は申告が必要になることがある |
| カフェに勤めながら、週末に出張・出店・豆の販売をしている | 給与以外の所得が20万円を超えたら必要 |
| フリーの出張バリスタやコーヒースタンドとして活動している | 所得が基礎控除などの合計(令和8年分の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円)を超えたら必要 |
ここでいう所得は、売上の総額ではなく豆やミルク、カップ、交通費などの経費を引いた金額です。所得税の申告がいらない場合も、住民税の申告は別に必要になることがあります。コーヒーのキッチンカーで移動販売をしている人は、車両や出店料の扱いを含めてこちらの記事で解説しています。

派遣やスポットバイトは給与、自分で請けた出張や出店は事業
派遣会社やスポットバイトのアプリを通してイベントやカフェに入る仕事は、雇われて働く給与です。支払先から源泉徴収票を受け取り、ほかの給与と合わせて年末調整か確定申告で精算します。一方、企業や式場、イベントの主催者から直接頼まれて自分で料金を決めて請けた出張や、自分でスタンドを出す出店、豆の販売は、事業所得か雑所得として自分で申告します。
「業務委託」と書かれた契約でも、働く時間や作業の進め方を細かく指示される働き方なら、給与に当たることがあります。契約書の名前ではなく、働き方の実態で判断します。知人の店から単発で「フリーで淹れてほしい」と頼まれた仕事も、日付と依頼先、金額を記録しておきましょう。
コーヒーを出して売るには営業許可や届出が要る
イベントでカップのコーヒーを売るなら、飲食店営業の許可か、自治体の臨時出店の手続きが必要です。以前の喫茶店営業は、いまは飲食店営業に統合されています。東京都では、縁日や祭礼などでの出店を臨時営業の許可か臨時出店の届出で扱っています(東京都保健医療局 臨時営業・臨時出店)。
豆を焙煎して売る場合は営業の届出が必要になることがあり、常温で保存できる包装済みの豆を仕入れて売るだけなら届出も要りません(e-Gov法令検索 食品衛生法施行令35条の2)。依頼先のホテルや式場、ケータリング業者の許可の下で淹れる出張で自分の許可が要るかは、依頼先と保健所に確認しましょう。仕事ごとの許可と届出は、こちらの記事で一覧にしています。

青色申告65万円控除はアプリで取れる?
取れます。出張や出店、豆の販売を事業として続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出しておけば、最大65万円の控除が受けられます。65万円控除には複式簿記の帳簿が必要ですが、確定申告アプリなら取引を入力するだけで自動で出来上がります。e-Taxで提出すれば控除額は55万円ではなく65万円になります。令和9年分からは、紙で提出すると控除は10万円になり、e-Taxでの提出が65万円の条件になります(財務省 令和8年度税制改正の大綱)。
税理士に頼むのとどちらがいい?
副業や週末の出張・出店の規模なら、費用の面では確定申告アプリで十分です。売り方がいくつかあっても、1件ずつの売上と経費を記録していけば申告書は作れます。相場を比べてみます。
| 依頼方法 | 費用の目安(年間) |
|---|---|
| 税理士に記帳から丸ごと依頼 | 10〜20万円 |
| 税理士に申告書作成だけスポット依頼 | 5〜10万円 |
| 確定申告アプリ | 1〜3万円台 |
アプリなら年1〜3万円台で利用料は経費にできる
確定申告アプリの利用料は年間1〜3万円台で、出張や出店、豆の販売を事業として申告する人は全額をその年の経費にできます。豆や機材と同じく、仕事を回すための費用です。
税理士に頼んだほうがいいのはこんな場合
自分の店や焙煎所を構えてスタッフを雇う、豆の卸で売上が1,000万円に近づいてきた、法人化を考えているという場合は、税理士に相談する価値があります。給与の源泉徴収や、売り方ごとに分かれる消費税の区分の計算など、手続きが一気に増えるためです。店を構えて営業するときの論点は、飲食店の経営者向けの記事で解説しています。

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バリスタが確定申告アプリを選ぶ4つの基準
バリスタのアプリ選びは、①出張・出店・豆の販売と、売り方ごとの売上を分けて記録できるか、②豆やミルク、カップのレシートを、その場で撮って記録できるか、③出張や出店の合間に、スマホだけで申告まで終わるか、④税率の分け方や自家消費の扱いを質問できる窓口があるか、の4つで決まります。どれも「同じコーヒーでも売り方で税金の扱いが変わり、細かい仕入れが多い」というこの仕事の構造から来る基準です。

出張・出店・豆の販売と、売り方ごとの売上を分けて記録できるか
出張の報酬は振込、イベントの売上は現金やキャッシュレス、豆の販売はネットショップからの入金と、売り方ごとにお金の入り方が違います。消費税の税率や簡易課税の区分も売り方で分かれるので、売上を売り方ごとに分けて記録できるかが最初の基準です。分けておけば、課税事業者になったときもそのまま計算に使えます。
豆やミルク、カップのレシートを、その場で撮って記録できるか
豆やミルク、シロップ、カップや蓋、スリーブと、仕入れは種類が多く、1回の買い物の金額は小さくなりがちです。レシートを受け取ったその場で撮り、仕事用として記録できるかを確認しましょう。豆やミルクは8%、カップは10%と税率も混ざるので、あとからまとめて整理しようとすると区別がつかなくなります。
出張や出店の合間に、スマホだけで申告まで終わるか
朝に機材を積んで会場へ向かい、片づけて帰るころには夜、という出張や出店の日もあります。カフェのシフトと掛け持ちしていると、帳簿のためにパソコンを開く時間はほとんどありません。記帳から申告書の作成、e-Taxでの提出までスマホだけで終わるかを確認しましょう。
税率の分け方や自家消費の扱いを質問できる窓口があるか
「出張で淹れたコーヒーは8%?10%?」「練習で使った豆は経費になる?」。バリスタの申告には、判断に迷う点が少なくありません。チャットやLINEで質問できる窓口があると、申告の直前で手が止まることを防げます。
アプリ選びでよくある失敗
よくある失敗は次の3つです。どれも「売り方ごとの売上と、豆や機材の支出を分けて記録できるか」を基準に選べば避けられます。
- 出張の報酬もイベントの売上も同じ8%で計算してしまい、消費税を少なく申告する
- 現金で受け取ったイベントの売上を記録し忘れ、売上が漏れる
- 年末に残った豆を数えず、仕入れた豆の全部をその年の経費にしてしまう
バリスタにおすすめの確定申告アプリ4選
練習で使う豆も出張の交通費も、経費か私用かを割り切りたいならタックスナップ、店を構えてスタッフを雇うならfreee、複数の口座やカードをまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくり進めるならやよいの青色申告が有力です。まずは最安プラン同士の比較表で全体像をつかんでください。
| アプリ名 | スマホ完結度 | レシート撮影上限(最安プラン) | カード・口座連携の自動仕訳 | 月額(最安・年払い・税抜) |
|---|---|---|---|---|
| タックスナップ | ◎ 提出まで完結 | 無制限 | ◎ 連携明細をAIが自動仕訳・スワイプで確認するだけ | 980円・無料トライアルあり |
| freee | ○ | 月5枚 | ○ 自動で経理 | 980円・無料お試しあり |
| マネーフォワード | ○ | 月15件(超過は上位プランへ) | ◎ 連携できる金融サービスが豊富 | 900円・無料トライアルあり |
| やよいの青色申告 | △ パソコン前提 | 対応(上限の公表なし) | ○ スマート取引取込 | 初年度無料あり |
練習で使う豆も出張の交通費も、経費か私用かを割り切りたいならタックスナップ
タックスナップはスマホ完結に特化した確定申告アプリで、カフェに勤めながら週末に出張や出店をする人や、フリーの出張バリスタ、豆の販売を兼ねる人に向いています。出張の報酬やイベントの売上、豆やカップの支払いを1つにまとめて、出張や出店の合間にも申告まで進められます。
おすすめポイント
- 連携した口座の入金から、出張の報酬や豆のネットショップの売上をスワイプで事業の売上に仕分けでき、カフェの源泉徴収票とあわせて1つの申告書にまとめられる
- 連携したカードの明細は、特許を取得した「スワイプ仕分け」(右=経費・左=プライベート)で1件ずつ切り分け=豆の通販や会場までの交通費も、出店の帰りの電車で片づく(出典)
- 豆やミルク、カップのレシートはカメラで撮るだけ(読み取り枚数無制限・カンタンプラン以上)。「これは経費になる?」と迷ったら「みんなはどうしてる」機能で同じ職種の判断を確認できる
- スワイプと丸投げ仕分け(1,000件最短3秒・安心プラン以上)で、複式簿記の知識ゼロでも青色申告65万円控除に必要な帳簿と書類を作れる(白色申告の収支内訳書にも対応)
- マイナンバーカードがあれば、申告書の作成からe-Taxでの提出(電子申告)まですべてスマホだけで完結=機材の搬入で手がふさがる日でも、出店の待ち時間に申告を進められる
- 職種に合わせた職種特化モードで、税理士監修のAIが9割以上の精度で勘定科目を自動判定(出典)
- 消費税の申告にも最安のカンタンプランから対応=企業や式場に求められてインボイス登録をし、2割特例を使う場合も同じアプリで完結できる
- 最安のカンタンプランは年払いで月980円(税抜・年額11,760円)。2026年確定申告期間の全29日間、App Storeランキング確定申告アプリ内1位(Sensor Tower)で、無料トライアルから始められる
- 24時間のAIチャットに加え、LINEで専門スタッフに相談できる(カンタンプラン以上)=「練習で使った豆は経費になる?」という迷いも、営業の後に聞ける
- 登録者40万人超の税理士YouTuber・ヒロ税理士が監修した税務調査リスクチェックと、追徴課税時に利用料を全額返金する保証(安心プラン)
こんな人に向いている
- カフェに勤めながら、週末に出張や出店をしている
- 出張・イベント出店・豆の販売と、売り方をいくつも持っている
- 豆やカップのレシートが毎週のようにたまる
- パソコンを開く時間がなく、スマホだけで申告を終えたい
店を構えてスタッフを雇うならfreee
freeeは○×の質問に答える形式で申告書を作れる、初心者向けの設計が特徴の会計ソフトです。自分のコーヒースタンドや焙煎所を構える、スタッフを雇う、企業や式場に請求書を出す件数が増えたなど、事業として広げたい人、将来は法人化も考えている人に向いています。
おすすめポイント
- ○×の質問に答えるだけで確定申告書を作成できる
- 請求書の発行や給与計算までシリーズでそろう
- 法人化したあとも法人向けfreee会計にデータを引き継げる
こんな人に向いている
- 店舗や焙煎所を構えて、スタッフを雇う予定がある
- 企業や式場に請求書を出す取引が多い
複数の口座やカードをまとめて管理したいならマネーフォワード
マネーフォワード クラウド確定申告は、連携できる金融機関の多さが強みです。カフェの給与の振込口座、出張の報酬や豆の売上の受け取り口座、豆の仕入れに使うカードと、お金の出入り口が多い人に向いています。
おすすめポイント
- 連携できる銀行・カード・電子マネーなど金融関連サービスが豊富
- 家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と組み合わせて家計と事業をまとめて把握できる
- レポート機能で月ごとの収支を見える化できる
こんな人に向いている
- 報酬や売上の受け取り口座、カードが複数ある
- 生活費とコーヒーの仕事の収支をまとめて管理したい
パソコンでじっくり進めたいならやよいの青色申告
やよいの青色申告 オンラインは、会計ソフトの老舗・弥生のクラウド版です。イベントのない平日やカフェの休みの日にパソコンの前に座る時間があり、帳簿や決算書を大きな画面で確認しながら進めたい人に向いています。
おすすめポイント
- セルフプランは初年度無料で始められる
- 画面の大きいパソコンで決算書までじっくり作り込める
- 老舗ならではのサポート体制(プランにより電話・チャット)
こんな人に向いている
- 帳簿や決算書はパソコンでまとめて進めたい
- まず無料で1年試したい
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バリスタの確定申告で注意したいポイント
バリスタの申告でつまずきやすいのは、売り方ごとの消費税率・消費税の申告と個人事業税・出張の報酬の金額・豆の棚卸・練習や自家消費の豆・機材と経費の線引き・副業と扶養の7つです。順に整理します。
同じコーヒーでも売り方で消費税は8%と10%に分かれる
企業や式場などの依頼主から出張料を受け取り、依頼主が指定した会場で淹れてお客さんに出すコーヒーは、相手が指定した場所で調理や給仕をして飲食料品を提供する「ケータリング」に当たると考えられ、標準税率の10%です。一方、席を用意せず、カップに注いで持ち帰ってもらうコーヒーは飲食料品の販売なので、軽減税率の8%です(国税庁 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編))。出張先でも、来場者に1杯ずつ売る出店の形なら、次の表のとおり席の有無で8%か10%かが分かれます。
| 売り方 | 消費税率 | 簡易課税の区分 |
|---|---|---|
| 依頼主が指定した会場で淹れて、その場で出す(ケータリング) | 10% | 税務署に確認 |
| 豆や機材は依頼先が用意し、人だけ出張して日当をもらう | 10%(サービスの提供) | 税務署に確認 |
| イベントで席を用意せず、カップで持ち帰ってもらう | 8% | 第三種 |
| イベントで自分が置いたテーブルや、主催者の飲食スペースで飲んでもらう | 10% | 第四種 |
| 自分で焙煎した豆の販売 | 8% | 第三種 |
| 仕入れた豆の販売(消費者向け) | 8% | 第二種(事業者への卸は第一種) |
| 生豆を無償で預かって焙煎する受託(賃加工) | 10% | 第四種 |
| コーヒー教室・ラテアート講座 | 10% | 第五種 |

イベントの席は、自分でテーブルや椅子を置いた場合のほか、主催者との取り決めで自分のお客さんに使わせる飲食スペースがある場合も、飲食の設備に当たり10%です。席の有無は出店ごとに変わるので、出店した日ごとにどちらの売り方だったかを記録しておきましょう。淹れたコーヒーを届けるだけ、または持ち帰り用のカップに注いで渡すだけなら「取り分け」で、ケータリングには当たりません。ただし、届けた先の会場で注いで配るなど給仕まで行うと、ケータリングに当たります。
豆の扱いも分かれます。生豆の販売は食品として8%ですが、取引先から生豆を無償で預かり、焙煎の手間賃を受け取る受託(賃加工)は、加工というサービスの提供なので10%です。生豆を自分で用意して焙煎した豆を納める契約なら、豆の販売として8%になることがあります。豆のネット販売で送料を別に受け取る場合、送料の部分は10%です。仕入れの側でも、豆やミルクは8%、カップや蓋などの容器は10%になります(国税庁 No.6102 消費税の軽減税率制度)。
なお、令和9年4月から2年間、飲食料品の税率を1%に下げる法案が国会に提出されていますが、2026年10月時点で審議中で、まだ成立していません(衆議院 議案審議経過)。対象は今8%の飲食料品で、10%のケータリングや席ありの提供は変わらない案です。
消費税の申告は2年前の売上で決まり、個人事業税は業種で変わる
消費税の申告が必要になるのは、原則として2年前の課税売上が1,000万円を超えた年か、インボイス登録をした場合です。企業や式場、イベントの主催者から登録を求められて登録した場合は、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は3割特例が使えます。
簡易課税を選ぶと売り方ごとに事業区分が変わり、区分ごとに売上を分けて記録していないと、低いほうのみなし仕入率で計算することになります(国税庁 No.6505 簡易課税制度)。その場で淹れて持ち帰ってもらうコーヒーは第三種(70%)、席ありの提供は第四種(60%)、仕入れた豆を消費者に売る物販は第二種(80%)、事業者への卸は第一種(90%)、預かった生豆を焙煎する受託は加工賃を受け取る事業として第四種(60%)です(国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分)。出張で淹れる仕事や人だけの出張がどの区分に当たるかは、迷ったら税務署に確認しましょう。
個人事業税は、出店でコーヒーを売る飲食店業や、豆の販売の物品販売業・製造業なら、事業の所得(青色申告特別控除は差し引く前の金額)から年290万円の事業主控除を差し引いた残りに税率5%がかかります(東京都主税局 個人事業税)。出張で淹れる仕事や、豆や機材を持たずに人だけ出張する仕事がどの業種に当たるかは、都道府県が仕事の中身で判断します。
出張の報酬は、交通費や材料費を含めた総額が売上
出張の請求書に人件費、豆やミルクなどの材料費、機材の搬入費、交通費をまとめて載せたなら、受け取った総額が売上です。交通費や材料費として受け取った分も売上に入れ、実際にかかった電車代や豆代を経費にします。
コーヒーの抽出や提供の報酬は、所得税法で源泉徴収の対象に挙げられていないので、通常は満額で振り込まれます(e-Gov法令検索 所得税法204条)。結婚式で新郎新婦から直接受け取る出張料も、個人が払う報酬なので源泉徴収されません。一方、会社が主催するコーヒー教室やラテアート講座の講師料は、源泉徴収されて振り込まれる場合があります。
レジのないイベントの現金売上は、記録が残りません。出店の前と後のつり銭箱の金額の差か、売れた杯数×単価で、その日のうちに売上を記録しておきましょう。
豆は年末に棚卸をし、焙煎で減った分も数え方を決めておく
年末に残っている生豆や焙煎済みの豆、未開封のミルクやシロップは「棚卸」をして、その分は翌年の経費に回します(e-Gov法令検索 所得税法施行令3条)。12月にまとめ買いした豆が年明けまで残っていれば、その分は翌年の経費です。評価の方法を選んで届け出ていなければ、年末に最後に仕入れたときの単価で計算します。
自家焙煎すると水分が抜けて、豆の重さが減ります。焙煎ごとに投入した生豆の量と仕上がった量を記録しておくと、年末に残った焙煎済みの豆にどれだけの生豆を使ったかがわかり、原価を計算する手がかりになります。生豆のまま残っている分と焙煎済みの分は、分けて数えましょう。
一方、カップや蓋、スリーブ、紙袋などの包材は、毎年おおむね同じくらいの量を買って使っているなら、買った年の経費にしてかまいません(国税庁 所得税基本通達37-30の3)。豆やミルクのような原材料はこの扱いにならないので、残った分は棚卸に入れます。
練習で使った豆は経費、売り物の豆を自分で飲んだら売上に入れる
抽出の練習や味の調整、新しいブレンドの試作に使った豆は、仕事のための支出として経費にできます。バリスタの大会に向けた練習で使った豆やミルクも、仕事のための練習なら同じです。
売るために仕入れたり焙煎したりした豆を、自宅で飲んだり知人に贈ったりした分は、売ったものとして売上に入れます(国税庁 No.2200 収入金額とその計算)。金額は原則として通常の販売価格ですが、仕入れ値以上で、販売価格のおおむね70%以上の金額を帳簿に記録していれば認められます(国税庁 所得税基本通達39-2)。たとえば、200gを1,500円で売っている豆を自宅用に回したら、仕入れ値を下回らない範囲で1,050円以上で記録します。
売れ残って風味が落ちた豆を捨てた場合は、年末の棚卸に入れなければ、その分は自然に経費になります。練習用か、自宅用か、廃棄かを、使った日にメモしておくと後から説明できます。
豆や機材は経費、カフェの勤務で使う分は経費にならない
出張や出店、豆の販売を事業として申告するなら、豆やミルク、カップ、会場までの交通費や機材の運送費、出店料、シェアキッチン代、営業許可の手数料、賠償責任保険の保険料などを経費にできます。出張や出店、豆の販売の仕事のために受けたバリスタの講習や大会の参加費も、仕事に必要な支出として経費にできます。自宅で練習や焙煎をしているなら、電気代やガス代は仕事で使った割合で按分します。

エスプレッソマシンやグラインダー、焙煎機は、金額によって経費にする年が変わります。10万円未満なら買った年の経費、10万円以上20万円未満なら3年に分けて経費にできます。青色申告なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものは、1年の合計300万円まで、買った年に一度に経費にできます(令和11年3月までに買ったもの。国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。それ以上の機材を何年で分けて経費にするかは、機材の種類や使い方で変わるので、税務署や税理士に確認しましょう。
一方、カフェに雇われて給与で働く分には、経費という考え方はありません。給与からは自動的に給与所得控除が差し引かれるだけなので、カフェの勤務で使うエプロンや器具、自宅で飲むために買った豆、普段も着る服は経費になりません。
カフェ勤務の副業は「20万円」と住民税、雑所得の赤字に注意する
カフェに勤めながら週末に出張や出店をしているなら、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要です。勤め先の就業規則で副業が認められているかも、事前に確かめておきましょう。
規模が小さく帳簿もつけていないうちは、出張や豆の販売の所得が雑所得になることがあります。事業所得の赤字は給与と差し引きできますが、雑所得の赤字は給与と差し引きできません(e-Gov法令検索 所得税法69条)。取引を記録した帳簿を残しておくことが、事業所得と認められるかの判断材料になります(国税庁 所得税基本通達35-2)。
家族の扶養に入っている人は、税金の扶養は令和8年分は合計所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)が基準です(国税庁 No.1191 配偶者控除、財務省 令和8年度税制改正の大綱)。社会保険の扶養は年収130万円未満が目安で、事業の収入をどう数えるかは加入している健康保険によって違います。副業が勤め先に伝わる仕組みは、こちらの記事で解説しています。

出張や出店の合間に確定申告を終わらせる方法
コツは、申告期にまとめてやろうとせず、出張や出店のたびに売り方ごとの売上を記録し、豆やカップのレシートはその日のうちに撮っておくことです。出張の報酬が振り込まれたら、請求書と照らして記録する。イベントの日は、席の有無と現金の売上をその日のうちに残す。豆の通販や機材の支払いはカード連携で自動で取り込む。12月の最後の営業日に、残った豆を生豆と焙煎済みに分けて数えておく。これだけで、申告期には確認して提出するだけになります。
無料トライアルで口座とカードを連携してみて、出張の報酬の入金や豆の支払いが自動で取り込まれるかを試してから決めるのが失敗しない選び方です。なお、自動連携やAIの仕訳結果をそのまま提出せず、最後にひととおり見直すのはどのアプリでも共通の基本です。
タックスナップは、カフェの給与と出張・出店・豆の販売の売上、豆や機材の支払いを1つにまとめ、申告までスマホで終えられる設計です。会場への移動中や出店の待ち時間のスキマ時間だけで、申告の準備が回ります。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
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まとめ
バリスタの確定申告は、「カフェに雇われて年末調整を受けているなら不要、自分で請けた出張や出店、豆の販売があれば申告を考える」「依頼主の会場で淹れて出すコーヒーは10%、席なしの持ち帰りは8%で、簡易課税の区分も売り方で変わる」「年末に残った豆は棚卸をし、自宅で飲んだ売り物の豆は売上に入れる」の3点を押さえれば怖くありません。豆を量って一杯ずつ淹れるように、売上と経費も1件ずつ記録していけば、申告はきちんと形になります。

よくある質問
Q. カフェに勤めるバリスタも確定申告は必要ですか?
1か所に勤めて年末調整を受けているなら、原則不要です。週末に出張や出店、豆の販売をして、給与以外の所得が20万円を超えた場合は申告が必要です。
Q. 派遣やスポットバイトでイベントのバリスタをしました。
派遣会社やスポットバイトのアプリを通した仕事は、給与として扱われます。受け取った源泉徴収票をもとに、勤め先が2か所以上ある場合や年の途中で辞めた場合は、確定申告で精算します。
Q. フリーの出張バリスタは、いくらから申告が必要ですか?
令和8年分は、所得が基礎控除の104万円などの合計を超えたら必要です。所得は、受け取った報酬から豆や交通費、機材などの経費を引いた金額です。
Q. 出張バリスタの報酬の消費税は8%ですか?10%ですか?
依頼主が指定した会場で淹れてその場で出すコーヒーは、ケータリングに当たると考えられ、10%です。豆や機材を依頼先が用意し、人だけ出張して日当をもらう場合も、サービスの提供なので10%です。
Q. イベントで売ったコーヒーの税率はどうなりますか?
席を用意せずカップで持ち帰ってもらうなら8%、自分が置いたテーブルや主催者の飲食スペースで飲んでもらうなら10%です。出店した日ごとに、席の有無を記録しておきましょう。
Q. 豆のネット販売で、送料を別に受け取っています。
豆の代金は8%、別に受け取る送料は10%です。送料込みの価格で売っている場合は、全体が8%になります。
Q. 生豆を預かって焙煎する仕事の税率は?
生豆を無償で預かり、焙煎の手間賃を受け取る受託は、加工というサービスの提供なので10%です。自分の豆を焙煎して売る場合は、飲食料品の販売なので8%です。
Q. 簡易課税の事業区分はどれになりますか?
持ち帰りのコーヒーと自家焙煎の豆の販売は第三種、席ありの提供は第四種、仕入れた豆の小売は第二種(卸は第一種)、預かった生豆の焙煎受託は第四種、教室は第五種です。出張で淹れる仕事の区分は、迷ったら税務署に確認しましょう。
Q. インボイス登録は必要ですか?
登録は任意ですが、企業や式場、イベントの主催者から求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になりますが、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は3割特例が使えます。
Q. 飲食料品の消費税が1%になると聞きました。
令和9年4月から2年間、飲食料品の税率を1%に下げる法案は、2026年10月時点で審議中で成立していません。令和8年分の申告は、今の8%と10%で計算します。
Q. 出張の交通費を、報酬とは別に依頼先からもらいました。
請求書に載せて受け取った交通費も売上に入れ、実際にかかった交通費を経費にします。乗った日と行き先、どの出張の分かを記録しておきましょう。
Q. 練習で使った豆は経費になりますか?
抽出の練習や試作に使った豆は、仕事のための支出として経費にできます。自宅で飲むために買った豆は経費になりません。
Q. 売るために仕入れた豆を自分で飲みました。
売り物の豆を自宅で飲んだ分は、売ったものとして売上に入れます。仕入れ値以上で、販売価格のおおむね70%以上の金額で記録すれば認められます。
Q. 焙煎して重さが減った豆の棚卸はどうしますか?
焙煎ごとに投入した生豆の量と仕上がった量を記録しておけば、残った豆にどれだけの生豆を使ったかがわかり、原価を計算する手がかりになります。生豆と焙煎済みの豆は分けて数えましょう。
Q. エスプレッソマシンは経費になりますか?
10万円未満なら買った年の経費にできます。青色申告なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものも一度に経費にできます。
Q. バリスタの講習や大会の参加費は経費になりますか?
出張や出店、豆の販売の仕事のために受けた講習や大会の参加費、遠征の交通費は、仕事に必要な支出として経費にできます。大会で賞金を受け取った場合は、申告が必要になることがあるので記録しておきましょう。
Q. 出張先で淹れるのに、自分の営業許可は要りますか?
依頼先の許可の下で淹れるのか、自分が営業者として提供するのかで変わります。依頼先と、出張先を管轄する保健所に確認しましょう。
Q. 個人事業税はかかりますか?
青色申告特別控除を引く前の事業の所得が年290万円を超えると、かかることがあります。出店でコーヒーを売る飲食店業なら税率5%で、人だけ出張する仕事の業種は都道府県が判断します。
Q. 副業がばれることはありますか?
確定申告をすると住民税の金額が変わるため、給与から住民税を天引きしている勤め先が気づく可能性はあります。まずは就業規則で副業が認められているかを確認してください。
Q. 開業届は出すべきですか?
出張や出店、豆の販売を事業として続けるなら、開業届を出すのが原則です。提出期限は事業を始めた年分の確定申告期限までで、青色申告承認申請書とセットで出せば、最大65万円の特別控除が使えるようになります。

Q. 今使っている会計ソフトからデータを移行できますか?
できます。たとえばタックスナップはfreee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応しています。年初から新しいアプリで始めるか、申告前に前年分をまとめて移すのがスムーズです。



