営業と仕込みで一日が終わる飲食店経営者には、毎日の仕入れレシートとレジ締めをその日のうちに片づけて、提出まで終わらせられる確定申告アプリ(会計ソフト)が最有力です。主要4アプリの比較と選び方、まかない・自家消費や軽減税率など飲食店ならではの注意点までまとめました。
この記事のポイント
- 個人経営の飲食店は、専業なら令和8年分(2026年分)で所得104万円超、副業なら20万円超で確定申告が必要
- 売上は現金もキャッシュレスも毎日のレジ締めベースで記帳する(現金商売の飲食店は税務調査で売上を確認されやすい)
- 自分や家族が食べた分(自家消費)は売上に計上し、従業員のまかないは条件を満たせば福利厚生費にできる
- 店内飲食10%とテイクアウト8%の区分が必要で2027年4月からは食料品の消費税1%への引き下げも予定されている
- レシート撮影の上限はアプリによって月5枚から無制限まで大差があり、アプリ選びの盲点になりやすい
飲食店経営者に確定申告アプリは必要?
飲食店は仕入れのレシートと日々の売上が毎日発生する、帳簿づけの量が多い職種です。まずは「そもそも自分は申告が必要か」から整理します。
個人経営の飲食店は売上にかかわらず確定申告が基本
個人事業主として店を経営している場合、売上から経費を引いた所得(もうけ)が基礎控除を超えると確定申告が必要です。専業なら令和8年分(2026年分)で所得104万円超、会社勤めのかたわら間借りで店をやるような副業なら所得20万円超が目安です。
実際には、飲食店を専業でやっていて所得が104万円以下に収まるケースは多くないので、「個人経営の飲食店=確定申告は必要」と考えておくのが安全です。赤字の年でも、申告しておけば青色申告の赤字繰越が使え、所得の証明が必要な場面(融資や保育料の手続きなど)でも困りません。なお、雇われ店長として給与をもらっている場合は年末調整で完結するので、この記事の対象は自分で店を経営している人です。
手書きやExcelと比べてどれくらいラクになる?
飲食店の帳簿づけは、毎日のレジ締めの売上と、業務スーパー・市場・酒販店の仕入れレシートが毎日積み重なります。1件ずつExcelに転記すると営業後の深夜作業になりがちで、年明けに1年分をまとめて処理するのはかなりの苦行です。
アプリなら銀行口座やカードの明細を自動で取り込み、紙のレシートはカメラで撮るだけで仕訳にできます。外部の調査機関による比較調査では、10分間で処理できる経費件数はタックスナップが平均518件で、手書きの約18倍、Excelの約40倍という結果が出ています(出典)。
ランチとディナーの間やレジ締めのあとに数件ずつ片づけられるので、申告期にレシートの山と向き合う必要がなくなり、申告漏れによる延滞税や無申告加算税のリスクも下がります。スマホだけで提出まで終わらせる流れは、こちらの記事で解説しています。

青色申告65万円控除はアプリで取れる?
簿記の知識がなくても、アプリを使えば65万円控除を狙えます。控除の要件は次のとおりです(国税庁 No.2072)。
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記での記帳+貸借対照表・損益計算書の添付+期限内申告+e-Tax申告または電子帳簿保存 |
| 55万円 | 複式簿記での記帳+貸借対照表・損益計算書の添付+期限内申告 |
| 10万円 | 上記に当てはまらない青色申告(簡易な記帳) |
壁になるのは「複式簿記」ですが、アプリなら取引を入れるだけで複式簿記の帳簿と決算書を自動で作ってくれます。そのままe-Taxで提出すれば、65万円の要件も満たせます。効果は小さくなく、所得税率と住民税を合わせて税率が約30%の人なら、65万円控除で約19.5万円の節税になります。
飲食店にとって大きいのは、青色申告ならではの特典がほかにも2つあることです。ひとつは赤字を翌年以後3年間繰り越せる特典で、内装工事や厨房設備で赤字になりやすい開業初年度に効きます。もうひとつが青色事業専従者給与で、生計をともにする家族に払う給料を経費にできます。夫婦や親子で切り盛りする家族経営の飲食店には効果の大きい制度です(事前の届出が必要で、専従者給与を払うと配偶者控除・扶養控除は併用できません)。
なお2027年(令和9年分)からは、「優良な電子帳簿」などの要件を満たすと控除額が最大75万円に引き上げられ、紙提出の控除は最大10万円に縮む予定です。改正の詳細はこちらの記事で解説しています。

白色申告のままでも記帳と帳簿の保存(5〜7年)は義務です。どうせ帳簿を付けるなら、青色申告に切り替えて控除と特典を取るのが定石です。
税理士に頼むのとどちらがいい?
日々の記帳はアプリで自分でやり、判断に迷うところだけ税理士に相談するのが、小規模な飲食店にはコスパのいいやり方です。費用と判断基準を先に整理します。
税理士に頼んだ場合の費用相場
確定申告を単発で依頼する場合の相場は5〜10万円程度です。記帳から丸ごと任せる場合は記帳代行料が上乗せされ、合計10〜20万円になるのが一般的です。記帳代行は仕訳の件数で料金が決まることが多く、毎日の売上と仕入れが発生する飲食店は件数がかさみがちです。
税理士報酬は事務所ごとに自由に設定されているため、同じ依頼内容でも数万円単位の差がつきます。2〜3月の繁忙期は新規の依頼を断られたり、特別料金になったりしやすい点も知っておきたいところです。
アプリなら年1〜3万円台で利用料は経費にできる
主要4アプリの最安プランは、年額で約1.1〜1.2万円(税抜)からです。上位プランを選んでも年3万円台に収まり、税理士に丸ごと頼む場合と比べて年で数万円の差が出ます。しかも確定申告アプリの利用料は、全額を必要経費にできます。
| 方法 | 費用の目安 |
|---|---|
| 税理士(申告のみ) | 5〜10万円程度 |
| 税理士(記帳代行つき) | 10〜20万円(仕訳件数で増額されやすい) |
| 確定申告アプリで自分でやる | 年1.1〜3万円台(利用料は全額経費) |
税理士に頼んだほうがいいのはこんな場合
売上が1,000万円を超える・無申告が数年分たまっている・税務調査の連絡が来た、の3つのどれかに当てはまるなら税理士が安心です。消費税の申告や過年分の整理は専門知識の価値が大きい領域です。特に2027年に食料品の消費税率が変われば、課税事業者の飲食店は申告方式の選択で納税額が変わる可能性があり、税理士に相談する価値が上がります(詳しくは記事後半で解説します)。
なお、前年分の申告納税額が15万円以上になると、予定納税として7月と11月に税金の前払いが発生します(国税庁 No.2040)。繁盛した年の翌年は資金繰りに影響するので、頭に入れておきましょう。
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飲食店経営者が確定申告アプリを選ぶ4つの基準

飲食店のアプリ選びで見るべきは、現金とキャッシュレスが混ざる毎日の売上を記帳しやすいか・毎日の仕入れレシートを営業後に処理できるか・軽減税率の区分と消費税申告への対応・まかないや自家消費など迷いやすい判断を確認できるかの4つです。どれも「現金商売で、食べ物を仕入れて売る」という飲食店の仕事の構造から来る基準です。
現金とキャッシュレスが混ざる毎日の売上を記帳しやすいか
飲食店の売上は、現金・クレジットカード・QR決済・デリバリーサイトの入金と、受け取り方がバラバラです。毎日のレジ締めの数字を記帳のベースにして、決済サービスごとの入金と突き合わせられるかが、売上管理のしやすさを決めます。
AirレジなどのPOSレジや決済サービスと会計ソフトを連携させれば、日々の売上データを自動で取り込めます。連携できるレジ・決済サービスの範囲は4社で差があるので、いま店で使っているレジがつながるかを先に確認しましょう(あとの比較表で整理します)。一方、POSレジを使っていない小さな店なら、レジ締めの数字を1日1件記帳するシンプルな運用でも十分回ります。
毎日の仕入れレシートを営業後に処理できるか
業務スーパー・市場・酒販店・ドラッグストアと、飲食店は仕入れや消耗品のレシートが毎日出る職種です。レシートをカメラで読み取る機能(OCR)と自動仕訳が選び方の主役になりますが、レシート撮影の上限はアプリによって月5枚から無制限まで大差があります。毎日仕入れる店では、上限の小さいプランはすぐに使い切ってしまいます。
酒屋への月末締めの支払いなど掛けの仕入れは、銀行口座やカードの連携で自動で拾えるかを確認しましょう。
軽減税率の区分と消費税申告に対応しているか
飲食店は、店内飲食が10%・テイクアウトや出前が8%・食材の仕入れが8%と、複数の税率が混ざる代表的な業種です。課税事業者になった場合は税率ごとの区分経理が必要になるので、アプリが軽減税率と消費税申告に対応しているかは重要な基準です。
さらに2027年4月からは、食料品の消費税率を1%に引き下げる方針が閣議決定されています(法案はこれから)。実現すれば税率の区分はさらに増えるため、消費税まわりの対応力は今後ますます効いてきます(詳しくは記事後半で解説します)。
まかないや自家消費の判断を確認できるか
「まかないは経費になる?」「自分が食べた分はどうする?」と、飲食店には処理に迷う場面が多くあります。判断を間違えたまま1年分積み重なると、あとから直すのは大変です。
だからこそ、困ったときに確認できるサポート窓口(チャット・LINE・電話)や、同じ職種の人がどう処理しているかを参考にできる機能があると安心です。迷いやすい論点の中身は、記事後半の注意点で解説します。
連携とサポートもチェック
ありがちな失敗は、仕入れのレシートがレジ下とエプロンのポケットに溶けていくパターンです。年明けに1年分の仕訳と棚卸がまとめて直撃し、申告期の深夜作業になります。営業後に数件ずつ片づける習慣にすると、申告期に何もしなくていい状態を作れます。
あわせて、納税分のお金を先に取り分けておくこと、自動連携やAIの仕訳結果を最後にひととおり見直すことも忘れずに。なお今回比較する4アプリはいずれも青色申告(65万円控除)に対応しています。
飲食店経営者におすすめの確定申告アプリ4選
毎日の仕入れレシートとレジ締めを営業後にサクッと処理するならタックスナップ、スタッフを雇って多店舗化や法人化まで見据えるならfreee、店のお金も家計もまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくり派ならやよいの青色申告が有力です。まずは最安プラン同士の比較表で全体像をつかんでください。
| アプリ名 | レシート撮影上限(最安プラン) | 売上・入金の取り込み | インボイス・消費税申告 | 月額(最安・年払い・税抜) |
|---|---|---|---|---|
| タックスナップ | 無制限 | ○ 銀行・カード連携。POSレジ連携はなく、レジ締めは1日1件の手入力でシンプルに | ○ 消費税申告に対応(2割特例もOK) | 980円 無料トライアルあり |
| freee | 月5枚 | ◎ Airレジ・スマレジなどPOSレジ連携+銀行・カード連携 | ○ 対応(対応プランを確認) | 980円 無料お試しあり |
| マネーフォワード | 月15件 (超過は上位プランへ) | ○ POSレジ連携に対応(対応製品を確認)+銀行・カード連携 | ○ 対応(対応プランを確認) | 900円 無料トライアルあり |
| やよいの青色申告 | 対応(上限の公表なし) | ○ スマート取引取込で明細を自動仕訳(POSレジ連携は対応製品を確認) | ○ 対応(対応プランを確認) | 約983円(年11,800円) 初年度無料 |
※料金・仕様は2026年9月時点の各社公式サイトの情報です。最新の条件は各公式サイトで確認してください。

毎日の仕入れレシートを営業後にサクッと片づけたいならタックスナップ
タックスナップはスマホ完結に特化した確定申告アプリで、仕入れのレシートが毎日出る飲食店経営者の働き方に向いています。営業後のレジ締めのあとにレシートを撮って、スワイプで経費を振り分ければ、その日の分はその日のうちに終わります。
おすすめポイント
- レシートのカメラ読み取りは枚数無制限(カンタンプラン以上)=業務スーパーや市場のレシートが毎日出る飲食店でも上限を気にしなくていい
- 安心プラン以上の「丸投げ仕分け」なら1,000件の経費処理が最短3秒
- 外部調査で他の会計ソフトの約4倍の処理スピード(出典)
- 2026年確定申告期間の全29日間、App Storeランキング確定申告アプリ内1位(Sensor Tower)
- 勘定科目は税理士監修のAIが9割以上の精度で自動判定(出典)
- 飲食店経営を含む40以上の職種に合わせて勘定科目を自動カスタマイズする職種特化モード
- 「まかないはどう処理する?」のように迷ったら、同じ職種の判断を参考にできる「みんなはどうしてる」機能で確認できる
- freee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応
- 24時間のAIチャットに加え、LINEで専門スタッフに相談できる(カンタンプラン以上)
- 税理士監修の税務調査リスクチェックと、追徴課税時に利用料を全額返金する保証(安心プラン)
こんな人に向いている
- 仕入れや消耗品のレシートが毎日出て、ためこみがち
- 仕込み前や休憩のスキマ時間に、スマホだけで済ませたい
- 「これはどう処理する?」の判断に迷うことが多い
スタッフを雇って多店舗化や法人化まで見据えるならfreee
freeeは○×の質問に答える形式で申告書を作れる、初心者向けの設計が特徴の会計ソフトです。人を雇って店を大きくしていきたい経営者に向いています。
おすすめポイント
- ○×の質問に答えるだけで確定申告書を作成できる
- Airレジ・スマレジなどPOSレジとの連携で売上データを自動で取り込める
- 給与計算や年末調整など人事労務のサービスが同一ブランドで揃う=スタッフを雇っている店に強い
- 法人化のあとも同じシリーズの法人向けプランに移行しやすい
こんな人に向いている
- アルバイトを雇っていて、給与計算までまとめて効率化したい
- 2店舗目や法人化まで考えている
店のお金も家計もまとめて管理したいならマネーフォワード
マネーフォワード クラウド確定申告は、連携できる金融機関の多さが強みです。事業とプライベートをまとめて数字で管理したい人に向いています。
おすすめポイント
- 銀行・カードなど連携できる金融関連サービスが豊富
- 家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と連携してお金全体を一元管理できる
- レポートやグラフで収支の推移を確認しやすい
こんな人に向いている
- 店の収支と家計をまとめて数字で見たい
- 口座やカードの数が多く、自動取得を重視したい
自宅のパソコンでじっくり進めたいならやよいの青色申告
やよいの青色申告 オンラインは、会計ソフトとしての長い実績とサポート体制が強みです。閉店後や定休日に自宅のパソコンで腰を据えて経理をしたい人、まず無料で始めたい人に向いています。
おすすめポイント
- 会計ソフトとしての利用実績・シェアが大きい
- セルフプラン・ベーシックプランは初年度無料で始められる
- 白色申告のままなら「やよいの白色申告 オンライン」にずっと無料のプランもある
- 電話サポート付きのプランがあり、操作に不安があっても相談しやすい
こんな人に向いている
- 定休日にパソコンでまとめて処理するリズムが合う
- まず無料で始めて、様子を見ながら青色申告に切り替えたい
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飲食店経営者の確定申告で注意したいポイント
ここからはアプリ選びとセットで押さえておきたい、飲食店ならではの税務の注意点を整理します。
売上は現金もキャッシュレスも毎日のレジ締めベースで記帳
現金商売の飲食店は、税務調査で売上を重点的に確認されやすい業種です。調査官は客として来店し、客単価と席数と回転数からその店の売上を推計して、申告された売上と大きな差がないかを見ることもあります。事前の連絡なしに店を訪れて、その日の現金を確認する調査もあります。
だからこそ、毎日のレジ締めの数字をそのまま記帳に残し、レジやPOSの記録と帳簿が一致している状態を保つことが最大の防御策です。カードやQR決済の売上は、決済会社の手数料が引かれる前の総額で記帳し、手数料は支払手数料として経費に計上します。月をまたいで入金されても、売上は提供した日ベースで計上するのが原則です。
まかないと自家消費の処理

飲食店に特有なのが、店の食材を店の人間が食べたときの処理です。自分や家族が店の料理や食材を食べた分は、経費にするのではなく「自家消費」として売上に計上します。金額は、通常の販売価格のおおむね70%か仕入れ値のいずれか高い方で計上するのが目安です(国税庁 所得税基本通達39-2)。青色申告決算書には「家事消費等」の専用欄があり、飲食店なのにこの欄が空欄だと税務調査で確認されやすいポイントになります。
従業員に出すまかないはルールが別です。従業員が食事代の半額以上を負担し、店の負担が1人あたり月7,500円以下(税抜)なら、店の負担分を福利厚生費にできます(国税庁 No.2594。この上限は2026年の税制改正で3,500円から7,500円に引き上げられ、2026年4月以後に支給する食事から適用されます)。条件を満たさない無料のまかないは給与扱いになり、源泉徴収の対象として税務調査で指摘されやすい定番ポイントです。
また、食材の仕入れに自分の家の食費を混ぜるのはNGです。事業と個人の買い物はレシートの段階で分けておきましょう。
飲食店の経費一覧と年末の棚卸
飲食店の主な経費は次のように分類できます。
| 勘定科目 | 具体例 |
|---|---|
| 仕入高 | 食材・ドリンクの仕入れ |
| 給料賃金 | アルバイト・従業員の給与 |
| 専従者給与 | 生計をともにする家族への給与(青色・届出制) |
| 地代家賃 | 店舗の家賃 |
| 水道光熱費 | 店の電気・ガス・水道 |
| 広告宣伝費 | グルメサイト掲載料・チラシ・看板 |
| 支払手数料 | キャッシュレス決済の手数料・予約サイトの手数料 |
| 消耗品費 | 割り箸・おしぼり・包材・洗剤・食器 |
| 修繕費 | 設備・店舗の修理 |
| 減価償却費 | 厨房設備・内装工事(10万円以上) |
| 福利厚生費 | 従業員のまかない(条件つき)・健康診断 |
| 租税公課 | 個人事業税・収入印紙 |
| 損害保険料 | 店舗の火災保険・PL保険 |
厨房設備や内装工事など10万円以上の資産は、買った年に全額を経費にせず減価償却で数年に分けて経費にします(青色申告なら30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)を一括で経費にできる特例あり)。自宅の一部で仕込みや事務作業をしている場合や自宅兼店舗の場合は、家賃や光熱費を事業で使う割合だけ家事按分できます。開業した年は、開業前にかかった支出を開業費として処理できます。
あわせて年末には棚卸が必要です。12月31日時点で残っている食材やドリンクの在庫は、その年の売上原価から除きます(売上原価=年初の在庫+1年間の仕入れ−年末の在庫)。在庫があるはずの飲食店なのに決算書に棚卸高の記載がないと、税務調査で目をつけられやすくなります。
一方で、経費にできないものも押さえておきましょう。自分や家族が食べた分は経費ではなく自家消費(売上)です。国民健康保険や国民年金は経費ではなく社会保険料控除。レジの現金や事業用口座から生活費を出した分は、経費ではなく「事業主貸」として処理し、経費に混ぜないようにしましょう。なお、飲食店業は個人事業税(第1種事業・税率5%)の対象ですが、事業主控除が年290万円あるため、所得290万円以下ならかかりません。
軽減税率とインボイスと無申告のリスク
飲食店は、店内飲食が10%・テイクアウトや出前が8%と、同じ商品でも提供の仕方で消費税率が変わる業種です。食材の仕入れも8%なので、課税事業者になったら税率ごとの区分経理が欠かせません。
さらに、2027年4月から2年間、食料品の消費税率を1%に引き下げる方針が2026年8月に閣議決定されています(法案は2026年秋の臨時国会に提出予定で、まだ成立していません)。実現すれば仕入れは1%・店内売上は10%となり、申告方式(本則課税か簡易課税か)の有利不利が入れ替わる店も出てきます。届出の期限を含めて、こちらの記事で詳しく解説しています。

インボイス(適格請求書)は、会社の接待や会食で領収書を求められる店なら登録を検討する価値がありますが、個人のお客さん中心の店なら急いで登録する必要はないのが実情です。登録して課税事業者になると消費税の申告が必要になるので、売上税額の2割を納める2割特例(適用期限あり)の対象になるか確認しましょう。なお、登録の有無にかかわらず売上が1,000万円を超えると課税事業者になります。
無申告のリスクも見過ごせません。現金商売でも、仕入れ先や決済会社の記録、調査官の内偵などから売上は把握されます。申告をしないままにすると延滞税や無申告加算税の対象になるうえ、きちんと申告した実績は、店舗の改装や2店舗目で融資を受けるときの信用になります。
仕込みの合間に確定申告を終わらせる方法
仕入れのレシートとレジ締めの数字に向き合う時間は、本来なら料理と店づくりに使いたい時間です。タックスナップはこの「記帳の手間」自体をなくすことに特化した確定申告アプリで、飲食店経営を含む40以上の職種に合わせて勘定科目を自動カスタマイズする職種特化モードを備えています。ためこんだレシートも、丸投げ仕分けなら1,000件を最短3秒で片づけられます。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
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まとめ
飲食店経営者の確定申告アプリ選びの要点を整理します。
- 個人経営の飲食店は、専業なら令和8年分で所得104万円超、副業なら20万円超で確定申告が必要
- 売上は現金もキャッシュレスも毎日のレジ締めベースで記帳する(現金商売は税務調査で売上を確認されやすい)
- 自分や家族が食べた分は自家消費として売上に計上し、従業員のまかないは条件を満たせば福利厚生費
- 年末の食材・ドリンクの在庫は棚卸して売上原価から除く
- 店内10%とテイクアウト8%の区分が必要で、2027年4月からは食料品1%への引き下げも予定されている
- 営業後にレシートを片づけるならタックスナップ、雇用・多店舗化ならfreee、お金全体の管理ならマネーフォワード、パソコン派ならやよいの青色申告
先月の仕入れレシートの枚数とレジ締めの手間を思い浮かべて、比較表の「向いている人」から1つ選び、まず無料で触ってから決めるのが確実です。初期設定は10分ほどで終わります。
個人事業主全般向けの比較は、こちらの記事でも解説しています。

よくある質問
Q. 個人経営の飲食店はいくらから確定申告が必要ですか?
専業なら所得104万円超(令和8年分・2026年分)、副業なら所得20万円超が目安です。売上ではなく、仕入れや家賃などの経費を引いた所得で判定します。赤字の年でも、申告しておくと赤字の繰越(青色)や所得の証明に使えます。
Q. 現金売上が中心でも税務署に把握されますか?
把握されます。仕入れ先や決済会社の記録のほか、調査官が客として来店し、客単価と席数と回転数から売上を推計することもあります。毎日のレジ締めをそのまま記帳に残し、帳簿とレジの記録が一致している状態にしておくのが最大の防御策です。
Q. 従業員のまかないは経費になりますか?
従業員が食事代の半額以上を負担し、店の負担が1人あたり月7,500円以下(税抜)なら、店の負担分を福利厚生費にできます(2026年4月以後。それまでは3,500円)。条件を満たさない無料のまかないは給与扱いになり、源泉徴収の対象です。
Q. 自分や家族が店の料理を食べた分はどうすればいいですか?
自家消費として売上に計上します。金額は通常の販売価格のおおむね70%か仕入れ値の高い方が目安です。青色申告決算書の「家事消費等」の欄に記入します。
Q. 店内飲食とテイクアウトで消費税率が違うのですか?
違います。店内飲食は10%、テイクアウトや出前は軽減税率の8%です。課税事業者は税率ごとに区分して記帳する必要があります。
Q. 食料品の消費税1%はいつからですか?
2027年4月1日から2年間の予定です(2026年8月に閣議決定・法案はまだ成立していません)。実現すれば食料品の仕入れは1%になり、申告方式の有利不利が変わる店も出てきます。動向に注意してください。
Q. 飲食店もインボイス登録が必要ですか?
義務ではありません。会社の接待利用や領収書を求めるお客さんが多い店は登録を検討し、個人客中心なら急ぐ必要はないのが実情です。登録する場合は、アプリが消費税申告に対応しているかも確認してください。
Q. アルバイトの給料は経費になりますか?
給料賃金として全額経費になります。なお人を雇って給与を払う場合は、源泉徴収と納付の義務が発生します。給与計算は確定申告アプリの対象外のこともあるので、雇用が多い店は給与計算サービスとの連携も確認しましょう。
Q. 家族に払う給料は経費になりますか?
青色申告なら、事前に届出をしたうえで青色事業専従者給与として経費にできます。専従者給与を払う家族には配偶者控除・扶養控除は併用できないので、金額とのバランスで判断してください。
Q. 内装工事や厨房設備の費用は全額その年の経費になりますか?
10万円以上のものは減価償却で数年に分けて経費にします。青色申告なら30万円未満(令和8年4月1日以後の取得は40万円未満)の資産を一括で経費にできる特例があります。
Q. 棚卸は何をすればいいですか?
12月31日時点で残っている食材・ドリンク・包材などの在庫を数え、仕入れ値で金額を出して記録します。この金額をその年の売上原価から除きます。在庫のある業種で棚卸高の記載がないと、税務調査で確認されやすくなります。
Q. 簿記の知識がなくても青色申告65万円控除は取れますか?
取れます。複式簿記の帳簿は確定申告アプリが自動で作成するので、取引を入力するだけで要件を満たせます。
Q. 青色申告承認申請書はいつまでに出せばいいですか?
青色申告をしたい年の3月15日までです。1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内に提出します。期限を過ぎるとその年は白色申告になります。
Q. 今使っている会計ソフトからデータを移行できますか?
できます。たとえばタックスナップはfreee・マネーフォワード・弥生・PayPayからの移行に対応しており、最短5分で完了します。年の途中での乗り換えも可能です。
Q. 会計ソフトの利用料は経費になりますか?
全額を必要経費にできます。勘定科目は通信費や消耗品費などで処理するのが一般的です。
Q. 飲食店は個人事業税もかかりますか?
所得が年290万円を超えるとかかります。飲食店業は第1種事業にあたり税率は5%ですが、事業主控除290万円があるため、所得290万円以下なら課税されません。納めた個人事業税は経費にできます。
Q. 確定申告に必要な書類は何ですか?
確定申告書と、青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書が基本です。ほかに控除証明書(生命保険料・国民年金など)とマイナンバーの確認書類を用意します。決算書や収支内訳書は、確定申告アプリが日々の記帳から自動で作成してくれます。



