青色申告特別控除の最高額が、令和9年分(2027年分)から65万円から75万円に上がります。一方で55万円控除がなくなり、複式簿記でも紙で提出すると控除は10万円になります。ルートによっては、準備の期限が2026年中です。
国税庁は令和8年8月に、この改正の専用の解説と届出書の案内を公開しました。要件の細部が分かったので、今から準備できます。
この記事のポイント
- 控除額は「65万円・55万円・10万円」から「75万円・65万円・10万円」に入れ替わる
- 75万円には、複式簿記+e-Taxに加えて「優良な電子帳簿」か「デジタルシームレス保存」が必要
- 複式簿記でも紙で申告すると10万円。現在55万円の人は45万円減、優良な電子帳簿で紙申告して65万円の人は55万円減
- 簡易簿記は前々年の収入が1,000万円を超えると10万円控除もゼロ
- 優良な電子帳簿は「課税期間の最初から」必要なので、このルートなら準備は2026年中。もう1つのデジタルシームレス保存のルートには期首からという要件が書かれていない
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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2027年の青色申告改正で何が変わる?
控除額の「3段階」の中身が入れ替わる
現在の青色申告特別控除は「65万円・55万円・10万円」の3段階です。改正後も3段階のままですが、中身が入れ替わります。
| 現在(令和8年分まで) | 令和9年分から |
|---|---|
| — | 75万円(新設) |
| 65万円 | 65万円 |
| 55万円 | なくなる |
| 10万円 | 10万円(収入の上限がつく) |

段階の数は変わらず、上に75万円が追加されて、真ん中の55万円が抜けます。
変わるのは3点
- 最高額が65万円から75万円に変更:上げるには条件の追加が必要
- 55万円控除が廃止:従来の55万円の要件+e-Taxで65万円に。紙で提出する場合は10万円
- 10万円控除に上限を設定:前々年の収入が1,000万円を超える人は0円
適用は令和9年分(2027年分)からで、その申告をするのは2028年3月15日までです。2027年3月に提出する令和8年分の申告は、これまでどおりなので混同しないでください。
改正法そのものは令和8年3月に成立済みです。「まだ決まっていない話」ではありません。決まっているうえで、適用が令和9年分から始まるという段階です。
住民税への反映は1年ずれます。所得税は令和9年分から、個人住民税は令和10年度分からです。控除が減る人は、翌年度の住民税と、それを基礎に計算される国民健康保険料にも影響が出ます。
そして国の方向は一貫しています。電子帳簿保存法、インボイス制度、国税庁の新システムKSK2と同じ流れで、紙をやめて電子へという設計です。控除額の差は、その誘導そのものです。
自分はどのパターン?
75万円と65万円の共通要件
75万円と65万円には控除額に関係なく共通の要件があり、これを満たしていない人はその先の判定に進めません。
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる
- 現金主義による所得計算の特例を選択していない
- 正規の簿記の原則(複式簿記)で作成した貸借対照表と損益計算書の添付
- 期限内の申告(原則として翌年3月15日まで)
この4つに加えて、控除額ごとの要件が乗ります。
見るのは3つだけ
判定に使うのは「記帳の方法」「提出方法」「前々年の収入金額」の3つだけです。
| パターン | 記帳 | 提出 | 令和9年分の控除額 |
|---|---|---|---|
| A | 複式簿記 | e-Tax | 65万円(条件を足せば75万円) |
| B | 複式簿記 | 紙 | 10万円(55万円から−45万円) |
| C | 簡易簿記 | — | 10万円(前々年の収入1,000万円以下) |
| D | 簡易簿記 | — | 0円(前々年の収入1,000万円超) |

自分がどのパターンか分からない人は、青色申告決算書に貸借対照表があるかを見てください。あれば複式簿記、なければ簡易簿記です。
「前々年」なので、令和9年分の判定に使うのは令和7年(2025年)の収入です。すでに確定している年の数字で決まります。見るのは所得ではなく収入金額(売上)です。
例外:現金主義の特例を使っている人
現金主義による所得計算の特例を受けている場合は、65万円と75万円の控除を適用できません。10万円の控除は使えます。
これは国税庁の資料に注記されている条件で、あまり触れられていません。前々年の所得が300万円以下で届出をしている小規模な事業者が対象の制度なので、該当する人は自分の届出状況を確認してください。
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会計ソフトを使っていれば自動的に75万円になる?
ソフトを使っているだけでは足りない
会計ソフトを使っているだけでは75万円になりません。
ただしすでに複式簿記でe-Tax申告している人は、65万円の要件をもう満たしています。足すのは次の2つだけです。
- ソフトの「優良な電子帳簿」の設定を有効にする(またはデジタルシームレス保存の要件を満たす)
- 届出書を確定申告期限までに提出
見落とされやすいのは2つ目です。ソフトが要件を満たしていても、届出書を出さなければ75万円にはなりません。
そして、すべての会計ソフトが要件に対応しているわけではありません。国税庁は「法的要件を満たした会計ソフトをお探しの際は、JIIMA認証情報リストをご確認ください」と案内しています(国税庁 JIIMA認証情報リスト)。自分が使っているソフトが載っているかを、ここで確認できます。
逆に、紙で提出している人はソフトを使っていても控除が最大55万円減ります。記帳の方法ではなく提出方法で決まる部分なので、次で詳しく見ます。
紙で申告している人は最大55万円減る
55万円控除がなくなる
現在の55万円控除の要件は、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して、期限内に申告することです。e-Taxは要件ではありません。
つまり会計ソフトで作った申告書を印刷して郵送している人も、いまは55万円です。
令和8年分の確定申告までは、書面申告でも55万円が適用できます。令和9年分以降は、書面申告の場合の控除上限額は10万円になります(国税庁)。
つまり45万円の控除が消えます。
対策は提出方法を変えるだけです。記帳の方法を変える必要はありません。すでに複式簿記なら、e-Taxで送信するようにすれば65万円になります。必要なのはマイナンバーカードと、スマホまたはカードリーダーです。
税金はいくら増える?
控除が45万円減ると、所得税と住民税の合計で次の金額が増えます。
| 所得税率 | 住民税を含む合計 | 増える税額 |
|---|---|---|
| 5% | 15% | 67,500円 |
| 10% | 20% | 90,000円 |
| 20% | 30% | 135,000円 |
| 23% | 33% | 148,500円 |
| 33% | 43% | 193,500円 |
| 40% | 50% | 225,000円 |
| 45% | 55% | 247,500円 |
※住民税は所得割10%として計算。実際の税額は他の所得や控除で変わります。

税率がいちばん低い人でも約7万円、いちばん高い人では約25万円です。所得税の税率は5%から45%までの7段階なので、同じ「45万円の控除減」でも、負担増の金額は3.7倍の幅があります。所得が大きい人ほど、紙をやめる価値が大きいということです。
さらに、これは所得税と住民税だけの金額です。実際には次のものも上に乗ります。
- 復興特別所得税:所得税額に対して2.1%が上乗せ
- 国民健康保険料:控除が減れば保険料も上がる。税率は自治体ごとに違うので金額は一律に示せない
- 個人事業税:所得が一定以上の場合にかかる
逆に65万円から75万円になれば、控除が10万円増えます。所得税20%・住民税10%の人なら30,000円の減税です。
記帳の内容が正確でも、ミスが1つもなくても、提出方法を変えないだけで手取りが減ります。やり方を何も変えていないのに増税になる、という形の改正です。
紙のままだと55万円減る人もいる
現在の65万円控除の要件は「複式簿記+(e-Taxで申告 or 優良な電子帳簿での保存)」で、この2つは「または」の関係です。つまり優良な電子帳簿で保存していれば、紙で提出していても今は65万円を受けられます。
この人が令和9年分から書面申告の上限10万円になると、減るのは45万円ではなく55万円です。
| 現在の状況 | 令和8年分まで | 令和9年分から | 減る額 |
|---|---|---|---|
| 複式簿記+紙+優良な電子帳簿 | 65万円 | 10万円 | −55万円 |
| 複式簿記+紙 | 55万円 | 10万円 | −45万円 |
55万円減った場合の負担増は次のとおりです。
| 住民税を含む合計税率 | 増える税額 |
|---|---|
| 15% | 82,500円 |
| 20% | 110,000円 |
| 30% | 165,000円 |
| 43% | 236,500円 |
| 55% | 302,500円 |
つまり改正でいちばん損をするのは、紙で出していて、なおかつ電子帳簿にきちんと対応していた人です。電子化を進めていたのに、提出方法だけ紙だったために最大の減額を受けます。
対策も同じで、e-Taxに切り替えるだけです。優良な電子帳簿の対応はすでに済んでいるので、e-Taxにすれば65万円、届出書を出せばそのまま75万円まで届きます。この層はいちばん少ない手間で75万円に到達できる位置にいます。
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簡易簿記の10万円控除がゼロになる人
前々年の収入が1,000万円を超えるか
簡易簿記で記帳している人のうち、前々年分の不動産所得または事業所得に係る収入金額が1,000万円を超える人は、10万円の青色申告特別控除が適用できなくなります。
| 前々年の収入金額 | 改正前 | 改正後(簡易簿記) | 複式簿記+e-Taxにすれば |
|---|---|---|---|
| 1,000万円超 | 10万円 | 0円 | 65万円または75万円 |
| 1,000万円以下 | 10万円 | 10万円 | 65万円または75万円 |
出典:国税庁「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」
見るのは所得ではなく収入金額です。売上が1,100万円で経費が900万円なら、所得は200万円ですが収入は1,000万円超なので対象になります。
「前々年」なので、令和9年分の判定に使うのは令和7年(2025年)の収入です。
事業所得と不動産所得の両方がある場合は、いずれも1,000万円以下である必要があります。どちらか一方が1,000万円を超えていれば対象になります。
影響がいちばん大きいのはこのパターン
課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務者にもなります。消費税を申告する規模なら帳簿も複式簿記で管理してほしい、というのが国の考え方です。
影響がいちばん大きいのはこのパターンです。10万円がゼロになるだけでなく、複式簿記に変えれば65万円または75万円まで届きます。差は最大75万円です。
複式簿記に変えるのに、帳簿を手で作る必要はありません。会計ソフトを使えば、仕訳を入力すれば貸借対照表まで自動で作られます。事前の申請も不要で、青色申告承認申請書をすでに出しているなら、記帳の方法を変えるだけです。
大家さん(不動産所得)はどうなる?
事業的規模かどうかで変わる
不動産所得の場合は、収入金額が1,000万円を超えても「事業的規模の方のみ」が控除対象外になります。
- 事業的規模の人:前々年の収入1,000万円超なら、簡易簿記では0円
- 業務的規模の人:改正前と同様に最大10万円の控除
そして業務的規模の人には、もう1つ知っておくべき点があります。複式簿記に移行しても、控除額は簡易簿記の場合と同じ最大10万円です。
つまり業務的規模の大家さんは、複式簿記にしても控除は増えません。手間だけが増えることになるので、ここは判断が変わります。
事業的規模かどうかの目安は、いわゆる5棟10室(独立家屋なら5棟以上、アパートなどなら10室以上)です。ただしこれは形式的な基準ではなく、規模や継続性を見て判断されます。国税庁も不動産所得の事業性の判定について別途案内しているので、境界線上の人はそちらで確認してください。
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自分の場合いくら変わる?(売上別の4ケース)
控除額の話は、金額に置き換えないと自分の話になりません。よくある4つのパターンで計算します。
前提:住民税は所得割10%、事業専従者給与などの個別事情は考慮していません。復興特別所得税は含めていません。
ケースA:売上800万円・複式簿記・e-Tax
65万円は改正後も65万円のまま残るので、このパターンは改正で減りません。
- すでに65万円の要件(複式簿記+e-Tax)を満たしているので、土台は完成済み
- 足すのはソフトの設定(優良な電子帳簿を有効にする、または口座連携)と届出書1枚だけ
- 控除が10万円増えるので、所得税20%・住民税10%なら30,000円の減税
- 所得税33%の人なら43,000円の減税
このケースがいちばん労力対効果が良いパターンです。記帳の方法も提出方法も変えずに、設定と書類1枚で控除が10万円増えます。
逆に、何もしなければ65万円のままです。損はしませんが、取り逃がします。
ケースB:売上1,200万円・簡易簿記
前々年の収入金額が1,000万円を超えているため、簡易簿記のままだと10万円の控除が0円になります。改正の影響がいちばん大きいパターンです。
| 選択 | 控除額 | いまとの差 |
|---|---|---|
| 簡易簿記のまま | 0円 | −10万円 |
| 複式簿記+e-Tax | 65万円 | +55万円 |
| 複式簿記+e-Tax+(優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存)+届出書 | 75万円 | +65万円 |
放置した場合と対応した場合の差は、控除額で75万円です。所得税20%・住民税10%の人なら、税額の差は225,000円になります。
ここで誤解されやすい点が1つあります。このパターンで「e-Taxに切り替えれば10万円は守れる」という話ではありません。簡易簿記のままではe-Taxで送信しても0円です。国税庁が示している要件は記帳方法の側にあるので、複式簿記への移行が必要です。
ケースC:売上500万円・複式簿記・紙で提出
複式簿記で貸借対照表まで作っているのに、提出方法だけで45万円減ります。
- 現在は複式簿記で貸借対照表も作っているので55万円
- 令和9年分からは書面申告の上限が10万円なので、−45万円
- 売上500万円・所得250万円なら所得税10%・住民税10%で、90,000円の増税
- 会計ソフトで作った申告書を印刷して郵送している人も、このケースに該当
対策は提出方法を変えるだけです。記帳は今のままで、e-Taxで送信すれば65万円に戻ります。必要なのはマイナンバーカードと、スマホまたはカードリーダーです。
さらに設定と届出書を足せば75万円なので、いまの55万円より20万円多くなります。
ケースD:売上2,000万円・複式簿記・紙で提出
控除の減り方はケースCと同じ45万円ですが、税率が高いので金額が跳ね上がります。
| 所得税率 | 45万円減による負担増 |
|---|---|
| 23% | 148,500円 |
| 33% | 193,500円 |
| 45% | 247,500円 |
紙をやめるだけで、この金額がそのまま戻ります。さらに75万円まで届けば、いまの55万円より20万円多い控除になり、所得税33%なら86,000円の減税が上に乗ります。
売上が大きい人ほど、e-Taxへの切り替えを後回しにするコストが大きいということです。
なお、このケースですでに優良な電子帳簿で保存している場合は、現行の控除が55万円ではなく65万円です。その場合の減額は55万円になり、所得税33%なら236,500円、45%なら302,500円まで増えます。
控除額は決算書のどこに書くのか
青色申告決算書は4枚組です。
- 1ページ目:損益計算書
- 4ページ目:貸借対照表
青色申告特別控除額は、損益計算書の下部に記載します。
位置づけとしては、必要経費に近いものです。収入金額から必要経費を差し引き、そこから青色申告特別控除を引いて所得金額を出します。確定申告書に書く所得金額は、控除後の金額になります。
65万円と75万円を狙う場合は、この4ページ目(貸借対照表)まで含めてe-Taxで送信する必要があります。国税庁の要件も「確定申告書及び青色申告決算書(貸借対照表を含む)のデータを送信」という書き方です。損益計算書だけ送っても要件を満たしません。
なお白色申告の場合は、収支内訳書2枚になります。貸借対照表はありません。
75万円控除を受けるには何が必要?
足すのはソフトの設定と届出書の2つ
すでに複式簿記でe-Tax申告している人が足すのは、次の2つだけです。
- ソフトの設定(優良な電子帳簿、またはデジタルシームレス保存の要件を満たす)
- 届出書の提出
「自分には無理」と判断する前に、要件を分解して見てください。
土台になる65万円の条件
- 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳
- スマホまたはパソコンで、e-Taxで確定申告書および青色申告決算書(貸借対照表を含む)のデータを送信
- 確定申告期限までの送信
国税庁は「スマホ又はパソコンにより」と明記しています。パソコンが必須ではありません。
なお損益計算書の提出は、どの控除額でも必要です。
優良な電子帳簿は1年分が必要
国税庁の要件は「その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、課税期間の最初から優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付け及び保存を行い」です。
つまり1月1日から12月31日までの1年間を通して対応している必要があり、年の途中から始めてもその年は間に合いません。
そして「備付け」が要件に入っています。帳簿は備え付けられている状態でなければならないので、年末に1年分をまとめて入力するやり方では要件を満たさないと考えられます。記帳を溜めがちな人にとっては、これが実質的な壁になります。
逆に、口座やカードを連携しておけば入力は自動で進みます。明細が日々取り込まれるので、「その都度記帳している状態」が自然に作られます。どこまで遅れて良いのかには基準があるので、後で詳しく見ます。
優良な電子帳簿の要件
前半2つが電子帳簿全般に共通する要件、後半3つが「優良」であるための要件です。
- システムの説明書やディスプレイ等の備え付け
- 税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じられること
- 訂正・削除・追加等の履歴が残ること
- 帳簿間で相互関連性があること
- 取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること
タイムスタンプは優良な電子帳簿の要件に含まれていません。タイムスタンプはスキャナ保存(紙の書類をスキャンして保存する区分)の要件です。「75万円控除にはタイムスタンプが必要」と説明されることがありますが、帳簿の側では求められていません。
多くの会計ソフトには「優良な電子帳簿として保存する」設定があります。まずここを有効にしてください。その年の最初の仕訳を入力する前にオンにしておくのが確実です。
自分のソフトが要件を満たしているかは、国税庁の優良な電子帳簿の要件のページで確認できます。「はい」「いいえ」に答えていくと判定できる形になっていて、前半が「その他の電子帳簿」、後半が「優良な電子帳簿」の判定です。前半だけ通っても75万円には届きません。
注意点として、年度の途中で設定を変更できないソフトがあります。次年度への繰越時や新規作成時にしか切り替えられない場合があるので、2026年中に設定を確認しておく必要があります。
対象になる帳簿はどれか
国税庁が挙げているのは「その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳」です。すべての帳簿を電子化しなければならないわけではありません。
ただし、簡易簿記の場合は対象になる帳簿が異なります。現金出納帳や売掛帳など、備え付けている帳簿の構成が複式簿記と違うためです。自分の帳簿がどれに当たるかは、国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」で確認してください。
帳簿以外にも保存対象があります。電子帳簿保存法には電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分があり、優良な電子帳簿は1つ目の区分の話です。受け取った電子データの扱いは3つ目の区分で、こちらは別に義務があります。
過少申告加算税の5%軽減は「別枠」
優良な電子帳簿には過少申告加算税を5%軽減する特例もありますが、75万円控除とは対象になる帳簿の範囲が違います。
| 目的 | 対象になる帳簿 | 届出書 |
|---|---|---|
| 75万円の青色申告特別控除 | 主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)のみ | 75万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書 |
| 過少申告加算税の5%軽減 | 主要簿だけでなく、売上帳・売掛帳などの補助簿を含む「使用しているすべての帳簿」 | 過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書(対象帳簿を記載する) |
つまり「75万円の届出書を出したから加算税も軽くなる」わけではありません。5%軽減のほうが要件が厳しく、補助簿まで全部そろえる必要があります。
従業員や家族に給与を払っている場合は、賃金台帳も対象になります。青色事業専従者給与の適用を受けている人は、賃金台帳を優良な電子帳簿に対応した給与計算ソフトで作成・保存する必要があります。
75万円控除だけを狙うなら、主要簿の2つで足ります。自分の目的に対してどこまでやるかを、先に決めておいてください。
逆方向は成立します。加算税の特例の届出書を出した場合は、青色申告特別控除も一緒に適用できます。そのため75万円の届出書を別に出す必要はありません。両方を狙うなら、加算税のほうの届出書1枚で足ります。
「年末にまとめて」がどこからダメになるか
電子帳簿保存法では、帳簿は課税期間の開始の日に備え付けられ、順次取引内容が記録されていくことが前提とされています。そのうえで、業務処理サイクルが最長2か月までであれば、通常の期間として取り扱われます。
- 2か月以内に記帳が追いついている状態なら、通常の業務処理サイクルとして扱われる
- 会計期間の終了後にまとめて入力する場合は、備付期間中に画面や書面へ出力できないため、対応しているとみなされない
つまり実務上の目安は「2か月遅れまで」です。毎日入力する必要はありませんが、四半期に1回では足りません。
口座やカードを連携しておけば、この線は自然に守れます。明細が日々取り込まれるので、記帳が2か月以上遅れる状態になりません。
記帳を外部に頼む場合の条件
税理士や入力代行業者に依頼する場合も、次の3つを満たせば優良な電子帳簿に対応できます。
- 保存場所の備え付け:外注していても、税法で定められた保存場所(事業所等の所在地)に、帳簿データを出力できるパソコンやディスプレイが必要
- 入力サイクル:会計期間の終了後にまとめて記帳する委託は、要件を満たさない可能性あり
- 事務処理規程:データ入力や確定処理の業務処理サイクルを事務処理規程等で定めるのが通例
「丸投げして年に1回まとめて」という契約になっていると、要件を落とします。依頼している場合は、入力の頻度を契約の段階で確認してください。
もう1つのルート:デジタルシームレス保存
優良な電子帳簿が面倒に感じる人には、もう1つの道があります。
電子取引データを、国税庁長官が定める基準に適合するシステムを使って送受信・保存し、税務職員から求められたときに確認できるようにしておく方法です。
「国税庁長官が定める基準に適合するシステム」とは、次のどちらかの電子取引データを、要件に従って保存できるシステムです。
- ① デジタル庁が管理する仕様に従って送受信されたデジタルインボイス(「Invoice JP PINT」または「JP Self-Billing」)
- ② 預貯金口座における決済データ
個人事業主にとって現実的なのは②です。理由は次の見出しで説明します。
送受信・保存の要件は、Ⅰ電子取引データの改ざん防止要件とⅡ適正記帳のための要件の2つに整理され、中身は3項目です。
- 改ざん防止の確保:データの送受信と保存を、訂正削除履歴が残るシステムまたはそもそも訂正削除ができないシステムで行う
- 記帳の適正性確保:電子取引データの金額を訂正削除したうえで電子帳簿に記録できないこと(または訂正削除の事実を確認できるようにしておくこと)
- 電子帳簿との相互関連性確保:電子取引データと電子帳簿の関連性を相互に確認できるようにしておくこと
出典:国税庁「請求書等を帳簿に自動連携する仕組みに対応した制度が新設されました」
見落としやすいのは、要件を満たす必要があるシステムが1つではないことです。国税庁の資料では、販売管理ソフト・証憑管理ソフト・会計ソフトのそれぞれに「国税庁長官が定める基準に適合するシステムであることが必要」と注記されています。会計ソフトだけ対応していても、その前段のソフトが対応していなければ流れが途切れます。
この制度には、もう1つ恩恵があります。電子取引データは紙に比べて複製や改ざんがしやすく、その痕跡が残りにくいという特性があるため、電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為には重加算税が10%加重されます。この要件を満たすと、その加重の対象から除外されます。
適用の時期は2つでずれています。
- 重加算税10%加重の適用除外:令和9年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税
- 青色申告特別控除:令和9年分以後の所得税
自分のソフトが該当するかは、国税庁が案内しているJIIMA認証情報リストで確認できます。
デジタルインボイスは個人事業主に現実的か
デジタルシームレス保存の①と②は、難易度がまったく違います。
①のデジタルインボイスは、請求書をデータとして送るだけの話ではありません。売り手が発行した請求書が、そのまま買い手の会計システムや決済システムにつながり、支払いの消し込みまで自動で完了する仕組みです。デジタル庁が管理する標準仕様(Peppol)に沿ってやり取りする必要があります。
PDFをメールで送るのは、これに当たりません。PDFは人が読む前提のファイルなので、システム間で自動処理される形式ではないからです。
そして、この仕組みが使われているのは大企業や官公庁との取引が中心です。個人事業主や小規模な事業者が日常的に使う場面は、現時点では限られます。
②の「預貯金口座における決済データ」は、口座連携そのものです。すでに会計ソフトに銀行口座をつないで明細を自動で取り込んでいる人は、この要件の中心部分を満たしている状態にあります。
つまり、個人事業主が現実に狙うルートは②で、①を目指す必要はありません。
対象の範囲はまだ確定していない
国税庁が示しているのは「預貯金口座における決済データ」という文面だけで、対象の範囲までは読み取れません。
- 銀行の取引明細に限られるのかどうか(国税庁の図の説明は「BANK / 銀行取引明細等」)
- クレジットカードの決済データが含まれるのかどうか。「カード連携も対象」と紹介されることがあるが、一次情報に記載なし
- すべての取引を連携する必要があるのか、主要な口座で足りるのか
細かい取扱いは、今後追加で示される見込みです。
どの解釈になっても、事業用の銀行口座を会計ソフトに連携しておくことが前提になる点は変わりません。まずそこを済ませておけば、要件が固まったときに動かずに済みます。
そして届出のタイミングには、資料間で表現の差があります。
- 令和8年8月の資料では、適用を受ける年分の確定申告期限まで
- 令和7年4月の資料には「あらかじめ届出書の提出が必要です」という記載
確実を取るなら、確定申告期限を待たずに早めに出すのが安全です。
電子データは電子のまま保存する必要がある
優良な電子帳簿のルートを選ぶ場合、帳簿の要件だけでは終わりません。電子帳簿保存法を守ることが前提になるため、受け取った電子データを電子のまま保存する義務が付いてきます。
これは2027年に始まる新しい話ではありません。2024年から電子取引データの電子保存が完全義務化されています。すでに義務になっているものを、75万円控除の前提として改めて満たす必要があるということです。
対象になるのは、たとえば次のようなものです。
- メールで受け取った請求書のPDF
- ネット通販の注文確認メールやサイトからダウンロードした領収書
- 電子契約書やWeb明細
これらを印刷して紙のファイルに綴じる、という方法は認められません。紙に出して原本を捨ててしまうと要件を落とします。
帳簿側の設定は会計ソフトが面倒を見てくれますが、受け取ったPDFをどこに保存するかは自分で決める必要があります。
検索できる状態にしておくことも要件です。日付・金額・取引先で探せるようにしておきます。会計ソフトに書類を添付して保存できる機能があれば、それを使うのがいちばん簡単です。
2つのルートは開始時期が違う
| 比較する点 | 優良な電子帳簿 | デジタルシームレス保存 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 課税期間の最初から必要(令和9年分なら2027年1月1日から) | 期首からという要件は書かれていない |
| 中心になるもの | 仕訳帳・総勘定元帳の保存要件 | 口座の決済データの連携 |
| 付随する恩恵 | 過少申告加算税が5%軽減 | 重加算税の10%加重が不適用 |
| 届出書の再提出 | すでに優良な電子帳簿で65万円を受けている人は不要 | 必要 |

優良な電子帳簿は「課税期間の最初から備付け及び保存」が要件なので、2027年の途中から始めても令和9年分には使えません。準備の締め切りが2026年中になるのは、このルートを選ぶ場合の話です。
一方でデジタルシームレス保存の要件には、期首からという記載がありません。そのため年の途中から整えても令和9年分に間に合う可能性があります。ただし細かい取扱いは今後示される見込みなので、確実に取りたいなら年初から整えておくほうが安全です。
この違いは、2026年中の準備が間に合わなかった人にとって重要です。優良な電子帳簿のルートを外しても、もう1本残っている可能性があるということです。
いつまでに何をすればいい?
3段階で逆算する
| 時期 | やること |
|---|---|
| 令和8年(2026年)末まで | 会計ソフトの導入・切り替え/口座とカードの連携設定/マイナンバーカードの取得とe-Taxの準備 |
| 令和9年(2027年)1月1日〜12月31日 | 複式簿記かつ優良な電子帳簿(またはデジタルシームレス保存)で継続的に記帳 |
| 令和10年(2028年)3月15日まで | e-Taxで申告し、届出書を提出 |

準備の期限が2026年中なのは、優良な電子帳簿が「課税期間の最初から」必要だからです。2027年1月1日には体制が整っている必要があります。デジタルシームレス保存のルートなら、この締め切りは緩む可能性があります。
2027年3月15日に提出する令和8年分の申告は、これまでどおりの控除額です。ここで慌てる必要はありません。
e-Taxの準備に必要な3つ
e-Taxで送信するには、マイナンバーカードと利用者識別番号と読み取り端末の3つが必要です。
- マイナンバーカード:発行までに3〜4週間。持っていない人は市区町村への申請から
- e-Taxの利用者識別番号:事前に取得
- 読み取り端末:スマホならNFC対応かを確認
2026年末に慌てて始めると、カードの発行が年をまたぐ可能性があります。優良な電子帳簿のルートは2027年1月1日から要件を満たしている必要があるので、カードの申請は2026年の前半に済ませておくのが安全です。
帳簿の切り分けも意識してください。2026年12月31日までの帳簿と2027年1月1日以降の帳簿は、明確に分けて管理します。2027年分が「課税期間の最初から」要件を満たしていることを示せる状態にしておく必要があります。
青色申告承認申請書をまだ出していない人は、そちらが先です。期限は原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以降に新しく事業を始めた場合は開業日から2か月以内です。一度出せば、翌年以降は自動的に青色申告者になります。

申告が1日でも遅れると10万円になる
期限内申告は65万円と75万円の要件そのものなので、複式簿記で記帳して優良な電子帳簿の要件も満たして届出書も出していても、申告が期限に間に合わなければ10万円になります。紙で出した人と同じ扱いです。
令和10年(2028年)3月15日が期限で、この日は土日祝なら翌平日にずれます。
帳簿側の不備は、もっと重い結果につながることがあります。青色申告の承認は、帳簿書類の備付け・記録・保存が定められたとおりに行われていない場合などに取り消されることがあります。取り消されると10万円の控除も使えません。
ただし、期限後申告になったこと自体を理由に自動で取り消されるという規定はありません。法人税には「2事業年度連続して期限内申告がない場合」という取扱いがありますが、個人の所得税には同じ規定がありません(個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針))。
それでも、遅れれば控除は10万円まで落ちます。期限に間に合わせること自体が、45万円から65万円分の価値を持つということです。
提出する届出書はどれ?
ルートごとに違う
どちらのルートを選ぶかで、提出する届出書が変わります。
| ルート | 届出書 | 期限 |
|---|---|---|
| 優良な電子帳簿 | 国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る75万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書(または過少申告加算税の特例のみの届出書) | 適用を受ける年分の確定申告期限まで |
| デジタルシームレス保存 | 電子取引の取引情報に係る電磁的記録に係る重加算税の加重措置の不適用の特例及び75万円の青色申告特別控除(個人事業者)の適用を受ける旨の届出書 | 適用を受ける年分の確定申告期限まで |
提出先はどちらも所轄の税務署です。
提出が不要になるケースもあるので、出す前に次の3点を確認してください。
- すでに優良な電子帳簿で65万円を受けている人は、届出書の再提出が不要
- 届出書の名称は令和9年3月頃に「65万」から「75万」へ変更予定。検索して見つからないときは注意
- 還付申告の場合も、提出期限は確定申告期限まで
届出は以前は事前でしたが、令和8年8月の資料では確定申告期限までとされています。ただし前述のとおり、デジタルシームレス保存については「あらかじめ提出が必要」と書かれた資料もあります。期限ぎりぎりを狙わず、早めに出しておくのが安全です。
会計ソフトはどう選ぶ?
確認するのは4点
国税庁は「クラウド会計ソフトは銀行口座との自動連携や請求書・レシートのスキャンといった機能を有しているものが多く、業務の効率化を図ることができます」と案内しています。国が同じ方向を示しているということです。
- JIIMA認証情報リストに載っているか
- 「優良な電子帳簿」の設定があるか(設定を有効にしないと要件を満たさない)
- 口座とカードの連携ができるか(デジタルシームレス保存のルートを狙う場合の中核)
- e-Taxでの送信に対応しているか(65万円の必須要件)
「JIIMA認証あり」だけでは足りません。優良な電子帳簿の機能要件の承認が付いているかどうかで、75万円に届くかが変わります。
導入費用には補助金が使える
デジタル化・AI導入補助金が使えます。国税庁自身がこの補助金を案内しており、小規模事業者の場合は導入費用の最大80%が補助されます。
会計ソフトの切り替えを2026年中にやるなら、この補助金の活用も同時に検討する価値があります。詳細は補助金のホームページで、活用事例とあわせて確認してください。
75万円控除に注意点やデメリットはある?
控除が10万円増える話ばかりが紹介されますが、引き換えになるものもあります。
訂正・削除の履歴がすべて残る
優良な電子帳簿の中心的な要件が「訂正・削除・追加の履歴が残ること」です。これは裏返すと、後から数字を動かした事実が記録として残るということです。
紙の帳簿や履歴が残らない古いソフトでは、後から書き換えても、書き換えたことまでは分かりませんでした。優良な電子帳簿では修正した瞬間に履歴が残ります。
逆に言えば、正確に記帳している人には不利になりません。むしろ履歴が残ることで、こちらの処理が正しいことを示せます。ごまかしが効かなくなるという点だけが変わります。
対応ソフトの費用が新たにかかる
買い切り型の古いソフトや無料版は、優良な電子帳簿に対応していないことが多いです。その場合、対応したソフトへの切り替えが必要になり、月額または年額の費用が新たに発生します。
- 控除が10万円増えた場合、所得税20%・住民税10%とすると3万円の減税
- 切り替え費用が減税額より高いなら、無理に変えず現状のままでもよい
- 紙で提出していた人は、e-Taxに変えるだけで控除が45万円から55万円戻るので切り替え推奨
切り替えの費用は、前述のデジタル化・AI導入補助金で抑えられます。
データが消えるリスクに備える
帳簿が電子データだけになるので、消えたときの影響が大きくなります。パソコンの故障でデータが飛ぶと、帳簿そのものがなくなります。
帳簿書類の保存義務は原則7年間です。クラウドで保存されるサービスを使うか、日頃からバックアップを取る運用を決めておいてください。
年度の途中では引き返せない
優良な電子帳簿は「課税期間の最初から」が要件なので、年の途中で気が変わっても、その年分の75万円は取れません。判断は年内に前倒しで求められます。
記帳が不安な人はどこに相談する?
無料で受けられる支援がある
複式簿記の相談は、青色申告会・商工会・税務署の説明会・外部委託による記帳指導の4つで無料で受けられます。
| 相談先 | 特徴 |
|---|---|
| 青色申告会 | 記帳方法などについて継続的な伴走支援が受けられる(会員向け) |
| 商工会・商工会議所 | 記帳だけでなく、補助金の計画策定支援や経営相談にも対応(一部会員向け) |
| 税務署の記帳・決算説明会 | 個人事業者向けに、具体的な記帳のしかたを無料で説明。決算や消費税の説明会もある |
| 外部委託による記帳指導 | 各国税局が事業者に委託。記帳から確定申告書の作成に至るまで一貫して指導。所轄の税務署に問い合わせる |
外部委託による記帳指導は、申込状況により希望に沿えない場合があります。早めに問い合わせてください。
自分で学ぶなら、国税庁のYouTubeチャンネルとパンフレットでも記帳のしかたと決算のしかたが解説されています。
スマホだけで75万円控除は狙える?
65万円までは、スマホだけで完結できます。国税庁が「スマホ又はパソコンにより、e-Taxで確定申告書及び青色申告決算書(貸借対照表を含む)のデータを送信」と明記しているためです。
複式簿記と貸借対照表は、アプリが自動で作ります。手で仕訳を組む必要はありません。
75万円については、要件の中身がアプリの機能と重なっています。デジタルシームレス保存のルートは「預貯金口座における決済データ」を保存できるシステムが条件なので、口座連携で取り込んでいるデータそのものが対象です。国税庁も「クラウド会計ソフトは銀行口座との自動連携やレシートのスキャンといった機能を有しているものが多い」と書いています。
ただし、要件を満たすかどうかはソフトごとに違います。必ずJIIMA認証情報リストで確認してください。「アプリだから自動的に75万円」ということはありません。
そして優良な電子帳簿のルートを選ぶ場合は「その都度の記帳」が要件になります。ここは口座連携が効く部分で、明細が日々入ってくる状態を作っておけば、年末にまとめて入力する必要がなくなります。


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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
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まとめ
青色申告特別控除は、令和9年分(2027年分)から「75万円・65万円・10万円」の3段階になります。
- 75万円:複式簿記+e-Tax+(優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存)+届出書
- 65万円:複式簿記+e-Tax
- 10万円:簡易簿記(前々年の収入が1,000万円超ならゼロ)
- 紙で提出すると10万円。現在55万円の人は45万円減、優良な電子帳簿で紙申告して65万円の人は55万円減(最大302,500円の増税)
- 優良な電子帳簿は課税期間の最初から必要なので、このルートなら準備は2026年中。デジタルシームレス保存には期首からという要件が書かれていない
- 記帳の遅れは最長2か月までが目安。年末にまとめて入力すると要件を落とす
- 過少申告加算税の5%軽減は別枠で、補助簿を含むすべての帳簿が対象
- 期限に遅れると、要件を全部満たしていても10万円になる
まず自分がどのパターンかを確認して、紙で出しているならe-Taxに変えるところから始めてください。そこだけで45万円から55万円分の減少を防げます。
よくある質問
Q. この改正は確定した話ですか?
令和8年度税制改正で決まっています。与党税制改正大綱が令和7年12月19日に決定し、国税庁も令和8年8月に、この改正の専用の解説と届出書の案内を公開しています。細部の情報はこれから追加される見込みです。
Q. 2027年のどの申告から影響しますか?
令和9年分(2027年分)からです。その申告をするのは2028年3月15日までです。2027年3月に提出する令和8年分の申告は、これまでどおりの控除額です。
Q. 紙で出しています。いくら損しますか?
複式簿記で55万円控除を受けている人なら、45万円の控除減です。所得税20%・住民税10%の人で135,000円の増税、国民健康保険に加入している人は保険料も上がります。優良な電子帳簿で保存していて紙申告で65万円を受けている人は、55万円減になり、同じ税率で165,000円です。いずれもe-Taxに変えれば65万円に戻ります。
Q. 年末に1年分をまとめて入力してもいいですか?
優良な電子帳簿は「備付け」が要件なので、その都度記帳している状態が必要です。目安は最長2か月までの業務処理サイクルで、会計期間が終わってから確定申告期にまとめて入力するやり方では要件を満たしません。口座を連携しておくと、この状態を自然に作れます。
Q. 無料の会計ソフトでも75万円控除に対応できますか?
対応しているものもありますが、確認が必要です。無料版は機能が制限されていることが多く、訂正・削除履歴や検索機能が優良な電子帳簿の要件を満たしていない場合があります。買い切り型の古いソフトも同様です。JIIMA認証情報リストと、国税庁の優良な電子帳簿の要件で確認してください。
Q. 複式簿記への移行は自分でできますか?
会計ソフトを使えばできます。仕訳を入力すれば貸借対照表まで自動で作られるので、簿記の知識がなくても進められます。事前の申請も不要で、青色申告承認申請書を出していれば記帳の方法を変えるだけです。取引が多い場合や不安がある場合は、青色申告会や税務署の記帳説明会を使ってください。
Q. 75万円控除にタイムスタンプは必要ですか?
帳簿については必要ありません。タイムスタンプはスキャナ保存の要件で、優良な電子帳簿の要件には含まれません。優良な電子帳簿の要件は次の5つです。
- システムの説明書等の備え付け
- ダウンロードの求めに応じられること
- 訂正・削除・追加の履歴
- 帳簿間の相互関連性
- 日付・金額・相手方の検索機能
「タイムスタンプが必須」と説明されることがありますが、区分が違います。
Q. 住民税にはいつから影響しますか?
個人住民税は令和10年度分からです。所得税は令和9年分からなので、1年ずれます。住民税を基礎に計算される国民健康保険料も、同じタイミングで影響を受けます。
Q. 優良な電子帳簿にすると税務調査で不利になりますか?
正確に記帳している人には不利になりません。訂正・削除の履歴が残るため後から数字を動かせなくなりますが、それは処理が正しいことを示す材料にもなります。過少申告加算税の5%軽減という優遇もあります(ただし補助簿を含むすべての帳簿が対象で、届出書も別です)。
Q. 今すでに65万円控除です。何かする必要はありますか?
そのままなら65万円のままです。75万円にするには、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存の要件を満たし、届出書を提出する必要があります。すでに優良な電子帳簿で65万円を受けている人は、届出書の再提出は不要です。
Q. 前々年の収入が1,000万円を超えています。どうすれば?
簡易簿記のままだと10万円控除もゼロになります。複式簿記に変えてe-Taxで申告すれば65万円または75万円になるので、影響がいちばん大きく、対策の効果もいちばん大きいパターンです。
Q. 現金主義の特例を使っています。対象ですか?
現金主義による所得計算の特例を受けている場合は、65万円と75万円の控除を適用できません。10万円の控除は適用できます。
Q. スマホだけでできますか?
65万円まではできます。国税庁が「スマホ又はパソコンにより」と明記しています。75万円は要件を満たすソフトかどうかで変わるので、JIIMA認証情報リストで確認してください。
Q. エクセルで記帳していても優良な電子帳簿になりますか?
実質的に難しいと考えてください。優良な電子帳簿には訂正・削除・追加の履歴が残ることと日付・金額・相手方での検索機能が必要です。通常のエクセルは上書きしても履歴が残らないため、この要件を満たせません。複式簿記だけならエクセルでもできますが、75万円を狙うなら会計ソフトが必要です。
Q. 今年開業しました。いつから75万円控除を受けられますか?
その年から要件を満たしていれば、その年分から受けられます。まず青色申告承認申請書を出してください。期限は開業日から2か月以内(1月1日〜1月15日の開業なら3月15日まで)です。優良な電子帳簿のルートは「課税期間の最初から」が要件ですが、年の途中の開業なら事業を開始した日からで足ります。
Q. 税理士に任せています。どうなりますか?
e-Taxでの送信を代理でしてもらえば65万円です。75万円は使っている会計ソフト側の条件になるので、優良な電子帳簿の設定になっているか、口座連携をしているかを確認してください。届出書は自分の名前で所轄の税務署に出すものなので、提出の有無も確認が必要です。
Q. 記帳を外部に代行してもらっていても要件を満たせますか?
要件を満たす形で処理されていれば、入力を外部に代行してもらう形も認められます。自分で毎日入力する前提ではありません。ただし「その都度記帳されている状態」が必要なので、まとめて処理する契約になっていないかは確認してください。
Q. 65万円控除はいつまで受けられますか?
期限はありません。65万円控除は改正後も残ります。変わるのはe-Taxが必須になる点です。これまで55万円だった人が紙のまま出すと10万円になり、e-Taxにすれば65万円になります。
Q. 改正を知らずに紙で申告してしまったらどうなりますか?
その年分は10万円で確定します。帳簿が正確でも、提出方法が要件なので変わりません。翌年分からe-Taxに切り替えてください。マイナンバーカードとスマホがあれば準備できます。

確定申告でカンタンと安心を両立した3つの魅力

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