ブランドから頼まれた来季のデザイン画を描き、別のブランドのパターンを引き、空いた時間で自分のブランドのサンプルを工場と詰める。独立したファッションデザイナーのお金は、ブランドや企業からのデザイン料、パターン料、ライセンス料、自分のブランドのネットショップや展示会の売上、個人のお客さんのオーダー代と、入り方がばらばらです。源泉徴収されて振り込まれるお金と、満額で入るお金が同じ人の中で混ざります。
確定申告アプリ(会計ソフト)選びは、ブランドから源泉徴収されて入るデザイン料と、自分のブランドの売上、生地やサンプルの細かいレシートを、制作の合間に記録して申告まで終えられるかで決まります。この記事では、源泉徴収されるデザインの報酬とされない売上の見分け方、研究用に買う服やサンプルの経費、海外のコレクション視察の線引きといったファッションデザイナーならではの論点から、おすすめの4本を比較します。
この記事のポイント
- アパレル企業に勤めて年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則不要。独立してデザインを請けたり、自分のブランドを持ったりすると自分で申告する
- 法人のブランドや企業、従業員を雇っている個人事業主から受け取る服飾デザインの報酬は10.21%が源泉徴収される。自分のブランドの売上や、給与を払っていない個人のお客さんからのオーダー代は源泉徴収されない
- パターン料やサンプル縫製込みの報酬、ライセンス料が源泉徴収されるかは、仕事の中身と契約で分かれる(支払明細で確認)
- 生地・トワル・サンプル・展示会の費用は経費。研究用に買った服も、仕事に使ったと説明できる分は経費になる
- 個人事業税は、デザインの仕事なら「デザイン業」(第三種・税率5%)。青色申告特別控除を引く前の事業の所得が年290万円を超えるとかかる
- 迷ったら、源泉徴収されたデザイン料と自分のブランドの売上を、1つの申告に取りまとめたいならタックスナップ、アトリエを構えて人を雇うならfreee、複数の口座をまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくりならやよいの青色申告
ファッションデザイナーに確定申告アプリは必要?
アパレル企業に雇われてデザイナーとして働き、年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則として必要ありません。一方、独立してブランドや企業からデザインを請けている、自分のブランドで服を売っている、勤めながら休日に知り合いのブランドの仕事を受けている、という場合は確定申告が必要になることがあります。
| 働き方 | 確定申告の目安 |
|---|---|
| アパレル企業に雇われて働き、年末調整あり | 原則不要(年末調整で完結) |
| 勤めながら、休日にデザインの仕事を受けたり、自分のブランドで服を売ったりしている | 給与以外の所得が20万円を超えたら必要 |
| 独立して、ブランドや企業からデザイン・パターンの仕事を受けている | 所得が基礎控除などの合計(令和8年分の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円)を超えたら必要。源泉徴収された税金は申告で精算する |
| 自分のブランドを立ち上げて、服を作って売っている | 受託の仕事と合わせた所得が基礎控除などの合計を超えたら必要 |
ここでいう所得は、受け取った報酬や売上の総額ではなく生地やサンプル、展示会などの経費を引いた金額です。所得税の申告がいらない場合も、住民税の申告は別に必要になることがあります。1つのブランドと続けて契約してデザインやパターンを請けている人は、実際の経費が少なくても必要経費を最大69万円(令和8年分)まで認める「家内労働者等の特例」の対象になる場合があります(給与もある人は使える額が減ります)。当てはまるかは国税庁 No.1810で確認しましょう。撮影や広告の衣装を手がけるスタイリストの申告は、こちらの記事で解説しています。

デザインの仕事に、法律で決められた許可や資格はない
ファッションデザインの受託や自分のブランドの企画を始めるのに、法律で決められた許可や資格は通常ありません。パターンメーキング技術検定などの検定はありますが、仕事を受けるための条件ではありません。始めるときに出すのは、税務署への開業届と青色申告承認申請書です。
ただし、古着を仕入れてリメイクして売るなど、中古品の売買を仕事にする場合は、古物商の許可が必要になることがあります。新品の生地や副資材を買って服を作る分には、この許可はいりません。
青色申告65万円控除はアプリで取れる?
取れます。独立したファッションデザイナーとして続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出しておけば、最大65万円の控除が受けられます。65万円控除には複式簿記の帳簿が必要ですが、確定申告アプリなら取引を入力するだけで自動で出来上がります。e-Taxで提出すれば控除額は55万円ではなく65万円になります。令和9年分からは、紙で提出すると控除は10万円になり、e-Taxでの提出が65万円の条件になります(財務省 令和8年度税制改正の大綱)。
税理士に頼むのとどちらがいい?
一人でデザインを請け、自分のブランドを小さく回している程度なら、費用の面では確定申告アプリで十分です。取引先のブランドがいくつあっても、1件ずつの報酬と経費を記録していけば申告書は作れます。相場を比べてみます。
| 依頼方法 | 費用の目安(年間) |
|---|---|
| 税理士に記帳から丸ごと依頼 | 10〜20万円 |
| 税理士に申告書作成だけスポット依頼 | 5〜10万円 |
| 確定申告アプリ | 1〜3万円台 |
アプリなら年1〜3万円台で利用料は経費にできる
確定申告アプリの利用料は年間1〜3万円台で、独立したファッションデザイナーとして申告する人は全額をその年の経費にできます。生地やデザインソフトと同じく、仕事を回すための費用です。
税理士に頼んだほうがいいのはこんな場合
パタンナーや縫製スタッフに給与や外注費を払うようになった、自分のブランドの売上が1,000万円に近づいてきた、海外のブランドと契約した、法人化を考えているという場合は、税理士に相談する価値があります。給与の源泉徴収や消費税の計算、海外で引かれた税金の扱いなど、手続きが一気に増えるためです。
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ファッションデザイナーが確定申告アプリを選ぶ4つの基準
ファッションデザイナーのアプリ選びは、①ブランドからのデザイン料と、源泉徴収された税額を取引先別に記録できるか、②生地やトワル、サンプルの外注のレシートを、その場で撮って記録できるか、③展示会やサンプルの締め切りの合間に、スマホだけで申告まで終わるか、④研究用の服やサンプルの扱い、源泉徴収の有無を質問できる窓口があるか、の4つで決まります。どれも「源泉徴収される報酬とされない売上が混ざり、細かい材料の支出が多い」というこの仕事の構造から来る基準です。

ブランドからのデザイン料と、源泉徴収された税額を取引先別に記録できるか
ブランドや企業から受け取るデザイン料は源泉徴収されて振り込まれ、自分のブランドの売上や個人のお客さんのオーダー代は満額で入ることがほとんどです。どの取引先から、いくら源泉徴収されたかを分けて記録できるかが最初の基準です。引かれた税金を申告で正しく差し引けば、払いすぎた分が戻ってくることがあります。
生地やトワル、サンプルの外注のレシートを、その場で撮って記録できるか
生地屋で買うシーチングや表地、ボタンやファスナー、芯地と、サンプルづくりの材料は種類が多く、1回の買い物の金額は小さくなりがちです。レシートを受け取ったその場で撮り、仕事用として記録できるかを確認しましょう。あとからまとめて整理しようとすると、どの案件の分か、私物の手芸用品かの区別がつかなくなります。
展示会やサンプルの締め切りの合間に、スマホだけで申告まで終わるか
展示会の前はサンプルの修正と工場とのやりとりが続き、確定申告の時期は秋冬物の展示会や次のシーズンの企画と重なりがちです。帳簿のためにパソコンを開く時間はほとんどありません。記帳から申告書の作成、e-Taxでの提出までスマホだけで終わるかを確認しましょう。
研究用の服やサンプルの扱い、源泉徴収の有無を質問できる窓口があるか
「研究用に買った他のブランドの服は経費になる?」「パターン料から税金が引かれていないけれど大丈夫?」。ファッションデザイナーの申告には、判断に迷う点が少なくありません。チャットやLINEで質問できる窓口があると、申告の直前で手が止まることを防げます。
アプリ選びでよくある失敗
よくある失敗は次の3つです。どれも「取引先ごとの報酬と源泉徴収、生地やサンプルの支出を分けて記録できるか」を基準に選べば避けられます。
- 源泉徴収された後の振込額を売上にして、引かれた税金を申告で差し引き忘れる
- 生地や副資材のレシートをなくし、経費に入れられない
- 自分で着るために買った服まで経費に入れてしまい、仕事用との区別を説明できない
ファッションデザイナーにおすすめの確定申告アプリ4選
源泉徴収されたデザイン料と自分のブランドの売上を、1つの申告に取りまとめたいならタックスナップ、アトリエを構えて人を雇うならfreee、複数の口座やカードをまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくり進めるならやよいの青色申告が有力です。まずは最安プラン同士の比較表で全体像をつかんでください。
| アプリ名 | スマホ完結度 | レシート撮影上限(最安プラン) | カード・口座連携の自動仕訳 | 月額(最安・年払い・税抜) |
|---|---|---|---|---|
| タックスナップ | ◎ 提出まで完結 | 無制限 | ◎ 連携明細をAIが自動仕訳・スワイプで確認するだけ | 980円・無料トライアルあり |
| freee | ○ | 月5枚 | ○ 自動で経理 | 980円・無料お試しあり |
| マネーフォワード | ○ | 月15件(超過は上位プランへ) | ◎ 連携できる金融サービスが豊富 | 900円・無料トライアルあり |
| やよいの青色申告 | △ パソコン前提 | 対応(上限の公表なし) | ○ スマート取引取込 | 初年度無料あり |
源泉徴収されたデザイン料と自分のブランドの売上を、1つの申告に取りまとめたいならタックスナップ
タックスナップはスマホ完結に特化した確定申告アプリで、ブランドや企業からデザインを請けながら自分のブランドも持つファッションデザイナーや、勤めながら休日にデザインの仕事を受ける人に向いています。取引先ごとの報酬と源泉徴収された税額、自分のブランドの売上、生地やサンプルの支払いを1つにまとめて、制作の合間にも申告まで進められます。
おすすめポイント
- 連携した口座の入金から、ブランドや企業からのデザイン料、自分のブランドのネットショップや個人のお客さんからの代金をスワイプで事業の売上に仕分けでき、源泉徴収された税額も取引先ごとに記録して申告書にまとめられる
- 連携したカードの明細は、特許を取得した「スワイプ仕分け」(右=経費・左=プライベート)で1件ずつ切り分け=生地や副資材の通販、工場への交通費も、仮縫いの合間に片づく(出典)
- 生地やボタン、芯地のレシートはカメラで撮るだけ(読み取り枚数無制限・カンタンプラン以上)。「これは経費になる?」と迷ったら「みんなはどうしてる」機能で同じ職種の判断を確認できる
- スワイプと丸投げ仕分け(1,000件最短3秒・安心プラン以上)で、複式簿記の知識ゼロでも青色申告65万円控除に必要な帳簿と書類を作れる(白色申告の収支内訳書にも対応)
- マイナンバーカードがあれば、申告書の作成からe-Taxでの提出(電子申告)まですべてスマホだけで完結=展示会の準備でアトリエを離れられない時期でも、待ち時間に申告を進められる
- 職種に合わせた職種特化モードで、税理士監修のAIが9割以上の精度で勘定科目を自動判定(出典)
- 消費税の申告にも最安のカンタンプランから対応=取引先のブランドに求められてインボイス登録をし、2割特例を使う場合も同じアプリで完結できる
- 最安のカンタンプランは年払いで月980円(税抜・年額11,760円)。2026年確定申告期間の全29日間、App Storeランキング確定申告アプリ内1位(Sensor Tower)で、無料トライアルから始められる
- 24時間のAIチャットに加え、LINEで専門スタッフに相談できる(カンタンプラン以上)=「研究用に買った服は経費になる?」という迷いも、作業の後に聞ける
- 登録者40万人超の税理士YouTuber・ヒロ税理士が監修した税務調査リスクチェックと、追徴課税時に利用料を全額返金する保証(安心プラン)
こんな人に向いている
- ブランドからの受託と、自分のブランドの販売を両方している
- 源泉徴収される報酬とされない売上が混ざっている
- 生地や副資材のレシートが毎週のようにたまる
- パソコンを開く時間がなく、スマホだけで申告を終えたい
アトリエを構えて人を雇うならfreee
freeeは○×の質問に答える形式で申告書を作れる、初心者向けの設計が特徴の会計ソフトです。アトリエを構えてパタンナーや縫製スタッフを雇う、取引先のブランドに請求書を出す件数が増えたなど、事業として広げたい人、将来は法人化も考えている人に向いています。
おすすめポイント
- ○×の質問に答えるだけで確定申告書を作成できる
- 請求書の発行や給与計算までシリーズでそろう
- 法人化したあとも法人向けfreee会計にデータを引き継げる
こんな人に向いている
- パタンナーや縫製スタッフを雇う、アトリエを構える予定がある
- 請求書を出す取引が多い
複数の口座やカードをまとめて管理したいならマネーフォワード
マネーフォワード クラウド確定申告は、連携できる金融機関の多さが強みです。デザイン料の受け取り口座、ネットショップの売上の入金口座、生地の購入に使うカードと、お金の出入り口が多い人に向いています。
おすすめポイント
- 連携できる銀行・カード・電子マネーなど金融関連サービスが豊富
- 家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と組み合わせて家計と事業をまとめて把握できる
- レポート機能で月ごとの収支を見える化できる
こんな人に向いている
- 報酬や売上の受け取り口座、カードが複数ある
- 生活費とデザインの仕事の収支をまとめて管理したい
パソコンでじっくり進めたいならやよいの青色申告
やよいの青色申告 オンラインは、会計ソフトの老舗・弥生のクラウド版です。展示会が終わって手が空いた時期にパソコンの前に座る時間があり、帳簿や決算書を大きな画面で確認しながら進めたい人に向いています。
おすすめポイント
- セルフプランは初年度無料で始められる
- 画面の大きいパソコンで決算書までじっくり作り込める
- 老舗ならではのサポート体制(プランにより電話・チャット)
こんな人に向いている
- 帳簿や決算書はパソコンでまとめて進めたい
- まず無料で1年試したい
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ファッションデザイナーの確定申告で注意したいポイント
ファッションデザイナーの申告でつまずきやすいのは、源泉徴収される報酬の見分け方・生地やサンプルと在庫の違い・研究用の服と私服の線引き・ミシンや登録費用の扱い・海外視察・個人事業税と消費税・副業と扶養の7つです。順に整理します。
ブランドからのデザイン料は源泉徴収され、自分のブランドの売上はされない
法人のブランドや企業、従業員を雇っている個人事業主から受け取る服飾デザイン(衣服や装身具のデザイン)の報酬は、「デザインの報酬」として10.21%(同じ人への1回の支払いが100万円を超える部分は20.42%)が源泉徴収されます(国税庁 所得税基本通達204-7・源泉徴収のあらまし 令和8年版 第5章)。一方、一人で営む小さなブランドや個人のお客さんなど、給与を払っていない個人からの支払いは源泉徴収されず、自分のブランドの服を売った代金は報酬ではなく売上です。
| 仕事の種類 | 源泉徴収 | 申告での扱い |
|---|---|---|
| ブランドや企業からの服・バッグ・アクセサリーのデザイン料 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算する |
| パターン料・サンプル縫製込みの一括払い | 仕事の中身と契約で分かれる | 支払明細で源泉所得税の欄を確認する |
| ライセンス料・ロイヤリティ | 引かれることがある | 契約書と支払明細で確認する |
| 自分のブランドの売上・個人のお客さんのオーダー代 | 引かれない | 受け取った金額を売上にする |

型紙を引くパターン料や、デザインとサンプル縫製をまとめて請けた報酬は、国税庁の通達に服の型紙の名指しがなく、デザインに当たる部分があるかで源泉徴収の扱いが変わる場合があります。「材料費」の名目で上乗せされた分も、報酬の性質があれば源泉徴収の対象になります。どの場合も、引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で差し引きます。取引先から届く支払明細や支払調書は保存しておきましょう。

受託のサンプルや生地は経費、自分のブランドの売れ残りは在庫になる
ブランドから請けた仕事のために買った生地やトワル用のシーチング、副資材、サンプル縫製の外注費、パタンナーへの外注費は、その年の経費にできます(国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識)。展示会の出展料やブースの装飾、ルックブックの撮影代やモデル料も、仕事のための支出なら経費です。
一方、自分のブランドで売るために作った服が年末に売れ残っていれば、その分は在庫として翌年に回し、その年の経費にはなりません。受託の仕事の支出か、自分のブランドの商品か、買ったときに分けて記録しておくと申告で迷いません。
研究用に買った服や古着は経費、自分で着る服は分けられる分だけ
市場調査のために買った他のブランドの服や、解体してパターンを取る古着は、仕事に使ったと説明できれば経費にできます。買った目的と、どの企画のために使ったかをメモしておくと、後から説明しやすくなります。

自分で普段に着る服は、デザインの仕事をしていても原則として経費にはなりません。研究用に買った服を調べたあとで私服として着るなら、仕事に使った分をはっきり分けられる場合に、その分だけ経費になります。迷うものは、私服と研究用で保管する場所を分けておくと区別しやすくなります。
ミシンやパソコンは金額で経費にする年が変わり、登録費用は扱いを確かめる
ミシンやパソコン、デザインソフトなどは、10万円未満なら買った年の経費、10万円以上20万円未満なら3年に分けて経費にできます。青色申告なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものは、合計300万円まで一度に経費にできます(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。それ以上のものは、パソコンなら4年、マネキン人形は2年に分けて経費にします。工業用ミシンやボディ(トルソー)がどの区分に当たるかは、税務署に確認しましょう。
デザインを守るための意匠登録の出願料は16,000円、商標登録の出願料は3,400円+区分数×8,600円です(特許庁 産業財産権関係料金一覧)。登録料や弁理士への報酬を含めた扱いは金額や内容で変わる場合があるので、税務署か税理士に確認しましょう。
海外のコレクションや生地の見本市は、仕事の日程を記録して経費にする
パリやミラノのコレクションの視察、生地の見本市、海外の工場への訪問は、仕事のために直接必要な渡航なら旅費や宿泊費を経費にできます。観光を兼ねた場合は、仕事の日数と観光の日数で分けて、仕事の分だけを経費にします(国税庁 所得税基本通達37-16〜37-21)。
取引先との商談が目的で、その機会に観光もした場合は、往復の航空券代は仕事の分として扱えます。一方、旅行会社のツアーに参加した旅行は、原則として経費になりません。招待状や入場証、商談のメモ、日程表を残しておくことが、経費にする根拠になります。
個人事業税はデザイン業、消費税はデザイン料が第五種
個人事業税は、デザインの仕事は「デザイン業」(第三種事業)で、事業の所得(青色申告特別控除を差し引く前の金額)から年290万円の事業主控除を差し引いた残りに税率5%がかかります(東京都主税局 個人事業税)。総務省の通知でも、デザイン業の例に服飾デザインが挙がっています。自分のブランドで服を作って売る部分は、物品販売業などと判断される場合もあり、業種は事務所のある都道府県が仕事の中身で判断します。
消費税の申告が必要になるのは、原則として2年前の課税売上が1,000万円を超えた年か、インボイス登録をした場合です。取引先のブランドから登録を求められて登録した場合は、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は2年前の課税売上が1,000万円以下なら3割特例が使えます。簡易課税を選ぶと、デザイン料は第五種事業(みなし仕入率50%)で、自分のブランドの販売は作り方によって区分が変わります(国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分)。売上は事業の種類ごとに分けて記録しておきましょう。
副業は「20万円」と住民税、扶養のラインを確認する
アパレル企業に勤めながら休日にデザインの仕事を受けたり、自分のブランドで服を売ったりしているなら、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要です。デザイナーは競合するブランドとの関係が問われやすいので、勤め先の就業規則で副業が認められているかも、事前に確かめておきましょう。
家族の扶養に入っている人は、税金の扶養は令和8年分は合計所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)が基準です(国税庁 No.1180 扶養控除、No.1191 配偶者控除、財務省 令和8年度税制改正の大綱)。社会保険の扶養は年収130万円未満が目安で、事業の収入をどう数えるかは加入している健康保険によって違います。

制作の合間に確定申告を終わらせる方法
コツは、申告期にまとめてやろうとせず、デザイン料が振り込まれるたびに取引先と金額を記録し、生地や副資材のレシートはその日のうちに撮っておくことです。入金があったら、どのブランドのどの仕事の分か、源泉徴収されているかを明細で確かめる。生地の通販や工場への交通費はカード連携で自動で取り込む。展示会が終わって落ち着いた月に、1年分の支払明細をそろえておく。これだけで、申告期には確認して提出するだけになります。
無料トライアルで口座とカードを連携してみて、デザイン料の入金や生地の支払いが自動で取り込まれるかを試してから決めるのが失敗しない選び方です。なお、自動連携やAIの仕訳結果をそのまま提出せず、最後にひととおり見直すのはどのアプリでも共通の基本です。
タックスナップは、取引先ごとの報酬と源泉徴収、自分のブランドの売上、生地やサンプルの支払いを1つにまとめ、申告までスマホで終えられる設計です。仮縫いの合間や工場への移動中のスキマ時間だけで、申告の準備が回ります。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
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まとめ
ファッションデザイナーの確定申告は、「勤めて年末調整を受けているなら不要、独立してデザインを請けたり自分のブランドを持ったりしたら自分で申告」「法人のブランドや企業からのデザイン料は源泉徴収され、自分のブランドの売上や個人のお客さんの代金はされない。引かれた税金は申告で精算する」「生地やサンプル、研究用の服は仕事に使った分が経費、自分のブランドの売れ残りは在庫」の3点を押さえれば怖くありません。型紙を1枚ずつ引くように、報酬と経費も1件ずつ記録していけば、申告はきちんと形になります。

よくある質問
Q. アパレル企業に勤めるデザイナーも確定申告は必要ですか?
1か所に勤めて年末調整を受けているなら、原則不要です。休日にデザインの仕事を受けたり自分のブランドで服を売ったりして、給与以外の所得が20万円を超えた場合は申告が必要です。
Q. 独立したファッションデザイナーは、いくらから申告が必要ですか?
令和8年分は、所得が基礎控除の104万円などの合計を超えたら必要です。所得は、受け取った報酬や売上から、生地やサンプル、展示会などの経費を引いた金額です。源泉徴収されている人は、所得が少なくても申告すれば税金が戻ることがあります。
Q. ブランドから受け取るデザイン料から、税金が引かれています。
法人や従業員を雇っている個人事業主から受け取る服飾デザインの報酬は源泉徴収の対象で、10.21%(1回100万円を超える部分は20.42%)が引かれます。引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で差し引きます。請求書で報酬と消費税を分けて書いていれば、引かれるのは報酬の部分だけです。
Q. 源泉徴収された税金は戻ってきますか?
経費や控除を差し引いて計算した税額より多く引かれていれば、確定申告で戻ってきます。取引先ごとに引かれた額を記録し、支払明細を保存しておきましょう。
Q. パターン(型紙)の制作料も源泉徴収されますか?
服の型紙の制作料を名指しした国税庁の決まりはなく、デザインに当たる部分があるかで扱いが変わる場合があります。引かれていればその額を申告で差し引き、気になるときは取引先や税務署に確認しましょう。
Q. 個人のお客さんのオーダー服の代金から、税金が引かれていません。
給与を払っていない個人のお客さんからの代金は、源泉徴収されません。受け取った金額をそのまま売上にします。
Q. 支払調書が届きません。申告できますか?
支払調書がなくても、支払明細や入金の記録があれば申告できます。源泉徴収された額は、明細や請求書の控えで確かめましょう。

Q. ライセンス料やロイヤリティはどう申告しますか?
仕事として続けて受け取るライセンス料は、事業の売上として申告するのが一般的です。源泉徴収されることもあるので、契約書と支払明細で引かれた額を確認しましょう。
Q. 生地やトワル、サンプルの縫製代は経費になりますか?
仕事のために買った生地やトワル用の布、サンプル縫製の外注費は経費にできます。自分のブランドの商品として作り、年末に売れ残った分は在庫として翌年に回します。
Q. 研究用に買った他のブランドの服は経費になりますか?
市場調査や研究のために買い、仕事に使ったと説明できる服は経費にできます。調べたあとで私服として着るなら、仕事に使った分を分けられる場合に、その分だけが経費です。
Q. 古着を解体してパターンを取りました。経費になりますか?
デザインやパターンの研究のために買って解体した古着は、経費にできます。商品にならなかった場合でも、仕事のための支出であることに変わりはありません。
Q. 自分のブランドの売れ残りは経費になりますか?
年末に残った商品は在庫として翌年に回すので、その年の経費にはなりません。売れた年に、売れた分が経費になります。
Q. 展示会の出展料やルックブックの撮影代は経費になりますか?
仕事のために出展する展示会の費用や、作品を紹介するルックブックの撮影代は経費にできます。趣味で見に行く展示会の入場料とは分けて記録しましょう。
Q. パリやミラノのコレクション視察の旅費は経費になりますか?
仕事のために直接必要な視察なら、旅費や宿泊費を経費にできます。観光を兼ねた場合は日数で分け、仕事の分だけを経費にします。招待状や日程表を残しておきましょう。
Q. ミシンやボディは一度に経費にできますか?
10万円未満なら買った年の経費にできます。青色申告なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものも、合計300万円まで一度に経費にできます。それ以上の工業用ミシンなどの区分は、税務署に確認しましょう。
Q. 意匠登録や商標登録の費用は経費になりますか?
仕事のための出願料や登録料は、経費として扱える場合がありますが、金額や内容で処理の仕方が変わることがあります。弁理士への報酬も含めて、税務署か税理士に確認しましょう。
Q. デザインコンテストの賞金はどう申告しますか?
仕事に関して受け取った賞金は事業の収入、それ以外の賞金は一時所得になる場合があります。どちらに当たるかはコンテストの中身や主催者で変わるので、迷うときは税務署に確認しましょう。
Q. 個人事業税はかかりますか?
青色申告特別控除を引く前の事業の所得が年290万円を超えると、かかることがあります。デザインの仕事は「デザイン業」で第三種事業、税率5%です。
Q. インボイス登録は必要ですか?
登録は任意ですが、取引先のブランドや企業から求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になりますが、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は2年前の課税売上が1,000万円以下なら3割特例が使えます。
Q. 開業届は出すべきですか?
独立したファッションデザイナーとして継続して仕事をするなら、開業届を出すのが原則です。青色申告承認申請書とセットで出せば、最大65万円の特別控除が使えるようになります。

Q. 今使っている会計ソフトからデータを移行できますか?
できます。たとえばタックスナップはfreee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応しています。年初から新しいアプリで始めるか、申告前に前年分をまとめて移すのがスムーズです。


