新聞社や通信社を辞めて、雑誌やWebメディアに記事を寄稿する。依頼があれば写真も撮り、講演やテレビのコメンテーターの仕事も入る。フリー記者のお金は、原稿料、写真の報酬、講演料、出演料、書籍の印税と種類が多く、媒体ごとに源泉徴収のある・なしも違います。そのうえ、かつては媒体が出してくれた取材の交通費や宿泊費を、いまは自腹で払うことがほとんどです。
確定申告アプリ(会計ソフト)選びは、媒体ごとの報酬と源泉徴収された税額、自腹の取材費を、取材の移動中に記録して申告まで終えられるかで決まります。この記事では、写真・講演・テレビ出演・印税まで含めた源泉徴収の一覧、媒体から受け取る取材費の扱い、海外取材の按分、本が売れた年の平均課税といったフリー記者ならではの論点から、おすすめの4本を比較します。
この記事のポイント
- 新聞社や通信社の社員記者として年末調整を受けているなら確定申告もアプリも原則不要だが、社外の原稿料や講演料などの所得が20万円を超えたら申告が必要
- 原稿料・講演料・テレビやラジオの出演料・書籍の印税は10.21%が源泉徴収され、雑誌など印刷物に載せる写真の報酬も対象
- 媒体から報酬と一緒に受け取る取材費は原則として報酬として源泉徴収の対象で、媒体がホテルや交通機関に直接払った通常の範囲の旅費は対象外
- 自腹の取材費は経費になり、海外取材は観光の分を除いた取材の分だけが経費
- 本が売れて所得が跳ねた年の原稿料や印税は、平均課税で税額を抑えられることがある
- 迷ったら、自腹の取材費をカードの明細から抜き出したいならタックスナップ、編集プロダクションを立ち上げて人を雇うならfreee、複数の口座をまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくりならやよいの青色申告
フリー記者に確定申告アプリは必要?
新聞社や通信社、出版社に雇われた社員記者として年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則として必要ありません。一方、独立して媒体から原稿料を受け取っている、勤めながら社外で寄稿や講演をしている、という場合は確定申告が必要になることがあります。
| 働き方 | 確定申告の目安 |
|---|---|
| 新聞社・通信社・出版社の社員記者で、年末調整あり | 原則不要(年末調整で完結) |
| 社員記者として働きながら、社外で寄稿・講演・テレビ出演をしている | 給与以外の所得が20万円を超えたら必要 |
| 独立して、新聞・雑誌・Web媒体から原稿料や写真の報酬を受け取っている | 所得が基礎控除などの合計(令和8年分の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円)を超えたら必要。源泉徴収された税金は申告で精算する |
| 古巣の新聞社や放送局と、独立後も契約を結んでいる | 雇用契約で給与をもらっていれば年末調整。業務委託で報酬をもらっていれば自分で申告 |
ここでいう所得は、受け取った報酬の総額ではなく取材の交通費や資料代などの経費を引いた金額です。所得税の申告がいらない場合も、住民税の申告は別に必要になることがあります。原稿料の源泉徴収と記帳の基本は、Webライター向けのこちらの記事で解説しています。

社員記者の社外の原稿料は20万円が目安
新聞社や通信社に勤めながら社外の雑誌に寄稿したり講演をしたりしているなら、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)。社外で受け取る原稿料や講演料は給与ではなく、雑所得として申告するのが一般的です。20万円以下でも、住民税の申告は必要です。
社外での執筆や講演、テレビへの出演は、勤め先の就業規則で届け出や許可が必要とされていることがあります。引き受ける前に確かめておきましょう。副業が勤め先に知られる仕組みは、こちらの記事で解説しています。

独立した翌年は住民税を自分で納める
住民税は前年の所得にかかるため、独立した後しばらくは、会社員だったころの所得で計算された住民税を、給与からの天引きではなく納税通知書で自分で納めることになります(総務省 個人住民税、東京都主税局 個人住民税)。収入が落ち着かない時期に会社員時代の水準の住民税が届くので、退職前から取り分けておきましょう。
1月から4月に退職した場合は、5月までの残りの住民税が、原則として最後の給与や退職金からまとめて差し引かれます。6月から12月に退職した場合も、申し出れば残りをまとめて差し引いてもらえます(e-Gov法令検索 地方税法321条の5)。退職後の住民税の納め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

青色申告65万円控除はアプリで取れる?
取れます。フリー記者として続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出しておけば、最大65万円の控除が受けられます。65万円控除には複式簿記の帳簿が必要ですが、確定申告アプリなら取引を入力するだけで自動で出来上がります。e-Taxで提出すれば控除額は55万円ではなく65万円になります。令和9年分からは、紙で提出すると控除は10万円になり、e-Taxでの提出が65万円の条件になります(財務省 令和8年度税制改正の大綱)。
税理士に頼むのとどちらがいい?
新聞・雑誌・Web媒体に寄稿し、ときどき講演やテレビの仕事を受ける程度なら、費用の面では確定申告アプリで十分です。媒体がいくつあっても、1件ずつの報酬と経費を記録していけば申告書は作れます。相場を比べてみます。
| 依頼方法 | 費用の目安(年間) |
|---|---|
| 税理士に記帳から丸ごと依頼 | 10〜20万円 |
| 税理士に申告書作成だけスポット依頼 | 5〜10万円 |
| 確定申告アプリ | 1〜3万円台 |
アプリなら年1〜3万円台で利用料は経費にできる
確定申告アプリの利用料は年間1〜3万円台で、フリー記者として申告する人は全額をその年の経費にできます。取材の交通費や資料代と同じく、仕事を回すための費用です。
税理士に頼んだほうがいいのはこんな場合
アシスタントやカメラマンに報酬を払うようになった、編集プロダクションを立ち上げた、売上が1,000万円に近づいてきた、書籍が売れて印税が大きく入ったという場合は、税理士に相談する価値があります。源泉徴収の手続きや消費税、平均課税の計算など、判断することが一気に増えるためです。
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フリー記者が確定申告アプリを選ぶ4つの基準
フリー記者のアプリ選びは、①原稿料・写真・講演・出演料と源泉徴収された税額を媒体ごとに記録できるか、②自腹の取材費をカードの明細やレシートから分けて記録できるか、③取材の移動中にスマホだけで申告まで終わるか、④受け取る取材費や海外取材・平均課税の扱いを質問できる窓口があるか、の4つで決まります。どれも「媒体ごとに報酬の種類と源泉徴収が違い、取材費を自分で負担する」というこの仕事の構造から来る基準です。

原稿料・写真・講演・出演料と源泉徴収された税額を媒体ごとに記録できるか
新聞社や出版社からの原稿料、講演料、テレビの出演料は源泉徴収されて振り込まれ、給与を払っていない個人からの依頼は満額で振り込まれます。同じ媒体からでも、原稿料と写真の報酬、取材費が1回の振込にまとまることがあります。どの媒体から、どの種類の報酬で、いくら源泉徴収されたかを分けて記録できるかが最初の基準です。
自腹の取材費をカードの明細やレシートから分けて記録できるか
取材の新幹線代やタクシー代、ホテル代、資料にする書籍や雑誌、有料データベースの利用料と、取材費は自分のカードで払うことがほとんどです。私用の買い物と同じカードで払っていると、あとから取材の分だけを探し出すのに時間がかかります。カードの明細やレシートから、取材の支出だけを分けて記録できるかを確認しましょう。
取材の移動中にスマホだけで申告まで終わるか
事件や会見で急に現場へ向かう日もあれば、地方や海外の取材で何日も家を空ける日もあります。締め切りが重なる時期ほど、帳簿のためにパソコンを開く時間は取れません。記帳から申告書の作成、e-Taxでの提出までスマホだけで終わるかを確認しましょう。
受け取る取材費や海外取材・平均課税の扱いを質問できる窓口があるか
「媒体から受け取った取材費は売上に入れる?」「海外取材のついでに観光した日の宿泊費は?」「本が売れた年は平均課税を使える?」。フリー記者の申告には、判断に迷う点が少なくありません。チャットやLINEで質問できる窓口があると、申告の直前で手が止まることを防げます。
アプリ選びでよくある失敗
よくある失敗は次の3つです。どれも「媒体ごとの報酬と源泉徴収、自腹の取材費を分けて記録できるか」を基準に選べば避けられます。
- 源泉徴収された後の振込額を売上にして、引かれた税金を申告で差し引き忘れる
- 私用と同じカードで払った取材の交通費や宿泊費を探しきれず、経費に入れ忘れる
- 海外取材のついでの観光の費用まで経費に入れてしまい、取材の分との区別を説明できない
フリー記者におすすめの確定申告アプリ4選
自腹の取材費をカードの明細から抜き出したいならタックスナップ、編集プロダクションを立ち上げて人を雇うならfreee、複数の口座やカードをまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくり進めるならやよいの青色申告が有力です。まずは最安プラン同士の比較表で全体像をつかんでください。
| アプリ名 | スマホ完結度 | レシート撮影上限(最安プラン) | カード・口座連携の自動仕訳 | 月額(最安・年払い・税抜) |
|---|---|---|---|---|
| タックスナップ | ◎ 提出まで完結 | 無制限 | ◎ 連携明細をAIが自動仕訳・スワイプで確認するだけ | 980円・無料トライアルあり |
| freee | ○ | 月5枚 | ○ 自動で経理 | 980円・無料お試しあり |
| マネーフォワード | ○ | 月15件(超過は上位プランへ) | ◎ 連携できる金融サービスが豊富 | 900円・無料トライアルあり |
| やよいの青色申告 | △ パソコン前提 | 対応(上限の公表なし) | ○ スマート取引取込 | 初年度無料あり |
自腹の取材費をカードの明細から抜き出したいならタックスナップ
タックスナップはスマホ完結に特化した確定申告アプリで、新聞社や通信社から独立して雑誌やWeb媒体に寄稿するフリー記者や、取材費を自分で負担しながら書籍の取材を続けるジャーナリストに向いています。自腹の取材費と、媒体ごとの報酬や源泉徴収された税額を1つにまとめて、取材の移動中にも申告まで進められます。
おすすめポイント
- 連携したカードの明細から、取材の交通費や宿泊費、資料代といった自腹の取材費をスワイプで事業の経費に仕分けでき、新聞社や出版社、放送局から受け取る報酬の源泉徴収税額も取引先ごとに記録して申告書にまとめられる
- 連携したカードの明細は、特許を取得した「スワイプ仕分け」(右=経費・左=プライベート)で1件ずつ切り分け=新幹線や取材先でのタクシー代も、次の取材先への移動中に片づく(出典)
- 取材先で受け取った領収書や、資料にした書籍のレシートはカメラで撮るだけ(読み取り枚数無制限・カンタンプラン以上)。「これは経費になる?」と迷ったら「みんなはどうしてる」機能で同じ職種の判断を確認できる
- スワイプと丸投げ仕分け(1,000件最短3秒・安心プラン以上)で、複式簿記の知識ゼロでも青色申告65万円控除に必要な帳簿と書類を作れる(白色申告の収支内訳書にも対応)
- マイナンバーカードがあれば、申告書の作成からe-Taxでの提出(電子申告)まですべてスマホだけで完結=地方の取材で何日も家を空ける時期でも、宿で申告を進められる
- 職種に合わせた職種特化モードで、税理士監修のAIが9割以上の精度で勘定科目を自動判定(出典)
- 消費税の申告にも最安のカンタンプランから対応=出版社や制作会社に求められてインボイス登録をし、2割特例を使う場合も同じアプリで完結できる
- 最安のカンタンプランは年払いで月980円(税抜・年額11,760円)。2026年確定申告期間の全29日間、App Storeランキング確定申告アプリ内1位(Sensor Tower)で、無料トライアルから始められる
- 24時間のAIチャットに加え、LINEで専門スタッフに相談できる(カンタンプラン以上)=「媒体から受け取った取材費は売上に入れる?」という迷いも、原稿を送った後に聞ける
- 登録者40万人超の税理士YouTuber・ヒロ税理士が監修した税務調査リスクチェックと、追徴課税時に利用料を全額返金する保証(安心プラン)
こんな人に向いている
- 新聞社や通信社から独立し、いくつもの媒体に寄稿している
- 原稿料・講演料・出演料と、源泉徴収される報酬が何種類もある
- 取材の交通費や宿泊費を、私用と同じカードで払っている
- パソコンを開く時間がなく、スマホだけで申告を終えたい
編集プロダクションを立ち上げて人を雇うならfreee
freeeは○×の質問に答える形式で申告書を作れる、初心者向けの設計が特徴の会計ソフトです。アシスタントやカメラマンを雇う、編集プロダクションを立ち上げて仲間に取材を任せる、企業の広報誌の制作を受けて請求書を出す件数が増えたなど、事業として広げたい人、将来は法人化も考えている人に向いています。
おすすめポイント
- ○×の質問に答えるだけで確定申告書を作成できる
- 請求書の発行や給与計算までシリーズでそろう
- 法人化したあとも法人向けfreee会計にデータを引き継げる
こんな人に向いている
- アシスタントを雇う、編集プロダクションを立ち上げる予定がある
- 請求書を出す取引が多い
複数の口座やカードをまとめて管理したいならマネーフォワード
マネーフォワード クラウド確定申告は、連携できる金融機関の多さが強みです。原稿料の受け取り口座、講演料や出演料が振り込まれる口座、取材費を払うカードと、お金の出入り口が多い人に向いています。
おすすめポイント
- 連携できる銀行・カード・電子マネーなど金融関連サービスが豊富
- 家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と組み合わせて家計と事業をまとめて把握できる
- レポート機能で月ごとの収支を見える化できる
こんな人に向いている
- 報酬の受け取り口座やカードが複数ある
- 生活費と取材・執筆の仕事の収支をまとめて管理したい
パソコンでじっくり進めたいならやよいの青色申告
やよいの青色申告 オンラインは、会計ソフトの老舗・弥生のクラウド版です。原稿を書くパソコンの前に座る時間が長く、帳簿や決算書を大きな画面で確認しながら進めたい人に向いています。
おすすめポイント
- セルフプランは初年度無料で始められる
- 画面の大きいパソコンで決算書までじっくり作り込める
- 老舗ならではのサポート体制(プランにより電話・チャット)
こんな人に向いている
- 帳簿や決算書はパソコンでまとめて進めたい
- まず無料で1年試したい
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フリー記者の確定申告で注意したいポイント
フリー記者の申告でつまずきやすいのは、報酬の種類ごとの源泉徴収・媒体から受け取る取材費・自腹の取材費と資料代・海外取材・カメラやパソコンの経費・個人事業税と消費税・本が売れた年の平均課税の7つです。順に整理します。
原稿料・講演料・出演料・印税は10.21%が源泉徴収される
原稿料、講演料、テレビやラジオの出演料、書籍の印税は、いずれも10.21%(同じ人に1回に払う金額が100万円を超える部分は20.42%)が源泉徴収されます(国税庁 源泉徴収のあらまし 令和8年版 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務)。雑誌や新聞など、印刷物に載せるための写真の報酬も対象です。一方、給与を払っていない個人から受け取る報酬は、源泉徴収の対象外です(国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは)。
| 報酬の種類 | 源泉徴収 | 申告での扱い |
|---|---|---|
| 原稿料・記事の監修料・掲載のための座談会やインタビューの謝礼 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算する |
| 講演料・テレビやラジオの出演料 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算する |
| 書籍の印税・記事の転載の使用料 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算する |
| 雑誌・新聞など印刷物に載せる写真の報酬 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算する |
| Webサイトにだけ載せる写真の報酬 | 扱いがはっきりしない | 支払明細で源泉所得税の欄を確認する |
| 給与を払っていない個人からの依頼 | 引かれない | 受け取った金額を売上にする |

源泉徴収された報酬は、引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で差し引きます。請求書で報酬と消費税の額を分けて書いていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよいとされています(国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき)。独立した最初の年は取材費が先に出て経費が多くなりがちなので、引かれすぎた税金が戻ってくることがあります。
Webサイトにだけ載せる写真の報酬は、法令が「印刷物に掲載するための写真」と書いているため扱いがはっきりせず、源泉徴収されないこともあります。写真の報酬は、源泉徴収されたかどうかを支払明細で1件ずつ確かめて記録しましょう。写真の仕事が多い人の経費や機材の扱いは、カメラマン向けのこちらの記事でも解説しています。

媒体から受け取る取材費は報酬として源泉徴収されることがある
媒体が報酬と一緒に記者に支払う取材費や車代は、名目が取材費でも、実態が報酬であれば報酬として源泉徴収の対象になり、記者に渡される旅費や宿泊費も原則として報酬に含まれます(国税庁 所得税基本通達204-2・204-4、国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき)。原稿料とは別の名目で振り込まれても、実態が報酬なら同じ扱いです。
一方、媒体が交通機関やホテルに直接支払った、通常必要な範囲の旅費や宿泊費は、源泉徴収しなくてよいとされています。この場合は記者の手元にお金が入らず、自分で払ってもいないので、売上にも経費にも入れないのが一般的で、入れなくても所得の金額は変わりません。
報酬と一緒に受け取った取材費は売上に含め、実際に払った交通費や宿泊費を経費にすると、支払明細に書かれた源泉徴収の額と合わせやすくなります。立て替えた取材費を後から精算してもらう形の場合は、契約や明細でどう扱われているかを確認しておきましょう。
自腹の取材費や資料代は経費にできる
取材のための交通費や宿泊費、資料にする書籍や雑誌、新聞の購読料、有料データベースの利用料、録音の文字起こしの外注費などは、経費にできます(国税庁 No.2210 必要経費の知識)。スマホやインターネット回線は、私用と兼ねていれば仕事で使う割合で按分します。

取材先との飲食代や手土産、取材に協力してくれた人への謝礼は、いつ・誰と・どの取材や記事のための支出かを記録しておくと、私的な飲食と区別して説明できます。謝礼のように領収書が出ない支払いは、出金伝票と取材メモで残しておきましょう。一方、普段の食事や私服、家族との旅行は、記事のネタが見つかったとしても原則として経費にはなりません。
定期購読している週2回以上発行の新聞は消費税8%、駅やコンビニで買う新聞や雑誌は10%です(国税庁 No.6102 軽減税率の対象となる新聞)。消費税の申告をする人は、税率ごとに分けて記録しておきましょう。
海外取材は取材の分だけを経費にする
海外取材の渡航費や宿泊費は、旅行のほぼ全期間が取材のためと認められる場合に、全額を経費にできます(国税庁 所得税基本通達37-16〜37-22)。取材のついでに観光をした場合は、取材の日数と観光の日数の比などで按分し、取材の分だけを経費にします。旅行会社が募集する団体旅行に応募した旅行や、同業者の団体が主催する観光が主な目的の団体旅行は、原則として経費になりません。
取材が主な目的で、ついでに観光をした場合は、取材地までの往復の交通費は経費にでき、それ以外の費用を按分します。家族の旅費は原則として経費になりませんが、外国語に堪能な人を通訳として臨時に頼んで同行してもらう場合などは、その費用を経費にできることがあります。取材の日程表、取材先、掲載した記事をまとめて残しておくと、取材のための渡航だったことを説明できます。
カメラは5年・パソコンは4年で分けて経費にする
カメラやパソコンは、10万円未満なら買った年の経費、10万円以上20万円未満なら3年に分けて経費にできます。一定の要件を満たす青色申告者なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものは、合計300万円まで一度に経費にできます(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。それ以上のものは、カメラは5年、パソコンは4年に分けて経費にします(e-Gov法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令)。
取材に使う車は、私用と兼ねていれば仕事で使った割合で按分します。耐用年数は普通乗用車が6年、総排気量0.66リットル以下の軽自動車が4年です。耐用年数の表には報道通信用の自動車を5年とする区分もありますが、個人の取材に使う車がこの区分に当たるかは、税務署に確認しましょう。
個人事業税は写真業や出版業に当たるかを確認する
取材と執筆だけの仕事は、個人事業税がかかる70の法定業種に「記者」「文筆業」といった名称がなく、課税されるかは都道府県が仕事の中身で判断します(東京都主税局 個人事業税)。一方、写真の報酬が大きい人は「写真業」、自費出版した本を自分で売る人は「出版業」に当たる可能性があります。どちらも第一種事業で、青色申告特別控除を差し引く前の事業の所得から、年290万円の事業主控除を差し引いた残りに税率5%がかかります。迷ったら、都道府県の税事務所に確認しましょう。
消費税の申告が必要になるのは、原則として2年前の課税売上が1,000万円を超えた年か、インボイス登録をした場合です。免税事業者がインボイス登録をして課税事業者になった場合は、令和8年分までは2割特例が使えます。令和9年分・10年分は、2年前の課税売上が1,000万円以下でインボイス登録をしている個人事業者なら3割特例が使えます。簡易課税を選ぶと、原稿料や写真の報酬、講演料、出演料、印税は、サービス業等の第五種事業(みなし仕入率50%)です(国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分)。
本が売れた年は平均課税で税額を抑えられることがある
原稿料や書籍の印税は「変動所得」に当たり、本が売れて所得が跳ねた年は、平均課税を選ぶと税額を抑えられることがあります(e-Gov法令検索 所得税法施行令7条の2)。写真の報酬や講演料、テレビやラジオの出演料は、変動所得には含まれません。
平均課税を使えるのは、その年の変動所得などが総所得金額の20%以上の場合です。対象になるのは、その年の変動所得のうち、前年と前々年の変動所得の合計の2分の1を超える部分なので、毎年同じくらい書いている人は効果が小さくなります(e-Gov法令検索 所得税法90条)。
平均課税は、申告書に適用を受ける旨を書き、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を添付した場合に限って使えます。計算書で計算した税額は、申告書の第一表に転記します(国税庁 令和7年分 確定申告の手引き 税金の計算)。原稿料・印税とそれ以外の報酬を分けて記録しておかないと計算できず、変動所得の金額は翌年以後の計算にも使います。計算書の作成に対応していない確定申告アプリもあるので、使うアプリで作れるかを事前に確認し、作れない場合は国税庁の確定申告書等作成コーナーで計算書を作りましょう。
取材の移動中に確定申告を終わらせる方法
コツは、申告期にまとめてやろうとせず、原稿を納品するたびに媒体と金額を記録し、取材の領収書はその日のうちに撮っておくことです。報酬が振り込まれたら、どの記事の分か、源泉徴収されているかを明細で確かめる。取材の交通費や資料代はカード連携で自動で取り込む。原稿料・印税とそれ以外の報酬は、種類を分けて記録しておく。これだけで、申告期には確認して提出するだけになります。
無料トライアルで口座とカードを連携してみて、原稿料の入金や取材費の支払いが自動で取り込まれるかを試してから決めるのが失敗しない選び方です。なお、自動連携やAIの仕訳結果をそのまま提出せず、最後にひととおり見直すのはどのアプリでも共通の基本です。
タックスナップは、媒体ごとの報酬と源泉徴収、自腹の取材費を1つにまとめ、申告までスマホで終えられる設計です。取材の移動中や原稿を送った後のスキマ時間だけで、申告の準備が回ります。

\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
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まとめ
フリー記者の確定申告は、「社員記者として年末調整を受けているなら不要、独立して原稿料を受け取ったら自分で申告」「原稿料・講演料・出演料・印税は源泉徴収され、引かれた税金は申告で精算する」「自腹の取材費は経費、海外取材は取材の分だけ」の3点を押さえれば怖くありません。取材メモを1件ずつ残すように、報酬と経費も1件ずつ記録していけば、申告はきちんと形になります。

よくある質問
Q. 新聞社に勤める記者も確定申告は必要ですか?
1か所に勤めて年末調整を受けているなら、原則不要です。社外で寄稿や講演をして、給与以外の所得が20万円を超えた場合は申告が必要です。
Q. フリー記者は、いくらから申告が必要ですか?
令和8年分は、所得が基礎控除の104万円などの合計を超えたら必要です。所得は、受け取った報酬から取材の交通費や資料代などの経費を引いた金額です。源泉徴収されている人は、所得が少なくても申告すれば税金が戻ることがあります。
Q. 原稿料から10.21%引かれています。戻ってきますか?
経費や控除を差し引いて計算した税額より多く引かれていれば、確定申告で戻ってきます。媒体ごとに引かれた額を記録し、支払明細を保存しておきましょう。
Q. 講演料やテレビの出演料も源泉徴収されますか?
講演料も、テレビやラジオの出演料も、10.21%が源泉徴収されます。引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は申告で精算します。
Q. Webメディアに載せた写真の報酬から税金が引かれていません。
Webサイトにだけ載せる写真の報酬は扱いがはっきりせず、源泉徴収されないことがあります。引かれていなければ受け取った金額を売上にし、気になるときは媒体に確認しましょう。
Q. 依頼されて撮ったニュース写真は、5万円以下でも源泉徴収されますか?
新聞や雑誌からあらかじめ依頼を受けて提供した写真の報酬は、5万円以下でも源泉徴収の対象です。依頼なしで提供したニュース写真の少額の謝金とは扱いが違います。
Q. 書籍の印税も源泉徴収されますか?
書籍の印税は著作権の使用料として、10.21%が源泉徴収されます。記事をほかの媒体に転載するときの使用料も同じ扱いです。
Q. 媒体から原稿料と別に取材費を受け取りました。売上になりますか?
報酬と一緒に記者に支払われる取材費は、名目にかかわらず、原則として報酬として源泉徴収の対象になります。売上に含め、実際に払った交通費や宿泊費を経費にすると、支払明細と合わせやすくなります。媒体がホテルや交通機関に直接払った旅費は、売上にも経費にも入れないのが一般的です。
Q. 取材費は経費になりますか?
取材のための交通費や宿泊費、資料代は、自分で負担した分を経費にできます。どの取材のための支出かを、日付と行き先とあわせて記録しておきましょう。
Q. 取材先との食事代は経費になりますか?
取材のための飲食で、仕事に必要だったと説明できるものは経費にできます。いつ・誰と・どの取材のためかを記録しておきましょう。自分ひとりの食事代は、原則として経費にはなりません。
Q. 新聞や雑誌の購読料は経費になりますか?
取材や執筆に使う新聞・雑誌・書籍の購読料は、経費にできます。定期購読している週2回以上発行の新聞は消費税8%、駅やコンビニで買う新聞や雑誌は10%です。
Q. 海外取材の費用は経費になりますか?
旅行のほぼ全期間が取材のためなら、渡航費や宿泊費の全額を経費にできます。観光を兼ねた場合は、取材の日数と観光の日数の比などで分けた取材の分だけが経費です。
Q. カメラは経費になりますか?
10万円未満なら買った年の経費にできます。青色申告で一定の要件を満たせば、2026年4月以後に買った40万円未満のものも一度に経費にできます。それ以上のカメラは5年に分けて経費にします。
Q. 取材に使う車は経費になりますか?
仕事で使った割合で按分すれば、ガソリン代や駐車場代、車の減価償却費を経費にできます。普通乗用車は6年、軽自動車は4年で分けて経費にします。報道通信用の自動車の区分に当たるかは、税務署に確認しましょう。
Q. 本が売れて今年だけ所得が多いです。平均課税は使えますか?
原稿料や書籍の印税は平均課税の対象になる変動所得で、条件を満たせば使えます。その年の変動所得などが総所得金額の20%以上の場合に使え、前年と前々年の変動所得の合計の2分の1を超える部分が対象です。写真の報酬や講演料、出演料は対象外です。
Q. 個人事業税はかかりますか?
取材と執筆だけの仕事は法定業種に名称がなく、課税されるかは都道府県の判断です。写真業や出版業に当たる場合は、事業の所得(青色申告特別控除を差し引く前)が年290万円を超えると税率5%がかかります。
Q. インボイス登録は必要ですか?
登録は任意ですが、出版社や制作会社から求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になります。免税事業者から登録した場合は令和8年分まで2割特例、令和9年分・10年分は2年前の課税売上が1,000万円以下なら3割特例が使えます。
Q. 扶養に入ったまま記者の仕事を続けられますか?
税金の扶養は、令和8年分は合計所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)が基準です。社会保険の扶養は年収130万円未満が目安で、事業の収入の数え方は加入している健康保険によって違います。
Q. 年の途中で新聞社を辞めて独立しました。
辞めるまでの給与と、独立してからの所得を合わせて申告します。辞めた勤め先から源泉徴収票を受け取っておきましょう。退職金は他の所得と分けて課税され、受け取るときに所得税と住民税が差し引かれるのが通常です。
Q. 開業届は出すべきですか?
フリー記者として継続して仕事をするなら、開業届を出すのが原則です。青色申告承認申請書とセットで出せば、最大65万円の特別控除が使えるようになります。

Q. 今使っている会計ソフトからデータを移行できますか?
できます。たとえばタックスナップはfreee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応しています。年初から新しいアプリで始めるか、申告前に前年分をまとめて移すのがスムーズです。



