「美容師として経験を積み、いつか自分のお店を持ちたい」「独立して理想のサロンを経営したい」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、実際に開業するとなると、「開業資金はいくら必要?」「美容師免許以外に必要な資格や届出はある?」など、気になることも多くあります。
この記事では、美容師が独立開業するために必要な資金や免許、届出、開業までの流れをわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 独立の形は自分の店・シェアサロンや面貸し・業務委託の3つ
- 自分の店を持つなら美容師免許+美容所開設届が必要
- 従業者が2人以上なら管理美容師の設置が必要
- 開業資金の目安はテナントで500〜1,500万円。シェアサロンなら数万円から
- 開業届は開業した年分の確定申告期限まで、青色申告承認申請書は1月16日以降の開業なら2か月以内
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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美容師の独立は3つの形から選ぶ
最初に決めるのは場所でなくどの形で独立するかです。ここで必要な手続きと資金が桁で変わります。
| 形態 | 初期費用の目安 | 美容所開設届 | 開業届 |
|---|---|---|---|
| 自分の店を持つ | 500〜1,500万円 | 自分が提出する | 必要 |
| シェアサロン・面貸し | 数万円から | 場所の管理者が提出しているのが前提 (自分が届出主体になるかは要確認) | 必要 |
| 業務委託(フリーランス) | 道具代のみ | 不要(店側が届出済み) | 必要 |
どの形でも開業届は必要です。業務委託の報酬は給与でなく事業の収入になるため、雇用でないなら開業届の対象です。
まずシェアサロンで始める選択もある
自分の店を持つのは固定費を先に背負う選択です。指名客がどれだけついてくるか見えないうちは、シェアサロンで売上を確かめてから店舗に移る進め方がリスクを押えられます。

自分の店を持つなら美容所開設届が必要
美容所開設届は、営業を始める前に保健所に提出して検査を受ける手続きです。主な確認項目は次のとおりで、詳細な基準は自治体の条例で定められています。
- 作業場の面積と居住部分との区画
- 消毒設備と器具の保管場所
- 給水・排水設備と換気
- 美容師の免許証と従業者の衛生管理
従業者が2人以上なら管理美容師が必要
見落とされやすいのがここです。美容の業務を行う従業者が2人以上の美容所には、管理美容師を置く必要があります。
管理美容師になるには、美容師免許を取得して一定期間の実務経験を経たうえで講習会を修了する必要があります。スタッフを雇う予定があるなら、開業前に受講の日程を確認しておいてください。
理容室の場合の違い
理容室を開く場合は理容師免許と理容所開設届になります。顔そり(シェービング)をメニューに入れるなら理容師免許が必要なので、メニューを先に確定してからどちらの届出になるかを決めます。
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美容師の独立開業資金はいくら必要?
自分の店を持つ場合の目安は500〜1,500万円です。差を作るのは坐席数とシャンプー台の本数です。
| 費目 | 目安金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 物件の初期費用 | 賃料の6〜12か月分 | 保証金・仲介手数料・前家賃 |
| 内装・造作 | 300〜900万円 | 給排水・換気・区画・床壁 |
| セット面・シャンプー台 | 50〜200万円 | 席数分。中古で押えられる |
| 器具・薬剤の初回仕入れ | 20〜60万円 | カラー剤・パーマ剤・タオル |
| 看板・外装 | 20〜60万円 | 外看板とサイン |
| 集客・IT | 10〜40万円 | 予約システム・掲載媒体・サイト |
| 運転資金 | 固定費と生活費の6か月分 | 家賃と人件費が毎月発生する |
金額は2026年7月時点の一般的な相場をもとにした目安です。美容所の基準を満たす工事が入るため、内装費が最大の項目になります。物件の状態で大きく変わるので必ず相見積もりを取ってください。
使える補助金・助成金・融資
| 制度 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫の創業向け融資 | 実績のない開業直後でも相談できる | 限度額と利率は改定されるので公庫の最新情報を確認 |
| 自治体の制度融資 | 利子や保証料の補給がある場合がある | 商工会議所の推薦が必要なことがある |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓の経費が対象で返済不要 | 原則後払い。商工会議所や商工会の支援を受けて申請 |
内装に数百万円かかる事業なので、融資を前提に資金計画を作るのが現実的です。融資の申込みでは開業届の控えを求められることもあるため、先に出しておくほうがスムーズです。
美容師の独立開業で出す届出と期限
自分の店を持つ場合は保健所・消防署・税務署の3窓口になります。
| 提出先 | 書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 保健所 | 美容所開設届 | 営業開始前に提出し検査を受ける |
| 消防署 | 防火対象物使用開始届 | 使用開始の7日前までなど自治体の定める期限 |
| 税務署 | 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 開業した年分の確定申告期限まで |
| 税務署 | 所得税の青色申告承認申請書 | その年の3月15日まで (1月16日以降の開業は開業から2か月以内) |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | スタッフを雇ってから1か月以内 |
| 労働基準監督署・ハローワーク | 労働保険の加入手続き | スタッフを雇った日から10日以内など |
開業届の提出時期は国税庁の手続案内で「開業した年分の確定申告期限まで」とされていますが、青色申告承認申請書の期限はこれより短いので先に出してしまいます。内装の投資で初年度が赤字になっても、赤字を3年繰り越せて翌年以降の黒字と相殺できます。

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自宅サロンという選択肢
店舗を借りる以外に、自宅の一部を美容所にする道もあります。固定費を抑えながら自分の店を持てる形です。
| 項目 | 自宅サロン |
|---|---|
| 初期費用の目安 | 100〜400万円(物件の初期費用が不要) |
| 美容所開設届 | 必要。店舗と同じ基準で検査を受ける |
| 満たす必要がある条件 | 居住部分との区画、消毒設備、給排水と換気 |
| 先に確認すること | 用途地域と賃貸契約の用途制限 |
| 注意点 | 自宅住所を公開するかの判断が必要になる |
普通の一室をそのまま使うことはできません。美容所の基準は自治体の条例で定まるため、自宅で開けるかは物件を決める前に管轄の保健所へ確認してください。賃貸なら契約上の用途制限も先に見ます。
美容師が独立したときの年収の目安
| 形態 | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 面貸し・シェアサロン | 300〜600万円 | 固定費がない分、売上がそのまま所得に近づく |
| 自宅サロン | 300〜700万円 | 家賃がかからないが客席数に上限がある |
| 店舗(1人サロン) | 400万円〜1,000万円超 | 家賃と内装の回収が前提になる |
金額は2026年7月時点の一般的な目安です。幅が広いのは指名客の数と客単価で決まるからで、独立すれば自動的に上がるものではありません。
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独立は1年前から準備する
美容室の開業は保健所と消防署の検査が営業開始前に入るため、逆算で動かないと間に合いません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1年前 | コンセプトと商圏を決め、自己資金を貯め始める |
| 6か月前 | 事業計画と資金計画を作る。融資の相談を始める |
| 3〜4か月前 | 物件を探す(美容所の基準を満たせるか先に確認) |
| 2か月前 | 内装工事と設備の手配。スタッフを雇うなら管理美容師の手配も |
| 1か月前 | 保健所と消防署の届出。予約サイトとSNSを用意する |
| 開業直後 | 税務署に開業届と青色申告承認申請書を出す |
このうち一番後回しにされるのが集客の準備です。指名客にいつどこで開くかを伝えられる状態を、内装工事と並行して作っておきます。
開業届と青色申告の書類を最短で提出する方法
物件・内装・保健所の検査と並行すると、後回しになりやすいのが開業届と青色申告承認申請書の提出です。内装に数百万円かける事業だからこそ、無料で済む手続きに時間を使いたくありません。
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スマホだけ・最短5分で提出まで完了
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青色申告承認申請書も同時に出せる
開業届と同じ流れで、青色申告承認申請書も一緒に作成・提出できます。最大65万円の青色申告特別控除など、節税につながるメリットも大きいので、この機会に出しておくのがおすすめです。
開業届から確定申告まで、ひとつのアプリで完結
開業届の作成・提出から、日々の会計業務、確定申告書の作成・提出まで、全てひとつのアプリで完結できます。
開業のときに入力した情報は確定申告にもそのまま引き継がれるため、二度手間になることなくスムーズに進められます。
会計業務の機能では、「スワイプ仕分け」などスマホに特化した直感的な操作が特徴で、外部の調査では他会計ソフトの約4倍の速さで経費処理ができるという結果も出ています(参考)。
2026年の確定申告期間には、大手会計ソフトも含めた確定申告アプリのApp Storeランキングで全期間1位を獲得しました。(参考)

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まとめ
美容師の独立は、どの形で独立するかを決めるところから始まります。自分の店を持つなら保健所と消防署の届出が必要で、シェアサロンなら道具代だけで始められます。
- 自分の店を持つなら美容所開設届と検査を営業開始前に済ませる
- 従業者が2人以上になるなら管理美容師の設置を見込んでおく
- 内装費が最大の項目なので必ず相見積もりを取る
- 指名客の数が見えないうちはシェアサロンで確かめる
内装と届出に時間とお金がかかる分、税務署への手続きはスマホで先に片づけてしまいましょう。
よくある質問
Q. 美容師免許だけで店を開けますか?
免許だけでは足りません。場所を美容所として届け出て、構造設備基準の検査を受ける必要があります。人と場所の両方が条件です。
Q. シェアサロンで働く場合も美容所の届出が必要ですか?
通常は場所の管理者が美容所として届出を済ませています。ただし契約の形態によっては自分が届出主体になるケースもあるため、契約前に管轄の保健所と場所の管理者に確認してください。
Q. スタッフを何人から管理美容師が必要ですか?
美容の業務を行う従業者が2人以上の美容所で必要です。受講には実務経験の要件と日程があるため、人を増やす予定があるなら早めに確認してください。
Q. 開業資金はいくらあれば足りますか?
自分の店を持つ場合は500〜1,500万円が目安です。シェアサロンや面貸しなら数万円から始められます。これに加えて固定費と生活費の6か月分を運転資金として残してください。
Q. 面貸しで働く場合は開業届が必要ですか?
必要です。面貸しや業務委託の報酬は給与でなく事業の収入になるため、雇用でないなら開業届の対象です。
Q. 店舗を借りる前に開業届を出してもいいですか?
問題ありません。開業届の住所は居所で提出でき、あとから事業所を設けたときに届出で変更できます。融資の申込みで控えを求められることもあるので、早めに出しておくほうが安全です。
Q. 内装工事の代金はその年の経費になりますか?
金額が大きいため原則として減価償却の対象になり、数年に分けて経費にします。赤字になった分は青色申告なら3年間繰り越せるので、初年度から青色申告にしておくと有利です。
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