勘定科目の売掛金について解説！仕訳例や回収管理の注意点なども要チェック

そもそも売掛金とは？

売掛金は、企業や個人事業主が商品やサービスを売ったものの、まだ代金を受け取っていない「将来受け取るべきお金」のことを指します。販売契約が成立し、品物の引き渡しやサービス提供を終えた時点で売上が計上される一方、代金の入金は後日になるケースが多く、この未回収額が売掛金として帳簿に反映されます。

将来金銭を受け取る権利

売掛金は企業にとって「受取債権」であり、貸借対照表の流動資産として扱われます。回収が早まるほどキャッシュフローが安定するため、売掛金をどう管理し、いつまでに入金させるかが企業の資金繰りの重要なポイントです。

買掛金との違いとは

買掛金は、自社が仕入れなどを行って支払い義務があるのにまだ払っていない「未払金」を指す勘定科目です。売掛金は「受け取る側」、買掛金は「支払う側」という関係で正反対にあります。

未収金との違いとは

未収金は、売掛金と同じく「まだ入金されていないお金」を示す科目ですが、本業の売上以外の取引（固定資産の売却など）から発生した債権に適用されます。売掛金が本業の売上に紐づくのに対し、未収金は営業外取引が大半です。

立替金との違いとは

立替金は、取引先や従業員などの支払いを一時的に肩代わりした場合に使う科目です。本来相手が払うべき金額を代わりに支出し、後から同額を返金してもらうという性質があるため、売掛金のように「自社が提供した商品・サービスの未回収分」とは意味合いが異なります。

前受金との違いとは

前受金は、顧客から商品やサービスを提供する前に先に受け取った代金を管理する負債科目です。受け取る権利のあるお金（売掛金）とは真逆の方向となり、貸借対照表でも負債項目として計上されます。

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売掛金の仕訳例

売掛金が発生した場合の仕訳方法

商品を掛け売りした場合、売掛金が資産として増え、同時に売上が計上されます。

（借方）売掛金　×××円

（貸方）売上高　×××円

売掛金を回収した場合の仕訳方法

取引先から入金された時は、売掛金が減り、現金や普通預金が増える形で処理します。

（借方）現金（普通預金）　×××円

（貸方）売掛金　　　　  　×××円

売掛金の一部を回収した場合の仕訳方法

一部だけ支払われた際は、その金額分だけ売掛金を減らします。

（借方）現金（普通預金）　×××円

（貸方）売掛金　　　　  　×××円

買掛金と相殺した場合の仕訳方法

お互いに支払・受取がある取引先と相殺する場合、相殺分だけ売掛金と買掛金を減らします。

（借方）買掛金　×××円

（貸方）売掛金　×××円

値引きをした場合の仕訳方法

値引き発生時、売上または売掛金を減らす仕訳を行います。

（借方）売上値引　×××円

（貸方）売掛金　　×××円

売掛金の回収ができない場合の仕訳方法

倒産や長期未回収で不良債権になった場合、貸倒損失を計上します。

（借方）貸倒損失　×××円

（貸方）売掛金　　×××円

その他

長期分割で回収するケースや、外貨建て売掛金など特殊な仕訳も存在しますが、基本的には上記と同様の流れで処理し、必要に応じて補助科目を使うことが多いです。

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売掛金の管理方法とは

売上債権の回転期間や回転率を確認する

売掛金の回転期間（売掛金が現金化されるまでの日数）が長いと、資金繰りに影響が出やすくなります。「売上債権回転率」などを定期的にチェックし、適切な与信管理を行うことが大切です。

その他

請求書の発行・督促：期日管理を徹底し、遅延が続く場合には督促状を送付

信用調査：取引先の信用状態を事前に把握し、リスクを回避する

分割回収の提案：全額が厳しければ分割払いや手形などで回収手段を確保

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売掛金の回収ができない場合の対処法

売掛金には5年の時効がある

基本的に売掛金の支払い期限は5年で時効を迎えます。請求書や内容証明を送るなどして時効を中断しないと、完全に債権が消滅してしまう可能性があります。

売掛金が切り捨てられた

取引先が倒産や民事再生手続きに入り、債権カット（減額）を求められた場合には、その分を貸倒損失として処理する場合があります。証拠書類をそろえ、税務当局の要件を満たして計上しなければなりません。

売掛金の全額が回収不能

回収不能が明らかになれば、法的に貸倒損失が認められる条件を確認し、経理上は損失として計上します。根拠書類や相手の破産手続き情報などを用意しておきましょう。

その他

回収不能リスクを下げるため、売掛金保証サービスやファクタリングなどの活用も検討するとよいでしょう。

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よくある間違いと注意点

売掛金を放置して入金確認をしない
期日に支払われたかこまめにチェックしないと、資金繰りに影響。長期未回収となると貸倒リスクが高まる。

買掛金や未収金と混同
勘定科目を正しく使い分けず、申告時に誤った計上をしてしまうケースが多い。

貸倒処理の時期を逃す
法的根拠なしに貸倒損失を計上すると税務調査で否認される。逆に貸倒可能でも書類不足で損金にできない場合もある。

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まとめ

売掛金は将来的に受け取る予定の売上代金を示す勘定科目であり、資金繰りや税務申告で重要な役割を持ちます。買掛金・未収金・立替金・前受金といった類似科目と混同しないよう、以下のポイントを押さえましょう。

売掛金：自社が商品やサービスを提供し、未入金の売上

買掛金：仕入代金など未払いの費用

未収金：売上以外（固定資産売却など）で発生した受取債権

立替金：他社や従業員に代わって立て替えた費用の回収分

前受金：将来の販売に対して先に受け取った代金

売掛金の仕訳を正しく行い、適切に回収管理をすれば、資金繰りを安定させるだけでなく、税務リスクも減らせます。最終的にはクラウド会計ソフトや専門家の助けを借りながら、確定申告や決算業務をスムーズに進めましょう。

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よくある質問

売掛金の回収ができない！どうすればいい？

まずは督促や相談を行い、それでも無理な場合は分割払いの提案や内容証明郵便による催促など、法的手段を検討します。最終的に回収不能なら、要件を満たせば貸倒損失として処理できます。

売掛金を管理する方法はある？

請求書の発行、入金チェック、残高照合などを徹底し、必要に応じて売掛金管理システムやクラウド会計ソフトの機能を使えば、回収漏れや滞納リスクを大幅に減らせます。売掛金の回転期間なども定期的にモニターしておくと良いでしょう。