この記事のポイント
- 生命保険料控除は第二表に支払保険料を記入し、第一表に控除額を転記する
- 新制度(2012年以後の契約)は一般・介護医療・個人年金の3区分で各最高4万円・合計最高12万円
- 旧制度(2011年以前の契約)は一般・個人年金の2区分で各最高5万円・合計最高10万円
- 適用には生命保険料控除証明書の添付が必要で、マイナポータル連携なら自動取得できる
- 年末調整で出し忘れた会社員も、確定申告(還付申告)でさかのぼって控除できる
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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生命保険料控除の確定申告書の書き方(第一表・第二表の記入例)
生命保険料控除は、確定申告書の第二表に支払保険料を記入し、そこで計算した控除額を第一表へ転記する流れで書きます。まず第二表で区分ごとの金額を整理し、次に第一表の所得控除欄へ控除額を移す、という順番です。
記入の材料になるのが、保険会社から届く生命保険料控除証明書です。証明書に書かれた「区分」と「申告額(12月末までの払込見込額)」を、そのまま第二表に書き写していくと迷いません。
確定申告書 第二表「生命保険料控除」欄の書き方
第二表では、支払った保険料を「新・旧」および「一般/介護医療/個人年金」の区分ごとに記入します。控除額そのものではなく、支払った保険料の額を書く欄です。
証明書には契約が新制度か旧制度か、どの区分かが明記されています。たとえば新制度の一般生命保険料が年8万円なら、第二表の「新・一般生命保険料」の欄に80,000円と記入します。複数の保険に入っている場合は、同じ区分の保険料を合算して書きます。
確定申告書 第一表「生命保険料控除」欄の書き方
第一表には、第二表の金額をもとに計算した控除額を転記します。所得から差し引かれる金額(所得控除)の「生命保険料控除」欄に、後述の計算式で求めた金額を記入するだけです。
ここで書くのは支払った保険料ではなく、計算後の控除額である点に注意してください。区分ごとの控除額を合計し、合計適用限度額(新制度なら12万円)を超えない範囲の金額を第一表に書きます。
記入例:証明書→第二表→第一表の書き写しの流れ
実際の記入は、証明書の数字を第二表に写し、計算結果を第一表に写すという2段階で進みます。新制度で一般生命保険料を年8万円支払ったケースで見てみましょう。
| ステップ | 書く場所 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1. 証明書を確認 | 生命保険料控除証明書 | 区分「新・一般」/申告額80,000円 |
| 2. 第二表に記入 | 第二表「新・一般生命保険料」欄 | 支払保険料 80,000円 |
| 3. 控除額を計算 | 計算(80,000円超なので一律) | 控除額 40,000円 |
| 4. 第一表に転記 | 第一表「生命保険料控除」欄 | 控除額 40,000円 |
このように、第二表には支払額、第一表には控除額を書き分けるのが基本です。区分が複数ある場合は、区分ごとに計算した控除額を合計してから第一表に記入します。欄の位置や様式は年分ごとに微修正されるため、記入時は国税庁の確定申告書の手引きで最新の様式もあわせて確認しておくと安心です。
生命保険料控除の控除額の計算方法|新制度と旧制度で違う
控除額は、契約した時期によって新制度と旧制度に分かれ、計算式と上限額が異なります。2012年1月1日以後に契約したものは新制度、2011年12月31日以前に契約したものは旧制度です。
証明書に「新制度」「旧制度」の表示があるので、まずそこで自分の契約がどちらかを確認しましょう。以下では区分・上限・計算式を制度ごとに整理します。
新制度(2012年1月1日以後の契約)の計算式と上限
新制度は一般・介護医療・個人年金の3区分で、それぞれ所得税の控除上限は4万円、3区分の合計で最高12万円です。年間の支払保険料を次の式に当てはめて、区分ごとに控除額を出します。
| 年間の支払保険料 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 2万円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2万円超 4万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 1万円 |
| 4万円超 8万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 2万円 |
| 8万円超 | 一律 4万円 |
出典:国税庁 No.1140 生命保険料控除。たとえば年間の支払保険料が8万円を超える区分は、一律4万円の控除になります。
旧制度(2011年12月31日以前の契約)の計算式と上限
旧制度は一般・個人年金の2区分で、介護医療の区分はありません。各区分の上限は5万円、2区分の合計で最高10万円と、新制度より1区分あたりの上限が高いのが特徴です。
| 年間の支払保険料 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 2万5,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 2万5,000円超 5万円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 1万2,500円 |
| 5万円超 10万円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 2万5,000円 |
| 10万円超 | 一律 5万円 |
出典:国税庁 No.1140。旧制度だけに加入している場合、控除額は2区分あわせて最高10万円までです。
新旧両方に加入している場合の計算
同じ区分で新契約と旧契約の両方を払っている場合は、新のみ・旧のみ・新旧合算のうち、控除額が最も大きくなる方を区分ごとに選べます。旧のみなら上限5万円、新旧合算なら上限4万円になる点に注意してください。
ただし区分ごとに有利な計算を選んでも、一般・介護医療・個人年金を合わせた全体の適用限度額は12万円を超えられません(国税庁 No.1140)。まず区分ごとに有利判定し、最後に合計12万円で頭打ちにする、と覚えておくと計算がぶれません。
新制度と旧制度の比較表
新旧の違いは、区分の数と上限額です。1枚の表にまとめると次のようになります。
| 項目 | 新制度(2012年以後) | 旧制度(2011年以前) |
|---|---|---|
| 区分 | 一般・介護医療・個人年金の3区分 | 一般・個人年金の2区分 |
| 区分ごとの上限(所得税) | 各4万円 | 各5万円 |
| 合計の適用限度額(所得税) | 12万円 | 10万円 |
| 最高控除の分岐点 | 支払保険料8万円超で一律4万円 | 支払保険料10万円超で一律5万円 |
令和8年分は子育て世帯の控除枠が6万円に拡充される
令和8年分(2026年分)に限り、23歳未満の扶養親族がいる場合、新契約の一般生命保険料控除の適用限度額が4万円から6万円に引き上げられます。介護医療・個人年金は各4万円のままで、3区分合計の上限12万円は据え置きです。
これはあくまで令和8年分だけの措置で、恒久的な変更ではありません(出典:財務省 令和7年度税制改正の大綱)。国税庁 No.1140(令和7年4月1日現在の法令)にはまだ反映されていないため、実際に適用する際は対象年分をよく確認してください。
確定申告に必要な生命保険料控除証明書と入手方法
生命保険料控除を受けるには、生命保険料控除証明書の添付(または提示)が必要です。証明書がないと第二表への記入も控除の適用もできないため、まず手元にそろえるところから始めます。
証明書は毎年10月頃から、契約している保険会社から郵送で届きます。区分・新旧・その年の申告額が記載されており、記入時はこの証明書を見ながら第二表を埋めていきます。
控除証明書のどこに何が書いてあるか
控除証明書には、申告に使う「申告額」と、契約の「区分」「新旧の別」が記載されています。第二表に書き写すのは、この申告額です。
申告額は、12月末までに払い込む見込みの保険料をもとにした金額です。証明書に「一般/介護医療/個人年金」のどれか、「新制度/旧制度」のどちらかが必ず書かれているので、その区分の欄へ金額を写します。1枚の証明書に複数の区分がまとまっている場合もあるため、区分表示を1つずつ確認しましょう。
マイナポータル連携で控除証明書データを自動取得できる
マイナポータルと連携すると、生命保険料控除証明書のデータを自動で取得して申告に取り込めます。証明書の数字を手で入力する手間が減り、書き写しの間違いも防げます。
対応している保険会社の契約であれば、e-Taxや確定申告アプリからマイナポータル連携を使って証明書データを読み込めます。連携に対応していない場合や紙の証明書しかない場合は、従来どおり証明書を見ながら金額を入力すれば問題ありません。
証明書を紛失したときの再発行
証明書をなくしたときは、契約している保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。マイページや電話、コールセンターから申し込むのが一般的です。
申告期限が近い時期は再発行に時間がかかることもあるため、見当たらないと気づいたら早めに手続きしておくと安心です。マイナポータル連携を使えば、そもそも紙の証明書を探さずにデータで取り込める場合もあります。
こんなときどうする?確定申告での生命保険料控除の注意点
生命保険料控除は、立場や状況によって扱いが少し変わります。会社員・家族分・自営業のよくあるケースを整理します。
年末調整で申告し忘れた会社員
年末調整で生命保険料控除を出し忘れた会社員でも、確定申告(還付申告)をすれば控除を受けて払い過ぎた税金を取り戻せます。還付申告は対象の年の翌年1月1日から5年間さかのぼって申告できます。
手順は、源泉徴収票と生命保険料控除証明書を用意し、確定申告書の第二表・第一表に控除を記入するだけです。年末調整をやり直す必要はなく、自分で申告すれば控除が反映されます。
家族(配偶者・子)の保険料を支払っている場合
配偶者や子を対象にした保険でも、保険料を実際に支払っている本人であれば、その人の生命保険料控除に含められます。控除を受けられるのは契約者ではなく、保険料を負担している人です。
たとえば夫が妻名義の生命保険の保険料を払っているなら、夫の確定申告で控除を受けられます。家族分の証明書も本人分と同じ区分の欄に合算して記入します。
自営業・フリーランスが申告する場合
自営業やフリーランスは年末調整がないため、生命保険料控除は確定申告で自分で記入して適用します。事業所得などと一緒に、第二表・第一表の生命保険料控除欄へ記入する流れは会社員と同じです。
スマホで完結する確定申告アプリを使えば、証明書の入力から第一表・第二表の作成、提出までを一度に進められます。事業の申告とあわせて控除も入力できるので、書類を行き来する手間を減らせます。
まとめ
生命保険料控除の確定申告は、第二表に支払保険料を区分ごとに記入し、計算した控除額を第一表へ転記するのが基本の流れです。控除額は契約時期で分かれ、新制度は各4万円・合計12万円、旧制度は各5万円・合計10万円が上限になります。
適用には生命保険料控除証明書が必要で、マイナポータル連携を使えばデータで自動取得できます。年末調整で出し忘れた会社員も、還付申告で5年間さかのぼって取り戻せるので、心当たりがあれば確定申告で申請しておきましょう。
スマホで確定申告するならタックスナップ
証明書の数字を第二表に書き写し、計算した控除額を第一表に転記する作業は、区分が多いほど間違えやすくなってしまいます。手計算や転記のミスをなくしたいなら、スマホひとつで完結する確定申告アプリが便利です。
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よくある質問
Q. 確定申告で生命保険の控除はどの欄に記入する?
確定申告書の第二表「生命保険料控除」欄に支払保険料を区分ごとに記入し、計算した控除額を第一表の「生命保険料控除」欄に転記します。第二表には支払額、第一表には控除額を書き分けるのがポイントです。
Q. 生命保険料控除は全部書かなくてもいい?
控除額が上限に達すると、それ以上保険料を記入しても控除額は増えません。ただし記入を省略してよいかは様式や状況によるため、証明書が届いた保険は原則すべて区分ごとに記入しておくのが確実です。
Q. 生命保険料控除でいくら戻ってくる?
戻る金額は控除額に自分の所得税率を掛けたおおよその額です。新制度なら控除額は最大12万円なので、税率が高い人ほど還付される金額も大きくなります。控除額そのものと還付額は別物である点に注意してください。
Q. 年末調整で出し忘れた生命保険料控除は確定申告できる?
できます。年末調整で申告し忘れても、確定申告(還付申告)をすれば控除を受けられ、払い過ぎた税金が戻ります。還付申告は対象の年の翌年から5年間さかのぼって手続きできます。
Q. 確定申告に生命保険料控除証明書の添付は必要?
必要です。生命保険料控除を受けるには、保険会社から届く控除証明書の添付または提示が求められます。マイナポータル連携を使えば、証明書データを自動取得して添付の手間を省ける場合があります。
Q. 生命保険料控除の申告もスマホだけでできる?
できます。スマホで完結する確定申告アプリを使えば、控除証明書の入力から第一表・第二表の作成、提出までスマホひとつで進められます。控除のみの還付申告なら、タックスナップの無料プランでも対応できます。
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