日本で個人事業主(自営業)として働きたいと考える外国人の方は多いでしょう。しかし在留資格の問題やビジネス上の手続きなど、何から始めればいいのか悩む方もいるかもしれません。本記事では、外国人が日本で開業するための基本情報や在留資格、開業届の書き方、注意すべき点を丁寧にまとめました。これを読めば、スムーズに手続きに取り組めるはずです。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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外国人が日本で個人事業主として働くために必要な在留資格
「経営・管理」ビザをはじめ、対象となる資格と取得の要件を確認しよう
外国人が日本で事業を営む場合、在留資格(ビザ)が最も重要な要素になります。とりわけ、個人事業主として活動するには「経営・管理」ビザが代表的です。この在留資格を取得すると、日本で会社を設立または個人事業を営むことが可能になります。ただし、事業計画書や出資金など、取得するための要件はしっかりと満たす必要があります。具体的には、事業の実態があること、運営資金として一定額(通常500万円以上)が確保されていることなどが挙げられます。
また「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)などのビザを持っている場合でも、その資格の範囲内で業務を行うなら自営業も一部可能なケースがあります。すでに日本で就労ビザを持つ外国人が副業として個人事業を始めようとするなら、資格外活動に当たるかどうかを慎重に確認しなければなりません。違反すると在留資格を失うリスクがあるため注意が必要です。
近年では「スタートアップビザ」と呼ばれる特例制度を設ける自治体も増えてきました。これは外国人の起業家を誘致するため、通常の在留資格よりも緩和された要件で一時的に「経営・管理」ビザを取得できるという仕組みです。対象の自治体にビジネスプランを提出して認定を受けることで、半年から1年程度の猶予期間を確保しつつ事業準備が進められるメリットがあります。こうした制度を上手に利用して、外国人起業家としてのスタートを切ることが可能です。
結果として、外国人が個人事業主として活動するには適切な在留資格の取得が必須となります。自分の計画する事業内容や投資額、事業の継続可能性などをしっかり固めたうえで、ビザ申請に必要な書類や要件をまとめ、スムーズにビジネスを始められるよう備えることが大切です

外国人が個人事業を始める際の開業届と手続きのポイント
在留資格と併せて税務署への届け出も忘れずに 行政手続きの流れを理解しよう
在留資格が整ったら、続いて税務面の手続きも進める必要があります。個人事業主として事業を開始した場合、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出しなければいけません。売上の有無にかかわらず、事業を開始した段階で事実上の開業とみなされるため、速やかに手続きを行うことが望ましいです。
開業届を提出するメリットとしては、青色申告を利用できるようになる点が挙げられます。青色申告をすることで、最大65万円の特別控除や赤字の繰越制度など、税務上のメリットを享受できます。もし初年度の売上が少なくとも、赤字を繰り越すことで将来の課税所得を抑えられる可能性があり、長期的に見れば大きな節税効果を得ることも可能です。外国人だからといって青色申告ができないわけではなく、要件を満たせば通常の日本人と同じように制度を活用できます。
開業届の書き方に関しては、職業や屋号をどう記載するかがポイントです。外国人であっても日本語で提出するのが原則となるため、屋号(事業名)も漢字やカタカナ、アルファベットなどを使って表記しましょう。また、起業する業種によっては別途許認可や届出が必要な場合もあるため、自分の事業が属する業界のルールを確認することが大切です。
さらに、銀行口座を開設する場合やビザの更新申請で事業の実態を示す際にも、開業届は重要な証明材料として機能します。もし届出を行わず非公式に活動を続けていると、資金調達やビザ更新で不利になるだけでなく、将来的な税務リスクも高まるかもしれません。結果的に、早めの段階で開業届を提出するのが望ましいでしょう。

外国人が個人事業主として働く際の注意点
日本語や文化、法的知識など複数のハードルに注意 確定申告や契約の点検も怠れない
外国人が日本で個人事業を営む場合、在留資格や税務面以外にもいくつか注意すべき点があります。
- 言語と文化への適応
日本語でのコミュニケーションが十分でないと、顧客や取引先との意思疎通に支障が生じる可能性が高いです。ビジネスメールや契約書の文言など、正確な理解とやり取りが求められる場面は多いため、通訳者を雇うか自身の日本語力を向上させるなどの対策が必要です。 - 事業内容によっては追加の許認可が必要
飲食店や不動産関連など、業種によっては日本で事業許可や登録が求められます。外国人だからといって免除されるわけではありません。むしろ在留資格との整合性など追加の書類が必要になる場合もあるため、事前に確認しましょう。 - 契約トラブルへの備え
取引相手との契約は日本語で行われるケースが大半です。意味を取り違えたまま捺印すると後で不利な条件を背負うリスクが生じるため、契約書の内容を理解するまでよく時間をかけたり、専門家に相談したりする習慣を持つことが大切です。 - 税務や労務管理を怠らない
日本の税制や労務管理のルールは外国人にとって難解に感じられるかもしれません。とはいえ、個人事業主としての義務を果たさないと罰則やビザへの影響もあり得ます。会計ソフトの活用や専門家への依頼などを通じて、こまめに処理を行いましょう。
このように、外国人が日本で個人事業主となるには、在留資格だけでなく複雑な手続きや言語的なハードルが待ち構えています。しかし、逆に言えば日本の市場で事業を展開するチャンスは大きく、国際的な感覚や言語力を活かせば大きな成功を収める可能性があります。しっかりと注意点を把握しながら、長期的な事業計画を立案して実行に移すことが重要です。

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まとめ
外国人が日本で個人事業主として活動する際は、在留資格の確保や開業届の提出、確定申告など多くの手続きと理解が必要になります。特に「経営・管理」ビザの取得は起業・事業活動の基本要件であり、資金の証明や事業計画書が求められるため、早めの準備が重要です。加えて、開業届や青色申告の活用によって、将来の節税効果や資金調達面でのメリットを得られることも大きな魅力となります。
もちろん日本語や文化、契約実務などの面ではハードルがありますが、事前に情報を収集し、必要に応じて専門家を頼ることで、スムーズに事業を立ち上げられるでしょう。国際的な経験や多言語スキルを活かしたビジネスモデルなら、日本市場で強い存在感を示すことも十分可能です。正しい手続きと入念な準備で、充実した事業活動を送ってください。
タックスナップは、簡単さと安心感を兼ね備え、フリーランスや個人事業主の経理・確定申告をサポートする強力な会計ツールです。スワイプで手軽に取引を仕分けし、自動仕分けで更に効率を追求。税務調査リスクチェックで安心感を高め、スマホ一台で提出まで完結できる便利さで、経理のストレスを大幅に軽減します。他会計ソフトからの乗り換えも簡単なので、今すぐ試してみる価値があります。
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よくある質問
Q1: 「経営・管理」ビザを取得せずに、他の在留資格で個人事業をすることは可能ですか?
一部の在留資格(永住者、配偶者ビザなど)を持つ場合は、制限なく働けるケースもあります。一方、「技術・人文知識・国際業務」など特定の在留資格では、認められる活動範囲が限定されることが多く、個人事業主として働くのは難しい場合があります。具体的には入国管理局や専門家に相談するのがおすすめです。
Q2: 日本語が得意でなくても、開業届や確定申告の手続きは自分で行えますか?
可能ですが、日本語での書類作成が必要な場面が多いため、トラブルなく進めたい場合は行政書士や税理士、翻訳家などのサポートを受けると安心です。法的文書や税務書類は専門用語が多く、ミスがあると処理が大変になるため慎重に対応しましょう。
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