月末から月初にかけて、顧問先の会社から顧問料が次々と振り込まれる。ある会社からは10.21%の源泉徴収を引かれた金額が、障害年金の請求を手伝った個人のお客さんからは満額が入る。6月から7月は年度更新と算定基礎届の手続きで手いっぱいになり、自分の帳簿は後回し。社会保険労務士(社労士)のお金は、顧問先ごとに入り方が違い、しかも毎月続きます。
確定申告アプリ(会計ソフト)選びは、顧問先ごとの顧問料と控除なしで引かれる10.21%の源泉徴収、登録費用や社労士会の会費を、手続きの合間に記録して申告まで終えられるかで決まります。この記事では、源泉徴収される顧問先とされない依頼主の見分け方、届かないことがある支払調書、12月分の顧問料や助成金の成功報酬を売上にする時期といった社労士ならではの論点から、おすすめの4本を比較します。
この記事のポイント
- 社労士事務所や企業に勤める勤務社労士で、勤め先の年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則不要(開業登録をして他社の仕事を受け、給与以外の所得が20万円を超えると自分で申告する)
- 法人や従業員を雇う個人事業主の顧問先からの報酬は10.21%が源泉徴収され(司法書士のような1回1万円の控除はない)、年金の請求を頼む個人からの報酬は源泉徴収されない
- 支払調書は届くとは限らないので、請求書と入金明細から顧問先ごとの源泉徴収を自分で集計する
- 12月分の顧問料は1月に入金されても12月の売上で、助成金の成功報酬は契約で報酬が確定する時点を確かめる
- 登録免許税や登録手数料、社労士会の年会費は経費で、20万円未満の入会金は数年に分ける費用に当たる場合でも払った年に全額を経費にできる
- 迷ったら、顧問料から引かれた源泉徴収を、顧問先ごとに毎月書き入れたいならタックスナップ、事務職員を雇って事務所を広げるならfreee、複数の口座をまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくりならやよいの青色申告
社会保険労務士に確定申告アプリは必要?
社労士事務所や企業に勤める勤務社労士で、勤め先で年末調整を受けているなら、確定申告もアプリも原則として必要ありません。一方、開業登録をして顧問先を持っている、勤めながら副業で他社の手続きを受けている、という場合は確定申告が必要になることがあります。
| 働き方 | 確定申告の目安 |
|---|---|
| 勤務社労士として社労士事務所や企業に勤め、年末調整あり | 原則不要(年末調整で完結) |
| 勤めながら開業登録をして、副業で手続きや相談を受けている | 給与以外の所得が20万円を超えたら必要。源泉徴収された税金は申告すれば戻ることがある |
| 自宅や事務所で開業し、顧問先から報酬を受け取っている | 所得が基礎控除などの合計(令和8年分の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円)を超えたら必要。源泉徴収された税金は申告で精算する |
| 年金相談員や資格学校の講師として報酬を受け取っている | 雇用契約で給与をもらっていれば年末調整。業務委託で報酬をもらっていれば自分で申告 |
ここでいう所得は、受け取った報酬の総額ではなく社労士会の会費や業務ソフト代などの経費を引いた金額です。所得税の申告がいらない場合も、住民税の申告は別に必要になることがあります。社労士の登録をせずに、人事や組織のコンサルティングとして仕事を受けている人の申告は、こちらの記事で解説しています。

副業で他社の手続きを受けるなら開業登録が必要
勤務社労士が副業で他社の手続きや就業規則の作成を報酬を得て受けるなら、事務所を定めて開業の登録を受けることが前提です(e-Gov法令検索 社会保険労務士法14条の2)。勤務の登録は勤め先の事業所で仕事をするためのもので、他社から報酬を得て手続きを代わる登録ではありません。勤務の登録と開業の登録を同時に持てるか、勤め先の承諾が要るかは、所属する予定の都道府県の社労士会に確認しましょう。
開業の登録をすると事務所は1か所に限られ(同法18条)、自宅で開業すれば自宅が登録上の事務所になります。また、開業した社労士は、依頼を受けた年月日や依頼者の氏名、受けた報酬の額を業務の帳簿に書き、2年間保存する義務があります(同法19条)。この帳簿は確定申告の帳簿とは別のものですが、顧問先ごとの報酬と源泉徴収を突き合わせる材料になります。会社員のまま開業する手順と届出は、こちらの記事でまとめています。

青色申告65万円控除はアプリで取れる?
取れます。社労士として開業を続けるなら、開業届と青色申告承認申請書を出しておけば、最大65万円の控除が受けられます。65万円控除には複式簿記の帳簿が必要ですが、確定申告アプリなら取引を入力するだけで自動で出来上がります。e-Taxで提出すれば控除額は55万円ではなく65万円になります。令和9年分からは、紙で提出すると控除は10万円になり、e-Taxでの提出が65万円の条件になります(財務省 令和8年度税制改正の大綱)。
税理士に頼むのとどちらがいい?
自宅や小さな事務所で、顧問先を一人で回している程度なら、費用の面では確定申告アプリで十分です。顧問先がいくつあっても、毎月の顧問料と経費を1件ずつ記録していけば申告書は作れます。相場を比べてみます。
| 依頼方法 | 費用の目安(年間) |
|---|---|
| 税理士に記帳から丸ごと依頼 | 10〜20万円 |
| 税理士に申告書作成だけスポット依頼 | 5〜10万円 |
| 確定申告アプリ | 1〜3万円台 |
アプリなら年1〜3万円台で利用料は経費にできる
確定申告アプリの利用料は年間1〜3万円台で、開業した社労士として申告する人は全額をその年の経費にできます。業務ソフトや電子申請の環境と同じく、事務所を回すための費用です。
税理士に頼んだほうがいいのはこんな場合
事務職員を雇った、社労士法人の設立を考えている、売上が1,000万円に近づいてきた、助成金の成功報酬など年をまたぐ大きな案件が増えたという場合は、税理士に相談する価値があります。給与の源泉徴収や消費税の計算、売上にする時期の判断など、手続きが一気に増えるためです。
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社会保険労務士が確定申告アプリを選ぶ4つの基準
社労士のアプリ選びは、①顧問先ごとの顧問料と、源泉徴収された税額を毎月記録できるか、②12月分の顧問料やスポットの報酬を、仕事をした年の売上として記録しておけるか、③顧問先の手続きの合間に、スマホだけで申告まで終わるか、④登録費用や会費、自宅事務所の扱いを質問できる窓口があるか、の4つで決まります。どれも「顧問先ごとに入金の形が違い、毎月の顧問料と年をまたぐ報酬が混ざる」というこの仕事の構造から来る基準です。

顧問先ごとの顧問料と、源泉徴収された税額を毎月記録できるか
法人の顧問先からの顧問料は10.21%を源泉徴収されて振り込まれ、年金の請求を頼む個人のお客さんからの報酬は満額で振り込まれます。顧問料は毎月続くので、顧問先が10社あれば源泉徴収の記録も年に120件になります。どの顧問先から、いくら源泉徴収されたかを毎月分けて記録できるかが最初の基準です。引かれた税金を申告で正しく差し引けば、払いすぎた分が戻ってくることがあります。
12月分の顧問料やスポットの報酬を、仕事をした年の売上として記録しておけるか
顧問料を翌月に払う顧問先では、12月分が年明けに入金されます。就業規則の作成や助成金の申請のようなスポットの仕事も、終えてから入金まで間が空きます。入金を待たずに、仕事をした時点で売上として記録しておけるかを確認しましょう。
顧問先の手続きの合間に、スマホだけで申告まで終わるか
6月から7月は労働保険の年度更新と社会保険の算定基礎届が重なり、顧問先の手続きで1日が埋まります。年金相談や資格学校の講師を掛け持ちする人は、事務所の机に向かう時間がさらに限られます。記帳から申告書の作成、e-Taxでの提出までスマホだけで終わるかを確認しましょう。
登録費用や会費、自宅事務所の扱いを質問できる窓口があるか
「社労士会の入会金は一度に経費にできる?」「自宅の一室を事務所にした家賃は?」「年金の請求の報酬から税金が引かれていないけれど大丈夫?」。社労士の申告には、判断に迷う点が少なくありません。チャットやLINEで質問できる窓口があると、申告の直前で手が止まることを防げます。
アプリ選びでよくある失敗
よくある失敗は次の3つです。どれも「顧問先ごとの顧問料と源泉徴収を、仕事をした年の売上として記録しておけるか」を基準に選べば避けられます。
- 源泉徴収された後の入金額を売上にして、引かれた税金を申告で差し引き忘れる
- 支払調書が届いた顧問先の分だけ源泉徴収を入れ、届かなかった顧問先の分を取りこぼす
- 年明けに振り込まれた12月分の顧問料を、翌年の売上に入れてしまう
社会保険労務士におすすめの確定申告アプリ4選
顧問料から引かれた源泉徴収を、顧問先ごとに毎月書き入れたいならタックスナップ、事務職員を雇って事務所を広げるならfreee、複数の口座やカードをまとめて管理するならマネーフォワード、パソコンでじっくり進めるならやよいの青色申告が有力です。まずは最安プラン同士の比較表で全体像をつかんでください。
| アプリ名 | スマホ完結度 | レシート撮影上限(最安プラン) | カード・口座連携の自動仕訳 | 月額(最安・年払い・税抜) |
|---|---|---|---|---|
| タックスナップ | ◎ 提出まで完結 | 無制限 | ◎ 連携明細をAIが自動仕訳・スワイプで確認するだけ | 980円・無料トライアルあり |
| freee | ○ | 月5枚 | ○ 自動で経理 | 980円・無料お試しあり |
| マネーフォワード | ○ | 月15件(超過は上位プランへ) | ◎ 連携できる金融サービスが豊富 | 900円・無料トライアルあり |
| やよいの青色申告 | △ パソコン前提 | 対応(上限の公表なし) | ○ スマート取引取込 | 初年度無料あり |
顧問料から引かれた源泉徴収を、顧問先ごとに毎月書き入れたいならタックスナップ
タックスナップはスマホ完結に特化した確定申告アプリで、自宅で開業して顧問先を少しずつ増やしている社労士や、勤めながら副業で開業登録をした社労士に向いています。顧問先ごとの顧問料と源泉徴収された税額、会費や交通費の支払いを1つにまとめて、手続きの合間にも申告まで進められます。
おすすめポイント
- 連携した口座の入金から、法人や個人事業主の顧問先、年金の請求を頼んだ個人からの報酬をスワイプで事業の売上に仕分けでき、源泉徴収された税額も顧問先ごとに記録して申告書にまとめられる
- 連携したカードの明細は、特許を取得した「スワイプ仕分け」(右=経費・左=プライベート)で1件ずつ切り分け=社労士会の年会費や実務書の通販も、顧問先へ向かう電車で片づく(出典)
- 名刺や事務用品、顧問先への交通費のレシートはカメラで撮るだけ(読み取り枚数無制限・カンタンプラン以上)。「これは経費になる?」と迷ったら「みんなはどうしてる」機能で同じ職種の判断を確認できる
- スワイプと丸投げ仕分け(1,000件最短3秒・安心プラン以上)で、複式簿記の知識ゼロでも青色申告65万円控除に必要な帳簿と書類を作れる(白色申告の収支内訳書にも対応)
- マイナンバーカードがあれば、申告書の作成からe-Taxでの提出(電子申告)まですべてスマホだけで完結=顧問先の電子申請はパソコンで、自分の申告はスマホで、と分けて進められる
- 職種に合わせた職種特化モードで、税理士監修のAIが9割以上の精度で勘定科目を自動判定(出典)
- 消費税の申告にも最安のカンタンプランから対応=法人の顧問先に求められてインボイス登録をし、2割特例を使う場合も同じアプリで完結できる
- 最安のカンタンプランは年払いで月980円(税抜・年額11,760円)。2026年確定申告期間の全29日間、App Storeランキング確定申告アプリ内1位(Sensor Tower)で、無料トライアルから始められる
- 24時間のAIチャットに加え、LINEで専門スタッフに相談できる(カンタンプラン以上)=「社労士会の入会金は経費になる?」という迷いも、顧問先の訪問の後に聞ける
- 登録者40万人超の税理士YouTuber・ヒロ税理士が監修した税務調査リスクチェックと、追徴課税時に利用料を全額返金する保証(安心プラン)
こんな人に向いている
- 法人の顧問先と、年金の請求を頼む個人の依頼主が混ざっている
- 毎月の顧問料から、顧問先ごとに源泉徴収されている
- 自宅の一室を事務所にして開業登録をした
- 書類作りはパソコンでも、帳簿と申告はスマホで済ませたい
事務職員を雇って事務所を広げるならfreee
freeeは○×の質問に答える形式で申告書を作れる、初心者向けの設計が特徴の会計ソフトです。事務職員を雇う、顧問先が増えて請求書を出す件数が増えた、社労士法人の設立を考えているなど、事業として広げたい人、将来は法人化も考えている人に向いています。
おすすめポイント
- ○×の質問に答えるだけで確定申告書を作成できる
- 請求書の発行や給与計算までシリーズでそろう
- 法人化したあとも法人向けfreee会計にデータを引き継げる
こんな人に向いている
- 事務職員を雇う、社労士法人を設立する予定がある
- 請求書を出す取引が多い
複数の口座やカードをまとめて管理したいならマネーフォワード
マネーフォワード クラウド確定申告は、連携できる金融機関の多さが強みです。勤め先の給与の振込口座、顧問料の受け取り口座、会費や業務ソフトの支払いに使うカードと、お金の出入り口が多い人に向いています。
おすすめポイント
- 連携できる銀行・カード・電子マネーなど金融関連サービスが豊富
- 家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と組み合わせて家計と事業をまとめて把握できる
- レポート機能で月ごとの収支を見える化できる
こんな人に向いている
- 顧問料の受け取り口座やカードが複数ある
- 生活費と社労士の仕事の収支をまとめて管理したい
パソコンでじっくり進めたいならやよいの青色申告
やよいの青色申告 オンラインは、会計ソフトの老舗・弥生のクラウド版です。電子申請や書類作りでパソコンに向かう時間が長く、帳簿や決算書も大きな画面で確認しながら進めたい人に向いています。
おすすめポイント
- セルフプランは初年度無料で始められる
- 画面の大きいパソコンで決算書までじっくり作り込める
- 老舗ならではのサポート体制(プランにより電話・チャット)
こんな人に向いている
- 帳簿や決算書はパソコンでまとめて進めたい
- まず無料で1年試したい
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社会保険労務士の確定申告で注意したいポイント
社労士の申告でつまずきやすいのは、顧問先ごとの源泉徴収・届かない支払調書・顧問料と成功報酬の売上の時期・登録費用と会費・自宅事務所と設備・個人事業税と消費税・副業の開業と赤字の7つです。順に整理します。
源泉徴収は顧問先で決まり1万円の控除はない
社労士の報酬は、法人や、従業員や家族に給与を払っている個人事業主から受け取ると、10.21%(1回に100万円を超える部分は20.42%)が源泉徴収されます(国税庁 源泉徴収のあらまし 令和8年版 第5章)。司法書士や土地家屋調査士は1回の報酬から1万円を差し引いて源泉徴収されますが、社労士にはこの控除がなく、報酬の全額が対象です。一方、給与を払っていない個人が支払う報酬は、源泉徴収の対象外です(国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは)。
| 支払う相手 | 源泉徴収 | 申告での扱い |
|---|---|---|
| 法人の顧問先 | 10.21%が引かれる(1万円の控除はない) | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で精算する |
| 従業員に給与を払っている個人事業主の顧問先 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で精算する |
| 年金の請求などを頼む個人(給与を払っていない) | 引かれない | 受け取った金額を売上にする |
| 企業や資格学校から受け取る講師料・原稿料 | 10.21%が引かれる | 引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で精算する |

請求書で報酬と消費税の額をはっきり分けて書いていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよいことになっています(国税庁 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金)。たとえば顧問料3万円に消費税3,000円を分けて請求すると、源泉徴収は3,063円で、入金は29,937円です。分けて書かなければ、消費税を含めた33,000円が対象になります。
源泉徴収された報酬は、引かれる前の金額を売上にし、引かれた税金は確定申告で差し引きます。開業したての年は経費が多く、引かれすぎた税金が戻ってくることがあります。源泉徴収された報酬の記帳のしかたは、こちらの記事で解説しています。

支払調書は届くとは限らない
支払調書は報酬を払った側が税務署に出す書類で、受け取る社労士に渡すことを義務づけた決まりはありません(e-Gov法令検索 所得税法施行規則84条)。年明けに送ってくれる顧問先もあれば、何も届かない顧問先もあります。確定申告書の源泉徴収税額の欄に書くのは、届いた支払調書の合計ではなく、その年に実際に引かれた税額の合計です。
届いた分だけを足すと、届かなかった顧問先の源泉徴収を書き漏らし、その分の税金を取り戻せなくなります。毎月の請求書に書いた報酬・消費税・源泉徴収の額と、通帳の入金額を顧問先ごとに突き合わせておけば、支払調書がなくても1年分を自分で集計できます。支払調書の金額は消費税や源泉徴収の書き方によって入金額とそのままは一致しないので、届いたら自分の集計と照らし合わせましょう。
12月分の顧問料は12月の売上・成功報酬は契約を確かめる
毎月の顧問料は、入金された日ではなく、顧問をした月の売上で、12月分が翌年1月に振り込まれても12月の売上に入れます(国税庁 所得税基本通達36-8)。手続きの代行や就業規則の作成のようなスポットの仕事は、その仕事を終えた日の売上です。年末の時点で振り込まれていない報酬も、その年の売上に入れます。
助成金の申請の成功報酬は、契約で報酬が確定する時点によって売上にする年が変わりえます。契約で報酬が確定する時点を確かめ、年をまたぐ場合は税理士か税務署に確認しましょう。支給決定の通知は社労士ではなく事業主に直接届くので(厚生労働省 雇用関係助成金支給要領)、顧問先からの連絡を待つうちに年が明けることもあります。
助成金の不正受給に関与した社労士は、関与した額(延滞金と2割に相当する額を含む)を事業主と連帯して返還する義務を負い、5年間は申請を受け付けてもらえず、氏名や事業所名も公表されます(厚生労働省 雇用関係助成金の不正受給について)。成功報酬を受け取る案件ほど、申請書類の写しを事業主に渡し、自分でも控えを残しておきましょう。
登録費用と社労士会の会費は経費になる
登録のときに払う登録免許税30,000円と登録手数料30,000円は全国一律で、事業のための費用として経費にできます(全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について)。都道府県の社労士会の入会金と年会費は会によって違い、たとえば東京都社会保険労務士会では、開業会員の入会金が50,000円、年会費が96,000円です(東京都社会保険労務士会 登録・入会について)。
毎年の年会費や研修費、賠償責任保険の保険料は、払った年の経費です。社労士会の入会金は、効果が1年以上に及ぶ費用(繰延資産)として数年に分けて経費にするのが原則ですが、20万円未満なら、払った年に全額を経費にできます(国税庁 所得税基本通達2-29の4・e-Gov法令検索 所得税法施行令139条の2)。開業の準備中に払った登録費用や名刺代は、「開業費」として経費にする年を選べる場合もあります。
費用ごとの扱いを整理すると、次のとおりです。
- 払った年の経費:登録免許税、登録手数料、社労士会の年会費、賠償責任保険の保険料、実務書や研修費
- 20万円未満なら払った年に全額:社労士会の入会金
- 経費にならない:住まいだけで使う部分の家賃、普段も着るスーツ、私的な飲み会

勤務社労士として登録している人の会費は、勤め先が負担することもあります。自分で払っても、給与からは自動的に給与所得控除が差し引かれるので、原則として経費という考え方はありません。開業費の範囲と記帳のしかたは、こちらの記事で解説しています。

自宅事務所の家賃は仕事で使う割合で分ける
自宅の一室を事務所にしているなら、家賃や光熱費、インターネット代は、仕事で使う部分をはっきり分けられる範囲で経費にできます(国税庁 所得税基本通達45-2)。開業した社労士の事務所は1か所に限られるので、登録した部屋の広さを按分の根拠として残しておきましょう。たとえば70㎡の住まいのうち14㎡の部屋を事務所にしているなら、家賃の20%が目安です。
電子申請に使うパソコンやスキャナー、複合機、業務ソフトの利用料、実務書は経費にできます。10万円未満なら買った年の経費、10万円以上20万円未満なら3年に分けて経費にできます。一定の要件を満たす青色申告者なら、2026年4月以後に買った40万円未満のものは、合計300万円まで一度に経費にできます(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。それ以上のパソコンは4年に分けて経費にします。
個人事業税は社会保険労務士業で5%・消費税は第五種
社会保険労務士業は個人事業税の第三種事業に当たり、事業の所得から年290万円の事業主控除を差し引いた残りに税率5%がかかります(東京都主税局 個人事業税)。個人事業税の計算では所得税の青色申告特別控除を差し引けないので、所得税の申告書の所得をそのまま当てはめると少なく見積もってしまいます。講師料や執筆料など社労士業以外の収入の扱いは、都道府県が仕事の中身で判断します。
消費税の申告が必要になるのは、原則として2年前の課税売上が1,000万円を超えた年か、インボイス登録をした場合です。法人の顧問先から登録を求められて登録した場合は、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は2年前の課税売上が1,000万円以下なら3割特例が使えます。簡易課税を選ぶと、社労士の仕事は第五種事業(みなし仕入率50%)です(国税庁 No.6509 簡易課税制度の事業区分)。
副業の開業は20万円と住民税・赤字の扱いを確認する
勤めながら副業で開業し、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要です。顧問料から源泉徴収されている人は、20万円以下でも申告すれば税金が戻ることがあります。勤め先の就業規則で副業が認められているかも、事前に確かめておきましょう。
副業の社労士業の赤字を給与と差し引きできるのは、事業所得と認められる場合だけで、雑所得の赤字は給与と差し引きできません(国税庁 No.1500 雑所得)。帳簿を保存していない場合は、収入が300万円を超えて事業と認められる事実があるときを除き、雑所得になります(国税庁 所得税基本通達35-2)。登録費用や会費で赤字が続く年こそ、帳簿と顧問先ごとの記録、営業の記録を残しておきましょう。
家族の扶養に入っている人は、税金の扶養は令和8年分は合計所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)が基準です(国税庁 No.1180 扶養控除・No.1191 配偶者控除・財務省 令和8年度税制改正の大綱)。社会保険の扶養は年収130万円未満が目安で、事業の収入をどう数えるかは加入している健康保険によって違います。
手続きの合間に確定申告を終わらせる方法
コツは、申告期にまとめてやろうとせず、毎月の顧問料が入金されるたびに、顧問先と引かれた源泉徴収の額を記録しておくことです。月末に請求書と入金を突き合わせる。会費や業務ソフトの支払いはカード連携で自動で取り込む。年度更新が始まる前に5月までの分を片づけ、年末にはまだ入金されていない12月分を書き出しておく。これだけで、申告期には確認して提出するだけになります。
無料トライアルで口座とカードを連携してみて、顧問料の入金や会費の支払いが自動で取り込まれるかを試してから決めるのが失敗しない選び方です。なお、自動連携やAIの仕訳結果をそのまま提出せず、最後にひととおり見直すのはどのアプリでも共通の基本です。
タックスナップは、顧問先ごとの顧問料と源泉徴収、会費や業務ソフトの支払いを1つにまとめ、申告までスマホで終えられる設計です。顧問先へ向かう移動中や手続きの待ち時間のスキマ時間だけで、申告の準備が回ります。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
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まとめ
社労士の確定申告は、「勤務社労士で年末調整を受けているなら不要、開業登録をして報酬を受け、所得が申告の基準を超えたら自分で申告する」「源泉徴収は顧問先で決まり、控除なしの10.21%を顧問先ごとに記録する。支払調書が届かなくても自分で集計する」「12月分の顧問料は12月の売上、登録費用や会費は経費」の3点を押さえれば怖くありません。顧問先の算定基礎届を1人ずつ確かめるように、顧問料と源泉徴収も1件ずつ記録していけば、申告はきちんと形になります。

よくある質問
Q. 勤務社労士も確定申告は必要ですか?
勤め先で年末調整を受けていて、ほかに所得がなければ、原則不要です。開業登録をして副業で報酬を受け、給与以外の所得が20万円を超えた場合は申告が必要です。
Q. 開業した社労士は、いくらから申告が必要ですか?
令和8年分は、所得が基礎控除(合計所得489万円以下なら104万円)などの合計を超えたら必要です。所得は、受け取った報酬から会費や業務ソフト代などの経費を引いた金額です。源泉徴収されている人は、所得が少なくても申告すれば税金が戻ることがあります。
Q. 顧問料から10.21%引かれています。戻ってきますか?
経費や控除を差し引いて計算した税額より多く引かれていれば、確定申告で戻ってきます。顧問先ごとに引かれた額を記録し、請求書と入金明細を保存しておきましょう。
Q. 年金の請求を頼まれた個人からの報酬から、税金が引かれていません。
給与を払っていない個人が支払う報酬は、源泉徴収の対象外です。受け取った金額をそのまま売上にします。従業員に給与を払っている個人事業主からの報酬なら、源泉徴収されます。
Q. 司法書士のように1万円を差し引いてから源泉徴収されますか?
社労士の報酬には、1回1万円を差し引く決まりはありません。報酬の全額に10.21%(1回に100万円を超える部分は20.42%)がかかります。
Q. 支払調書が届かない顧問先があります。
支払調書を社労士に渡す義務はないので、届かない顧問先があっても不思議ではありません。請求書と入金明細から、その顧問先で引かれた源泉徴収を集計して申告書に書きます。
Q. 支払調書の金額が入金額と合いません。
支払調書の金額は、消費税や源泉徴収の書き方によって、入金額とそのままは一致しません。請求書の報酬・消費税・源泉徴収の額と照らし合わせ、実際に引かれた源泉徴収の額を確かめましょう。
Q. 請求書に消費税を書くと、源泉徴収の金額は変わりますか?
報酬と消費税の額をはっきり分けて書けば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよいことになっています。顧問料3万円・消費税3,000円なら、源泉徴収は3,063円です。
Q. 12月分の顧問料が1月に振り込まれました。いつの売上ですか?
顧問をした12月の売上です。年末の時点で振り込まれていなくても、その年の売上に入れ、翌年の入金時に受け取った記録をつけます。
Q. 助成金の成功報酬はいつの売上にしますか?
契約で報酬が確定する時点によって変わるので、契約の内容を確かめましょう。支給決定の通知は事業主に届くため、年をまたぐ案件は顧問先に結果を確認し、迷ったら税理士か税務署に相談しましょう。
Q. 登録免許税と登録手数料は経費になりますか?
事業のための費用として、経費にできます。開業の準備中に払った分は、開業費として経費にする年を選べる場合もあります。
Q. 社労士会の入会金は経費になりますか?
20万円未満の入会金なら、払った年に全額を経費にできます。入会金の金額は都道府県の社労士会によって違うので、20万円以上になる場合は税務署か税理士に扱いを確認しましょう。
Q. 社労士会の年会費は経費になりますか?
開業した社労士が払う年会費は、払った年の経費になります。勤務社労士として給与で働く分には、原則として経費という考え方はありません。
Q. 自宅の一室を事務所にしています。家賃は経費になりますか?
事務所に使う部屋の広さの割合で分けた、仕事の分だけ経費にできます。登録した事務所の部屋の広さを、分け方の根拠として残しておきましょう。
Q. 賠償責任保険の保険料は経費になりますか?
社労士業務の事故に備える賠償責任保険の保険料は、経費にできます。保険期間と金額がわかる書類を保存しておきましょう。
Q. 勤めながら、副業で他社の手続きを受けられますか?
他社から報酬を得て手続きを受けるなら、開業の登録が必要です。勤務の登録と同時に持てるかや勤め先の承諾の要否は、都道府県の社労士会に確認しましょう。
Q. 副業の社労士業が赤字です。給与と相殺できますか?
事業所得と認められれば相殺できますが、雑所得の赤字は給与と相殺できません。帳簿の保存は判断の大きな材料ですが、帳簿があれば必ず事業所得になるわけではありません。
Q. 個人事業税はかかりますか?
社会保険労務士業は第三種事業で、事業の所得が年290万円を超えるとかかります。税率は5%で、所得税の青色申告特別控除は差し引けません。
Q. インボイス登録は必要ですか?
登録は任意ですが、法人の顧問先から求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になりますが、登録しなければ免税事業者だった人は、令和8年分までは2割特例、令和9年分・10年分は2年前の課税売上が1,000万円以下なら3割特例が使えます。
Q. 開業届は出すべきですか?
社労士として開業し、継続して報酬を受けるなら、開業届を出すのが原則です。青色申告承認申請書とセットで出せば、最大65万円の特別控除が使えるようになります。

Q. 今使っている会計ソフトからデータを移行できますか?
できます。たとえばタックスナップはfreee・マネーフォワード・弥生・PayPayからのデータ移行に対応しています。年初から新しいアプリで始めるか、申告前に前年分をまとめて移すのがスムーズです。



