この記事のポイント
- 職業欄は「フリーランス」ではなく「Webデザイナー」など具体的な職業名で書く
- 事業の概要欄は職業欄より一段くわしく、実際の仕事内容を書く
- 職業(業種)によって個人事業税の有無や税率(3〜5%)が変わる
- 記入した内容は後から変わっても開業届の出し直しは不要
- スマホならタックスナップ開業届で質問に答えるだけ、最短5分・無料で作れる
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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開業届の「職業」欄と「事業の概要」欄はどう違う?
役割が違います。職業欄は「何屋か」を職業名で示す欄、事業の概要欄はその仕事内容を具体的に説明する欄です。同じことを二度書くのではなく、概要欄で一段くわしくするイメージで書き分けます。
税務署に出す「個人事業の開業・廃業等届出書」には、氏名や住所とならんでこの2つの欄があります。どちらも数文字から一行程度で足りるので、身構える必要はありません。
| 欄 | 何を書くか | 記入例 |
|---|---|---|
| 職業 | 営んでいる職業名(業種) | Webデザイナー |
| 事業の概要 | その職業の具体的な仕事内容 | Webサイトのデザイン制作、Web広告の作成 |
職業欄で大枠を伝え、概要欄で中身を補う関係です。両方そろうと、税務署の担当者が事業内容を正しく把握できます。
開業届の「職業」欄の書き方と記入例
職業欄には、誰が見てもどんな仕事か分かる具体的な職業名を書きます。「フリーランス」「個人事業主」「自営業」といった働き方の呼び名は、職業が伝わらないため避けます。
書き方に法律上の決まりはありません。ただ、あいまいだと事業内容が伝わらず、個人事業税の判定にも影響します。そこで「システムエンジニア」「ライター」のように、一目で職種が浮かぶ言葉を選びます。
代表的な職業欄の記入例をまとめました。
| 業種 | 職業欄の記入例 |
|---|---|
| IT・Web系 | ITエンジニア、Webデザイナー、Webディレクター、アフィリエイター、CG制作 |
| 事務・サービス系 | オペレーション代行、販売店員、コールセンター、家事代行、秘書 |
| 美容・ファッション系 | 美容師、ネイリスト、セラピスト、エステティシャン、スタイリスト、トリマー |
| 飲食系 | 飲食店経営、カフェ経営、バーテンダー、キッチンカー |
| 建設・現場系 | 一人親方、電気工事士、設計技術者、自動車整備士 |
| 医療・福祉・ケアサービス系 | 介護士・薬剤師・整体師、栄養士、はり師、ソーシャルワーカー |
言葉に迷うときは、総務省の日本標準産業分類を参考にすると、公的な区分に沿った職業名を選べます。
開業届の「事業の概要」欄の書き方と記入例
事業の概要欄には、職業欄に書いた職業を「実際に何をして稼ぐか」まで具体的にほぐして書きます。職業欄が見出しなら、概要欄はその中身にあたります。
コツは、扱う商品・サービスや作業の内容を1〜2個そえることです。たとえば「飲食業」だけでは幅が広いので、「ラーメン店の経営」まで書くと事業がはっきり伝わります。
職業欄とセットにした記入例は次のとおりです。
| 職業欄 | 事業の概要欄の記入例 |
|---|---|
| Webデザイナー | Webサイトのデザイン制作、Web広告の作成 |
| システムエンジニア | 業務システムの設計・開発、保守対応 |
| ライター | Webメディアの記事執筆・編集 |
| 飲食店経営 | ラーメン店の経営 |
| 小売業 | 雑貨のネット販売 |
| 美容師 | 面貸しによるヘアカット・カラー |
長い文章にする必要はありません。取引先や税務署が事業をイメージできる粒度で十分です。職業欄と事業の概要欄の書き方で迷ったら、タックスナップ開業届のように質問に答えるだけで書類がそろうサービスを使う方法もあります。
職業欄で個人事業税は変わる?税率と対象外の業種
職業(業種)によって、個人事業税の有無と税率(3〜5%)が変わります。個人事業税は都道府県に納める地方税で、法律で定められた70の業種(法定業種)が対象です。
税率は業種の区分で決まります。東京都の例で整理すると次のようになります。
| 区分 | 税率 | 主な業種 |
|---|---|---|
| 第1種事業(37業種) | 5% | 物品販売業、飲食店業、製造業、運送業、請負業 など |
| 第2種事業(3業種) | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
| 第3種事業(30業種) | 3%または5% | 医業、税理士業、デザイン業 など(あんま・マッサージ等は3%) |
出典:東京都主税局
ポイントは2つあります。まず、事業主控除が年290万円あるため、事業の所得が290万円以下なら実質的に個人事業税はかかりません。次に、70の法定業種に含まれない職業は、そもそも課税の対象外とされます。
たとえば文筆業(ライター)やプログラマーなどは、法定業種に当てはまらず個人事業税がかからないケースが一般的です。ただし判定は事業の実態や自治体によって異なるため、自分の業種の扱いは管轄の都道府県税事務所で確認しておくと安心です。
なお、税額は開業届だけで決まるわけではありません。最終的には確定申告に記入した職業・事業内容と実態に基づいて判断されるため、開業届も実態に合わせて書いておくことが大切です。
複数事業・副業・空欄・変更のときの書き方
迷いやすいケースの結論を先にまとめます。複数事業なら職業欄にメイン事業、副業でも実態を書き、空欄は避け、変更後の出し直しは不要です。
複数の事業をしている場合、職業欄には収入が最も多いメインの事業を書きます。他の事業は事業の概要欄にあわせて書いておくと、全体像が伝わります。複数の事業で開業届を提出する場合については、別記事で詳しく解説しています。

会社員の副業として開業する場合も、職業欄には副業の職業名を書きます。副業で開業届を出すか自体を迷っている場合は、こちらもあわせてご覧ください。

職業欄・事業の概要欄は空欄でも受理されることはありますが、おすすめしません。個人事業税の判定などで使われるため、実態に合った内容を書いておきます。開業後に職業や事業内容が変わっても、開業届の出し直しや再提出は不要です。確定申告のときに最新の内容を書けば対応できます。
開業届全体の書き方や他の欄の記入例は、専用の記事で手順ごとに解説しています。

まとめ
開業届の職業欄には具体的な職業名を、事業の概要欄にはその仕事内容を一段くわしく書きます。どちらも決まった正解はなく、事業がイメージできる粒度で書けば問題ありません。
職業(業種)によっては個人事業税の対象になり、税率も3〜5%で変わります。ただし事業主控除290万円があり、法定業種に含まれない職業は対象外です。記入内容が後から変わっても、開業届を出し直す必要はありません。
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よくある質問
Q. 開業届の職業欄は空欄でも大丈夫ですか?
空欄のままでも受理されることはありますが、おすすめしません。個人事業税の判定などで職業の情報が使われるため、実態に合った職業名を書いておくと安心です。
Q. 職業欄に「フリーランス」「個人事業主」と書いてもいいですか?
避けたほうがよいです。どんな仕事かが伝わらないため、「Webデザイナー」「ライター」のように具体的な職業名で書きます。
Q. 職業欄と事業の概要欄は同じ内容でもいいですか?
役割が違うので分けて書きます。職業欄は職業名、事業の概要欄はその仕事内容を一段くわしく書きます。
Q. 開業後に職業や事業内容が変わったら出し直しが必要ですか?
開業届の出し直しや再提出は不要です。確定申告のときに最新の事業内容を記入すれば問題ありません。
Q. 複数の事業をしている場合、職業欄には何を書きますか?
職業欄には収入が最も多いメインの事業を書き、事業の概要欄にすべての事業内容を書きます。
Q. 開業届はどこで、どうやって提出しますか?
提出方法はオンライン・郵送・窓口の3つです。オンラインならスマホから24時間いつでも提出できます。
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