この記事のポイント
- 青色申告できるのは事業所得・不動産所得・山林所得がある人で、給与所得だけの会社員は対象外
- 副業が「事業所得」に当たれば会社員でも青色申告できるが「雑所得」だと不可
- 事業所得か雑所得かは営利性・継続性・帳簿の有無などの実態で判断され、必ず事業所得になるとは限らない
- 青色申告なら最大65万円の特別控除と赤字の3年繰越が使える
- 青色申告には開業届と承認申請書の提出(原則その年の3月15日まで)が必要
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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会社員は青色申告できる?結論は「副業の所得区分しだい」
会社員が青色申告できるかどうかは、副業などの所得が事業所得・不動産所得・山林所得に当たるかで決まります。給与しか収入がない会社員は、青色申告の対象になりません。
青色申告できるのは事業所得・不動産所得・山林所得がある人
青色申告ができるのは、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある人に限られます。国税庁もこの3種類を対象と定めています(国税庁 No.2070 青色申告制度)。
会社員の場合、代表的なのは副業による事業所得と、アパート経営などによる不動産所得です。たとえば副業が軌道に乗って事業と呼べる規模になった人や、サラリーマン大家として賃貸収入がある人が該当します。
給与所得だけでは青色申告できない
給与所得は青色申告の対象外です。そのため、勤務先からの給与しか収入がない会社員は青色申告できません。
青色申告は、あくまで事業所得・不動産所得・山林所得に対して認められる制度です。給与所得は年末調整で会社が精算するため、そもそも青色申告という手続きの枠組みに含まれません。副業や不動産投資などで対象の所得を得てはじめて、青色申告の入り口に立てます。
副業が「事業所得」か「雑所得」かで青色申告の可否が決まる
会社員の副業でもっとも重要なのが、その所得が「事業所得」か「雑所得」かという区分です。事業所得なら青色申告できますが、雑所得だと青色申告できません。
事業所得と雑所得の違い
同じ副業収入でも、事業所得と雑所得では青色申告の可否も節税メリットも変わります。両者の違いを整理します。
| 項目 | 事業所得 | 雑所得 |
|---|---|---|
| 青色申告 | ○ できる | ✕ できない |
| 判断のめやす | 営利性・継続性があり事業と呼べる規模 | 単発・小規模・片手間の収入 |
| 最大65万円の特別控除 | ○ | ✕ |
| 損益通算・赤字の繰越 | ○ | ✕ |
雑所得は青色申告ができないため、複式簿記の帳簿を作っても特別控除や損益通算といった特典を受けられません。青色申告のメリットを得たいなら、副業が事業所得に当たるかどうかがまず問われます。
帳簿があれば原則事業所得、ただし例外もある
事業所得か雑所得かは、営利性・継続性・事業規模などの実態で総合的に判断されます。副業の名称や本人の希望で自由に選べるものではありません。
国税庁の考え方では、その所得の取引を記録した帳簿書類を保存していれば、原則として事業所得に区分されます(国税庁 事業所得と業務に係る雑所得等の区分)。ただし収入がごくわずかな場合など例外もあり、帳簿さえあれば必ず事業所得になるとは限りません。判断に迷うときは税務署や税理士に確認しておくと安心です。
副業を開業届の提出とあわせて事業として始める流れは、別記事でくわしく解説しています。

会社員が青色申告するメリット
会社員が副業や不動産所得で青色申告する最大のメリットは、最大65万円の特別控除と赤字の繰越・損益通算です。所得税と住民税の負担を抑えられます。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 最大65万円の特別控除 | 複式簿記+期限内申告で55万円、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を満たすとさらに10万円上乗せで計65万円 |
| 赤字の繰越控除 | 純損失を最大3年間繰り越せる(事業所得の場合) |
| 損益通算 | 事業所得の赤字を給与所得と相殺できる(事業所得の場合) |
| 青色事業専従者給与 | 家族への給与を経費にできる |
副業を始めた初年度は経費がかさんで赤字になりやすく、その赤字を給与所得と損益通算できる点は会社員ならではの利点です。ただし損益通算や繰越が使えるのは事業所得の場合で、雑所得では適用されません。なお簡易簿記の場合の控除額は10万円にとどまります。
会社員が青色申告するための手続きと期限
青色申告をするには、税務署への届け出が2つ必要です。「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出します。
承認申請書には提出期限があります。原則として、青色申告をしたい年の3月15日までです。その年の1月16日以降に新しく事業を始めた場合は、開業日から2か月以内が期限になります(国税庁 No.2070)。期限を過ぎるとその年は青色申告できず、白色申告になります。
開業届の具体的な書き方や職業欄の記入例は、別の記事でくわしく解説しています。副業を事業として始めるなら、開業届と承認申請書はセットで出しておくと手続きが一度で済みます。

会社員が青色申告するときの注意点
青色申告には手間と会社との関係で注意点があります。おもに複式簿記の記帳、住民税の申告、副業の社内規定の3つです。
最大65万円の控除を受けるには、複式簿記による記帳が必要です。日々の取引を借方・貸方に分けて記録するため、慣れないうちは負担に感じる作業です。この記帳の手間は、タックスナップのようなスマホ完結の確定申告アプリを使えば、レシート撮影や自動仕訳で大きく減らせます。
住民税にも注意が必要です。副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。住民税の納め方や勤務先への影響については、住民税を扱った記事でくわしく整理しています。
副業そのものが就業規則で制限されている会社もあります。開業届や青色申告を検討する前に、勤務先の副業規定を確認しておきましょう。なお青色申告ソフトの選び方は、やよいの青色申告とタックスナップを比べた比較記事も参考になります。
まとめ
会社員が青色申告できるかどうかは、副業などの所得が事業所得か不動産所得に当たるかで決まります。給与所得だけでは青色申告できず、副業が雑所得の場合も対象外です。
事業所得に当たれば、最大65万円の特別控除や赤字の繰越・損益通算といった節税メリットを受けられます。青色申告をするには開業届と承認申請書の提出が必要で、承認申請は原則その年の3月15日までが期限です。まずは自分の副業がどの所得区分に当たるかを確認するところから始めましょう。
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よくある質問
Q. サラリーマンは青色申告できますか?
副業や不動産所得が事業所得・不動産所得・山林所得に当たれば、会社員でも青色申告できます。給与しか収入がない場合は対象外です。
Q. 副業が雑所得でも青色申告できますか?
できません。青色申告ができるのは事業所得・不動産所得・山林所得に限られ、雑所得は対象外です。最大65万円の控除や損益通算も使えません。
Q. 青色申告承認申請書はいつまでに出せばいいですか?
原則として、青色申告をしたい年の3月15日までです。その年の1月16日以降に開業した場合は、開業日から2か月以内が期限になります。
Q. 副業所得が20万円以下でも申告は必要ですか?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。所得税が不要でも住民税は申告する点に注意してください。
Q. 青色申告をすると会社に副業がバレますか?
住民税の納め方によっては勤務先に知られる可能性があります。住民税の徴収方法や対応の詳細は、住民税を扱った記事で確認してください。
Q. 会社員でも最大65万円の控除は受けられますか?
副業が事業所得に当たり、複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を満たせば、会社員でも最大65万円の特別控除を受けられます。

