フリーランスや一人親方など個人事業主が自宅を仕事用として兼用している場合、家賃の一部を「経費」として申告することが可能です。しかし、「白色申告では家事按分のルールが厳しいのでは?」「家賃のどこまでが経費にできるの?」など、疑問を抱いている方も多いでしょう。この記事では、白色申告で家賃を経費に計上するための基礎知識や、計算方法、気をつけるポイントを詳しく解説します。正しく理解しておけば、家事按分による経費計上で納税額を抑え、上手に節税を図ることができるでしょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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家賃は白色申告でも経費にできる?基本的な考え方
自宅兼事務所の「事業使用分」だけを合理的に算出して計上する
白色申告の個人事業主でも、事務所として利用しているスペースの家賃は経費の対象とすることが認められています。ただし、あくまで事業に使う分だけを計上するのが大原則です。もし住居と事務所を完全に分けて賃貸契約しているなら、その家賃は全額を経費にできますが、自宅兼事務所の場合は「家事按分」が必要になります。
家事按分とは、プライベート用途と事業用途をどのような割合で使っているかを算出し、その割合だけを経費にする手法です。白色申告でも帳簿付けが義務化されており、青色申告ほどの詳細な帳簿は求められないとはいえ、家事按分を行う際には合理的な根拠と帳簿の整合性が重要です。床面積、使用時間、使用目的などを明確にしておかないと、税務調査で疑義を示される可能性があります。

家事按分の考え方~自宅兼事務所の家賃をどう計算するか
使用面積や時間など、客観的な基準をもとに按分率を求めるのがポイント
家事按分では、家賃をプライベートと事業用に分ける割合を何らかの根拠で決定し、その分を経費に計上します。主な算出方法としては「面積基準」と「時間基準」の2つがあります。
- 面積基準
自宅の床面積のうち、仕事用デスクや書庫など事業専用のスペースがどの程度を占めているかで按分率を決めます。例えば10畳のうち3畳を事務スペースとして利用しているなら、3/10(30%)の家賃が経費にできます。 - 時間基準
自宅を24時間のうち何時間を業務に使っているかを計算して按分率を求めます。日中の8時間は事業用として使い、それ以外は私用というなら、8/24≒33%が目安となります。
いずれの基準を用いる場合でも、日々の生活や仕事の実態に合うように設定する必要があります。全く仕事で使わないリビング・台所・浴室などのスペース分まで含めて「全体の半分を経費にする」といった不自然な計上は、のちの税務調査で否認されるリスクが高いため注意が必要です。

白色申告における家事按分の制限と実態
青色申告ほど優遇はないが、50%超でも合理性を示せば経費計上が認められる
「白色申告の場合、家事按分は50%までしか認められない」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、現実には法律上、明確に「家事按分を50%までにしなければならない」という規定はありません。
白色申告と青色申告で異なるのは、青色申告には事業専従者給与や減価償却の特例など別の制度上のメリットが多いことです。家賃に関しては、白色申告でもしっかりと使用割合を示し、書類や記録をきちんと保管していれば、たとえ事務所スペースが家全体の50%を超えていても正当な理由があれば経費計上が認められるケースはあります。逆に、面積や使用状況が不自然に大きい場合には税務署から疑義を示されやすいため、日頃から根拠を準備しておくことが重要です。
家賃の経費計上で注意すること
敷金や更新料、住宅ローン控除との関係など、見落としがちなポイントが多数
自宅兼事務所の家賃を経費にするときは、以下のような点に留意しましょう。
- 敷金は経費にならない
敷金は契約終了時に返還される可能性があるため、家賃と同じように経費とはみなされません。 - 更新料・礼金はケースバイケース
更新料や礼金は、実質的に家賃の一部と見なせることが多いため、家賃と同じ按分率で経費に計上する場合が一般的です。ただし、賃貸借契約の内容によっては取り扱いが異なることもあるので、契約書をよく確認しましょう。 - 住宅ローン控除との併用
持ち家の場合にローンを組んでいると、住宅ローン控除を受けている方もいるかもしれません。しかし、住居兼事務所として事業用途で利用している部分については住宅ローン控除の対象外となる可能性があるため要注意です。 - 契約書の保管と帳簿管理
家事按分を正当に行うには、賃貸借契約書や領収書を確実に保管しておき、家賃の支払い実態を証明できるようにしておく必要があります。加えて、家事按分率を算出する根拠(面積や時間など)も書面で示せるよう準備しておくと安心です。

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まとめ
白色申告であっても、自宅兼事務所の家賃を一部経費に含めることは可能です。大切なのは、事業利用の割合を合理的かつ具体的に算出し、きちんと根拠を示せるようにすること。面積や使用時間の基準を明確にし、賃貸借契約書や領収書などの証拠書類を保管しておけば、節税を図りつつトラブルも避けやすくなります。
ただし、敷金や住宅ローン控除など、思わぬ落とし穴も少なくありません。家事按分による経費計上は、税理士や専門家に相談してルールを確認しながら進めると安心です。自宅を事業用に利用している方は、本記事を参考にしながら、正しく家賃の経費計上を行いましょう。
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よくある質問
Q1: 白色申告で家賃を経費にする場合、必ず面積や時間を根拠に算出しなければなりませんか?
はい。家事按分を行う際には、どのように事業に使っているかを客観的に示す根拠が求められます。面積や時間のいずれの基準を使うかは自由ですが、説明できる合理性が重要です。どのような根拠で何%を経費にしているかを、領収書や帳簿と併せて示せるようにしておきましょう。
Q2: 家事按分で計算した家賃が高すぎると、税務調査で否認される可能性はありますか?
あり得ます。面積の大半を事業スペースとして主張しているにもかかわらず、明らかに私用部分が多いと見られる場合などは、税務署から調査を受けた際に否認されるリスクが高まります。実態に合った家事按分を心がけ、説明可能な根拠を残しておきましょう。
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