個人事業主として住居や車などを仕事とプライベートで兼用している場合、「家事按分」を活用すれば事業利用分を経費に含めることができます。ただし、白色申告においては「家事按分は50%以上じゃないと認められない」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際のところ、国税庁の通達などを踏まえると、50%以下の割合であっても十分に家事按分は可能です。この記事では、家事按分を正しく行うための基礎知識や計算のコツを丁寧に解説します。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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家事按分とは?白色申告で経費を正しく区分する重要性
私用と事業用を分けて経費計上する考え方。根拠を示せば50%未満でもOK
家事按分とは、家賃や水道光熱費、通信費、自動車関連費用など、私用と事業用が混在する支出を「どの程度仕事に使っているか」の割合を算出し、その分だけを経費に計上する手法です。たとえば、自宅兼事務所としてワンルームを使用する場合、床面積の半分が業務スペースなら家賃の50%を事業経費として処理するといったイメージです。
一方で、「白色申告では家事按分50%以上でないと経費として認められない」という噂も一部で広まっています。しかし、法律上や国税庁の通達を見ると、そのような絶対的ルールは存在しません。あくまで“事業に使う分だけを合理的な根拠で示す”ことが大切であり、それがたとえ50%未満であっても、日々の業務記録や計算根拠をしっかり示せれば問題ないとされています。

家事按分が認められる具体的な費用
家賃・水道光熱費・通信費・車の維持費など、事業使用の根拠を示せるものが対象
家事按分の対象となりやすいものには、以下のような費用が挙げられます。まず、自宅兼事務所として使用している場合の家賃や、水道・電気・ガスといった光熱費、そして業務連絡やオンライン作業のための通信費などが代表的です。また、車を自家用車としてだけでなく、取引先への移動や商品配送に使う場合はガソリン代や駐車場代、自動車保険などの維持費も家事按分の対象となります。
この際、どのくらいの時間・空間を業務に利用しているか、どの頻度で車を仕事に使っているかなどを客観的に計算し、その計算根拠をメモや記録で残すことが非常に重要です。もし税務調査で「その数字はどのように算出しましたか?」と尋ねられたとき、領収書や利用状況の記録を提示できれば、家事按分が妥当と判断される可能性が高まります。白色申告でも帳簿付けが義務化されている時代ですから、曖昧なままではなく、できるだけ詳細に管理しておく習慣をつけましょう。

家事按分の割合はどのように決める?50%以下でも正当化は可能
床面積・使用時間・利用頻度などを合理的に計算し、書面で説明できるようにしておく
家事按分の割合を決めるときには、主に「空間」と「時間」という2つのアプローチがあります。空間を基準にする場合は、住居内のどれだけのスペースを事業利用しているかを床面積などで算出し、家賃や光熱費をその割合に応じて経費にします。たとえば、10畳のうち3畳を事業用デスクや備品のためのエリアにしているなら、3/10=30%を按分率にするイメージです。
一方、時間を基準にする場合は、1日24時間のうち何時間を業務に充てているかを計測し、同じように費用を分配します。あるいは車であれば、月間走行距離のうち事業に使った距離の割合を算出したり、週末はレジャー目的でしか使わないのなら週末は除外して計算したりといった方法も考えられます。このように、50%以下の割合であっても「実際の利用状況はこれだけだ」と説得力を持って示せれば、白色申告でも経費として認められる可能性は十分にあります。
家事按分50%未満で経費計上するときの注意点
裏付け書類や業務記録がないと否認されるリスク大。日々の帳簿づけと明確な根拠が不可欠
「実際には30%くらいしか仕事に使っていないのだから、それを経費に含めても問題ないはず」と思っていても、税務署に合理的な説明ができなければ、あとから指摘を受ける可能性があります。家事按分の割合が半分以下になる場合、特に「そもそも事業との関連性が薄いのでは?」と疑われやすいため、さらに厳しい目で見られがちです。
このリスクを避けるには、領収書の保管はもちろん、いつ・何に使ったかを具体的にメモしておくことが大切です。車なら業務用の走行距離や経路を記録したり、パソコンやリビングスペースで仕事した時間を週ごとに書き留めたりするだけでも、説得力が大幅に増します。白色申告でも帳簿づけは法的に義務化されており、青色申告ほどの複雑な帳簿は求められないとはいえ、最低限の記録を怠らないようにしましょう。

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まとめ
白色申告でも家事按分はしっかり行えば50%以下の割合であっても十分に経費に計上できます。重要なのは、自宅や車をどれだけ事業に使っているかを示す“合理的な根拠”を用意することです。面積や時間、走行距離など、具体的な数字をもとに計算し、帳簿やメモで記録を残しておきましょう。
たとえ白色申告であっても、家事按分の考え方は青色申告と大きく変わりません。曖昧に「このくらいだろう」で済ませてしまうと、後々税務署から否認されるリスクが高まります。50%という数字にとらわれず、自分の事業実態を正しく反映した按分率を堂々と提示できるように準備しておくことが、トラブルを避けるカギと言えるでしょう。
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よくある質問
Q1: 白色申告で家事按分を行う際、必ず50%以上じゃないと経費にできないの?
50%以上でないと認められないわけではありません。国税庁の通達や実務上の運用では、事業に使った分だけを合理的に説明できれば、50%未満でも家事按分として経費に含めることが可能です。逆に、50%を超える割合で経費を計上している場合でも、具体的な根拠がないと否認されるリスクがあるため注意が必要です。
Q2: 家事按分のために領収書を細かく分けておく必要がありますか?
領収書自体はまとめて保管していてもかまいませんが、家事用と事業用の使用分をどのように割り振ったかを説明できるように記録しておく必要があります。たとえば電気代であれば月々の使用量を把握し、そのうち何割を業務に充てているかをメモしておくと良いでしょう。
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