「個人事業主は何でも経費にできるからずるい」「10万円を経費にしたら、実際いくら税金が安くなるの?」と疑問に思っていませんか。
結論からいうと、経費にした金額がそのまま戻ってくるわけではありません。経費を計上すると課税される所得が減るため、節税できる金額は所得税率や住民税率によって変わります。また、プライベートな支出を経費にすることはできず、事業に必要な費用だけが対象です。
この記事では、10万円を経費にした場合に税率ごとでどれくらい税負担が軽くなるのかを解説し、「個人事業主の経費はずるい」と言われる理由や、経費の正しい考え方までわかりやすく紹介します。
この記事のポイント
- 経費は会社員の給与所得控除にあたるもので、実額で計算しているだけの制度
- 10万円を経費にして軽くなる税金は約1万5,000円〜4万4,000円で、残りは自己負担
- 事業に関係ない支出を経費にすると重加算税35%と延滞税の対象
- 家事按分で経費にできるのは全額ではなく業務に使った割合の分だけ
- 迷う支出は事業との関連を説明できる記録が残っているかで決まる
個人事業主の経費は本当にずるいのか
ずるくはありません。会社員も個人事業主も、収入から経費を引いた額に課税される点は同じで、その経費を概算で出すか実額で出すかが違うだけです。
会社員の給与所得控除と個人事業主の必要経費は同じ役割
会社員には給与所得控除があり、実際にいくら使ったかに関係なく、収入に応じた額が自動で差し引かれます。その点、個人事業主にはこの自動の控除がない代わりに、事業で実際に使った金額を経費として計上します。
どちらも「稼ぐためにかかった分は課税対象から外す」という同じ考え方の制度です。ただし会社員は手続きが要らない代わりに金額を選べず、個人事業主は実額を積み上げられる代わりに、記録と証明の手間をすべて自分で負うことになります。
経費にできるのは事業に必要だと説明できる支出だけ
経費として認められるのは、売上を得るために必要だったと説明できる支出に限られます。判断の軸は3つです。
- 事業との関連を説明できるか
- 売上規模に対して金額が不自然でないか
- 領収書や記録が残っているか
この3つを満たさない支出は、税務調査で否認されます。そして否認されたときに追徴課税を負うのは、税理士でも税務署でもなく事業主本人です。
経費で落とすと実際いくら得する?税率別の早見表
10万円を経費にしても戻ってくるのは軽くなった税金の分だけで、金額にすると約1万5,000円〜4万4,000円です。残りは自分の財布から出たままになります。
10万円を経費にしたときの軽減額(課税所得別)
軽くなるのは所得税・復興特別所得税・住民税の3つです。住民税の所得割は全国どこでもおおむね10%なので、合計の軽減率は次のようになります。
| 課税所得 | 所得税率 | 住民税 | 合計の軽減率 | 10万円計上時の軽減額 | 実質の自己負担 |
|---|---|---|---|---|---|
| 195万円未満 | 5% | 10% | 約15.1% | 約15,100円 | 約84,900円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 10% | 約20.2% | 約20,200円 | 約79,800円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 10% | 約30.4% | 約30,400円 | 約69,600円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 10% | 約33.5% | 約33,500円 | 約66,500円 |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 10% | 約43.7% | 約43,700円 | 約56,300円 |
税率は国税庁の所得税の速算表(令和7年分以降)にもとづき、復興特別所得税2.1%を含めて計算しています。課税所得は、売上から経費と各種控除を引いたあとの金額です。
年間の課税所得が300万円の人なら、10万円の備品を買っても軽くなる税金は約2万円。差額の約8万円は実際に出ていったままになります。
「経費で落とせばタダ」が成り立たない理由
経費計上は支払いの立て替えではなく、課税の対象から外す仕組みだからです。
10万円のパソコンを買えば、手元からは10万円が出ます。そのうち税金として戻るのが約2万円で、8万円は純粋な支出です。逆に買わなければ、10万円のうち約2万円を税金として納め、約8万円は手元に残ります。
必要なものを買ったときに負担が軽くなる制度であって、買うほど得をする制度ではありません。「使い切らないと損」と考えて不要なものを買えば、手元の現金は確実に減ってしまいます。
国民健康保険料や個人事業税も連動して下がる
所得が下がると、国民健康保険料と個人事業税も一緒に下がります。そのため実際の軽減額は、上の表よりもう少し大きくなります。
ただし国民健康保険料の所得割は自治体ごとに料率が違うため、一律の金額は出せません。個人事業税のほうは業種ごとに3〜5%で、年間290万円の事業主控除を超えた部分にかかります。
経費以外の節税手段とあわせた全体像は、専門記事で詳しく解説しています。

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会社員から「ずるく見える」3つの理由と実際のところ
何でも経費にできるように見える
実際には、経費として認めるかどうかを最終的に判断するのは税務署です。申告の時点では自分で決められますが、否認されたときのリスクは事業主が全部背負います。
会社員の給与所得控除は、否認されることがありません。裁量の自由度と引き換えにリスクを持っているのが個人事業主です。
家事按分で生活費まで経費にできるように見える
家事按分で経費にできるのは、生活費の全額ではなく業務に使った割合の分だけです。
家賃12万円の部屋のうち、40平米中10平米を仕事部屋にしているなら、経費になるのは3万円です。残りの9万円は生活費のまま自己負担になりますし、按分の根拠を聞かれたら図面や作業時間で説明できる必要があります。
経費の額を自分で決められるように見える
その一方で、個人事業主には会社員が受けている保障がありません。社会保険料は労使折半ではなく全額自己負担で、国民健康保険には扶養という考え方がないため、家族が増えれば保険料も増えていきます。
雇用保険がないので失業手当は出ず、労災も特別加入しなければ対象外です。退職金も有給休暇もありません。経費の裁量は、こうした負担とセットになっています。
どこまで経費にできる?判断に迷う支出の早見表
判断が分かれるのは「生活にも使えるもの」です。業務で使った事実を記録で示せるかどうかで結論が変わります。
| 支出 | 可否 | 条件 |
|---|---|---|
| 取引先との会食 | ○ | 相手先・人数・目的をメモで残す |
| 自宅の家賃・電気代 | ○ | 業務に使う面積または時間の割合分だけ |
| スマホ代・通信費 | ○ | 業務利用の割合で按分 |
| 自動車の購入費 | ○ | 業務利用の割合で按分 (10万円以上は減価償却) |
| スーツ・私服 | △ | 業務専用と説明できる制服・作業着なら可 (通常のスーツは原則不可) |
| 美容院代・化粧品 | △ | モデル・俳優など業務に直結する職種に限られる |
| 家族旅行を兼ねた出張 | △ | 日程表で業務部分だけを切り分ける |
| 資格取得の費用 | △ | 今の業務に直接必要なものに限る |
| 一人での食事代 | ✕ | 生活費として扱われる |
| 事業主本人の健康診断・生命保険料 | ✕ | 経費ではなく所得控除で処理する |
勘定科目ごとの具体例は、こちらの記事にまとめています。

家事按分は割合の根拠を残せるかで決まる
按分に決まった計算式はなく、合理的に説明できる基準を自分で選んで使い続けることが求められます。
- 家賃・電気代:業務に使う面積の割合、または業務に使う時間の割合
- 通信費:1日のうち業務で使っている時間の割合
- 自動車:走行距離のうち業務分の割合
割合を決めたら、根拠になる図面・作業記録・走行記録を残しておきます。年によって割合をころころ変えると根拠を疑われやすくなるので、一度決めた基準は継続して使うのがおすすめです。

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「ずるい経費計上」がバレたらどうなる?加算税の税率一覧
事業に関係ない支出を経費にしていたと調査で判明すると、不足していた税額に加算税と延滞税が上乗せされます。
| 種類 | 税率 | 課される場面 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 調査通知前:なし 通知後〜更正の予知前:5%(超過部分10%) 予知後:10%(超過部分15%) | 申告額が少なすぎたとき |
| 無申告加算税 | 調査通知前:5% 通知後〜予知前:10・15・25% 予知後:15・20・30% | 期限までに申告しなかったとき 税額50万円・300万円を境に税率が上がる |
| 重加算税 | 過少申告:35% 無申告:40% | 事実を隠したり装ったりしていたとき |
| 延滞税 | 納付が遅れた日数に応じて日割り | 法定納期限の翌日から完納まで |
税率は国税庁の過少申告加算税・無申告加算税・加算税制度の見直しにもとづきます。
意図的に隠していたと判断されれば重加算税は35%、無申告なら40%です。ここに延滞税も加わるため、浮かせたつもりの税金より多く払うことになります。さらに悪質なケースは所得税法違反として、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
一方で、調査の通知が来る前に自分で気づいて修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。間違いに気づいた時点で早く直すほど、負担は軽く済みます。
税務調査で見られるのは事業との関連を説明できるか
問われるのは金額の大小ではなく、その支出が事業に必要だった理由を説明できるかどうかです。
会食なら相手先・人数・目的、車なら訪問先と走行距離、自宅なら按分の根拠。領収書だけでは「何に使ったか」が分からないので、メモや記録とセットで残しておくと調査の場で困りません。

経費を漏らさず残しながら手間を減らしたいなら「タックスナップ」
経費を正しく計上しようとするほど、レシートの仕分けと記録の負担は増えていきます。買ったその場で撮影して勘定科目まで判定させてしまえば、按分や記録の根拠を残す作業も日々の数秒で終わります。
スマホひとつで経理から申告まで完結するタックスナップは、外部調査で他会計ソフトの約4倍の処理スピードを記録しています。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
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まとめ
個人事業主の経費計上は、会社員の給与所得控除と同じ役割を実額でやっているだけの制度です。10万円を経費にして軽くなる税金は約1万5,000円〜4万4,000円で、残りは自己負担。買うほど得をする仕組みではありません。
「ずるい」と言われるのは、判断の裁量が事業主にあるように見えるからです。実際には否認されたときのリスクも、社会保険料の全額自己負担も、記録を残す手間も、すべて事業主が引き受けています。
迷う支出は、業務で使った事実を記録で示せるかどうかで決まります。証拠を残しながら日々処理していくことが、結果として一番の節税になります。
よくある質問
Q. 個人事業主は本当に会社員より税金が安いですか?
所得が同じでも、経費が多ければ税額は下がります。ただし社会保険料は全額自己負担で、国民健康保険に扶養の概念がないため、手取りベースでは会社員のほうが有利になるケースも珍しくありません。
Q. 経費が多いほど得ですか?
違います。10万円使って軽くなる税金は多くても4万円台で、残りは自己負担です。事業に必要ないものを買えば手元の現金は減ります。
Q. 家族との食事代は経費にできますか?
できません。家族との食事は生活費として扱われます。取引先との会食であれば、相手先・人数・目的を記録したうえで接待交際費や会議費として計上できます。
Q. 領収書がない支出は経費にできませんか?
計上できます。クレジットカードの利用明細、交通系ICの履歴、出金伝票などで支払いの事実と目的を示せれば認められます。日付・金額・支払先・目的をメモで残しておきましょう。
Q. 経費を使いすぎると税務調査に入られますか?
金額そのものより、売上規模と経費のバランスが不自然な場合に目を付けられやすくなります。同業種の平均から大きく外れた経費率が続くと、確認の対象になりやすいです。
Q. 赤字になるほど経費を計上しても問題ありませんか?
実際に事業のために使った支出であれば問題ありません。青色申告なら赤字を翌年以降3年間繰り越せます。ただし赤字が続くと、事業ではなく趣味と判断されて経費が否認されることがあります。


