不動産の売却は多くの人にとって一生に一度か数度しかない重要な取引です。売却後には、譲渡所得の確定申告が必要となることが多く、その計算や特例、申告方法に不安を抱える方も少なくありません。このガイドでは、譲渡所得の概要や計算方法、適用可能な特例について詳しく解説します。また、確定申告のプロセスや注意点、確定申告を簡単にするための方法も紹介します。この記事を通じて、煩雑な不動産売却の確定申告をスムーズに行えるようにしましょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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不動産売却後の確定申告は必要?
売却後確定申告が必要な場合
不動産を売却した場合、通常は譲渡所得が発生し、確定申告が必要となります。譲渡所得とは、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた後に残る利益のことです。確定申告が必要な場合には、売却価格に応じた税金がかかることがあるため、申告を怠ると後々の追加徴収やペナルティが生じるリスクがあります。
自宅の売却
自宅を売却した場合でも、譲渡所得が発生すると確定申告が必要です。なお、自宅の場合は後述する「3,000万円の特別控除」の適用が可能なケースも多いです。
投資物件の売却
投資用不動産や別荘を売却して得た利益も譲渡所得に該当します。これらの物件には特別控除が適用されないため、売却益に応じた税率が適用されます。
売却後確定申告が不要な場合
不動産売却後でも、特定の条件を満たすと確定申告が不要な場合があります。
3,000万円の特別控除が適用され、譲渡所得がゼロ以下
居住用財産の売却には3,000万円の特別控除が適用されるため、控除後に譲渡所得がゼロ以下となる場合には申告が不要となることがあります。
売却価格が取得費や譲渡費用を下回る場合
売却による損失が発生した場合、税金が発生しないため確定申告が不要です。ただし、後述する損益通算や損失の繰越控除を利用したい場合は、申告が必要になります。

譲渡所得とは
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は「収入金額(売却価格)−取得費−譲渡費用−特別控除」として計算されます。
取得費
取得費には、物件の購入代金や購入時の諸費用(登記費用、仲介手数料、リフォーム代金など)が含まれます。また、購入から長期間経過している場合には減価償却費が考慮されます。
譲渡費用
譲渡費用には、売却時にかかった費用(仲介手数料や契約書の印紙代、測量費用など)が含まれます。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、不動産の保有期間によって異なる税率が適用されます。
短期譲渡所得
保有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率が39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)と高く設定されています。
長期譲渡所得
保有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)に下がります。長期保有は税率面で有利となります。

譲渡所得の確定申告での特例
3,000万円の特別控除
居住用不動産を売却する場合、3,000万円までの特別控除が適用可能です。例えば、売却益が3,000万円以下であれば所得税が発生しないこととなります。控除を利用するためには、売却した物件が主に居住していた場所であることなどの条件を満たす必要があります。
軽減税率
居住用不動産を10年以上保有した後に売却した場合、軽減税率が適用され、譲渡所得の税率がさらに引き下げられます。これは長期的な資産形成を支援する税制措置で、所得税率が10%、住民税率が4%に抑えられるため、税負担を大幅に減らせる場合があります。
買換え
不動産を売却し、その売却益を新たな不動産の購入に充てた場合、「買換え特例」が利用でき、譲渡所得の課税を繰り延べできるケースがあります。これにより、新規物件の購入をサポートしつつ、資産形成を支援します。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除
売却時に譲渡損失が発生した場合、一定の条件下で他の所得と損益通算が可能です。さらに、損失を翌年以降に繰り越して控除を行うことも可能で、最大3年間の繰越控除が適用されます。
被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除
相続した不動産を売却する際、一定の条件を満たせば3,000万円の特別控除が適用されます。この控除は、相続した親の住まいを売却するケースで利用でき、税負担を軽減する助けとなります。
不動産売却時の確定申告の流れ
必要書類の準備
譲渡所得の内訳書
譲渡所得を構成する詳細な内訳を記した書類が必要です。
不動産売却や特例に関係する書類
売買契約書、登記簿謄本、仲介手数料の領収書などが該当します。特例を利用する場合はその証明資料も求められます。
申告分離課税の申告書
不動産譲渡は申告分離課税となるため、別途の申告書を準備します。
確定申告書
一般の確定申告書(青色・白色)も併せて提出する必要があります。
取得費・譲渡費用・減価償却費の計算方法
取得費には不動産購入代金や諸費用が含まれます。減価償却費は所有期間に応じて計算し、譲渡費用として考慮します。
課税譲渡所得金額の計算
譲渡所得から各種控除や諸費用を差し引いた金額が「課税譲渡所得金額」となります。この金額が、税額計算の基準となります。例えば、長期譲渡の場合は税率20.315%、短期譲渡の場合は39.63%が適用されるため、課税譲渡所得金額が高ければ高いほど納税額も増えます。また、控除を最大限に活用し、譲渡所得を少なくすることが節税につながります。
確定申告の準備・申告
確定申告には、準備した各種書類や計算済みの課税譲渡所得金額をもとに、申告書類を税務署に提出します。電子申告(e-Tax)や郵送、税務署への持参が可能です。e-Taxを利用することで、スマホやパソコンから申告手続きが簡単に行え、控除や還付の処理も迅速に進められます。

よくある間違いと注意点
不動産売却時の確定申告では、いくつかの共通のミスが見られます。主なポイントは以下の通りです。
取得費の過小評価
取得費は物件購入価格だけでなく、仲介手数料や登記費用、リフォーム費用も含まれますが、これらを含めず取得費を低く見積もると、譲渡所得が高くなり結果として税負担が増えます。すべての関連費用を漏れなく含めることが重要です。
減価償却費の計算ミス
長期間保有した物件では、減価償却費の計算が必要ですが、計算を誤ると課税額に影響が出ます。古い物件や自宅を長期間保有していた場合、税理士のサポートを受けることもおすすめです。
特例の適用ミス
3,000万円の特別控除や軽減税率などの特例には適用条件がありますが、誤って申告すると後で修正が必要になることがあります。申告前に、適用条件を再確認することが大切です。
確定申告を簡単にするには
確定申告は煩雑な作業ですが、最新のツールやアプリケーションを活用することで簡素化できます。特に、タックスナップのようなクラウド会計ソフトは、スマホを利用して申告作業を効率化するのに適しています。
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他会計ソフトからのスムーズな乗り換え
既に他の会計ソフトを利用している場合も、タックスナップへの移行は非常に簡単です。データのインポート機能が備わっており、過去のデータもシームレスに引き継げるので、乗り換えの手間をかけずにスムーズに使用を開始できます。
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タックスナップは、シンプルで使いやすく豊富な機能で、フリーランスや個人事業主の経理の手間を劇的に軽減します。今すぐタックスナップを使い始めて、経理業務をもっとスマートにしましょう。
まとめ
不動産売却による譲渡所得の確定申告は、多くの人にとって複雑に感じられるかもしれませんが、しっかりと手続きを理解して進めることで、スムーズに完了させることができます。譲渡所得の計算方法や特例の活用方法を押さえ、必要書類を整えて確定申告に臨みましょう。
タックスナップは、簡単さと安心感を兼ね備え、フリーランスや個人事業主の経理・確定申告をサポートする強力な会計ツールです。スワイプで手軽に取引を仕分けし、自動仕分けで更に効率を追求。税務調査リスクチェックで安心感を高め、スマホ一台で提出まで完結できる便利さで、経理のストレスを大幅に軽減します。他会計ソフトからの乗り換えも簡単なので、今すぐ試してみる価値があります。
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よくある質問
確定申告をしなかったらどうなるの?
不動産売却後に確定申告をしない場合、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。また、税務調査の対象となるリスクも高まります。税務署から通知が来る前に適切に申告を行い、ペナルティを避けることが重要です。
確定申告の内容を間違えてしまった
申告書を提出した後に内容の誤りが発覚した場合は、「修正申告」を行う必要があります。修正申告は、税務署への報告が義務付けられており、誤りに気づいた段階で早めに対応するのが望ましいです。追加の税金が発生する場合もあるため、計算には細心の注意を払いましょう。
確定申告の期間は?
通常、確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までですが、譲渡所得の申告は前年度の売却から翌年の確定申告期間内に行う必要があります。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があるため、期限内に申告を済ませるように注意しましょう。
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