準確定申告とは、亡くなった人のその年1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告・納税する手続きです。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内で、申告が義務なのは「納める税金が出る人」だけです。実際には申告不要な人や、任意の還付申告(期限5年)で税金が戻る人も多くいます。この記事では、必要かどうかの判定・期限の数え方・必要書類と書き方・相続税との関係までをわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 準確定申告は、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得を相続人が申告する手続きです。
- 期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」で、納税もこの期限までに行います。
- 義務があるのは納める税額が出る人だけで、大多数の人は申告不要か任意(還付)です。
- 還付を受けるだけの申告なら、期限は4か月ではなく翌年1月1日から5年間です。
- 医療費控除などの対象になるのは、死亡日までに本人が支払った分だけです。
- 納めた所得税は相続税の債務控除になり、戻ってきた還付金は相続財産になります。
準確定申告とは(亡くなった人の「最後の確定申告」)
通常の確定申告との違い
準確定申告は、亡くなった人のその年1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。本人はもう申告できないため、相続人(遺言で財産全体の割合を指定されて受け取る包括受遺者を含む)が「本人に準じて」申告・納税することから、準確定申告と呼ばれます。対象になる税金は所得税と復興特別所得税です(国税庁 No.2022)。
通常の確定申告との違いを整理すると次のとおりです。
| 比較項目 | 通常の確定申告 | 準確定申告 |
|---|---|---|
| 対象期間 | 1月1日〜12月31日 | 1月1日〜死亡した日 |
| 申告・納税の期限 | 翌年2月16日〜3月15日 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 申告する人 | 本人 | 相続人・包括受遺者 |
| 提出先 | 本人の住所地の税務署 | 亡くなった人の死亡当時の住所地の税務署 |
| 医療費控除などの対象 | その年に支払った分 | 死亡日までに本人が支払った分 |
| 配偶者控除・扶養控除の判定 | 12月31日の現況 | 死亡日の現況(月割りなし) |
たとえば6月15日に亡くなった場合は、その年の1月1日から6月15日までの所得を申告します。提出先は相続人の住所地ではなく、亡くなった人の住所地を管轄する税務署です。遠方に住む相続人が手続きする場合も、提出先は変わりません。
相続税の申告とは別の手続き
準確定申告(4か月)と相続税の申告(10か月)は別の手続きで、先に準確定申告を片づけるのが正しい順番です。準確定申告は亡くなった人の「所得」にかかる所得税の手続き、相続税の申告は遺された「財産」にかかる税金の手続きで、対象も期限も異なります。
- 準確定申告:相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
- 相続税の申告:相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
相続税の申告が必要になるのは、遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。事業や不動産賃貸をしていた人が亡くなったケースでは、準確定申告と相続税申告の両方が必要になることが多くなります。後述のとおり、準確定申告の納税額・還付額は相続税の計算に組み込むため、先に準確定申告で金額を確定させておくとスムーズです。相続した財産と確定申告の関係は、次の記事で解説しています。

だれが申告するのか:連署が原則だが、別々の提出もできる
相続人が複数いる場合は連署が原則ですが、他の相続人に内容を通知すれば別々に提出することもできます。準確定申告は相続人全員に関わる手続きで、原則は全員が連署した1通の申告書を提出します。実務では代表者を決めて、代表者がとりまとめるのが一般的です。
ただし、事情がある場合は各相続人が別々に申告書を提出することも認められています。この場合、申告した内容を他の相続人に通知する義務があります(国税庁 No.2022)。別々の提出が使われる代表的な理由は、後述する付表に相続人全員のマイナンバーを記入するため、連署方式だと自分のマイナンバーが他の相続人に知られてしまうことです。個人情報を開示したくない相続人がいる場合は、各別提出を検討しましょう。
なお、相続放棄をした人は相続人ではなくなるため、準確定申告の手続きからも外れます(残りの相続人が申告します)。

準確定申告が必要な人・不要な人・した方がいい人
必要な人(義務があるのは「納める税額が出る人」)
亡くなった人が毎年確定申告をしていたなら、最後の年の分も準確定申告が必要と考えてください。準確定申告の義務があるのは、1月1日から死亡日までの所得を計算して納める税額が出る人です。次のチェックリストに当てはまる場合は、申告が必要になる可能性が高いといえます。
| 亡くなった人の状況 | 補足 |
|---|---|
| 個人事業・フリーランスをしていた | 事業所得。決算書の作成も必要 |
| アパート・駐車場などの不動産収入があった | 不動産所得 |
| 給与収入が2,000万円を超えていた | 年末調整の対象外 |
| 給与以外の所得が20万円を超えていた | 副業など |
| 2か所以上から給与を受けていた | 年末調整されない給与がある |
| 公的年金の収入が400万円を超えていた | — |
| 同族会社の役員で、会社から利子や賃料を受け取っていた | 金額にかかわらず対象 |
| 亡くなった年に不動産や株(源泉徴収なしの口座)を売却していた | 譲渡所得 |
| 保険の満期金・一時金を受け取っていた | 一時所得(特別控除50万円を超える利益) |
生前の状況が分からない場合は、自宅に確定申告書の控えや税務署からの郵便物がないか、顧問税理士がいなかったかを確認しましょう。前年まで毎年申告していた人は、最後の年も申告が必要なケースがほとんどです。不動産収入・株・保険金の税金は、それぞれ次の記事で解説しています。



個人事業主は消費税の準確定申告も必要
消費税を納めていた個人事業主は、所得税と消費税の2本の準確定申告が必要です。消費税の課税事業者(インボイス登録をしていた人を含む)が亡くなった場合、消費税及び地方消費税の申告も相続人が引き継ぎ、期限は所得税と同じく死亡した日の翌日から4か月以内です(国税庁 暮らしの税情報「財産を相続したとき」)。消費税の申告のしくみは次の記事をご覧ください。

不要な人(実は大多数)
義務として準確定申告が必要な人は少数派で、多くの遺族は「不要」か「還付のための任意申告」のどちらかです。次のような場合、準確定申告の義務はありません。
- 年末調整で完結する会社員だった(給与2,000万円以下・副業なし)
- 公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下だった
- 計算しても納める税額が出ない
とくに年金収入だけの人は、判定対象が「1月1日から死亡日まで」の短い期間の収入になるため、400万円を超えるケースはまれです。また、相続放棄をした人は相続人でなくなるため、この手続きの対象外です。
該当しない場合でも、次の「した方がいい人」に当てはまれば税金が戻る可能性があります。
した方がいい人(税金が戻る任意の申告)
医療費控除や配当の源泉徴収がある場合は、申告すれば税金が戻る可能性があります。義務はなくても、亡くなった人が納めすぎていた所得税を取り戻せるケースです。
- 給与や年金から所得税が源泉徴収されていた(年の途中で亡くなると納めすぎになりやすい)
- 株の配当から15.315%の所得税が源泉徴収されていた
- 亡くなる前に本人が高額な医療費を払っていた(医療費控除)
- ふるさと納税などの寄附をしていた(寄附金控除)
- 配偶者や扶養家族がいた(配偶者控除・扶養控除)
なお、通常の確定申告では「配当を申告すると保険料に跳ね返るのでは」という悩みがつきものですが、準確定申告では本人が亡くなっているため、翌年の保険料への影響を考える必要はありません。純粋に還付額だけで判断できます。
還付申告は権利であって義務ではないため、しなくても罰則はありません。戻る金額が数千円程度なら、手間との見合いで申告しない選択も可能です。医療費控除の基準と還付金のしくみは次の記事で解説しています。


還付だけなら期限は「5年」ある
税金が戻るだけの準確定申告なら、4か月の期限に追われる必要はなく5年以内に行えば大丈夫です。還付申告の期限は、対象年の翌年1月1日から5年間です(国税庁 No.2030)。四十九日などの法要が落ち着いてからでも間に合います。
ただし、戻ってきた還付金は相続税の課税対象になるため、相続税の申告が必要な場合は、その期限(10か月)までに還付額を確定させておくのが安全です。
モデルケースで判定してみる
迷ったら「納める税金が出るか」「源泉徴収された税金が戻るか」の2つの質問で判定できます。
- ケースA:父・アパート賃貸の不動産所得あり → 準確定申告が必要(義務)。青色申告決算書または収支内訳書もあわせて作成
- ケースB:母・収入は年金200万円のみ → 不要。ただし入院費を本人が払っていたなら、医療費控除の還付申告を検討
- ケースC:会社員の夫・年末調整前の10月に死亡 → 源泉徴収された所得税が精算されていないため、申告すると還付になることが多い
判定に迷う場合は、亡くなった人の住所地の税務署か税理士に確認してください。

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期限は「知った日の翌日から4か月以内」
相続手続き全体の中での位置づけ
準確定申告は、死後の手続きの中でも期限が早い部類に入ります。主な手続きと期限を時系列で並べると、次のようになります。
| 期限の目安 | 手続き |
|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の申述(家庭裁判所) |
| 4か月以内 | 準確定申告(所得税・消費税)と納税 |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納税 |
相続放棄(3か月)の判断が先、準確定申告(4か月)がその次、という順番を意識すると、遺産に関わる手続きが整理しやすくなります。準確定申告の要否を調べる過程で亡くなった人の収入・財産が見えてくるため、相続税の準備にもそのままつながります。
期限の数え方を具体例で
期限は「亡くなった日」ではなく「相続の開始を知った日の翌日」から数えて4か月以内です。通常は亡くなった日にそのことを知るため、実務上は「死亡日の4か月後の同じ日」と覚えておけば問題ありません。
- 6月15日に死亡 → 期限は10月15日
- 12月15日に死亡 → 期限は翌年4月15日(通常の確定申告期限3月15日を過ぎますが、問題ありません)
一方、死亡をあとから知った場合は、知った日が起算点になります。たとえば孤独死で警察から連絡を受けて死亡を知ったケースでは、その連絡を受けた日の翌日から4か月です。なお、期限日が土・日・祝日にあたる場合は、その翌平日が期限になります。申告書の提出だけでなく納税も同じ期限までに済ませる点を忘れないでください。
1月1日〜3月15日に亡くなった場合は2年分の申告が必要
年明けから3月15日までに亡くなった場合は、前年分と当年分の2つの準確定申告をまとめて行います。前年分の確定申告を提出する前に亡くなると、前年分が未申告のまま残るためです。この場合、前年分・当年分ともに期限は「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」になります(国税庁 No.2022)。
たとえば3月1日に亡くなった場合、前年1年分と、当年1月1日〜3月1日分の2本の申告書を、7月1日までに提出します。申告書は年分ごとの様式を使い、源泉徴収票などの書類も2年分必要になるため、早めに集め始めましょう。
遅れると無申告加算税と延滞税がかかる
期限を過ぎても申告はできますが、自主的に早く出すほどペナルティは小さくて済みます。納税も4か月の期限内に行う必要があり、遅れると本来の税額に加えて無申告加算税(税務調査の事前通知前に自主申告すれば5%)と、日数に応じた延滞税がかかります(国税庁 No.2024)。「申告が必要と知らなかった」場合でも課される点に注意してください。
葬儀や法要と並行して、相続人間の調整や書類集めを進めることになるため、4か月は思った以上に短いのが実情です。実務では、源泉徴収票や控除証明書の取り寄せだけで1か月前後かかることも珍しくありません。準確定申告が必要と分かった時点で、書類の依頼から先に着手することをおすすめします。
準確定申告のやり方4ステップ
ステップ1:申告のしかたを決める(代表者を決める)
相続人が複数いるなら、最初に「誰がとりまとめるか」を決めるのが4か月で間に合わせるコツです。連署で1通を出すか、各自で別々に出すか(他の相続人への通知義務あり)を決め、連署なら代表者を決めます。代表者を決めておくと、税務署とのやり取りや還付金の受け取りがスムーズになり、納税の負担割合をめぐるトラブルも防げます。
亡くなった人に顧問税理士がいた場合は、その税理士に相談するのが最短です。生前の申告内容を把握しているため、書類集めから申告までが速く進みます。
税理士に代行を依頼する場合
事業所得があるなど内容が複雑な場合や、期限まで時間がない場合は、税理士への依頼も選択肢です。税理士が代理で申告する際は、代理権限を証明する「税務代理権限証書」を申告書に添付します(e-Taxでも送信できます)。新しく税理士を探す場合は、生前の帳簿や申告控えが揃っているかで作業量と費用が変わるため、先に資料を集めてから相談するとスムーズです。
ステップ2:必要書類を集める
「確定申告書B」という様式はすでに廃止されており、現在は1種類の確定申告書の表題に「準確定」と書いて使います。準確定申告に専用の用紙はありません。必要書類は次のとおりです。
| 書類 | 入手先・備考 |
|---|---|
| 確定申告書(第一表・第二表) | 国税庁サイトか税務署で入手し、表題に「準確定」と記入 |
| 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書) | 相続人が2人以上なら必須(e-Taxの場合は1人でも必要) |
| 亡くなった人の源泉徴収票 | 給与は勤務先、年金は日本年金機構(1月末ごろ発行)。申告書の作成に使うが提出は不要 |
| 控除証明書 | 生命保険料・地震保険料など。手元になければ保険会社に再発行を依頼 |
| 医療費控除の明細書 | 死亡日までに本人が支払った医療費の領収書をもとに作成 |
| 相続人全員のマイナンバー確認書類 | マイナンバーカード両面の写しなど |
| 委任状(準確定申告書用) | 還付金を代表者が一括で受け取る場合のみ |
| 青色申告決算書または収支内訳書 | 事業所得・不動産所得があった場合 |
なお、戸籍謄本や死亡届の写しの添付は原則不要です。
書類集めのコツは、発行に時間がかかるものから先に依頼することです。源泉徴収票は勤務先や年金事務所に「相続人であること」を伝えて請求し、生命保険などの控除証明書をなくしている場合は保険会社に再発行を頼みます。並行して、自宅で前年の確定申告書の控えを探すと、亡くなった人の収入の全体像がつかめます。
亡くなった人のマイナンバーは書かない
マイナンバーを記入するのは相続人で、亡くなった本人の個人番号は空欄のままにします。相続人が1人で付表を省略する場合は、申告書上部の余白に相続人のマイナンバーと被相続人の死亡年月日を記入します。相続人が2人以上の場合は、付表に全員分を記入します。
年金受給者の源泉徴収票は毎年1月末ごろに日本年金機構から届きますが、1月1日から最初の年金支給月の前に亡くなった場合は発行されないことがあります。見当たらない場合は年金事務所に確認しましょう。年金の源泉徴収票の見方は次の記事で解説しています。

ステップ3:申告書を作る(第一表・第二表・付表の書き方)
ふだんの確定申告で使う「作成コーナー」は準確定申告に対応していないため、手書きかe-Taxソフトで作成します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では準確定申告書を作成できません(国税庁 確定申告書等作成コーナーFAQ)。様式を印刷して手書きするか、e-Taxソフトで作成します。書き方に迷ったら、国税庁の記載例・記載要領が参考になります。
第一表・第二表の書き方
- 表題の「確定申告書」の前に「準確定」と記入する
- 相続人が1人の場合:住所・氏名欄を上下2段に分け、上段に「被相続人」+氏名+死亡年月日、下段に「相続人」+自分の氏名を記入。余白に相続人のマイナンバーを書く
- 相続人が2人以上の場合:第一表・第二表には被相続人の情報のみを記入し(氏名の前に「被相続人」と明記)、相続人の情報はすべて付表にまとめる
- 収入・所得・控除などの記入方法は通常の確定申告と同じ
- 還付になる場合の受取口座は、相続人名義の口座を書く
亡くなった年の住民税はかからないため、第二表の「住民税に関する事項」は空欄のままで問題ありません。住民税は毎年1月1日時点に住んでいる人に課される税金なので、死亡した年の所得に対する翌年度の住民税は課税されないからです(横浜市・中央区など各自治体が案内しています)。
付表の書き方(7項目)
付表は「誰が・どの割合で・いくら納める(受け取る)か」を税務署に示す書類で、納税も還付も相続分どおりに割り振ります。記入するのは次の7項目です。
- 死亡した人の住所・氏名・死亡年月日
- 納める税金または還付される税金(申告書第一表の「第3期分の税額」を転記)
- 相続人等の代表者の指定(代表者を決めた場合)
- 限定承認(相続財産の範囲内で債務を引き継ぐ方法)をしている場合は「限定承認」の文字を○で囲む
- 相続人全員の住所・氏名・マイナンバー・続柄・相続分(「法定」か「指定」を○で囲み、割合を記入)・相続財産の価額(分割前なら総額×各人の相続分)
- 各人の納付税額または還付金額(2の金額×各人の相続分)
- 還付金の受取口座(ゆうちょ銀行は貯金総合通帳の記号番号)
ステップ4:税務署に提出する(e-Taxも可)
提出先は、亡くなった人の死亡当時の納税地(住所地)を管轄する税務署です。持参・郵送のほか、e-Taxでも提出できます。
e-Taxで出す場合は相続人の代表者がまとめて送信し、他の相続人が署名した「確認書」を添付します。e-Tax利用の条件は次のとおりです(国税庁 準確定申告のe-Tax対応について)。
- 対象は令和2年分以後の準確定申告(令和元年分以前は電子申告できない)
- 「e-Taxソフト」を使って作成・送信する(作成コーナーは不可)
- 相続人の代表者が送信する(各相続人が別々に送信することはできない)
- 相続人が1人でも付表の提出が必要
- 相続人が2人以上の場合は、各相続人が確認・署名した「準確定申告の確認書」を添付
- 還付金の一括受領の委任状もデータで送信できる
- 送信には代表者の利用者識別番号と電子証明書(マイナンバーカードなど)を使う
納税も期限内に行います。相続人が複数いる場合は、税務署で納付書を人数分もらい、それぞれが自分の負担分を納付します。e-Taxの始め方は次の記事をご覧ください。


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所得控除は「死亡日までに支払った分」だけ
医療費控除は死亡日までに本人が払った分
亡くなった後に遺族が精算した入院費は、準確定申告ではなく相続税の債務控除か遺族自身の医療費控除で使います。準確定申告で医療費控除の対象になるのは、死亡の日までに被相続人本人が支払った医療費だけです(国税庁 No.2022)。金額の判定では、入院給付金や高額療養費など保険等で補てんされた分を差し引きます。
死亡後に相続人が支払った入院費・治療費の行き先は2つあります。
- 相続税の債務控除:未払いの医療費は「被相続人の債務」として、相続税の計算で遺産から差し引ける
- 相続人自身の医療費控除:亡くなった人と生計を一にしていた相続人が支払った場合、その相続人の確定申告で医療費控除に使える
具体例で整理します。父が亡くなる前に自分で払った入院費30万円は、父の準確定申告の医療費控除に使えます。一方、死亡後に同居の長男が病院の窓口で精算した20万円は、準確定申告には入れられませんが、相続税の債務控除にするか、長男自身の確定申告の医療費控除に含めるかを選べます。
なお、医療費控除の対象にならない費目もあるため、内訳の確認も忘れないようにしましょう。医療費控除の基準は次の記事で解説しています。

社会保険料・生命保険料・寄附金も同じ考え方
どの控除も「死亡日までに本人の財布から出たかどうか」で線を引きます。社会保険料控除(国民健康保険料・介護保険料など)、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除(ふるさと納税を含む)は、いずれも死亡日までに被相続人が支払った分だけが準確定申告の対象です。
死亡後に相続人が払った分(未納の保険料など)は、準確定申告には入れられませんが、相続税の債務控除の対象になります。
配偶者控除・扶養控除は死亡日の状況で満額
年の途中で亡くなっても、配偶者控除や基礎控除は月割りされず満額を差し引けます。配偶者控除や扶養控除を適用するかどうかは、死亡日の現況(その時点の親族関係)で判定します。判定に使う配偶者・扶養親族の合計所得金額は、その年1年分の見積り額で計算します(国税庁 No.2022)。
1月に亡くなっても12月に亡くなっても、控除額は同じです。令和8年分では基礎控除104万円(合計所得336万円以下の場合)も満額使え、配偶者控除・扶養控除の対象は所得62万円以下(給与収入136万円以下)の配偶者・親族です。
たとえば6月に亡くなった夫の準確定申告で、妻のその年1年間の所得見積りが40万円なら、死亡日時点で要件を満たすため配偶者控除を満額適用できます。「半年しか生きていないから半分」といった按分はありません。
なお、残された配偶者は、その年の自分の確定申告や年末調整で、亡くなった人を対象とする配偶者控除等を受けられる場合があります(こちらも死亡日時点の判定)。
相続税との関係:納税額はマイナス、還付金はプラスの財産
納めた所得税は相続税の債務控除になる
準確定申告で納めた所得税は、相続税を計算するときに遺産から差し引けます。亡くなった人が納めるべきだった所得税は「被相続人の債務」となり、相続税は財産から債務を引いた残りに課税されるためです。
たとえば準確定申告で10万円を納税したなら、相続税の計算では遺産の総額から10万円を差し引けます。準確定申告の納税額は申告書を作って初めて確定するため、相続税の申告が必要な場合は、相続税申告書を作る前に準確定申告を済ませる順番が合理的です。
還付金は相続財産・還付加算金は相続人の所得
準確定申告で戻ってきた還付金は、相続税の対象になる「遺産」として扱います。還付を受ける権利は生前の被相続人に帰属していたと考えられるため、還付金は相続財産として相続税の課税対象になります。一方、還付金と一緒に振り込まれる「還付加算金」(利息に相当するもの)は、相続人が自ら取得するものとして相続人の雑所得になり、相続税の対象にはなりません(国税庁 質疑応答事例)。
「還付だから」と後回しにすると、相続財産の金額が固まらないまま相続税の申告期限を迎えかねません。相続税の申告が必要な人は、還付申告も10か月以内をめどに済ませておきましょう。
還付金の受け取り方と分け方
代表者がまとめて受け取るなら、他の相続人全員の委任状が必要です。還付金は、原則として付表に記入した相続分に応じて各相続人が受け取ります。代表者が一括で受け取る場合は「委任状(準確定申告書用)」を提出します。
あわせて、遺産分割協議書に「還付金○○円およびこれに付随する還付加算金は、相続人△△が取得する」のように明記しておくと、あとで受け取り済みの還付金の扱いをめぐる認識違いや、相続税申告での計上漏れを防げます。還付金が振り込まれる時期は次の記事で解説しています。

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個人事業主・フリーランスが亡くなったとき
タックスナップの読者に多い個人事業主・フリーランスの世帯では、準確定申告に加えて「事業をどうするか」の手続きが発生します。ここは競合の解説でもほとんど触れられていない、遺族がつまずきやすいポイントです。
事業の所得は準確定申告で・帳簿と決算書が必要
個人事業主の準確定申告には決算書が必要になるため、帳簿と領収書の確保が最初の仕事になります。1月1日から死亡日までの売上と経費で事業所得を計算し、青色申告決算書(または収支内訳書)を添付します。
遺族がまずやるべきことは、帳簿・請求書・領収書・通帳、そして会計ソフトやアプリのログイン情報の確保です。生前の確定申告の控えと顧問税理士の有無も確認しましょう。
事業を誰も継がない場合は、廃業の手続きも必要です。「個人事業の開業・廃業等届出書」を廃業から1か月以内に税務署へ提出します(消費税の課税事業者だった場合は「事業廃止届出書」も)。様式は開業届と同じで、書き方は後述の開業届の記事が参考になります。
事業を継ぐ人は「青色申告承認申請」の期限に注意
親の事業を継いで青色申告を使うには、死亡日に応じた期限までに自分名義の承認申請書が必要です。青色申告の承認は相続で自動には引き継がれません。被相続人が青色申告をしていた事業を相続により承継した場合、相続人の「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は死亡日によって次のように決まっています(国税庁 A1-8)。
| 死亡日 | 相続人の青色申告承認申請の期限 |
|---|---|
| 1月1日〜8月31日 | 死亡の日から4か月以内 |
| 9月1日〜10月31日 | その年の12月31日まで |
| 11月1日〜12月31日 | 翌年の2月15日まで |
被相続人が白色申告だった場合は、この特例はなく通常の新規開業と同じ扱いです(1月16日以後に事業を開始した場合は開始から2か月以内)。万一この期限を逃しても、翌年3月15日までに申請すれば翌年分から青色申告にできます。事業を継ぐ人は開業届の提出も必要です。あわせて次の記事をご覧ください。


e-Taxで出せば準確定申告でも65万円控除が狙える
準確定申告でも、e-Taxで送信すれば65万円の青色申告特別控除を受けられます。青色申告特別控除の65万円は「期限内申告+e-Tax送信(または優良な電子帳簿保存)」が要件ですが、準確定申告は令和2年分以後e-Taxソフトでの送信に対応しているため、この要件を満たせます。紙で提出すると控除は55万円になるので、事業所得が大きい場合は差が出ます。
死亡日の翌日からの売上は相続人の所得になる
亡くなった翌日からの家賃や売上は遺産ではなく、相続人自身の所得として各自が申告します。準確定申告の対象は死亡日までで、翌日以降に生じた不動産収入や事業収入は相続人の所得です。
遺産分割が決まるまでの間(未分割期間)は、その収入は法定相続分に応じて各相続人に帰属し、それぞれが自分の確定申告で申告します(国税庁 No.1376関連Q&A)。分割が確定した後は、その財産を取得した人の所得になります。「とりあえず母がまとめて申告」といった処理は原則と異なるため、迷ったら税理士に相談してください。
ケーススタディ:7月1日に個人事業主の父が亡くなったら
ここまでの内容を、妻と長男が相続人になるケースで通して確認します。
- 期限の確認:7月1日の死亡を当日に知ったので、準確定申告と納税の期限は11月1日
- 方針決定:連署方式にし、代表者は妻に。父の帳簿・領収書・会計アプリのログイン情報・前年の申告控えを確保
- 決算と書類:1月1日〜7月1日の売上と経費で事業所得を計算し、青色申告決算書を作成。生命保険の控除証明書と、父が6月までに自分で払った入院費の領収書も集める
- 申告書の作成:確定申告書の表題に「準確定」と記入し、付表に妻・長男の情報と相続分(法定相続分なら妻2分の1・長男2分の1)を記載
- 納税:納付額を相続分で割り、それぞれの納付書で11月1日までに納付。納めた所得税は相続税の計算で債務控除に
- 事業承継:長男が事業を継ぐなら、死亡日が7月1日(1月1日〜8月31日の区分)なので、11月1日までに長男名義の青色申告承認申請書と開業届を提出
- 死亡後の売上:7月2日以降の売上は、遺産分割が決まるまで妻と長男に2分の1ずつ帰属し、それぞれが翌年の自分の確定申告で申告する
「父の申告(4か月)」と「自分たちの来年の申告」の2層で考えると、やるべきことの全体像が整理できます。
確定申告を簡単にするには
事業を引き継いだ人や、遺産の賃貸収入で新たに確定申告が必要になった人にとって、最初の壁は日々の帳簿づけです。フリーランス・個人事業主向けの確定申告アプリ「タックスナップ」なら、その負担を大きく減らせます。

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「個人事業主・スマホ完結」に特化した確定申告アプリ
タックスナップは、日々の経費処理から確定申告書の作成・提出まで、個人事業主・フリーランスに必要な会計機能がすべてスマホで完結できるアプリです。
今までの会計ソフトは「パソコン操作」や「機能の多さ」を前提としたサービスが多かった一方で、タックスナップは「個人事業主・スマホ完結」に特化し、会計知識が全くない方でも、スキマ時間だけで確定申告が終わるように設計しています。
「初めての確定申告でも迷わずに提出できた」 「他の会計ソフトから乗り換えて、圧倒的にラクになった」 といった嬉しいレビューもいただいています。

App Store確定申告アプリランキング1位を獲得
ここ数年で、タックスナップの利用者は急拡大中。
2026年の確定申告期間(2026年2月16日〜3月16日)では、大手会計ソフトのアプリも含む確定申告アプリの中で、全期間にわたってApp Storeランキング1位を獲得しました。
(参照:Sensor TowerのApp Storeランキングデータ)

他会計ソフトの約4倍の経費処理スピード
意外に時間を取られてしまうのが、日々の経費処理です。 「気づいたら何十件も経費が溜まっていた」という時でも、タックスナップならあっという間に登録が完了します。
外部機関による比較調査では、タックスナップを使うと10分間で平均518件の経費を処理できることがわかっています。 他会計ソフトと比べて約4倍、手書きの約18倍、Excelの約40倍のスピードです。

出典:株式会社タックスナップ 「【比較調査】確定申告アプリ「タックスナップ」、同時間での経費処理件数が他会計ソフトと比較して約4倍を記録。」 (実査運営機関:株式会社アスマーク)
速さの秘訣は丸投げ仕分け
タックスナップの経費処理の速さの最大の理由は、「丸投げ仕分け」機能です。
銀行やカードの取引データが自動で反映されるだけでなく、それぞれの取引が経費かプライベートか、どの勘定科目が適しているのかをアプリが高精度で自動判定してくれます。
「丸投げ仕分け」機能を使えば1,000件の仕分けも最短3秒で完了するので、経費処理が驚くほど楽になります。

税理士監修の機能で、はじめての確定申告でも安心
「本当にこの内容で提出して大丈夫?」という不安を解消するために、税理士監修の「税務調査リスクチェック機能」があります。
あなたのデータをもとに、同じ職種の人の傾向と比べながら、税務調査が入りやすいかをアプリが診断します。
修正するべき内容も表示されるので、事前に修正し、安心して提出できます。

タックスナップは、確定申告をできるだけ簡単に、かつ安心して提出できるようにサポートするアプリです。 無料トライアルも行っているので、まずはその快適さを体験してみてください。
\ AppStoreの確定申告アプリで1位 /
まとめ
準確定申告は、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告する手続きです。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内ですが、義務があるのは納める税額が出る人だけで、還付だけなら5年間の余裕があります。
医療費控除などの対象は死亡日までに本人が支払った分だけで、死亡後に遺族が払った分は相続税の債務控除や遺族自身の控除で使います。納めた所得税は相続税の計算でマイナスに、戻った還付金はプラスの財産になる——この相続税とのつながりまで押さえておけば、手続きの全体像は十分です。
まずは亡くなった人の源泉徴収票と生前の確定申告の控えを集めて、申告が必要かどうかの判定から始めましょう。
よくある質問
Q. 準確定申告の期限はいつまでですか?
相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内で、納税も同じ期限です。通常は死亡日に知るため、死亡日の4か月後の同じ日が目安です。12月に亡くなった場合は翌年4月が期限になり、通常の確定申告期限(3月15日)を過ぎても問題ありません。
Q. 準確定申告をしないとどうなりますか?
納める税額があるのに申告しないと、無申告加算税と延滞税がかかります。自主的に申告すれば加算税は5%で済みます。一方、そもそも納める税額が出ない人には申告義務がなく、しなくてもペナルティはありません。
Q. 準確定申告が不要なのはどんな人ですか?
年末調整で完結する会社員だった人や、年金収入400万円以下かつ他の所得20万円以下だった人は不要です。大多数の人はここに当てはまります。ただし源泉徴収された税金がある場合は、任意の還付申告で取り戻せる可能性があります。
Q. 年金受給者が亡くなった場合、準確定申告は必要ですか?
年金収入400万円以下で他の所得が20万円以下なら不要です。年金から所得税が源泉徴収されていた場合は、申告すれば還付されることがあります。判定に使う源泉徴収票は日本年金機構から1月末ごろに届きますが、年の初めに亡くなった場合は発行されないことがあるため、年金事務所に確認しましょう。
Q. 準確定申告はe-Taxでできますか?
できます。令和2年分以後の準確定申告がe-Taxに対応しています。ただし「e-Taxソフト」での作成・送信に限られ、相続人の代表者がまとめて送信します。相続人が2人以上の場合は、全員が署名した「準確定申告の確認書」の添付が必要です。
Q. 確定申告書等作成コーナーで準確定申告書を作れますか?
作れません。作成コーナーは準確定申告に対応していないため、様式を印刷して手書きするか、e-Taxソフトで作成します。様式は国税庁サイトか税務署で入手でき、国税庁の記載例も公開されています。
Q. 必要書類に戸籍謄本や死亡届の写しは要りますか?
原則不要です。必要なのは申告書・付表・相続人のマイナンバー確認書類などで、源泉徴収票も作成に使いますが提出は不要です。還付金を代表者が一括で受け取る場合のみ、委任状を提出します。
Q. 亡くなった年の住民税はどうなりますか?
死亡した年の所得に対する住民税はかかりません。住民税は翌年1月1日に住んでいる人に課されるためです。したがって準確定申告書第二表の「住民税に関する事項」も記入不要です。ただし、1月2日以降に亡くなった場合のその年度分(前年の所得への課税)は、未納分を相続人が引き継いで納めます。
Q. 還付金は誰が受け取りますか?
原則として、付表に記入した相続分に応じて各相続人が受け取ります。代表者が一括で受け取るには全員の委任状が必要です。受け取った還付金は相続財産として相続税の課税対象になる点にも注意してください。
Q. 相続放棄をした場合も準確定申告の義務はありますか?
相続放棄をすると相続人ではなくなるため、準確定申告の手続きからも外れます。残りの相続人が申告します。全員が放棄した場合など判断が難しいケースは、税務署や専門家に確認してください。
Q. 亡くなった人の源泉徴収票が見つかりません。どうすればいいですか?
給与分は勤務先、年金分は日本年金機構(年金事務所)に依頼すれば発行してもらえます。相続人であることを伝えて手続きしましょう。生前の確定申告の控えも所得の把握に役立ちます。
Q. 1月に亡くなった場合、前年分の確定申告はどうなりますか?
前年分も相続人が申告します。3月15日までに亡くなって前年分が未提出の場合は、前年分と当年分(1月1日〜死亡日)の2本の準確定申告を、どちらも知った日の翌日から4か月以内に行います。
Q. 亡くなった人の医療費を死亡後に払いました。控除に使えますか?
準確定申告の医療費控除には使えませんが、相続税の債務控除の対象になります。また、生計を一にしていた相続人が支払った場合は、その相続人自身の確定申告で医療費控除に含めることができます。
Q. 亡くなった人が予定納税をしていました。どうなりますか?
準確定申告で1年分(死亡日まで)の税額と精算され、納めすぎていれば還付されます。予定納税をしたまま年の途中で亡くなると納めすぎになっていることが多く、還付金は相続財産として扱います。予定納税額は税務署からの通知書や生前の申告控えで確認できます。
Q. 準確定申告は税理士に頼むべきですか?
亡くなった人に顧問税理士がいたなら、その税理士に依頼するのが最もスムーズです。生前の申告内容を把握しているためです。新規に依頼する場合の費用相場は次の記事で解説しています。




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