確定申告や帳簿管理において重要な領収書の保存期間は、法人・個人事業主、申告形態などにより異なります。正しく保存しないと税務調査で問題が発生することも。この記事では、保存期間や管理のコツ、さらに領収書の保存方法と廃棄方法も紹介し、確定申告をスムーズに進めるための知識を提供します。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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領収書の保存期間は5年から10年
法人の場合の保存期間
法人における領収書の保存期間は、原則として7年間です。これは法人税法や消費税法に基づき、事業年度ごとの帳簿や証拠書類を保管することが義務づけられています。具体的には、取引の証拠となるすべての領収書、契約書、請求書が対象となり、取引内容を証明するものが全て含まれます。
法人の保存期間が厳格に設定されているのは、税務調査の際に適正な経理を証明するためです。特に法人は経済活動が複雑であるため、複数年にわたる取引が税務署の確認対象となります。保存期間中の領収書がなければ、経費として認められない可能性もあるため、定期的な管理と保存を徹底することが重要です。
個人事業主の場合の保存期間
個人事業主の領収書の保存期間は、青色申告か白色申告のどちらを選択するかによって異なります。
青色申告の場合
青色申告をしている個人事業主の場合、領収書の保存期間は7年間と定められています。青色申告者には65万円の特別控除があるため、経費の証拠として領収書の保存が求められます。税務署は、この特別控除を適用するために、帳簿や証拠書類の正確性を確認します。日常的に帳簿をつけ、領収書と一致する形で保存しておくことが推奨されます。
白色申告の場合
白色申告をしている場合の領収書保存期間は、青色申告と異なり5年間です。白色申告は帳簿管理が比較的簡易であるため、保存期間も短く設定されていますが、それでも税務調査の際には保存義務があるため、5年間はしっかり管理が必要です。
繰越欠損金の控除を受ける場合の保存期間
個人事業主や法人が、繰越欠損金控除を受ける場合、対象となる領収書の保存期間は10年間とされています。
繰越欠損金とは
繰越欠損金とは、ある事業年度で発生した赤字(損失)を翌年以降に繰り越し、将来発生する利益から控除することができる制度です。この制度により、利益が発生した際に繰り越した損失分を差し引くことで、納税額を軽減することが可能です。繰越欠損金の控除を適用するには、赤字が発生した年の証拠書類、つまり領収書や損益計算書などの保存が必要です。
繰越欠損金控除の申請方法
繰越欠損金控除を受けるには、確定申告書に赤字額を記載して税務署に提出します。控除を適用する際には、損失を証明する領収書などを一緒に保存し、将来的な税務調査に備えましょう。税務署が繰越欠損金の申請内容を確認する際、領収書の有無が控除の適用可否に大きく関わるため、10年間の保存が義務づけられています。
前々年の副業収入が300万円超の場合の保存期間
副業収入が300万円を超える場合は、保存期間が7年間となります。これは税務署が副業収入を事業収入として捉え、正確な収支報告を義務づけるためです。この条件は、個人事業主であっても同様に適用され、税務署が副業としての収入も詳細に把握できるよう、取引証明としての領収書を7年間保存する必要があります。
適格請求書(インボイス)の場合の保存期間
インボイス制度が2023年から施行されたことで、適格請求書の保存が義務化されました。適格請求書(インボイス)の保存期間は、法人・個人事業主に関わらず7年間です。この請求書は、消費税の仕入控除を受ける際の証拠書類として利用され、税務署の審査対象となります。適格請求書の保管は、消費税額控除の証明手段であるため、帳簿と共に保存しておくと良いでしょう。

領収書の保存方法
領収書の保存には、紙媒体で保存する方法とデータで保存する方法があります。どちらの方法も法的に認められており、利便性や業務規模に応じて選択が可能です。
紙で保存する場合
紙で保存する場合は、領収書を年月順または取引先ごとにファイリングし、整理することが望ましいです。紙媒体の保存では、領収書が劣化しやすいことに注意し、湿気や直射日光を避ける場所で保管することが必要です。また、税務調査の際に迅速に提示できるよう、各年度ごとに分けて保管することも推奨されます。
データで保存する場合
データで保存する場合は、スマートフォンやスキャナで領収書をスキャンし、クラウドストレージや会計ソフトに保存します。電子データ化された領収書は、保存スペースが不要で検索も容易なため、大量の領収書管理に適しています。税法では、データ保存の際には「タイムスタンプの付与」「訂正履歴の管理」など、データの信頼性を確保するための要件が定められていますので、要件を満たした保存方法を選びましょう。
領収書をなくしてしまった場合
もし領収書を紛失してしまった場合は、まず取引先に連絡して再発行が可能かどうか確認しましょう。再発行が難しい場合には、取引の証拠として銀行の振込明細書やクレジットカードの利用明細書を代わりに保存しておくと良いです。税務署が認める証拠書類として十分な場合もあるため、すぐに他の証明手段を確保することが重要です。

領収書の処分方法
保存期間が過ぎた領収書は、個人情報が記載されていることも多いため、適切に処分しましょう。処分方法には、シュレッダーでの裁断や、信頼できる廃棄業者に依頼する方法があります。廃棄業者に依頼する場合、処分証明書を受け取っておくと安心です。

よくある間違いと注意点
領収書の保存でよくある間違いは、保存期間を誤解することや、保存方法が不十分なことです。また、保存義務を過小評価してしまい、重要な領収書を廃棄してしまうケースも見受けられます。例えば、適格請求書を保存せず、後に税務署から確認を求められて困ることがあります。確実に保存期間を守り、要件に応じてデジタル管理も活用すると良いでしょう。
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まとめ
領収書の保存期間や保存方法について正確な知識を身につけ、確定申告の際に必要な書類を確実に準備できるようにしましょう。保存方法に関しては、特に電子データの保存要件に留意し、管理体制を整えておくことが推奨されます。効率的な確定申告を目指すためには、会計ソフトやデジタルツールの活用も検討し、時間と労力を削減しましょう。
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よくある質問
確定申告をしなかったらどうなるの?
確定申告を怠ると、延滞税や無申告加算税が課されるため、申告漏れを防ぐことが重要です。また、青色申告特別控除も受けられなくなる可能性があります。
確定申告の内容を間違えてしまった
誤りが発覚した場合、修正申告や更正の請求を行って訂正が可能です。速やかに対応し、税理士に相談することで、リスクを最小限に抑えましょう。
確定申告の時期はいつ?
通常、確定申告の提出期間は毎年2月16日から3月15日までです。期限内に間違いなく申告を行うために、事前の準備が重要です。
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