フリーランスや小規模経営者にとって、健康管理は事業の持続と発展のためにも欠かせない要素です。しかし、事業用の費用を扱う青色申告で「人間ドック」や「健康診断代」を経費に計上できるのか悩む方は多いでしょう。そこで本記事では、個人事業主・法人ごとに人間ドック代が経費になるケースや、ならないケースについてわかりやすく解説します。また、経費にできない場合の医療費控除との関係や、計上時の注意点についても併せてチェックしましょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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人間ドック代は経費になる?個人事業主の場合
個人の健康診断費用は原則として事業用経費に含められない。医療費控除になるケースも限定的
個人事業主の場合、自分自身の人間ドック代を「事業に必要な支出」と見なすのは難しく、通常は経費として認められません。たとえば、法人では役員・従業員の福利厚生の一環として費用を負担できるケースがありますが、個人事業主の場合は「自分自身の健康管理は個人レベルの支出」と判断されがちです。
そのため、青色申告で人間ドック代を経費計上したいという希望があっても、基本的には受け入れられないことが多いでしょう。ただし、医師の診断を受けて再検査などの「治療」が必要とされた場合、医療費控除の対象となるケースがあります。これはあくまで「医療行為の一環」と認められた場合に限られ、人間ドック自体の費用は治療に当たらないという解釈が一般的です。どの範囲が医療費控除の対象となるか、詳細は税務署や専門家に相談するのがおすすめです。

法人の場合はどうなる?~従業員と役員で取り扱いが異なる~
従業員の人間ドック費用は福利厚生費として経費になるが、役員や個人事業主本人には原則不可
法人(株式・合同・有限会社など)で青色申告を行っている場合、人間ドック費用は以下のように扱われます。
- 従業員の健康診断・人間ドック代
一般的な健康診断や人間ドックであれば、会社負担分を福利厚生費として経費に計上できます。これは従業員の健康管理が事業の維持に不可欠な措置と見なされるからです。ただし、法人が負担する際には、全従業員が同じ検査内容を受けるなど、福利厚生としての公平性が求められます。 - 役員(経営者)の人間ドック代
役員の場合、従業員に適用される福利厚生費とは異なり、役員報酬の一部として扱われる可能性があります。多くの場合、プライベートな健康管理費用と見なされるため、全額を経費に含めるのは難しく、損金不算入となるリスクが高いです。
ただし、従業員と同等の内容で同じように実施される場合など、特例として認められるケースもあり得ます。事前に税理士や税務署へ相談しておくと安心でしょう。
以上のように、法人であっても人間ドック代を経費計上できるかどうかは、受診対象者(従業員か役員か)や健康診断の内容・目的などによって異なります。適切な手続きを踏み、公平性や事業関連性を証明することが重要です。

人間ドック代が経費にならない場合の医療費控除~適用されるかをチェック~
医療行為と認められない限り対象外。「治療目的の再検査」は可能性あり
個人事業主や役員自身の人間ドック代を経費化できない場合、代わりに医療費控除を検討してみましょう。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 単なる健康診断や検査は控除の対象外
医療費控除は、病気やケガの治療のために支払った費用を対象としています。人間ドック自体は病気の有無を調べる「予防や検査」であるため、一般的には医療費控除の対象になりにくいです。 - 再検査などが「治療行為」と見なされる場合
人間ドックの結果、医師から再検査や治療が必要だと診断され、それを実施した場合の費用は医療費控除の対象になり得ます。この際、領収書や診断書などを保管しておき、治療であることを証明できるようにしましょう。
医療費控除を適用したい場合は、確定申告で支払金額や治療内容を正しく記入・証明する必要があります。事前に税務署や専門家へ確認しながら手続きを進めましょう。

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まとめ
青色申告で人間ドック代を経費にできるかどうかは、「受診者が個人事業主本人か従業員か」「法人か個人事業か」などの状況によって大きく異なります。個人事業主本人の場合は事業経費にはしにくい一方、法人で従業員の健康診断を一律に行うなら福利厚生費として経費計上できる可能性があります。
もし経費として認められない場合でも、医療費控除の適用を検討する方法がありますが、単なる健康診断や人間ドックだけでは対象外となるのが一般的です。青色申告のメリットを享受しつつ、適切に費用計上するためには、事前に税務署や税理士と相談し、自分の事業形態や健康診断の実施方法に合った解決策を見つけましょう。
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よくある質問
Q1: 個人事業主で青色申告をしていますが、人間ドック代を一部でも経費にできる方法はありますか?
個人事業主本人の健康診断費用や人間ドック代は、一般的には「事業に直接必要な経費」ではないため、全額経費化するのは難しいです。法人で従業員に対して一律に健康診断費用を負担する場合とは異なり、個人の場合はあくまで自身の私的費用と見なされる可能性が高いです。医師の指示による治療行為が伴えば、医療費控除の対象となるケースがありますが、その部分だけに限定されます。
Q2: 法人で役員も含めて全員人間ドックを受けさせた場合、役員分も福利厚生費として計上できるのでしょうか?
福利厚生費として認められるためには、「従業員全員に対して平等に実施され、内容も一般的な健康診断の範囲内であること」が基本的な条件です。役員についても、従業員と同様の検査内容や実施方法であれば、福利厚生費として認められる可能性があります。ただし、税務署の解釈や具体的な状況によって異なるため、事前に専門家に相談するのが望ましいです。
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