【2026年最新版】訪問介護・デイサービスの開業は法人設立から|指定の要件と資金を解説

「訪問介護やデイサービスを開業したいけれど、法人設立は必要?」「指定を受けるための条件は?」「開業資金はいくら準備すればいい?」と疑問を感じていませんか。

介護サービスの需要が高まるなか、訪問介護やデイサービスの開業を目指す方が増えています。しかし、介護事業は一般的なビジネスとは異なり、介護保険法に基づく指定申請や人員・設備に関する基準を満たす必要があるため、事前の準備が重要です。特に訪問介護やデイサービスを始める場合、原則として法人格を取得したうえで、自治体から指定を受ける必要があります。

また、事業所の開設には物件取得費や設備費、人件費などの初期費用だけでなく、利用者が安定するまでの運転資金も考慮した資金計画が欠かせません。

この記事では、訪問介護・デイサービスの開業を検討している方に向けて、法人設立が必要な理由や指定を受けるための要件、開業に必要な資金、開業までの流れについて詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 介護保険の指定を受けるには法人格が必要
  • 定款の目的に介護事業を記載しておく必要がある
  • 指定には人員・設備・運営の3つの基準を満たす
  • 介護報酬の入金は約2か月後なので運転資金を厚く持つ
  • 指定申請には月単位の締切があるので逆算して動く
  • 利用者はケアマネジャーからの紹介で来る。営業を指定申請と並行で始める

目次

訪問介護は個人事業では始められない

まずここをはっきりさせてください。介護保険のサービスとして事業を行うには、都道府県または市区町村から「指定」を受ける必要があり、その前提として法人格が求められます

つまり、他の業種のように「まず開業届を出して個人で始める」という進め方ができません。

項目訪問介護・デイサービス他の多くの業種
事業形態法人のみ個人でも可
最初にやること法人の設立開業届の提出
営業の前提介護保険の指定業種による
収入の中心介護報酬(入金は約2か月後客からの入金

定款に介護事業を記載しておく

最も多いやり直しがここです。定款の事業目的に介護保険事業を記載していないと、指定申請の段階で定款の変更が必要になります。

定款の変更には登記の手続きと費用がかかり、指定申請の締切に間に合わなくなることもあります。法人を作る時点で、将来やる可能性のある事業まで含めて書いておいてください。

法人設立から指定までの流れ

順序やること
1定款の目的に介護事業を入れて法人を設立する
2指定権者(都道府県または市区町村)に事前相談する
3設備基準を満たす物件を確保する
4人員基準を満たす人を採用する
5指定申請を提出する(月単位の締切あり)
6指定の効力発生日から営業を開始する

締切と効力発生日は自治体で定められています。例えば申請の締切を一日遅れると、指定が一か月後れになることもあります。家賃と人件費はその間も発生するので、逆算して動くことが資金を守ります


指定を受けるための3つの基準

人員基準

ここが最もハードルの高い部分です。資格を持った人を、開業前に確保しておく必要があります。

役割訪問介護での位置づけ
管理者事業所ごとに専従で置く(他の職との兼務に条件がある)
サービス提供責任者資格要件あり。利用者数に応じて必要人数が増える
訪問介護員資格要件あり。常勤換算での最低人数が定められている

デイサービス(通所介護)の場合はさらに生活相談員や看護職、機能訓練指導員などの配置が必要になり、必要な人数は規模とサービス内容で変わります。

具体的な人数と資格の組み合わせはサービス種別と自治体の運用で定まるため、採用を始める前に指定権者に確認してください。

設備基準

事務所には条件があります。

  • 事務室(必要な設備と備品を備える)
  • 相談スペース(利用者との面談に使える区切られたスペース)
  • 手指消毒設備などの衛生管理の設備

注意が必要なのは自宅と兼用する場合です。居宅部分との区画を求められるため、部屋の一角を使うだけでは認められないことがあります。これも先に相談してください。

運営基準

これは指定を受けたあともずっと維持が必要な基準です。

  • 重要事項の説明と契約の手続き
  • 訪問介護計画の作成と利用者の同意
  • サービス提供の記録の作成と保存
  • 苦情対応の体制と経緯の記録
  • 秘密保持と事故発生時の対応

定期的な実地指導でこの記録が確認されます。記録が不備だと介護報酬の返還を求められることもあるため、開業時に記録のひな形と運用ルールを作っておくことが大事です。


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開業資金はいくら必要?

費目訪問介護デイサービス
法人設立費用数万円〜30万円前後同じ
物件の初期費用賃料の4〜10か月分広い面積が必要で高くなる
内装・区画・衛生設備30〜150万円200万円〜(入浴・食事設備など)
備品・車両50〜200万円(送迎用車両など)100万円〜
人件費(営業前から発生)指定前から採用が必要同じ(職種が多い分高い)
運転資金固定費と人件費の6か月分以上同じ

金額は2026年7月時点の一般的な目安です。訪問介護はデイサービスより設備の負担が軽い一方で、どちらも人件費と運転資金が中心になります

介護報酬の入金は約2か月後

この事業で最も重要な資金の話です。サービスを提供してから介護報酬が入金されるまで、約2か月かかります

一方で人件費は毎月支払います。しかも人員基準を満たすために利用者がつく前から採用しておく必要があります。つまり開業直後は、入金がないのに給与を払う期間が確定で発生します

時期出ていくお金入ってくるお金
指定前家賃・人件費・設備0円
営業1か月目家賃・人件費ほぼ0円
営業2か月目家賃・人件費ほぼ0円
営業3か月目家賃・人件費1か月目分が入金

この表が運転資金を6か月分以上持つべき理由です。利用者が順調に増えても、手元資金が尽きれば続けられません。


法人設立後に出す届出と期限

提出先書類期限
都道府県または市区町村指定申請自治体が定める月単位の締切
税務署法人設立届出書設立の日から2か月以内
税務署青色申告の承認申請書(法人用)設立後3か月を経過した日または
最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日
税務署給与支払事務所等の開設届出書開設から1か月以内
年金事務所健康保険・厚生年金の新規適用届事実発生から5日以内
労働基準監督署・ハローワーク労働保険・雇用保険の手続き従業員を雇ったとき

人を雇う前提の事業なので、社会保険と労働保険の手続きがセットで必要になります。ここを後回しにすると、従業員の信用に直結するので早めに片づけてください。


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利用者はケアマネジャーからの紹介で来る

手続きを済ませても、利用者が来なければ介護報酬は1円も入りません。そしてこの事業の利用者は、広告ではなくケアマネジャーからの紹介で来ます

失敗例として最も多く挙げられるのが、地域の病院やケアマネジャーとの関係を作らないまま開業して、新規の紹介が来ないケースです。

指定申請と並行して営業を始める

営業先ははっきりしています。

営業先何を伝えるか
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)対応できる曜日と時間帯、対応できる差し換えや医療的ケアの範囲、サービス提供エリア
地域包括支援センター事業所の存在と得意な領域
病院の退院支援部門退院直後から入れるかどうか

ケアマネジャーが知りたいのは「頃いいところではなく、自分が抱えている利用者を渡せるか」です。対応可能な条件を紙一枚にまとめて持っていくと、その場で判断してもらえます。

指定の効力発生を待ってから回り始めると、最初の数か月が丸々空きます。人件費はその間も発生するので、申請中から挨拶に回っておいてください。


採用できても定着しないと回らない

人員基準を満たしても、辞めてしまえば基準を割ります。これは指定の維持に直接影響します。

失敗例の連鎖はこうなります。

  • 採用には成功したが、新人教育とシフト調整の体制がない
  • 訪問スケジュールが崩れ、利用者からのクレームが増える
  • スタッフが辞め、ケアマネジャーからの紹介も止まる

つまり定着率と集客は別の問題でなく、つながっています。開業時に、シフトの組み方と緊急時の代わりの決め方を先に作っておいてください。


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開業届と青色申告の書類を最短で提出する方法

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まとめ

訪問介護・デイサービスの開業は、法人設立がスタート地点です。個人事業では介護保険の指定を受けられません。

  • 定款の事業目的に介護事業を入れてから法人を作る
  • 人員・設備・運営の3基準は先に指定権者に確認する
  • 指定申請には月単位の締切があるので逆算して動く
  • 介護報酬の入金は約2か月後。運転資金は6か月分以上持つ
  • 運営基準の記録は開業時にひな形を作っておく
  • 利用者はケアマネジャーから来るので、申請中から挨拶に回っておく
  • 定着率が落ちるとシフトが崩れ、紹介も止まる

法人の手続きと指定申請には時間がかかります。その間も家賃と人件費は発生するので、スケジュールを先に固めてから動いてください。


よくある質問

Q. 個人事業で訪問介護を始められますか?

始められません。介護保険のサービスとして事業を行うには指定を受ける必要があり、その前提として法人格が求められます。まず法人の設立から始めてください。

Q. 定款には何を書けばいいですか?

事業目的に介護保険事業を含めておく必要があります。記載がないと指定申請の段階で定款変更が必要になり、登記の費用と時間がかかります。将来やる可能性のある事業まで含めて書いておいてください。

Q. 開業資金はいくら必要ですか?

法人設立費用と物件・設備に加えて、固定費と人件費の6か月分以上を運転資金として見てください。介護報酬の入金が約2か月後になるため、設備より運転資金のほうが重要です。

Q. 自宅を事務所にできますか?

設備基準を満たせば可能な場合もありますが、居宅部分との区画や相談スペースの確保が求められます。部屋の一角を使うだけでは認められないことがあるため、先に指定権者に相談してください。

Q. 人はいつから採用すればいいですか?

人員基準を満たしていないと指定を受けられないため、利用者がつく前に採用しておく必要があります。この期間は収入がないのに給与を払うことになるので、資金計画に先に組み込んでください。

Q. 指定申請はいつでも出せますか?

自治体ごとに月単位の締切と効力発生日が定められています。締切を逃すと指定が一か月後れになることもあり、その間も家賃と人件費は発生します。逆算して動いてください。

Q. 利用者はどうやって集めるのですか?

ケアマネジャーからの紹介が中心になります。居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに、対応できる曜日と時間帯やサービスの範囲を紙一枚にまとめて持っていってください。指定を待ってから始めると最初の数か月が空きます。

Q. 指定を受けたあとに気をつけることはありますか?

運営基準の維持です。訪問介護計画やサービス提供の記録は定期的な実地指導で確認されます。記録が不備だと介護報酬の返還を求められることもあるため、開業時にひな形と運用ルールを作っておいてください。

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