電子帳簿保存法の改正により、見積書をはじめとするさまざまな書類の保存方法が見直されています。これまで紙で保管していた書類を電子データで保存できるようになった反面、要件や手続きが複雑化し、戸惑いを感じる方も多いでしょう。本記事では、見積書が電子帳簿保存法の対象になるのか、保存期間や保存方法、インボイス制度とのかかわりまで、個人事業主にもわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、適切な対応を行いましょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、国税関係書類を電子データとして保存する際の要件を定めた法律です。紙の書類をスキャンして電子保存したり、電子取引のデータをそのまま保管したりすることが認められます。要件を満たせば、紙での保存義務を代替でき、書類管理の効率化が期待されます。
電子帳簿等保存とは
会計ソフトなどで作成したデータを電子のまま保存する方法を指します。訂正や削除の履歴が確認できるシステムを利用し、データの改ざんが防止されていることが条件となります。
スキャナ保存とは
紙で受領した書類をスキャンし、電子データとして保存する方法です。解像度やタイムスタンプの付与など、法律で定められた一定の要件を満たす必要があります。
電子取引データ保存とは
インターネット経由でやり取りされた請求書や領収書など、電子的に授受された取引データをそのまま電子保存する方法です。紙に印刷して保管するだけでは要件を満たさず、検索機能を備えたシステムで保管することが求められます。
見積書は電子帳簿保存法の対象になる
見積書も取引に関連する書類であるため、電子帳簿保存法の対象となる場合があります。特に、電子的にやり取りされた見積書や、紙の見積書をスキャンしたものを電子データとして保管する場合は、要件を満たす必要があります。

スキャナ保存
紙で作成し、受け渡しされた見積書を電子化する場合には、スキャナ保存の要件を満たさなければなりません。具体的には、スキャン時の解像度の確保やタイムスタンプの付与が必須です。これにより、紙の書類を物理的に保管する負担を軽減しつつ、法令に適合した形で電子データを保持できます。
電子取引のデータ保存
メールやオンラインサービスを通じて授受した見積書は、「電子取引データ保存」の対象となります。紙に印刷して保存するだけでは要件を満たさないため、電子データとして保存し、検索機能が使えるように管理する必要があります。適切なクラウド会計ソフトを活用することで、要件をクリアしやすくなります。
見積書の保存期間とは
個人事業主の場合
個人事業主は原則として7年間の保存が求められます。ただし、白色申告の場合には5年間の保存義務となります。見積書を含む取引関係書類は、税務調査の際に提示が求められる可能性があるため、適切な管理が不可欠です。

法人の場合
法人の書類保存期間も、基本的には7年間とされています。法人税法や消費税法の規定に基づき、見積書をはじめとする取引関係書類を一定期間保管しなければなりません。
見積書の保存方法とは
見積書を保存する方法は大きく分けて、紙での保管と電子データでの保管の2通りがあります。紙で保管する場合は、取引ごとに分類し、必要に応じてすぐに取り出せるように整理しましょう。電子データでの保存を選ぶ場合には、電子帳簿保存法の要件を満たすシステムやソフトウェアを活用し、スキャン保存や電子取引データ保存のルールを遵守する必要があります。
電子帳簿保存法対象外の書類とは
手書きで作成された帳簿
電子帳簿保存法では、パソコンなどで作成された会計データの電子保存を主な対象としています。手書きで作成した帳簿や書類は、基本的に対象外です。ただし、スキャナ保存の要件を満たすことで電子データとして取り込むことはできます。
電子帳簿保存法対象の書類とは
国税関係帳簿
仕訳帳や総勘定元帳など、国税に関わる帳簿は電子帳簿保存法の対象となります。電子データで保存する場合は、改ざん防止機能などの要件を満たすシステムが必要です。
決算関係書類
貸借対照表や損益計算書など、決算に関する書類も電子帳簿保存法の範囲内です。これらを電子保存する場合、検索機能や訂正履歴の保持など、一定の基準をクリアすることが求められます。
取引関係書類、電子取引書類
見積書や請求書、領収書など、取引にかかわる書類も法令の対象です。特に、電子取引としてやり取りされたデータは、紙に印刷するのではなく電子の状態で保存し、検索機能を備えた形で保管する必要があります。
電子帳簿保存法の保存要件とは
電子帳簿等保存
パソコンや会計ソフトで作成した電子データを保存するには、訂正・削除履歴が残るシステムを使うなど、改ざん防止機能を備えた要件を満たす必要があります。適切なソフトウェアを選び、法令に準拠した管理を行いましょう。
スキャナ保存
紙の書類をスキャナで読み取り、電子データとして保存する場合には、解像度やタイムスタンプの付与など、厳格な基準を守ることが求められます。書類はスキャン後、適切に分類され、検索できる状態で保管することが理想的です。
電子取引データ保存
インターネットなどを通じて受け渡しされた取引データは、電子取引のまま保存しなければなりません。検索機能を備えたシステムで管理し、容易に参照や抽出ができるように設定する必要があります。
電子帳簿保存法とインボイス制度に関する書類の対応方法
電子帳簿保存法とインボイス制度は、取引関連の書類管理において非常に関連が深い制度です。インボイス制度では、取引の際に適格請求書の発行と保存が求められますが、この書類を電子データとして扱う場合には、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。適格請求書発行事業者として登録し、電子的にインボイスを発行・保存する場合は、検索機能や改ざん防止機能を備えたソフトウェアを利用するなど、十分な対応が求められます。
電子帳簿保存法に対応しなかった場合のペナルティ
電子帳簿保存法に違反すると、税務調査で指摘を受け、消費税の仕入税額控除が認められなくなる可能性があります。特に、電子取引が主流になっている現代では、紙への印刷だけでは要件を満たさないことが多いです。結果として、追徴課税や過去の控除の否認が発生するケースもあるため、早めに制度に対応しておくことが重要です。
よくある間違いと注意点
電子帳簿保存法において、紙に印刷したデータだけを保管するなど、誤った認識で運用を行う例が後を絶ちません。適切なシステムを導入し、解像度や検索機能、改ざん防止機能など、法律が定める要件を満たす形でデータを管理することが必要です。また、スキャン保存を行う場合、スキャン時の解像度や、保存した後の訂正・削除が禁止されているかなどをしっかりと確認しましょう。
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まとめ
見積書は電子帳簿保存法の対象となり得るため、電子的にやり取りされた場合やスキャンして保存する場合は、法律が定める要件を満たす必要があります。紙で保管するだけでは要件を満たせないため、法令を遵守したシステムや方法を導入し、適切な保存体制を整えましょう。インボイス制度との関連も深いため、これからの取引管理においては電子帳簿保存法を理解し、スムーズな業務運営を実現することが大切です。
タックスナップは、簡単さと安心感を兼ね備え、フリーランスや個人事業主の経理・確定申告をサポートする強力な会計ツールです。スワイプで手軽に取引を仕分けし、自動仕分けで更に効率を追求。税務調査リスクチェックで安心感を高め、スマホ一台で提出まで完結できる便利さで、経理のストレスを大幅に軽減します。他会計ソフトからの乗り換えも簡単なので、今すぐ試してみる価値があります。
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よくある質問
電子データと紙の書類が混在している場合はどうするの?
電子データでやり取りした書類は、電子帳簿保存法の要件を満たす形で電子保存しなければなりません。一方、紙で受け取った書類はスキャナ保存要件を満たせば電子化できます。事業の形態によっては一部を電子化し、一部を紙で保管する形になることもありますが、各書類の保存方法が法令に合致しているかを確認する必要があります。
電子帳簿保存法違反行為とは
電子帳簿保存法で定められた要件を満たさないまま、紙に印刷しただけで保存したり、改ざん防止機能を備えないソフトで管理したりする行為が違反行為にあたる可能性があります。また、タイムスタンプの付与を怠ったり、検索機能を備えていないシステムを使用したりすることも違反の一例となります。

電子帳簿保存法に対応しなかった場合のペナルティ
電子帳簿保存法に従わずに書類を保存した場合、税務調査で指摘を受け、仕入税額控除が認められなくなる可能性があります。特に、電子取引のデータを紙に印刷して保存するだけでは要件を満たさず、過去に遡って消費税を追徴されるケースも考えられます。リスクを避けるためにも、早めに制度へ対応することが重要です。
確定申告でカンタンと安心を両立した3つの魅力
