同人誌活動で利益を得ている作家の方にとって、確定申告は避けて通れないものです。しかし、「何を経費にできるのか」「確定申告が必要な場合とは?」「どんな書類が必要?」など、疑問に思うことも多いのではないでしょうか。本記事では、同人誌作家が確定申告を行うために知っておくべきことを解説します。初心者の方でも分かりやすいように、具体例を交えながら説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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同人誌作家が知るべきのための確定申告の所得区分とは
同人誌活動が趣味の範囲を超えて利益を生むようになると、確定申告を行う必要があります。同人活動における所得区分や、経費として認められる支出・認められない支出について詳しく解説します。
経費にできるもの
同人誌活動に関連する支出の中で、事業の遂行や収益の発生に必要なものは経費として計上できます。以下に具体例を挙げます。
印刷費用
同人誌の印刷代は、収益に直結するため経費として認められます。
例:100部の同人誌を印刷するのにかかった30,000円。
イベント参加費
コミケや即売会などへの出展費用。イベントに参加するためのスペース代は必要経費です。
例:コミケのブース代10,000円。
交通費
イベント会場や業務に必要な取引先との打ち合わせ、配送業者との面談などの交通費も経費に含まれます。
例:電車やバスでイベントに参加する際の往復交通費1,500円。
制作関連の消耗品費
イラスト用の画材やデジタルツールのライセンス料など、作品制作に直接関連する費用は経費として認められます。
例:ペンタブレットの購入費用50,000円。
梱包材や配送費
通販での販売に伴う包装費や発送費用は全額経費に計上可能です。
例:配送用ダンボール代5,000円、送料20,000円。
経費にできないもの
以下のような個人的な支出は、経費として認められません。
生活費
家賃、光熱費、食費などは基本的に経費に含まれません。ただし、作業スペースを事業用として一部使用している場合、按分計算で一部が経費として認められる場合があります。
趣味目的の支出
趣味で購入した同人誌やグッズは、事業と直接関係がないため経費になりません。
業務外の交際費
友人や家族との食事代、贈り物などは業務に関連しないため経費に含まれません。
雑所得とは
雑所得は、副業や臨時収入に対する所得区分です。同人活動が副業として行われ、継続的な事業とみなされない場合、雑所得に分類されます。
雑所得では、赤字が他の所得(給与所得など)と相殺できない点が注意点です。

事業所得とは
事業所得は、継続的かつ計画的に行われる事業活動から得られる所得です。同人活動が専業であり、規模が大きい場合や職業的に行われている場合は、事業所得として扱われます。
事業所得の場合、赤字を他の所得と相殺(損益通算)できるため、節税効果があります。
同人活動で確定申告が必要な場合
副業の場合、利益が20万円以上
会社員など本業を持ちながら同人活動をしている方に関しては、「本業での給与所得+同人活動の利益」という構図になります。ここでポイントとなるのが「年間20万円以上の利益(収入から経費を差し引いた額)」の有無です。
年間の利益が20万円を超えたら:サラリーマンやOLなどの給与所得者であっても、副業で得た同人活動の利益が20万円以上になれば確定申告が必要です。これは、給与所得者には年末調整という本業の所得の税務手続きがある一方、本業以外の副業所得分については年末調整が行われないため、別途申告が義務付けられているからです。
20万円以下なら申告不要?:給与所得と分けて考えたときに、副業所得が年間20万円以下なら所得税法上の確定申告義務は発生しない場合があります(ただし住民税申告が必要な場合もあるため、自治体のルールを確認しましょう)。20万円ギリギリで抑えたいからといって経費を過度に見積もるのは問題があるので注意が必要です。
同人活動以外に収入がない場合、利益が48万円以上
他に給与所得などがなく、同人活動を本業として行っている方は、「基礎控除(48万円)を超える利益」の有無が判断基準となります。
年間の利益が48万円を超えたら:同人活動で売上を得て、そこからかかった経費を差し引いた結果、最終的な利益が48万円を超えると基礎控除を超えた分に所得税がかかり、確定申告が必要になります。
48万円以下ならどうなる?:基礎控除内に収まっていれば所得税が発生しないため、同人活動以外の収入がまったくないなら申告義務は基本的にありません。ただし、他に雑所得や不動産所得などがある場合や、所得控除を受けたい場合には申告した方が有利となる場合もあります。
同人活動で確定申告が不要な場合
同人活動が赤字の場合
同人活動で生じた収入よりも、印刷費・材料費・送料などの経費が上回っている場合は、利益が発生していないことになります。つまり、赤字状態です。所得税は利益(=課税所得)に対して課されるため、赤字であれば税金は発生しません。その結果、原則として確定申告の義務はありません。
ただし、事業所得としてのメリット
もし同人活動を「事業所得」として認められる規模や継続性があるなら、赤字を出した年に青色申告を行うことで繰越控除が可能になります。これは赤字を翌年以降に繰り越し、将来発生する黒字所得と相殺できる制度です。副業の同人活動でも、本格的な事業としての要件を満たしていれば、この恩恵を受けられる場合があります。
趣味レベルの赤字だと繰越不可
一方で、活動が趣味に近い形や年に1回程度のイベント参加のみなど、規模が小さい場合は「雑所得」とみなされることが多いです。雑所得では青色申告の適用はできず、赤字を翌年以降に繰り越すことはできません。そのため、「繰り越せない=申告義務もない(赤字で税金がかからない)」という状況となります。

副業としての利益が20万円未満
サラリーマンや公務員など、給与所得者として本業で年末調整を受けている人が、副業として同人活動を行っているケースでは、年間の「利益」が20万円未満であれば所得税の確定申告が免除されます。
利益とは
ここでいう利益は、あくまで同人活動で得た収入(売上)から経費(材料費、印刷費、交通費など)を差し引いた最終的な差額です。「売上が20万円」と「利益が20万円」では意味が異なるため注意が必要です。
住民税の申告は必要な場合も
所得税の確定申告が不要でも、自治体によっては住民税の申告が必要となることがあります。住民税申告が別途必要かどうかは居住地の市区町村の制度を確認してください。
副業先から源泉徴収されている場合
一部の副業形態(企業委託など)では源泉徴収を行っているケースがあります。この場合も、20万円未満ならば確定申告不要かもしれませんが、源泉徴収された税金を還付してもらうためには申告が有利となる場合があります。
その他
まれに、会社側が副業分を含めた処理を行っている(ただし職種や契約内容による)場合や、税務署に特別な形で処理が既に完了している場合には、個別に確定申告を行わなくてもよいケースがあります。しかし、これは極めて限定的で、通常の同人活動ではまず該当しません。
例:同一事業扱いで給与として処理
同じ法人内での事業として同人活動を行い、給与形態で報酬を得ているなら、年末調整でカバーされている場合もあります。
トラブル防止のため確認を
本業と副業が密接に絡むような特殊な状況を除き、基本的には自力で申告を行う必要があります。たとえ「会社が処理している」と言われても、最終的な申告義務がどこにあるかは個別事例で異なるので慎重に確認してください。
同人誌作家が確定申告で必要な書類は?
確定申告を行う際に必要な書類を準備しましょう。
確定申告書
申告に必須の書類です。e-Taxを利用するとデジタルで作成・提出できます。
確定申告書の書き方を解説
収入金額と経費を記入
同人誌の売上や経費をそれぞれ正確に記入します。
所得区分を明確にする
雑所得または事業所得として分類します。
関連書類を添付
領収書や証明書を確定申告書に添付します。
控除証明書
社会保険料控除、生命保険料控除などの証明書が必要です。
所得を確認できるもの
売上台帳や源泉徴収票などを準備します。
銀行口座がわかるもの
還付金を受け取るための銀行口座情報を準備します。
本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードが必要です。

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まとめ
同人活動で収益を得た場合、確定申告が必要なケースが多くあります。経費として計上できる支出を正確に把握し、必要書類を準備することでスムーズに申告を行いましょう。便利なツールやサービスを活用すれば、初心者でも簡単に手続きを終えられます。
タックスナップは、簡単さと安心感を兼ね備え、フリーランスや個人事業主の経理・確定申告をサポートする強力な会計ツールです。スワイプで手軽に取引を仕分けし、自動仕分けで更に効率を追求。税務調査リスクチェックで安心感を高め、スマホ一台で提出まで完結できる便利さで、経理のストレスを大幅に軽減します。他会計ソフトからの乗り換えも簡単なので、今すぐ試してみる価値があります。
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よくある質問
確定申告をしなかったらどうなるの?
税務署から指摘を受けた場合、延滞税や無申告加算税が課される可能性があります。
確定申告の内容を間違えてしまった
修正申告を行うことで正確な申請が可能です。
確定申告の時期はいつ?
毎年2月16日から3月15日までが申告期間です。
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