青色申告者が赤字になった場合、その損失を翌年以降の利益と相殺できる「繰越控除」の制度を活用することで、節税効果を得られます。本記事では、繰越損失の仕組みや申告方法、必要な条件について、初心者にもわかりやすく解説します。適切な手続きを行い、将来の税負担を軽減するためのポイントを押さえましょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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青色申告で赤字(純損失)を繰り越せる仕組みとは
青色申告者は、事業活動で赤字(純損失)が発生した場合、その損失を翌年以降に繰り越して控除することができます。これにより、将来の利益が発生した際に税負担を軽減することが可能です。繰越控除は最大で3年間適用され、損失申告を適切に行えば、将来の節税対策として非常に有効です。
ただし、この制度を利用するためには、青色申告を選択していることが前提条件となります。また、損失の申告には厳格なルールがあるため、事前に手続きを把握しておくことが重要です。

繰越損失を申告するメリット
繰越控除で税負担を軽減
赤字が発生した年の損失を3年間にわたり繰り越して控除できることで、翌年以降の利益に課税される所得税や住民税を減らすことができます。特に事業が軌道に乗り始めたばかりの個人事業主やフリーランスにとって、大きなメリットとなるでしょう。
損失の繰り戻し還付が可能
青色申告をしている場合、繰越控除だけでなく、前年度に納めた税金を還付してもらえる「損失の繰戻還付」を活用することもできます。これにより、資金繰りが厳しい状況での支援となり、経営の安定化に寄与します。
損益通算で節税効果を拡大
他の所得(不動産所得や山林所得など)と相殺する「損益通算」により、課税対象額を減らすことが可能です。ただし、雑所得や給与所得とは相殺できない点に注意が必要です。

繰越損失の適用条件と注意点
適用条件を満たすために必要なこと
繰越損失を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります:
1. 青色申告をしていること。
2. 確定申告期限内に申告を行うこと。
3. 正確な帳簿と書類を整備していること。
これらの条件を守らない場合、繰越控除の適用が認められない可能性があります。また、赤字を証明する帳簿や領収書を適切に保管しておくことが求められます。
適用外のケース
赤字の原因が事業所得以外(例:雑所得)である場合や、損失が発生した年に白色申告を選択していた場合、繰越控除は適用されません。また、災害損失金に関しては、青色申告・白色申告を問わず、特例として5年間繰り越すことが可能です。
損失申告に必要な手続きと書類
必要書類
損失申告には、以下の書類が必要です:
• 確定申告書B
• 損失申告書(第四表)
• 青色申告決算書
正確な記入と提出期限の厳守が重要です。申告書の記入方法を誤ると、控除が認められない場合があるため、税理士に相談するのも有効です。
手続きの流れ
損失申告は確定申告と同時に行います。損失額を正確に算出し、損失申告書(第四表)に記入する必要があります。記入後は他の確定申告書類とともに税務署に提出します。

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スマホで提出まで完結
スマホ対応のe-Taxアプリを利用すれば、土日に自宅で申告書を作成・提出できます。紙の申告書を用意する手間が省け、時間を大幅に節約できます。
レシート読み取り機能を活用
会計ソフトを使えば、領収書やレシートを撮影して経費を自動記録できます。土日の短い時間でも効率的にデータを整理し、確定申告に備えることが可能です。
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まとめ
青色申告者にとって赤字(純損失)を繰り越せる制度は、将来の税負担を軽減する大きなメリットを持っています。ただし、適用条件を守り、正確な手続きを行うことが重要です。必要書類の準備や期限の管理を徹底し、損失申告の制度を活用して、経営の安定化と節税を実現しましょう。
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よくある質問
Q1. 繰越損失と損益通算の違いは何ですか?
繰越損失は、赤字を翌年以降に繰り越して利益と相殺する制度です。一方、損益通算は同じ年に発生した異なる所得(例:事業所得と不動産所得)を相殺して課税対象額を減らす制度です。
Q2. 青色申告をしていなくても繰越控除は利用できますか?
白色申告では、原則として繰越控除は利用できません。ただし、災害損失金などの特例の場合に限り、繰越控除が認められる場合があります。
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