年度またぎ、月またぎでも経費の精算は可能？会計の処理方法や注意点を解説

年度またぎや月またぎでの経費精算は可能

所得税・法人税は「発生主義」が原則です。つまり、費用を認識すべきタイミングは領収書の発行日や実際の役務提供日であり、申請や支払いが遅れても最大５年前までは税務上の修正が許容されます。したがって年度をまたいだ経費でも、当該年度の費用として遡及計上し、必要に応じて修正申告や更正の請求を行えば問題はありません。ただし、遅延が常態化すると決算の信頼性が損なわれるため、社内ルールで締切を設定し、証憑の保存と記帳を月次で徹底することが望まれます。

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年度またぎや月またぎが発生する場合とは？

経費精算の申請が間に合わなかった場合

従業員の立て替え交通費や交際費が期限を過ぎて提出されるケースです。この場合は領収書の日付を基準に費用を当月または前年に遡って認識し、支払い時点とのズレは未払金・立替金で調整します。

月末の経費を請求する場合

月末に受けた外注サービスの請求書が翌月に届く場合は、請求書到着を待たずに見積額で未払計上し、翌月確定額との差額を調整します。

利用期間が月をまたいでしまう場合

サブスク料金や保守契約費用など、利用期間が複数月にわたる場合は期間按分して月次損益に反映させ、前払費用または未払費用でズレを調整します。

その他

年度末ギリギリで仕入れた材料の請求が翌期に届く、出張費の精算が遅れるなど、実際の消費時期と請求・支払時期が離れる取引もすべて発生主義で考えます。

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年度またぎや月またぎの経費の仕訳方法とは？

料金を先払いした場合

たとえば４月に半年分のソフトウェア利用料６万円を前払いした場合、支払時に前払費用６万円を資産計上し、毎月決算で１万円ずつ費用に振り替えます。こうすることで費用が利用期間に対応します。

料金を後払いした場合

３月利用分の外注費８万円を４月に請求・支払するなら、３月末決算で未払金８万円を計上して費用化し、４月の支払い時に未払金を取り崩します。これにより費用と収益が同じ期間に対応し、月次・年度損益が正確に反映されます。

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よくある間違いと注意点

年度またぎで誤りやすいのは、遡及計上せず当期費用として一括処理してしまうことです。過年度損益が歪み、税務調査で否認される恐れがあるため、必ず発生日基準で修正仕訳を切りましょう。また、立替金と未払金を混同して従業員精算分を仕入先の未払として処理すると、債務残高が実態と合わなくなります。さらに、電子帳簿保存法対応で遅れて届いた領収書をスキャン保存する際は、撮影日時だけでなく取引日付をメタデータとして登録し、タイムスタンプ付与要件を満たすことを忘れないでください。

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まとめ

年度またぎ・月またぎの経費は発生主義で考えれば５年以内なら遡及計上が可能です。先払いは前払費用、後払いは未払金で調整し、帳簿と実態を一致させることが重要です。タックスナップの自動仕訳とリスクチェックを活用すれば、遅れて見つかった経費もスムーズに精算し、税務リスクを最小限に抑えられます。

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よくある質問

月や年度またぎの経費精算が認められない場合とは？

取引内容が事業と無関係、または証憑が欠落している場合は遡及計上が否認されます。また、５年を超える費用は更正請求期限を過ぎるため修正できません。

月や年度またぎの経費精算のデメリットとは？

過年度の修正申告が必要になると延滞税や加算税が発生する可能性があります。また、決算比較の整合性が損なわれるため、経費はできる限り当期内に精算・計上することが望ましいといえます。