社内外の打ち合わせや研修時に使用する「会議費」。実は交際費との見分けが難しく、仕訳や上限なども把握しておく必要があります。本記事では会議費を上手に経費に取り入れるためのポイントをわかりやすく解説します。
日々のビジネスで打ち合わせや社内会議を行う場面は多いでしょう。そこに飲み物や軽食を用意してスムーズに進行させることもあるかもしれません。しかし、その支出を「会議費」として計上するのか、それとも「交際費」に該当するのか迷ってしまうことはありませんか。この記事では会議費の仕組みや仕訳例、交際費との差を明らかにし、正確な経費管理を目指していきましょう。
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【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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1.会議費とは何か
会議の場面で発生する費用を指す
会議費とは、社内外の打ち合わせや研修、ミーティングなどを行う際に、飲食物や会場使用料などに支出された費用をまとめた勘定科目のことです。具体的には、打ち合わせのために会議室を借りた場合の使用料、会議中に振る舞う軽食や飲み物の代金、会議用に使う備品の購入費などが含まれます。会議費という形で計上できると、経費として処理されるため税負担を減らす効果も生まれます。ただし、その使途が明確に「会議目的」であると証明できなければ、後で交際費だとみなされる可能性もあるため注意が必要です。正しく活用して節税につなげるには、会議の趣旨や参加者、提供した飲食物などをしっかり記録しておくことが欠かせません。
2.交際費と会議費の違い
相手や目的によって勘定科目が変わる
会議費とよく混同されがちなものに、交際費があります。交際費は取引先や外部の関係者との親睦を深めるための費用を指し、飲食や贈答品などが含まれます。たとえば同じ飲食代でも、取引先との懇親会や接待として出費した場合は交際費とされるのが通常です。しかし社内の打ち合わせで使用する飲み物や弁当代などは会議費に該当します。このように誰との目的で支出しているのか、ビジネス上の具体的な目的が何なのかを明確に区別しないと、会議費にすべき費用を交際費に区分してしまったり、逆に交際費であるはずの費用を会議費に計上してしまう場合があるのです。交際費より会議費のほうが節税面で優遇されやすいケースもあるので、領収書や会議内容のメモなどを整えておくことが大切です。
増やすだけでなく、不必要な支出を事業経費に誤って含めない点が節税には欠かせません。
経費の上限はないが適正な範囲を意識しよう
使いすぎや異常な割合は税務署から疑われる
経費には公式の上限金額が定められているわけではありません。業種や事業規模によって必要経費の水準が変わるため、一律に「いくらまで経費にできる」とは言えないのが実情です。たとえばデザイン業などで高額ソフトウェアや機材を購入する場合は妥当でも、単なる文房具屋程度の取扱商品しかないのに異常に高額な設備を経費計上すると、不自然さが際立ちます。つまり経費が売上に対して極端に多い状況だと、税務署から「過剰経費ではないか」と疑われる可能性が高いです。稼いだ利益以上に経費を膨らませる行為も税務リスクにつながるので、実際の業態や経営計画に沿った支出をすることが大切です。業界標準との比較や税理士への相談を通じて適正水準を把握しておくことが望まれます。
3.会議費で経費計上する際の上限とポイント
中小法人や個人事業主は基本的に上限なし
会議費は、交際費などと異なり法律上の損金算入枠の制限はありません。つまり上限額は特に設定されていません。理由としては、会議費が業務に直結しやすく、税務上も必要経費として認められやすいからです。ただし、あまりにも高額過ぎる飲食や、多数の社員や取引先を交えた大がかりな宴会のような形態だと、税務署から交際費とみなされるリスクが高くなります。会議費であることを明確にするには、会議の内容・目的・参加者などを記録し、経費である根拠を示せるようにしておくとよいでしょう。さらに家庭的な要素が含まれる食事や単なる雑談の場合は、会議とは判断されにくいので注意が必要です。
4.会議費の勘定科目と仕訳例
実例を踏まえて理解しよう
会議費に該当する費用を仕訳するときは、主に「会議費」という勘定科目を使用します。会社によっては細分化して別の補助科目を設定する場合もありますが、基本的には次のように仕訳されます。
- 社外の会議室を借りた例
借方:会議費 XXX円 / 貸方:現金(または普通預金) XXX円
社外施設を使って打ち合わせを行う場合の会場使用料は会議費として処理できます。 - 外部との打ち合わせ時に軽食や弁当を用意した例
借方:会議費 XXX円 / 貸方:現金(または普通預金) XXX円
この場面で交際費にならないよう、あくまで会議を目的にした飲食代であることを明記します。 - 社内で打ち合わせ時にドリンクやお菓子を購入した例
借方:会議費 XXX円 / 貸方:現金(または普通預金) XXX円
こちらも会議目的を明確にしている限り、会議費として計上できます。
これらの仕訳を切る際、摘要欄には日時や参加者、会議のテーマをメモしておくと後々監査での確認がスムーズになります。
5.会議費を計上する際の注意点
1)飲食代が高額にならないよう留意
会議費は基本的に会議に必要な費用ですが、高級レストランでの大規模な接待や豪華な懇親会は交際費と見なされる可能性があります。実際に税務調査では、会議費と称しながら実態は接待や娯楽の要素が強いと判断されると、交際費へ変更を求められるケースが少なくありません。したがって飲食代が適切な範囲を超えないように気をつけましょう。
2)目的や参加者を明確に記録する
会議費に計上する支出は、具体的な会議の名称や議題、参加者などを帳簿やメモにしっかり残しておくことが大切です。社内ミーティングでも、いつ、誰が参加して、どういった内容を議論したのかを明示できれば、会議費として認められやすくなります。これらの証拠を整備することで、後々の税務調査にも対応しやすくなります。
3)1人あたり5,000円以下でも安易に会議費を適用しない
一方で、交際費には「一人当たり5,000円以下の飲食費」などの判定基準がありますが、これをもって何でも会議費になるわけではありません。あくまで仕事の内容を話し合う正式な会議かどうかが焦点です。会社の規定や経理上の運用ルールを整えておき、差異が生じないよう注意を払うとトラブル防止につながります。
4)個人事業主でも会議費は利用できる
個人事業主がクライアントや協力者と話し合う場合にも、会議費として経費にすることは可能です。しかしプライベートな要素が混じりやすいため、家事按分と同様に事業関連分のみを明確に区別しましょう。打ち合わせが実際に行われた証拠を残し、領収書やメモを保存しておくのが重要です。
5)青色申告・白色申告とも対応
会議費の取り扱いは、青色・白色を問わず可能です。ただし青色申告のほうが記帳要件が厳しい分、必要な帳簿や詳細な記録が求められます。その反面、節税効果も高まる可能性があります。会議費を上手に活用するなら、青色申告への移行も検討してみるのがおすすめです。
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まとめ
以上が会議費を経費として計上する際のポイントです。会議費は業務に必要な支出である一方、交際費などと区別しにくい場面も多いです。適切に運用すれば節税効果を得られますが、制度を誤ったまま使っていると指摘を受けるリスクが高まります。今回の内容を参考に、納得できる仕分けでトラブルを防ぎながら、事業を円滑に進めましょう。
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よくある質問
Q1. 社員だけで行うランチミーティングは会議費になりますか?
社員のみで打ち合わせをする場合でも、業務内容を話し合う正式なミーティングであれば会議費として認められる可能性はあります。とはいえ、ランチ代が不自然に高額なときや、単なる懇親会に近い場合は交際費扱いになりうるので注意してください。
Q2. 取引先とオンライン会議をした際に出前を手配しました。これは会議費?交際費?
オンライン会議で取引先にも弁当などを手配し、実質的に接待のような形態になると交際費とみなされる恐れがあります。しかし通常の打ち合わせで軽い飲食物が提供される程度であれば会議費扱いが妥当な場合もあります。相手先や費用の規模、実際の内容を総合的に判断して処理しましょう。
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