給与にかかわる処理は、企業の経理業務のなかでも重要度が高いです。ところが、社会保険料や源泉所得税などの天引きが絡むため、仕訳や帳簿付けでミスが起きがちでもあります。そこで、給与を帳簿へ反映させる際のルールとポイント、個人事業主の場合の対応などをまとめました。基本をしっかり押さえて、スムーズな給与管理を目指しましょう。
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1. 給与を帳簿に記録するうえで重要な理由
給与は法人税・所得税に影響する
給与は従業員への支払いとして費用計上されます。法人では一般的に「給与手当」などの勘定科目を用い、個人事業主でも青色事業専従者給与など特例の対象になる場合があります。結果的に、所得計算や税金額に影響し、正しい帳簿記載が不可欠です。
従業員ごとの管理が必要
給与処理には源泉徴収や保険料の天引きなど個別計算が伴います。従業員ごとの明細を正確に帳簿へ記載しなければ、給与計算のエラーや未納トラブルが起きる可能性があります。

【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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2. 給与勘定科目の考え方と設定
勘定科目は従業員の雇用形態で分かれる
正社員への給与は「給料手当」、役員報酬は「役員報酬」など勘定科目が分かれます。また、アルバイトなら「雑給」などで管理する会社もあります。小規模事業の場合、単一科目で一括計上するケースも珍しくありません。
賞与(ボーナス)の勘定科目
賞与を支給するときは「賞与手当」など専用科目を使います。支給時期や月次給与とは別管理し、集計がわかりやすくなるよう意識しましょう。
控除科目の扱い
社会保険料や所得税などは給与から差し引かれますが、それぞれ個別の科目を用いて仕訳します。たとえば社会保険料負担分を「法定福利費」で処理するなどが一般的です。
3. 給与計算を行うときの帳簿上の流れ
給与発生時に仕訳
給与計算ソフトなどで求めた合計給与額を、費用として「給料手当」勘定に記録します。同時に、控除となる源泉徴収分などを「預り金」勘定などで計上し、差し引き後の金額を「未払給与」として処理します。
例
借方:給料手当 ○○円
貸方:未払給与 △△円
貸方:預り金(源泉所得税など) □□円
給与支払時に仕訳
実際に従業員へ振り込むタイミングで「未払給与」を取り崩します。加えて、源泉所得税や社会保険料負担分を差し引いた手取り額を支給する旨を仕訳に反映します。
例
借方:未払給与 ○○円
貸方:普通預金(現金) ○○円
社会保険料・源泉税の納付
徴収した控除分は後日、税務署や年金事務所などへ納付します。納付時に「預り金」を減らし、「普通預金」や「現金」を同額だけ減らす仕訳を起こします。
4. 給与の控除項目と帳簿の扱い方
所得税(源泉徴収)の処理
源泉所得税は給与から差し引き、後日まとめて納付します。帳簿では発生時に「預り金(源泉税分)」を計上、納付時に「普通預金」などを貸方にして処理します。
住民税の扱い
住民税特別徴収で控除した分も同じく「預り金」で管理し、納付時に処理します。ただし支払先や納付期限が所得税と異なる点に注意します。
社会保険料
従業員負担分は「預り金」で、事業主負担分は「法定福利費」などで計上されることが多いです。各種保険の納付時に、従業員負担分と併せてまとめて支払う形が一般的です。
5. 個人事業主の場合の給与記帳上の留意点
個人事業主本人の給与は経費にならない
個人事業主は自分へ支給する給与を必要経費にできません。ただし従業員に支払う給与は経費算入が可能です。配偶者や親族への給与を計上するときは「青色事業専従者給与」のルールが適用されます。
青色事業専従者給与を給与帳簿へ記入
青色申告をしている個人事業主が家族を従業員として雇用したときは、所定の届け出と給与帳簿の備付けが必要です。専従者控除と異なり、給与として経費化する仕組みです。
仕入や売上との混同を避ける
小規模事業だと売上や仕入と従業員の給与が同一の銀行口座から動くことが多いです。混乱しないよう、帳簿では区分をしっかり行いましょう。
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スマホ対応のe-Taxアプリを利用すれば、土日に自宅で申告書を作成・提出できます。紙の申告書を用意する手間が省け、時間を大幅に節約できます。
レシート読み取り機能を活用
会計ソフトを使えば、領収書やレシートを撮影して経費を自動記録できます。土日の短い時間でも効率的にデータを整理し、確定申告に備えることが可能です。
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タックスナップは、シンプルで使いやすく豊富な機能で、フリーランスや個人事業主の経理の手間を劇的に軽減します。今すぐタックスナップを使い始めて、経理業務をもっとスマートにしましょう。
まとめ
給与を帳簿につけるときは「給与勘定」「預り金(税金や社会保険料)」「法定福利費」といった勘定科目を正しく使うことが大切です。法人なのか、個人事業主なのかで取り扱いも変わります。また、従業員への給与発生時と支給時、社会保険や源泉所得税の納付時など、タイミングごとに仕訳が必要です。基本をしっかり押さえれば、給与の経理処理で迷うことは大幅に減るでしょう。適切な仕訳を続けて、ミスのないスムーズな給与管理を実現してください。
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よくある質問
Q1: 役員報酬と通常の給与は同じ科目で良い?
役員報酬と一般の従業員給与は区分するのが原則です。「役員報酬」と「給料手当」など勘定科目を分けると、役員分の報酬水準を把握しやすくなります。
Q2: 社会保険料控除の一括処理はどう記帳すれば良い?
支給額からまとめて差し引く場合でも、源泉所得税や厚生年金、健康保険などの区分は仕訳で分ける必要があります。具体的には「給与」と「預り金(社会保険)」の仕訳を立て、納付時にそれぞれの納付先へ処理するとスムーズです。
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