売上割戻しや返品処理などで、帳簿にマイナス金額を記入する場面は意外に多いです。しかし、どんな記号を使うべきか、科目への反映はどうなるのかといった疑問を抱えていませんか。ここでは、マイナスを表す際の一般的な表現から注意点までをご紹介。きちんと理解すれば、決算書や請求書での混乱も避けられます。
田淵 宏明
【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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帳簿でマイナスを表す理由
返品・値引き・売上割戻しなどの取引が起因
通常は売上や経費といった「プラス」の数字を帳簿に書く機会が多いです。しかし、以下のようなケースではマイナスの金額を扱います。
返品やキャンセル
商品の返品が発生し、売上を取り消す場合。
値引き・割引
交渉により値引きが行われたときや、大量購入による売上割戻しが生じたとき。
会計処理の訂正
記入ミスに対する修正仕訳で、残高を調整する必要があるとき。
これらの取引を表すために、マイナスを帳簿上に正しく書き、差異がないよう明確にしておくことが大切です。

一般的なマイナス表記の種類と特徴
「-」「△」「▲」「( )」など複数の方法がある
マイナスを記載する代表的な表現はいくつか存在します。主な書き方と留意点をまとめると以下の通りです。
マイナス記号「-」
もっともシンプルな方法。数値の先頭に「-」を付ける。
三角記号「△」
決算書の白三角「△」は、マイナスや赤字を表し、企業の決算短信や有価証券報告書などで見られます。 三角が上を向いているためにプラスと勘違いする人がいるかもしれませんが、決算書などでは、白三角「△」はマイナスを意味することに注意をしてください。
黒三角「▲」
白三角と意味は同じだが、視認性を変えるために使われる場合がある。
括弧「( )」
会計上、貸借対照表や損益計算書などにおいて赤字などを括弧表記する国際基準などがある。
会社や会計ソフトの慣習によってどれを使うかが決まることが多いです。混在しないように統一しましょう。

実際の帳簿への記入方法
減額仕訳や取引取消しを正しく反映するコツ
帳簿にマイナスが登場する代表的な仕訳パターンをいくつか挙げます。
売上の値引き
- すでに売上計上した後に値引きが決まった場合、売上高を減らす仕訳を追加する。具体的には「借方:売上高○○円 / 貸方:売掛金または現金○○円」、金額をマイナス表記でメモして対応することもある。
返品による売上取り消し
- 売上を立てた科目を逆仕訳し、帳簿上で取り消す形になる。「借方:売上高 / 貸方:売掛金」などで相殺。
支出のマイナス(費用計上したもののキャンセル)
- 経費として処理した後に返品・キャンセルが確定した場合、費用を差し引く仕訳を入れる。「借方:現金など / 貸方:経費科目」といった形。
どの場合でも、結果的にマイナス金額を分かりやすく表示し、理由を備考欄などに書いておくとミスやトラブルが減ります。
請求書などでマイナス金額を表記する際の注意点
表示形式を明確にして消費税計算に気を付ける
帳簿だけでなく、請求書や納品書にマイナスを記載する場面もあります。以下の点に留意しましょう。
行ごとに値引き項目を設ける
値引きや返品を、ひとつの行として「-○○円(または△○○円)」で明示し、理由を記入する。
消費税の計算方法
値引きが消費税を含めた処理なのか、税抜き金額だけの値引きかで計算結果が変わります。
インボイス制度対応
適格請求書の要件を満たすために、総額表示や税率ごとの内訳を正しく記す必要があります。マイナス行でも内訳が必要な場合があるので注意が必要です。
わかりやすいレイアウトで書かないと、取引先が混乱して未払いや重複請求のトラブルになりかねません。

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まとめ
帳簿でマイナスを扱うシーンは、値引きや返品など想像以上に多く発生します。マイナスを正しく表記しないと、利益計算や税金計算に誤差が出たり、取引先と混乱する原因になるかもしれません。特に請求書や決算書など公的な書類では、見やすく統一された表記が求められます。
また、会計ソフトを利用すればマイナス表記を自動化できるケースも多いです。日頃からマイナス記入のパターンや消費税の扱いを把握しておけば、スムーズに経理処理を進められるでしょう。
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よくある質問
Q1: 帳簿にマイナスを記載する代わりに「相殺」仕訳でもいい?
相殺の仕訳を使って売上や経費を直接取り消す手段はあります。しかし、明細が見えづらくなる恐れがあり、監査や税務調査で説明しにくいことがあります。マイナスの金額を明示したほうがわかりやすいです。
Q2: 会計ソフトで三角記号を表示するにはどうすればよい?
ほとんどの会計ソフトは「負数を△で表示」などの表示設定を備えています。設定画面で「マイナスを△に変換」するオプションを選んだり、Excelの場合は「セルの書式設定」で負数を三角表記に変更できます。
