「売上の一部を別に管理したり、実際の帳簿と異なる報告をしたり」――これらはいわゆる二重帳簿の典型的な手法です。税務調査でも優先的にチェックされ、発覚すると重いペナルティを受けかねません。ここでは、なぜ二重帳簿は危険なのか、どのような対策をとるべきかを解説します。
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1. 二重帳簿とはどんな状態なのか
仮装・隠蔽による帳簿の二重化
二重帳簿とは、本来の正しい帳簿とは別に虚偽の帳簿を用意することを指します。
- 仮装隠蔽
売上や経費の一部を隠すために、表向きの帳簿と実際の数字を記録する帳簿とを意図的に分ける行為。 - 目的
課税逃れや社内管理の不備を隠すためといったケースが多く、税法上は重大な違反にあたります。
一時的に上手くいくように見えても、後述するように必ず不利益が生じると考えたほうがよいでしょう。

【所属】
税理士法人Five Starパートナーズ 代表税理士
【経歴】
大阪府豊中市出身。関西学院大学経済学部卒業後、中原会計事務所に入所。2001年に税理士試験全科目合格。その後、新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人で国際税務業務に従事。2005年にヒロ☆総合会計事務所を設立し、2022年に税理士法人Five Starパートナーズへ組織変更。また、YouTubeチャンネル「税理士YouTuberチャンネル!!」を運営し、税務や経営に関する情報を発信している。
保有資格: 税理士
※詳細やご自身の状況に応じた適切な対応については、税理士等の専門家にご相談ください。
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2. なぜ二重帳簿が発覚してしまうのか
税務署は帳簿のチェックだけをしているわけではない
税務調査において二重帳簿は見破られやすいです。
- 外部データとの突き合わせ
銀行や取引先から提出されるデータを参照し、表向きの数字とのズレを見つける。 - 不自然な取引履歴
売上と入金が合わない、商品の仕入数量と売上数量が食い違うなど、整合性のない点が浮き彫りになる。 - 業種別の適正利益率比較
同業他社との平均マージンと極端に違う場合、脱漏を疑われる可能性が高い。
二重帳簿が明るみに出れば、重加算税など大きな不利益を被ることになります。
3. 二重帳簿によるペナルティ
重加算税や青色申告の取り消しリスク
二重帳簿などの不正行為が判明すると、以下のような罰則が課されるケースが一般的です。
- 重加算税
過少申告や無申告であっても仮装隠蔽が認められれば、税額に対して35%~40%もの加算税が上乗せされる。 - 青色申告の承認取消
大きな不正と認められれば、翌期以降は白色申告となり、特典がなくなってしまう。 - 信用の失墜
金融機関や取引先からの信頼を失い、資金繰りやビジネス関係で不利になる可能性がある。
本来払うべき税金以上に多大なペナルティを支払うことになるので、リスクは極めて大きいでしょう。
4. 二重帳簿が生まれてしまう要因
事業者が感じる軽率な心理
二重帳簿を作る背景にはいくつかの要素が考えられます。
- 納税額を少なくしたい思惑
一時的に税金を減らせても、見つかれば倍以上の負担を負う。 - 社内の管理不備
従業員や経理担当の不正操作で二重管理が生じる場合もある。 - 業務プロセスの混乱
システムの切り替えや帳簿担当者の交代などで混同してしまうこともあり得るが、故意でないにせよ問題は同じ。
とはいえ、法令違反を犯すことは費用対効果の観点からもまったく割に合いません。
5. 二重帳簿を回避するための対策
正しい管理体制と外部アドバイスを活用
リスクを避けるためには、以下のような具体策を講じましょう。
- 会計ソフトの導入
売上・経費の入力や自動仕訳をシステム化し、データの一元管理を行う。 - 定期的な内部監査
複数人で仕訳を確認し、帳簿のズレをチェック。 - 税理士・会計士へ相談
プロがいれば税務調査にもスムーズに対応できるだけでなく、誤った処理を防ぎやすい。 - 制度への理解
青色申告特別控除や電子帳簿保存法などのメリットも知れば、正しい記帳のほうが得策と理解できる。
結果的に、正当な手段で節税策を学ぶほうが長期的に見て安心・安全でしょう。
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まとめ
二重帳簿の作成は仮装・隠蔽とみなされ、重加算税など大きなペナルティを招くだけでなく、会社の信頼性に深刻な打撃を与えます。税務当局は銀行口座や取引先データも含めてチェックするので、見つかる可能性は極めて高いです。正規の会計ソフトや適切な内部管理を導入し、誤った誘惑を断ち切ることが財務健全化と事業の安定につながります。
タックスナップは、簡単さと安心感を兼ね備え、フリーランスや個人事業主の経理・確定申告をサポートする強力な会計ツールです。スワイプで手軽に取引を仕分けし、自動仕分けで更に効率を追求。税務調査リスクチェックで安心感を高め、スマホ一台で提出まで完結できる便利さで、経理のストレスを大幅に軽減します。他会計ソフトからの乗り換えも簡単なので、今すぐ試してみる価値があります。
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よくある質問
Q1: 売上の一部を現金で受け取り、記帳から外すことは必ずバレますか?
現金取引も銀行口座の動きや売上数量との整合性でチェックされます。気付かれないと思っていても、取引先の帳簿や在庫データから容易に発覚するため極めて危険です。
Q2: 二重帳簿を見つけられたら、過去の年度まで全部調べられる?
通常、税務調査は3~5年前までさかのぼります。不正行為が大きいともっと前の年度を調べられる可能性があり、巨額の追徴金が発生する恐れもあります。
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